大学生の「僕」は、かつての同級生 神原澪(かんばら みお)の墓参りのため、瀬戸内の離島「篁島(たかむらじま)」を四年ぶりに訪れる。澪は転校生として島にやってきた少女で、透き通るように静かで美しい存在だった。しかし、一年も経たないうちに原因不
明の病で亡くなっていた。
澪から生前に届いた、たった一通の不可解なメッセージ──「ひとくち、水が欲しい」。
その言葉が心に引っかかったまま、主人公は彼女に何も返せず、別れも言えなかった。
島に戻った彼は、澪とともに過ごした記憶の場所、そして彼女がこだわっていた井戸の水と再会する。そこから始まる、現実と幻想の境界が曖昧になる体験。澪の幻影、水にまつわる怪異、語られる“水神”の祟り──。
次第に明らかになる、一杯の水に込められた澪の想いと、「忘れられること」への恐れ。
すべてを知った主人公は、澪の魂を静かに見送り、再び生きていく決意を胸に、島を後にする。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-28 17:17:04
3892文字
会話率:22%
蒸気機関車が国を駆け抜け始めたころ。
山と水に抱かれたクロノフェルデ王国では、鐘楼の音が朝・昼・夕に響きわたり、人々の暮らしを律していた。
王国を導くのは、時と歯車の神を掲げるヴェルツ正教。
正確な時を刻むことが、人としての正しさとされるこ
の国で、村々にも教会と時計塔が建ち並び、司祭たちが時の教えを説いている。
ルーシュはその教会に育てられた少年だった。
物心つくころにはすでに鐘楼の歯車に魅せられ、振り子の規則的な揺れに耳を澄ませていた。
ともに育った領主の娘エルザとは、幼い頃からどこか噛み合わないままも、並び歩く日々を送る。
家の名誉を背負うエルザと、教会に生きるルーシュ。立場は違えど、互いの歩む時間が交差することを、ふたりは心のどこかで願っていた。
だが、穏やかなはずの村にほころびが訪れる。
御神木の倒壊、古井戸の異変、水車小屋の崩壊。
まるで何者かが、村の「時」を狂わせようとしているかのような事件が次々と起きる。
誰もがそれを天の兆しかと恐れるなか、ルーシュは積み重ねた観察と技術を武器に、疑念の先へと踏み出す。
導かれるように機械の中を覗き込み、わずかなズレと変化を見つけ出していく。
ヴェルツ正教が掲げるのは「時の理」。
しかし、理が人を救うとは限らない。
村でひそかに積み重なってきた歯車の狂いは、やがて国全体を巻き込む大きなうねりとなっていく。
やがて少年は青年へと成長し気づいていく。
小さな村で回る歯車も、大きな国の歯車も、繋がらないようでいてひとつの機構の一部だと。
そして、どんなに細く小さな歯車であっても、たしかに時を動かす力があるのだと。
時間は止まらず、歯車は巡る。
──すべての歯車が重なるとき、少年はその手で何を動かすのか。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-28 15:00:00
243533文字
会話率:36%
すべての存在に癒しを。
すべての傷つく者らへの癒しを。
癒しを施し、すべてを無に返せ。
そう両親に教えられて、『癒しの巫女様』としての能力を使い続けていた少女・都波 砂羽(となみ さわ)は、ある日家に降りかかった厄災を機に一気に能力を失っ
てしまった。幾度挑戦しても、癒しの力を発動することは二度と出来ない。このままでは、都波家のために役に立てなくなると愕然とした。
だが父親は次の巫女を得るのに、捨て場所に等しい生贄の『審神者』として荒神となった土地神に捧げられてしまう。今まで『癒しの巫女様』として、家のために尽くしてきたというのにあっさりと殺すような行為に砂羽は死を覚悟して井戸の中に落とされた。
と思ったら、生活が一気に変わったのだ。
個性豊かな主を持たない、異空間の神々が住まう里の近くで十二神将に保護され、彼ら共に生活する事に。癒しの力が封じられたのは、怨恨を要にした呪いが原因だと。砂羽を里の中で見つけてくれた、凶将の騰蛇にそう推測された。
それを気に、食事への感心を抱き、彼らとの生活の中で人間らしい感情と愛情を育んでいくのだった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-28 12:33:53
7647文字
会話率:54%
高校2年生の吉瀬来那は、かつて「ライライちゃん」としてライブ配信をしていた元人気ライバー。
けれど、高校入学を機に活動をやめ、“普通の女の子”としての日々を送っていた。
そんなある日、偶然出会った新人ライバー「いどっち」の歌に心を奪われる
。
透明で、まっすぐで、少し不器用なその声に——自分が忘れていた熱が、静かに灯っていくのを感じた。
その正体は、隣の席の地味な女の子・井戸川萌子だった。
「推しが同級生だった」なんて信じられない。それでも、彼女の配信を見守るうちに、どんどん惹かれていくようになる。
やがて、「いどっち」と「ライライちゃん」として、二人でライブ配信のコンテストに出ることになり——。
自分の素顔も、恋も、ぜんぶ本音で向き合いたい。“二人だけのリアル”を掴むまでの青春ガールズラブストーリー。
※この小説は、カクヨムにも掲載しております。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-28 08:20:00
66656文字
会話率:28%
古井戸に近付いてはいけない。
最終更新:2025-07-28 00:06:30
1720文字
会話率:28%
むかしむかし、江戸の世にて、一ふりの太刀、人を喰らひけり。
その名をば"むらまさ"とぞ申す。
血をすすり、魂を裂き、持ち主の意をもてあそび、つひには人を堕とす、呪ひの妖刀なりけり。
その太刀を佩きし者の素性、いまに
しては詳らかならず。
浪人とも、忍びとも、または幕府に捨てられし武門の末葉とも、さまざまに囁かれける。
されど、唯一つ疑ひなきは、
徳川家康をば、斬り伏せし者なり.....といふことなり。
太刀を抜きし時にはすでに、血に塗れたる将軍の間に立ちゐたり。
幕府の柱ともいふべき御身を傷つけし罪、その咎は命をもて贖ふものなり。
追手の刃をかひくぐりて、彼が身を投げたるは、一つの古井戸なり。
されど、その底には水も泥もあらず。
ただ、この世ならぬ異界の口、妖棲まひ、死人歩む、もう一つの江戸に通じてをりし。
かくして、彼は人ならぬもの、異界に生きる者、はたまた異なる時の人々と交はり、またしても追はるる身となりぬ。
これは、ひとりの剣士と、呪はれし太刀との宿世を断たんとする物語なり。
人と妖、現世と異界、過去と未来とを貫き、
つひに伝説と化せし男の、名もなき剣の譚なりけり。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-28 00:00:00
41772文字
会話率:19%
文字書き中毒が狭い場所で狭い世界のことを書いています。
キーワード:
最終更新:2025-07-26 16:22:26
171656文字
会話率:8%
群青の空に立ち込めるは背高のっぽの入道雲。
一齧りのアイスは溶けるはいつか。
―小さな村を襲う悲劇。
「村の森の奥の井戸水は汲んで飲んではいけない」
代々の言い伝えは村を苛酷に貪り尽くす古き悲劇。
なんでも江戸時代初期に起きた人災が森
の主を起こしてしまい、村の水という水が飲めなくなってしまったという伝承が残っている。
現代まで続いた名前は「龍神伝説」と言われるまでに昇華された忘れることのない語りべは若きにまで伝えるべきと長が。
渦巻く村の謎、かく語りき龍神伝説。
今宵、解き明かす者の後日譚を語りだす。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-26 11:31:16
5381文字
会話率:60%
「呪いなんて信じない」──そう思っていた大学生・蒼太は、偶然目にした古い村の失踪事件の記事から、小さな村「水見村」へと足を踏み入れる。
夏、井戸、そして消える人々──恐怖は静かに水面から現れる。
最終更新:2025-07-26 07:00:00
14438文字
会話率:27%
「水を与えれば、神は眠る」——
毎年、夏になると誰かが消える山間の街・御影町。
取材で街を訪れた大学生・瀬川蓮は、どこか影を落とした少女と出会う。
赤く濁る水道水。夜ごと響く“誰か”の声。
神社の奥には、封印された井戸と「神の器」が存
在していた。
だがそれは、信仰などではない。
街を牛耳る市長と神職たちが作り出した、
“人柱”と“殺人”を正当化するための偽りの信仰だった。
土砂崩れ、雨、儀式——。
この街の水は、もう濁っている。
最後に命を捧げた者の祈りは、
少女の手によって、物語へと変わっていく——。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-26 06:00:00
9241文字
会話率:43%
私立三条学園高校に入学した千林典弘は、新入生相手のクラブ紹介オリエンテーションで、演劇部を主宰する片杖姿美少女の森小路瑞稀に出会った。
希望の部活は「帰宅部」だったのに。
彼女が妙に気になった典弘は、同じく生徒会長兼演劇部部員の守口浩
子に惹かれた滝井修二とともに入部することにしたが。
そして分かったのは、見た目の可憐さとは裏腹に、瑞稀がどうしようもないポンコツだったこと。
加えて同じく入部してきた新入生たちは、瑞稀狙いの輩ばかりで、芝居をする気など微塵もないアレな連中ばかり。
こんなそんなで典弘の高校生活は、この先いったいどうなるのやら?
この作品は「カクヨム」にも掲載しています折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-26 00:10:00
271225文字
会話率:39%
親の都合で田舎の分校に転校してきた藤村拓斗は、学校唯一の生徒である佐々木敦子からバンドをしないかと誘われる。
そうして出来上がったのが「京南町立中学校奥清水分校軽音部」なのだが、レパートリーは往年のヒーロー番組のコピー。
「中学3年にも
なって大声でシャウトは恥ず過ぎる!」
「そうは言っても、アンタたちJ‐POP弾けないでしょう」
思春期でビミョーなお年頃の二人が、廃校予定の分校で繰り広げる部活ライフ。その行き先は?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-17 09:54:00
8454文字
会話率:37%
オレ、菖蒲池淳一郎が通う西大寺学園高校には〝王女様〟がいる。
名前をエーリカ・セレスティーヌ・ワーレーンといい、何と彼女は異世界から留学してきたホンモノの王女様なのである。
そんな彼女の「お世話係」を仰せつかったオレは、賑やかにも面倒くさい
日常を送る羽目となり……
後はまぁ、読んでみてくれ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-30 00:00:00
17430文字
会話率:38%
アメフラシの一族に生まれたシューヴァ。雨爺と母、弟とラグス村に「ある契約」のもと住まわせてもらっている。
ラグス村は一帯は雨が降らない。
それに加えて、水の争いを繰り返す隣村から川の流れを止められ、井戸も枯れていた。
ラグス村の村長は旅
先でアメフラシ一族の雨乞いの力を耳にし、雨爺たちを向かい入れた。ラグス村にだけ雨を降らせるという条件で。
ある日、山に狩りに出かけた雨爺とシューヴァ。
隣村の男たちが武器を携えて、ラグス村に襲撃をかける姿が山から見えた。
雨爺が捕らえられ、母と弟を殺害されたシューヴァ。
シューヴァに襲い掛かる男たちから救ったのは、かつての雨爺の弟子サンレだった。
復讐を誓うシューヴァ。
彼女の戦いの先にあるものは?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-25 17:22:43
7669文字
会話率:36%
水にまつわるホラー
仄暗い井戸の水底
最終更新:2025-07-25 12:30:00
1613文字
会話率:29%
水についてのホラーです。
最終更新:2025-07-12 21:22:28
1833文字
会話率:9%
亡き祖母の家に残された古い井戸。都会での破綻した生活から逃れてきた俺は、その水面に映る自分が日に日に若返っていく甘美な現象に囚われる。それは失われた過去への郷愁か、それとも水底から手招く、冷たく絶対的な死への誘いか。祖母が隠した日記が、その
禁断の真実を語り始める。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-25 00:17:30
7061文字
会話率:18%
都会を離れ、念願の古民家カフェを開いた夫婦。庭に残された古い井戸は、店のシンボルだった。しかし「井戸から声が聞こえる」という噂が立ち始め、妻が興味本位で井戸を覗いてから、その様子は一変する。水ばかりを異常に欲し、井戸のそばから離れなくなった
妻。その体は次第に人間ではない何かに変貌していく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-24 12:59:57
3134文字
会話率:25%
井戸でかくれんぼを題材にしたホラー
最終更新:2025-07-25 00:09:14
926文字
会話率:39%
去年の夏休みに訪れた祖母の家。その家には、使われていない井戸があった。井戸には石の蓋がされて、とてもじゃないけど持ち上げることができない。ある日の夜、緑川は水を飲みにキッチンに向かった。その時に、『ボッチャン』と聞き慣れない音がした。音はど
こから聞こえているのか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-24 21:46:21
1933文字
会話率:39%
魔法の名家に生まれ期待され育ったネロは十二歳で行われる儀式で左手に水の紋章を授かった。しかし水魔法しか使えない水の紋章はこの世界において不遇の証。お前のような奴はこの家に相応しくないと家から追放されたスイムは冒険者となるが所属していた勇者パ
ーティーからも使えないと再び追放処分を受けてしまう。水の紋章を手にしたばかりにと落胆するネロだがある井戸をきっかけいに水の重みを知ることで右手に賢者の紋章が浮かび上がる。水の理を知ったネロは風魔法に負けず火魔法を消し去り土魔法を洗い流し雷魔法を寄せ付けない最強の水魔法を使いこなすようになる。一方で彼を追放した連中は水神の怒りを買い水不足によって危機に陥ることになり激しく後悔することとなった――これは不遇な水属性を手にした少年が成り上がり最強の水の賢者へと成長していく物語――
※タグのR15及び残酷な描写ありは保険で入れてます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-24 20:37:10
482204文字
会話率:58%
ブラック企業に勤め、亡くなり転生に期待したが却下されに元の世界に元通り?
自分の人生を再び歩むのか?
いや待て、魔法に恋にいろいろ違うこの世界。そう何かが違うこの世界・・・
この世界今までとは少し違う。
最終更新:2025-07-24 18:00:00
217620文字
会話率:21%
文化人類学の教授・古河の助手として、梶原瑞樹は山奥にある無名の旧集落を訪れる。地図にも記録にもほとんど痕跡を残さないその地は、地元の人間すら知らなかったという。彼らの目的は、戦前に「封鎖」されたとされる古井戸の調査。そこで出会ったのは、寡黙
な老人・三谷。
苔むした道、崩れかけた祠、風のない空気、そして音のない夜。
日常から確実に切り離されたその集落には、「何かを祀った」痕跡と、「何かを封じた」井戸があった――。
異常は、静かに、そして確実に忍び寄る。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-23 12:00:00
5593文字
会話率:8%
私の村には『水泣き女』と云う。
伝承がある……。おばぁは云った。
『裏山の奥の井戸には水泣き女がおる』
村の人々は云う『井戸に近づいちゃいかん』
『水泣き女に井戸の中に引き摺り込まれるで』
興味本位だった。私はその日。
水泣き
女の井戸へと一人向かった……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-22 20:30:00
2719文字
会話率:32%
オカルトYoutuberである澤村と河田は、呪われた井戸の水を使ってカレーを作るという動画を撮ることになる。
カレーは思ったより美味しそうだが、その夜――
※夏のホラー2025参加作品です。
※しいなここみ様主催『華麗なる短編料理企画
』参加作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-22 12:00:00
3395文字
会話率:46%