アンティークコレクターであるとともに昆虫マニアでもある富豪、綾部渡の依頼を受けて、柏木はツタンカーメン王の胸飾りのレプリカの完成披露パーティの席上で、スカラベ(ヒジリタマオシコガネ)の生態について講演を行なった。講演後、綾部秘蔵のコレクショ
ンである古代中国の副葬品の宝玉、玉蝉(ぎょくせん)が、胸飾りに続いて披露される手はずになっていたが、玉蝉を納めたはずのオルゴール箱はもぬけの殻だった。衆目の中で、犯人は最高級の翡翠の宝玉をまんまと盗み出したのだ。オルゴール箱から香水の香りがすることに気づいた柏木は、思いもよらない方法で犯人を見つけ出すと宣言して周囲を驚かせる。研究室から取り寄せたコガネムシに、犯人を嗅ぎ当てさせるというのだ。そんな警察犬のような真似が、ちっぽけなコガネムシに可能なのだろうか……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-26 01:42:20
13471文字
会話率:59%
むかしむかし。
表の仕事をしながら、裏で墓暴きを働く男がいた。
副葬品が目当ての男は、「死蔵」させておくなどもったいないとばかりに、身分の高い者たちの墓をひっそり掘り起こしていく。
その彼の最後となった標的は……。
最終更新:2021-09-28 20:00:00
3437文字
会話率:0%
むかしむかし。諸国をかける盗人がいた。
彼は生きている人相手には盗みを働かず、標的はもっぱら人の絶えた建物の装飾品、墓地の副葬品などだったとか。
「誰にも知られないものは、ないものと同じ。それを金として、世を動かす力とする」
そう豪語
する不届きな彼の次の相手は、とある小山の頂にある社。その中にあるという、ご神体だった……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-03-16 22:00:00
3967文字
会話率:9%
戦国時代のこと。
ある大大名に従属していた領主は、商いで多くの富を得ていた。
しかし、軍備を拡張したりすると、離反の準備かと思われかねない。
そこで彼は、自分たちが作った貨幣の一部を死者と共に葬ることにした。
現世で使えなくすると共に、死
後においても使えるように……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-05-02 18:00:00
3198文字
会話率:8%
死んだ時間が灰雪のように降りかかる。永劫いつまでも停止したまま形動かないその思想、琥珀のごとく土に埋もれていくしかないのだろうか。死霊の王はその場所が人間の墓標と知っていて、たましいを喰らっているのか。
最終更新:2013-08-08 23:50:46
820文字
会話率:0%