塩化ビニルモノマーで出来た怪獣。近在の浜辺で拾った犬の下顎骨。
セミの抜け殻。それと対となるように集められるたくさんの虫の亡骸。
到底八歳の少女が好まぬようはそれらを愛でる彼女は、いつもいつだってそれだけで満ち足りているように見える。
さりとて『|ギフテッド《神からの贈り物》』を生まれ付き得てしまった彼女の孤独感は誰にも分からない。
彼女に興味のない父。彼女に関心を持たぬ母。如何にも相容れぬクラスメイトたち。
そんなひとりぼっちの彼女を。どうしても惹き付けてやまぬモノがいる。
彼女はそのモノを見付けてから、恋心と云うものを知らずして、尚、そのモノに恋をしていた。そう、近在の邸宅に設えられた一体の異形なる石像に。
彼女のように逸脱するものはただ弾かれ、『いじめ』と呼ばわれる暴言や暴力を受ける。そうして彼女、いやさ小夜子と云う名の少女に転機が訪れる。
ある日石像へと歩み寄り、二人だけの密約を交わしたその夜、小夜子に夢にまで見た使者が訪れて、彼女の未だ小さな体へと手を添わせ、小夜子をまるで冷たく、しかし何故か温度を感じさせぬ世界へと誘《いざな》わせる。
「助けるから、助けてと云ったろう?」
そのモノはそう発して、小夜子を今まで感じたことのない世界へと攫って行く。 待っていたのは何処までも青い洞に据え置かれた石くれと石礫ばかりの静謐な世界。
彼は云う。「この世界は美しい世界であった」と。そうしてそれを小夜子に取り戻してもらいたいと。
果たして小さな小夜子に彼らの地を取り戻すことは出来るのであろうか。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-19 21:56:42
172334文字
会話率:26%
まだ幼い半透明のコックローチが、真ん丸な黒目をしてこちらを見ていた。
最終更新:2024-07-31 00:13:58
901文字
会話率:0%
ナジュマは砂漠の国の後宮に生まれた王女である。ナジュマは後宮の女達を掌握し、一心に愛され、健やかに育った。愛に愛を返す彼女は後宮の女達の為、王女でありながら国を瓦解させる。
「国はいらないけど、結婚してみたいな!」
快活な様を笑った皇帝はナ
ジュマを義理の皇女とし、結婚に縁遠い甥・ヒネビニルの元に嫁に出す。
水を飲んでも育つような巌のような男にナジュマは喜び、必ず結婚すると一念発起。その異能をもってグランドリー王国を掻き回し始める。
ナジュマの脳裏に浮かぶ乙女ゲームの人物名鑑。ヒロインだった筈の侍女ルゥルゥ、悪役令嬢の姉の罪に連座する形で死ぬ筈だったテルディラ、軟禁される筈だったヨナビネル、そして──存在する筈のなかった王太子妃。
ナジュマが狂わせた乙女ゲームのシナリオは、グランドリー王国の未来も巻き込んでどんどんと様変わりしていく。
これは国も権利も何も必要とせず、愛だけを必要とし全てを打ち壊すナジュマの、ただの婚姻譚である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-23 22:13:32
111903文字
会話率:49%
彼がマキサ家を出ていった。後に残った部屋にはビニルテープで作られた首吊り用の輪っかがあった。
僕は失敗した。そしてこれまでも失敗を積み重ね未だに失敗して、今まで一度の成功もない。
ただ溶け出すような理解されない3度と沢山の失敗の物語。
最終更新:2022-03-25 14:34:26
4556文字
会話率:12%
仙道アリマサさんの企画に参加させて頂いております。
季節柄、音楽の力強さと神秘的な所に祭りと花火と金魚と妄想が膨らみました。
お盆休みの真っ只中、夫婦で歩いて行った夏祭り。
妻がどうしても、と言うので久しぶりに金魚掬いをやった。
1匹も
掬えなかった。
店のお兄さんがオマケで2匹、掬ってビニル袋に入れてくれた。
俺はそれを拒んだ。 獲れなかったものはしょうがないって。
妻もポツリと言った「縁が無かったのよね・・・」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-19 17:44:49
3495文字
会話率:26%
長野に引っ越すことが決まった「わたし」は、引っ越しの前日、無二の親友である牛間と街へ繰り出す。菜種梅雨のころ、ビニル傘を差しながら歩くふたりの行方は……
みたいな、そんな感じです。
広島にすむちょっと変わったふつうの女の子のお話で
す。むかしどこかで書いた作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-04-23 22:12:22
5178文字
会話率:49%
【本編完結済です】
金色の髪に紅い瞳、ぷるりとした赤い唇。親譲りの美貌と厳しい淑女教育による才知に溢れ、マナーも社交もお手の物。
そんな完璧な公爵令嬢、アヴェレッタ・スカーレットには、前世の記憶があった。
お風呂の黄色いアヒルだった頃の
記憶が。
長年一家の湯船に漂い続けた結果、アヒルは自らのビニルの身体にはない柔らかさに惹かれていった…具体的に言えば、脂肪に。
しかし、生まれ変わった今世では、すらりとした体型が美徳とされる世界だった。
これはそんな彼女が、理想の白豚令息を捕獲した物語。
※乙女ゲーム要素は白豚令息編で出てきます。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-05 14:50:43
25975文字
会話率:34%
昔書いた文章の供養です。恋愛かどうかは怪しいところです。
最終更新:2020-05-28 10:05:06
587文字
会話率:53%
雨の日、コンビニ帰りにひょんなことから異世界へ。
コンビニで買ったなんの変哲もないビニル傘が、どうやら異世界では強い武具になるみたいです。
最終更新:2018-08-26 04:49:40
3305文字
会話率:5%
無気力な高校生『草橋アキラ』は突如、異世界へと迷いこんでしまう。そこで男装の騎士と出会い見込まれたことから、彼女の家来として共に旅をすることになる。退廃的な世界の中でアキラは不安に駆られながらも、少しずつ生きる希望を見いだしていく。
最終更新:2017-08-19 00:28:52
4190文字
会話率:39%
ある晩、高校生の伊吹(いぶき)我意(がい)は胸に違和感を覚えて失神する。すぐさま病院に運ばれ精密検査を受けたが、その結果判明した事は『他人の放屁を吸引しなければ心臓が止まる』という奇病だった。苦悩する我意の元へ妹が放屁入りのビニル袋を持っ
て現れる。我意は発作対策に妹の屁を持って学校へ通うことになるが…。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-04-06 23:00:00
86549文字
会話率:34%
しょーとすとーりーずです。
ゆめぜっとーノ・ブ・ロ・グー掲載記事です。
http://s.ameblo.jp/yu-atelieryz/entry-11629664266.html
最終更新:2014-07-08 21:55:13
3203文字
会話率:0%