ある春の日、全人類が蛹になった。と言うと、少し語弊があるかもしれない。なぜなら、おれは蛹になっていないからだ。となると、もしかしたら他にも蛹になっていない人がいるかもしれないが、おれにはそれを確かめる術がない。インターネットは苦手で、定年
退職してからのおれの世界はこの町だけで完結していた。スーパーや近所の商店、図書館、自宅。これだけで十分だと思っていたのだ。
今、そのおれの世界はすっかり静まり返っている。テレビはどの局も映らなくなり、駅まで歩いても誰一人いない。ただ、人間がいた唯一の証拠として、蛹が電柱のそばや車、店の中に点々とあるだけだ。蛹の色はそれぞれ異なり、白い壁のそばにあるものは白く、道路に横たわるものは灰色と、保護色になっている。大きさはドラム缶くらいで、形は少し枝豆に似ている。触ると少し硬かった。
長年連れ添った妻も、何も言わずに蛹になってしまった。いったいどうしてこんなことになったのか。人類の進化の一環なのだろうか。だとしたら、なぜおれは蛹にならないのだろう? 思い返しても、ただ一つ不自然だと感じたのは、普段食の細い妻がやたらとよく食べるようになったことくらいだ。
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最終更新:2024-09-20 11:00:00
3027文字
会話率:13%
「本当にこれが、そう?」
「そうだ、たぶん」
「じゃあ、割るぞ、セーノッ」
パッカーンと、何かが飛び出した。
なんと、可愛い女の子だ。
「ドワーッ、ちょっと、あんたら正気か? 普通、こんな金属に刃物で挑まないでしょ? どう
なってるの、全くもう!」
なんか、怒って叫んでいる。
まあ切りどころが悪ければ、大量出血しただろうから仕方ないか。
なんと川から流れてきた桃だと思ったら、タイムマシンだったらしい。
でもさ、ドラム缶くらいでかい丸型だけど、桃に見えるかな?
これ確信犯でしょ?
「それより、何その刃物? このタイムマシンは宇宙船にも使われる素材よ。普通の包丁じゃ、絶対刃こぼれするはずよ。素材は何?」
お爺さんとお婆さんは、顔を見合わせてニヤッと笑った。
桃から出てきたのは、可愛い女の子だった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-18 21:04:30
8463文字
会話率:24%
大夕張は北海道の夕張市にあって、本当は鹿島とも言うけど、炭鉱がにぎやかな頃は夕張市からもう独立した町になろうかって勢いだった。
炭鉱が閉山したら人口激減して私鉄もなくなってショボンとしちゃって。それでも街は残ってて懐かしくて時々遊びに行っ
た。
そのうち大きなダムができるって人はいなくなり、街はもう半分ダム湖に沈んでる。
いま大夕張に残ってるのは、トールさんが作ったドラム缶ボディのキリ助だけ。
そんな大夕張がにぎやかだった頃の話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-11 18:51:00
2671文字
会話率:0%
連歌は続くよ
どこまでも
《連歌ノ法》が、施行された。
それ以来、日本中の神社本殿及び寺院本堂等の腰は、カラフルになった。
社寺の腰には、色とりどりのベルトが巻かれた。
神社仏閣の中心となる建物(本殿や本堂等)の外周りには、グルッと一
周、連歌を募る紙のベルト(帯)が巻かれた。
今、目の前にあるお寺の、本堂に向かって左端から始まる髪帯は、鮮やかなスカイブルーだった。
フォレストグリーン地の、Tシャツを着ている。
Tシャツには、前面真ん真ん中に、三つの図柄が入っている。
和尚さんは、天念に急かされ、草履を履き、庫裡をゆったりと飛び出す。
和尚さんは、天念に背中を押され、のけぞりながら、歩を進める。
青からの赤、鮮やかな青からの真紅の赤、スカイブルーからのヴァージンレッド。
僧侶二人組とは思えない色の軌跡を描いて、シグナルみたいな二人は進む。
その名も、[連歌ん雁]。
《ん》は、「私ん家、俺ん家」のような、《の》を表わす《ん》。
《雁》は、メジャーな渡り鳥を表わす。
よって、名が表わすものは、《連歌の渡り鳥》
この辺りの地域にある神社仏閣は、軒並み、紙帯の停滞に悩まされていた。
総じて、約一ヶ月前に投句された句が、停滞を引き起こしていた。
「なまじっか、連歌とか短歌とか俳句の心得があったり知ってたりするから、
《ん止め》と《本歌取り》に怯んでしまって、句を繋ぐのに、
二の足を踏むんだと思うんです」
連歌ん雁地元遊撃隊二チームは、盛況の内に決定した。
早速、明日より、各四チーム(飯与宗次一人チーム、県担当連歌ん雁チーム、PST、SCT)は、活動を開始することにする。
ちょうど、ヨサブソンという芸人が、テレビの中でネタをやっている。
三つの、半分にしたドラム缶のような、バケツのようなものに、細長いボードが入っている。
ボードには、文字が書かれている。
《お題作戦》を採用して以来、紙帯の停滞は、順調に解消されている。
U―22組の自由奔放と、O―23組のオーソドックスが、適度に矯正されて、ほどよくいい感じの句が詠まれるようになっている。
繋げ易い句が一度提示されるやいなや、各寺社の紙帯は、また滑らかに滑り出す。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-25 09:30:42
42205文字
会話率:30%
京〇大学1年生工学部物理工学科に在学している学歴厨の俺が反社の中卒ニートを煽ってしまいドラム缶に入れられ桜島に沈められた。
しかし目を覚ますとそこは異世界だった。。。
最終更新:2024-03-24 22:29:52
449文字
会話率:14%
虹会桜弘はごく優秀な超絶エリート女子中学生だ。
ばちゅん。桜弘ちゃんとして知られる彼女はある朝の登校中に通りすがりの殺人鬼からヘッドを刎ね飛ばされてしまう。
刎ねられて転がった生首は近くの空き地に都合よく据えられていたドラム缶に謎癒着を
果たした。
春の時節のこと。桜弘はドラム缶生首生物と化したのだった。
お年頃の女の子だというのにスリーサイズがドラム缶と化してしまった桜弘は本来のボディを取り戻すべく地元に蔓延る殺人鬼――『プロ殺人鬼』たちに戦いを挑むことをひとまず決意する。
手も足も出ない桜弘のため小学校時代から仲良しこよしな伊塚叶も触手を差し伸べてきた。ぐにょぐにょ。
桜弘と叶の女子中学生二人連れはプロ殺人鬼に喧嘩を売ってゆく日々を以来過ごすことになる。斯くして超絶エリート女子中学生コンビが織り成す友情連携技が傍迷惑なプロ殺人鬼連中を少しずつ追い詰めてゆくのであった。
すなわちこれは変な世界で珍奇な運命を乗りこなす小娘たちの青春式プロローグに他ならない。
地の文担当者はそう思った。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-01 07:00:00
1195521文字
会話率:33%
廃坑から目耳鼻から血を流した男がよろめきながら出てきた。
なろうラジオ大賞4参加作品です。
最終更新:2022-12-11 13:00:00
994文字
会話率:37%
財産欲しい親戚達の共謀によって、両親を失い8歳の時に孤児院へ、シスターと院長の下で育てられる、厳しい教育の元で色々学び16歳を迎えるが、又も親戚達の雇った者達による強襲を受ける、ドラム缶へ詰められ海へ投げ捨てられる、しかしシノは生きていた、
海を漂い浜辺に打ち上げられる、ドラム缶から脱出したが、そこはシノの知る世界ではなかった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-06-27 23:17:52
58406文字
会話率:4%
さいたま県浦和市のゴルフ場周辺で、ドラム缶にコンクリート詰めされた女の死体が発見された。検視の結果、被害者は単体AV女優として近年稀に見るトップセールスを打ち立て、セクシータレントとしても数多くのキー局TV番組に出演し、お茶の間での人気も
博していた、瞳(ひとみ)つばさ十八歳であることが判明。死後一週間であった。彼女が最後に目撃された夜に同伴していた唯一の人物として、AVメーカー・サファイアビデオ代表取締役兼男優監督の江西和哉(えにしかずや)が捜査線上に浮かぶも、彼もまた行方をくらませていた。
そんな事件が世間やマスコミを賑わせている一方、ネット界隈でも秘かにある事が話題になっていた。それまで法律に基づきモザイク処理が施され、日本市場に正規流通していたアダルトビデオ作品の、無修正版大量流出である。その数は、一度に流出した規模としては過去最大の一〇〇本にものぼり、流出した無修正動画には、ある共通点が存在していた。すべて、サファイアビデオの作品だったのだ。
同じ頃、八王子の奥地に広がる山林地帯──その山の殆どは、地元民からも既に忘れ去られた存在である、戦後から三代続く資産家・氷室家の所有する私有地であったが、当代による多額の借金の形に入れられ、現在では新宿裏社会を牛耳る唐木組の管理下に置かれ、悍ましい闇ビジネスの拠点となっていた。
その闇ビジネスとは、顧客にとって目障りな人物の拉致・監禁、暴行・殺害、そして遺棄の請負業であった。遺棄された人体は、山中に住み着く死肉の味を知った凶暴な野犬の群れに喰い散らかされていたが、地元民から当に忘れ去られ、山火事が起きない限り滅多に人が寄り付かないことを幸いに、辺り一帯は死臭に覆われ、頭蓋骨などの人骨片や衣類、携帯電話、宝飾品などの遺留物が散乱する、この世の地獄の様相を帯び、いつしか裏社会の間で〝死の山〟と呼ばれるようになっていた。
雷鳴轟く土砂降りの雨の中、そんな〝死の山〟で今まさに、血まみれ土まみれの男が深い眠りから目を覚ました。江西和哉だった。
有名単体AV女優の凄惨な死と、一〇〇本にも及ぶ正規AVタイトルの無修正流出、その背後に蠢く唐木組拉致監禁部隊。すべての罪を押し付けられた江西が、己の身の潔白のため唐木組への復讐を開始するが、その先で彼は、思いがけない結末を目撃する──。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-11-30 18:44:01
6377文字
会話率:62%
福島第一 海洋放出
私は海水浴で海水放出
おしっこを
最終更新:2021-04-11 23:32:38
407文字
会話率:13%
ドラム缶の中に様々な物が落ちていたり、画面端から太った男が頭突きを飛ばしてくる世界で、シンデレラは今日も継母とその姉達にいじめられておりました。
最終更新:2021-01-04 08:00:00
1492文字
会話率:38%
警察官として働く成田久志
たまたまテレビでやっていた教員による謝罪会見にによって中学2年生の時に所属していた野球部の1人が熱中症で死んでしまったことを思いだす。
ある日蒸されたドラム缶の中で死体が発見される事件がおきる
その事件を解決に近づ
くにつれわかる中学2年の部活動のこととは折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-11-03 18:06:22
5245文字
会話率:37%
ドラム缶型鉱物生物は宇宙をさまよっていた。
故郷の星を壊されて、自分の中に溜まっている白濁汁を飲んでくれる人がいないから溜まる一方。だがしゃべるドラム缶なんて気持ち悪くて受け入れる人なんかいなく、永遠にさまよう一方である。
グルグル回って
いると、ある商戦にぶつかってしまい。ついに動けなくなった。だがそこで出会った水が余ってしまった商人に経済的に復讐しないかと持ち掛けられた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-10-12 23:46:36
3286文字
会話率:54%
とある私立の高等学校は変わり者ばかり。なぜなら「影」を歩く生徒が多いから。
世界は現実のものだけではない。「カード」に記された人間は「影」を歩ける。そのカードはタロットカードのようなものだけど特定の個人を示している。「碧のカード」には美しき
ロック少女「堕天使」、異世界で弁護士事務所を経営する「裁者」、「村長」そして主人公である万能の影歩き「吟遊詩人」こと「シオ」。「白銀のカード」は別に存在し、「皇姫」「暴君」などが物語を紡ぐ。また影を歩けなくとも「影」と疎通する能力を持つ人間やそうでないものも。廃屋のドラム缶から出られない「傀儡」は透視能力者「眼赤視」と次元を超えてリンクし、人の心を操る。「電脳の魔術師」伊集院は全ての世界にそのネットワークを走らせる。
SFチックでファンタジック。ヒステリックでロマンチック。それが「黎明学園の吟遊詩人」です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-07-13 05:56:31
86365文字
会話率:40%
リスベットは自由を愛する魔女である。
そしてボロボロの家に住み、ドラム缶風呂に平気で入るような、ガサツなアラサーでもある。
そんなリスベットは転生者でもあるのだが、だからといってどうということもない。
過去には色々あったけれども、今は王女の
呪いを解いたり、年下の大魔導士や元婚約者と再会したりしながらも、のんべんだらりと人生を楽しみたい。しかし、本人の希望とは反対にトラブルが次々舞い込んでくる。
そんな魔女のお話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-14 15:04:47
421440文字
会話率:45%
夜になると、いつもの日課で高台のドラム缶に火を灯す。
少し待つと遠くの高台にも明かりが見えてくる。
このやり取りだけが私にとって人とのわずかなコミュニケーションである。
最終更新:2020-06-13 23:18:55
615文字
会話率:10%
フクイチ
いまだにいろいろな余波が
最終更新:2019-06-01 15:19:41
226文字
会話率:0%
高校二年生の青年である東勇佐は、進路調査の用紙を前に自分の将来について何のビジョンも見出せずにいた。
そんな折、一人残っていた放課後の校舎で、転校生の少女を見かけたことから彼の運命は回り始める。
最終更新:2018-06-03 22:50:11
17997文字
会話率:33%
恒星間跳躍技術によって発見された人類の新天地、フロンティア・ファイブ。
密林に覆われた自然豊かなその星には、全人類の夢である地球外知的生命体と、
同じく全人類の悪夢である人類の天敵が同時に存在していた。
地球から送り込まれた開拓者達は過酷な
自然環境と獰猛な生物達を相手にしながら、この星に住む宇宙の隣人と交流を深めていく。
この広い宇宙に自分達は一人ではないことを確かめるように。
これは、この惑星の生態系の頂点に君臨する王者の名から、龍の惑星と呼ばれることになる星のお話である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-10-25 12:50:22
21521文字
会話率:20%
いっけなーい! 遅刻遅刻! 私、銀乃イアル。今年18になる高校三年生! だけど4月1日の始業式の日に街角でドラム缶のドラ子ちゃんとごっつんこ☆ ......全治三か月の怪我を負いました。一体私、これからどうなっちゃうの〜!?
最終更新:2016-10-10 16:28:53
3334文字
会話率:50%
わたしは、高校に入ってからなぜか10人以上の男子から告白を受けた。
理由はしらない。
わたしが単純に魅力的なのか。それともまわりのいやがらせか。
落ち込んで歩いていると猫にあった。
茶色い雄猫は、威風堂々といった感じでわたしの前を歩き始めた
。
高校の帰り道、なんだか暇だったわたしはその猫の後を追うことにしたのだった
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-12-16 00:41:16
3309文字
会話率:21%