太陽の沈まぬ帝国とまで謳われた、かつての世界最強国も零落して久しく、落日が万民の目にはっきりとしていた時代――
啓蒙派の開明君侯を父に、自由闊達に育った公女セシーリアは、姉シャルロッテの随員として、姉の婚約者である皇帝エルディナントが滞在中
の避暑地へおもむく。
ところがそこで告げられたのは、皇帝からシャルロッテへの婚約破棄宣告。帝妃となるべく徹底的に躾けを受けた、完璧な淑女シャルロッテを若き皇帝は敬遠し、奔放に振る舞う妹のセシーリアへ惹かれたのだ。
落ちたりとはいえ王の中の王、皇帝の求婚を断れるものではない。セシーリアはにわか仕込みのお妃教育を受け、礼儀作法もままならぬまま皇宮へ放り込まれる。
そこでセシーリアを待っていたのは、黄昏の帝室の旧弊さであり、落ち目の帝国をどうにか支えようと、冷たい糸を紡ぐ女郎蜘蛛のごとき太后ゾラとの確執だった……
※落日の帝国の花嫁として、政治への関与を禁止されているヒロインの視点で、異世界の19世紀風中欧・東欧っぽい地域の国際情勢の激動を描きます。ラヴ要素もあるけど、歴史と政治の話がかなり大盛りですのでご注意ください。めんどくさい部分を、ほどよく飛ばしながら読むのがオススメ(めんどくさいパート自体を書くの自重する、という選択肢はないのがこの作者)です。
※残酷な描写はありませんが、高校生以上を推奨する内容です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-09 18:00:39
312083文字
会話率:25%
産業革命によって富の裾野が広がり、芸術品・美術品が王侯貴族だけの独占物ではなくなった時代――
画家や彫刻家にとって、帝都の美術サロンで表彰されることは、無名から一挙にスターダムへ駆け上がれる格好の機会であるとともに、己の才能ひとつで食って
いくためには必須の、狭き門でもあった。
サロンで4年連続入選をはたし、気鋭の若手画家として名声を確立したエドゥアール=ソールフェは、画壇にとどまらず帝都社交界の新星となっていたが、仕事の依頼の取次ぎや自作の販売を、無名時代の自分に目をかけてくれたとある商家の令嬢に一任していた。
「青田買い上手」とやっかみ半分にいわれるその令嬢、シモーヌ=メナンシュだったが、若き貧乏画家に帝都での下宿を提供したことをいつまでも恩に着せるつもりはなく、どうして彼がいまだに仕事の仲介を一任してくれるのかわからず、むしろ困惑していた。
なにせエドゥアールときたら「彼女とはビジネスパートナーにすぎない」と、恋人あつかいしてくれないのだから……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-15 22:02:27
11044文字
会話率:49%
貴族は没落すれどもいまだ名を保ち、成金は勃興すれどもいまだ社会的地位を認められていない時代。新興ブルジョワ商の娘である「わたし」には、貴族の婚約者がいた。向こうの家の目当ては持参金、こっちの父の目当ては格式。当事者であるわたしと先方は、一度
お茶を飲んだだけ。
多額の持参金を二回払う余裕のない父は、妹を修道院に入れようとしていた。「修道院は嫌!」と妹に泣きつかれたわたしは、まだお互いに何も知らないし交代しても平気だろうと、婚約者を譲ることにした。
父さんは、わたしが持参金が要らない結婚相手を自力で見つけてくれば、文句ないんでしょ?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-07-13 00:09:39
13879文字
会話率:37%
仮想19世紀後期のとある街に、特別な場所がある。
死体を綺麗にする技術士──エンバーマーの青年が店主の花屋。
そこにいくと、永遠の美しさをもった作品が買えると噂で──?
死の芸術とそれを愛する人々の物語です。
(この作品はカクヨムにも投稿
しています)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-08 16:30:00
35710文字
会話率:62%
仮想19世紀末。英国ロンドン。そこには奇怪な出来事が起こっていた_____________。
「少しお時間よろしいですか?そこの紳士淑女のあなた」
…………これはシャーロックではない、19世紀末に存在した、もうひとりのホームズのお話。
最終更新:2016-05-29 01:39:29
2268文字
会話率:12%
仮想19世紀末。魔法が存在し、悪魔が存在する世界。そこでは祓魔師(エクソシスト)と悪魔の戦いが止むことを知らずに続いていた。そんな中エクソシストに憧れを持つ少女・アレリアは、悪魔屋敷と揶揄される無人の屋敷に化物調査のために訪れる。そして彼女
は現世代最強のエクソシスト・ユキラウルと出会う。さらに出会ったばかりか、ユキラウルはアレリアに「あなたを勧誘に来ました」と言う。ある秘密を持った少女が最強の祓魔師と出会うとき、物語は始まる。彼女の先に待つのは救世か、それとも--。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-03-04 22:38:52
54681文字
会話率:28%
よくある、ちまたでは頭脳明晰、冷静沈着、紳士的な態度を崩さない好青年。それに黒髪黒目の可愛らしい助手。数多くの難事件を解決した英雄。そう世間で噂されている名探偵。 でもまあ実際は謎解きに飢えて紳士的態度も処世術な性格にふた癖以上ある天才に
、元暗殺者で助手というより生活力ゼロの探偵を補佐する世話係。 これは、そんな二人の事件の一部である____。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-11-23 07:29:02
10654文字
会話率:56%
仮想19世紀のドイツにあるロサネハイツ院で、年に一度の「ルームメンバー替え」が行われた。そこでクリフのルームメイトになったのは、一風変わった青年、桂 雪。どこか不思議な雰囲気を持つ彼は自称、安倍晴明の子孫である陰陽師の末裔だった。
「瞬
間というのは世の中すべての構築式です。これを甘く見ているようなら、あなたはいずれ・・・・・・ね・・・・・・」
陰陽師の特性である時空越えのため、過去の世界にタイムスリップできるユキは、極東の島国、日本にいる自分の家族の桂一族と、何やら因縁があるらしく・・・・・・。
主人公のクリフが振り回されてばかりで、だんだんと可哀想になってくるお話です。
☆評価していただけると、とてもありがたいです。気が向いたらでいいので、宜しくお願いします。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-10-10 00:37:47
51830文字
会話率:34%
時は仮想19世紀。場所はヨーロッパの薄汚れたスラム街。それは、一人の少年が出逢った物語。祖父から託された古びた人形と共に、そっと始まった、哀悼歌。
最終更新:2008-12-28 21:08:35
3364文字
会話率:10%
仮想19世紀末のイタリア。そこではロードロスの原主<ケース>と人間の醜い争いが繰り広げられていた。異端者として蔑まれる人外的な力を持つ原主たち。その中の1人、“炎を司る青年”の運命は天上の月が見つめる中で、大きく変わろうとしてい
た…。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2006-11-14 23:56:39
161文字
会話率:7%