神代縁は自らのことを最低の人間だと思っている。
壊れたものや壊れそうなものを見ると、それを美しいと思う。
それが例え人間であっても──そう思う。そんな感性の人間だからだ。
だからこそ、というべきだろうか。縁はとある妄想に囚われていた。
自ら
の感性に相応しい真性の化け物になりたい、と。それが縁の本当の望みだった。
そして、縁は自らを化け物とするかもしれない可能性に出会う。
それは、異常保菌者(バグ)と呼ばれる存在だった。
この世界のバグと出会い、縁はこの世界の外側から、自らの意志を世界に介入させる能力を得る。
そして、その能力を持つ人間が逸人と呼ばれる存在だと教えてくれた水城鏡という女性に案内され、異常保菌者対策室と呼ばれる組織へと縁は身を投じる。
縁はその組織の中で、当たり前の人間としての温かさに触れた。
けれど、それはひとときの安息に過ぎず、縁は自らの中にある獣性を満足させることもなかった。
その獣性が度々顔を出しても、それをまるで怖がらない鏡に縁は不満を感じていた。
しかも、その理由が人間として信用できるからだ。それが、とても、縁には不快であった。
けれど、鏡を狙う異常保菌者、尾賀龍也が鏡の近くに現れたことによって状況は一変する。
鏡の養父であり、その親心から鏡が一人でも生きていける力を付けさせようと異常保菌者の能力に縋った龍也。
その存在の禍々しさに戦慄しながらも、鏡を守るために縁は異常保菌者になりかけている龍也と戦う。
戦いは苛烈なものとなり、縁は龍也を倒すことが出来ないことを知る。
そして、縁は自らの名前ともなった人と人との繋がり、それを断ち切る力を手に入れたことによって状況を終わらせる。
けれど、それは自らを慕ってくれた鏡との縁を断ち切ることでもあった。
それを覚悟して、縁は鏡に自らの能力によって作り出した武器で鏡を貫いた。
それは自らの中にある獣性と再び真正面から向き合う日々の始まりであり、縁は精神が摩耗していくのを感じていた。
かつて自らが浸っていた幸福というものが、如何に自らの獣性と向き合うこの日常の中で大切なものなのかを知った縁。
そんな縁に対して、世界は皮肉なプレゼントを用意していた。
逸人としての力によって、自らを救った存在との出会いを求めていた鏡との再会。それを果たし、縁は自らの中にある心を吐き出す。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-07-12 08:06:17
128046文字
会話率:33%
「俺は“オリヴィエが落ち着くまで待つ”と言った。もう随分と待っているが、まだか?」伝説となった魔術師と国王の物語(「幻の魔石は君だ」)の続編。*あえて謎は全て解き明かしておりません。無自覚恋愛から国王が自覚したかも?*(他サイト同時掲載)
最終更新:2015-06-09 23:52:38
12925文字
会話率:51%
高校生の御園 晶(みその あきら)は養父の借金の形にヤクザの伊達 雄成(だて ゆうせい)に買われた。
しかし、彼と共に過ごしているうちに晶は彼に「何か」を抱くようになり..........
最終更新:2015-06-09 22:32:53
357文字
会話率:44%
施設育ちのさくらは、養父母に身売りされそうになって逃げ出した。逃亡中、身を隠した屋敷から偶然、異世界へと迷い込んでしまう――
※ムーンライトで連載中の作品を全年齢向けとしてこちらで公開させていただきます。ムーンライトの方は現在連載休止中です
。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-04-30 18:36:23
17312文字
会話率:40%
山中伸弥教授が、ノーベル生理学・医学賞を受賞してから二十数年が経った現代、iPS細胞を使用した再生医療は、飛躍的な発展を遂げていた。
医療機器製造販売会社に営業職として勤務する新城直哉(しんじょう なおや)は、付き合っている彼女から、セック
スの後で必ず自分の体調が悪くなるのは、直哉が原因だと言って、別れを告げられる。直哉は、自分の健康状態に何か問題があるのではないかと疑った矢先に、会社の健康診断が行われ、血液中に異物が混入していた……という検査結果が出る。不審に思いつつ、再検査の為に訪れた医療機関で、医師を勤める直哉の養父と、帝大病院の同期だったと名乗る、羽田という医師に出会う。そこで、異物が混入したのは、検査会社のミスで、直哉の健康状態には全く異常がないという説明を受け、安心して帰路に付いたのも束の間、その間に自宅で火災が発生し、既に帰宅していた直哉の養父が犠牲となる。
その事件から数日後、会社の同僚である佐野虎次郎(さの こじろう)の自宅に居候をする直哉の元に、麻生という刑事が現れ、自宅を放火し、義父を殺した疑いで直哉を逮捕する。義父の死にショックを受ける直哉にとって、寝耳に水の出来事であり、戸惑いながらも事情聴取を受けることになるが、何故かその場に羽田が居て、『ワンネス・システム』と呼ばれる、映画鑑賞の際に、まるで映画の登場人物になったかの様な一体感が得られる、ウェアラブルデバイスを応用した機器を直哉に取り付け、彼の身体の自由を奪う。その際羽田は直哉の事を、実は二十数年前、義父と羽田を含む帝大病院の研究チームが、ある生物から作製したiPS細胞を元に創り出した、人外の生物だ……という、驚きの真実を告げる。その生物は、プラチナ・ブラッド……治癒能力に優れた血液細胞を持ち、羽田は直哉を実験サンプルにしようと画策していたのだが……?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-04-25 19:54:37
54226文字
会話率:44%
この世は〝精霊〟で溢れている。
ただ、人類がそれを認識できないだけで――。
人々に害をもたらす精霊、〝禍津神〟の討伐を請け負う〝祓い屋〟。
その末席に身を置く、ナルシストかつエゴイストな美少女「月宮一葉」は、大精霊〝古狼〟とその魂
の半分までもを共有する〝憑物〟であった。
養父の死を切っ掛けに、ワケアリな者達の集う〝白藤学園〟に通うことになった月宮一葉は、そこで三本腕の禍津神〝ハンズマン〟により引き起こされる事件に巻き込まれる。
ワケアリのお嬢様「十夜雪咲」に事件の調査を、その幼馴染である「五坂敬祐」から解決を依頼された一葉。
紆余曲折の末その事件を解決に導くが、しかし禍津神〝ハンズマン〟を召喚し、この事件を引き起こした首謀者は謎のままであった。
禍津神による事件、事故の捜査、解決を担当する警察機関「特殊災害対策室」、通称〝特災〟に事件の全容解明を任せ、平和な学園生活に戻ろうとしていた一葉であったが、すぐさま第二の事件が起きる。
四肢を切り取り持ち去る〝ハンズマン〟事件に続いて起きた第二の事件の下手人である禍津神は、内臓の全てを食い荒すというその手法から〝腑喰らい〟と呼ばれた。
一葉は再び十夜雪咲から事件の調査、そして解決の依頼を受ける。そして追い詰めた腑喰らいの正体は、何かしらの禍津神に操られた十夜雪咲の幼馴染、五坂敬祐であった。
苦悩の末、操られた五坂を倒した一葉。そして死の淵に向かうその口からある事実を告げられる。
第一、第二の事件による被害者は、全てある禍津神を呼び起こすための〝供物〟であるという事。
そしてその召喚される禍津神とは、伝説にも語られる大禍津神〝土蜘蛛〟であるという。
五坂敬祐の最後の願いを託された一葉は、その強大な敵に立ち向かうのであった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-04-16 06:00:10
197068文字
会話率:36%
祖父と何でも屋を営む少女、ユーディット・グライリヒは、ある日護衛の依頼を受ける。それはアルビノの少女を、離れて暮らす養父母の所まで送り届けるというものだった。仕事に向かったユーディーは、そこで神秘的な白い髪と紅い目を持つアルビノの少女、エフ
ァ・エグナーと出会う。はじめはボディガードの存在に緊張し、気を遣うエファだったが、ユーディーの優しさに触れ次第に打ち解けていく。一方のユーディーも、エファの年齢に似合わない聡明さや、年相応の可愛らしさといった人間的魅力に魅かれていく。二人の少女は、そうして心の交流を深めつつ、東から西へと旅をする。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-04-05 14:01:40
50130文字
会話率:41%
※作者はあらすじが死ぬほど苦手ですので、タイトルに惹かれたら本文をお読みください。
焔と呼ばれる神が存在する世界。しかし、神殺しが成されてしまった。疑いをかけられたのは当時の王家一族。皆殺しの罪を負い、文字通り滅ぼされてしまう。だが、
その罪の執行を行った組織『死神』のひとりが幼き子どもを匿ってしまう。生まれながらにして罪を背負った少年は、神のいない混沌とした世界で生きていく。養父を殺され、幼馴染みと生き別れになり、それでも少年は前を向く。幾つもの哀しみを胸に刻み、震える脚で一歩ずつ進んでいく。果てに何があるとも知らずに。これはそんな物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-02-20 19:56:46
54862文字
会話率:32%
同じ夢を見る彼は養父母と共に平穏に暮らしていた。しかし、その身体に変化が現れる。
最終更新:2015-01-23 09:31:49
1788文字
会話率:14%
親殺しの過去をもつ少女ブレイヴ。
幼き頃、親を殺し放心していたブレイヴを救ったのは、国内に一つあるだけで国家を支えることができる国立暗殺者養育学校の理事長ルカノール・ローゼンキュリアだった。
成長したブレイヴは養父となったルカノールの統治す
る国立暗殺者養育学校の《ナジェスト学院》に通い、立派な暗殺者になる為に、勉学に励んでいた。
ある時、ルカノールは敵国の皇帝を暗殺する依頼を受け、学院を留守にするがルカノールの留守中にとんでもない重大な事件が起きてしまう…折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-01-19 02:30:25
944文字
会話率:8%
《組織》に所属する殺し屋・狼。彼はその組織から放たれた制裁部隊・猟犬に追われていた。猟犬の追撃をかわしながら、追われる理由を探し求める彼の前に示されるのは、養父とでも言うべき存在にして、自らの手にかけた男の声。
立ち塞がる猟犬、蜘蛛の名を持
つ女。彼女もまた、狼と縁のある人物だった。
組織、狼、蜘蛛。絡み合う思惑、流れる血の行き着く果てで、彼らが得た真実とは――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-01-06 21:41:39
36207文字
会話率:25%
コルニクス神教。世界はひとりの神とその母の手によって成ると言われている。
赤毛の孤児・ソルは、大切なものを幼馴染の少女ステラにそっくりな女性に奪われる。ステラ、そして養父であり神父のテラと女性の行方を追う道すがら、世界のあらましと自分の奪わ
れたものの関係が徐々に明らかになっていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-11-24 15:58:31
9309文字
会話率:25%
ケティは16才の誕生日を過ぎたある日、養父の手から身を守るべく逃げだします。『今までの労働の対価とエロの償いの品』としてロバをお供に逃げだし、深夜の森に迷い込み、そこで拾ってくれたのは魔王様でしたが、果たして本物の魔王様なのか…。勘違いのラ
ブコメディです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-10-21 23:34:23
9537文字
会話率:25%
わたしには、好きな人がいる。
最終更新:2014-10-20 21:27:32
19029文字
会話率:35%
嫁ぐ、なんてありますが、勘違いしないで下さい、ね。私は男ですから。入り婿になったんです。
利益の一致から政略結婚で格上の公爵家に婿入りした男爵家の四男坊の今までとは違いすぎる新たな生活。奥方になった他人同然の公爵令嬢、健康志向なお養父様、元
王女のお養母様、真面目賑やかな侍女達などと織り成す日常が綴られていく――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-10-13 19:12:19
87144文字
会話率:26%
この小説は主人公華那(はな)が不幸な境遇に負けず頑張って子育てする姿を、華那に関わる人々の生き様を織り込み親子や家族のありようを交えながら書き綴られたものである。
幼児の頃親に捨てられた華那がやがて成人になった時引き起こしたちょっとし
た自転車事故から話は始まるが、接触で怪我をさせた相手は偶然の悪戯で後に華那の養父となる。
華那は児童養護施設に預けられて当然の境遇であったが、幸い幼友達の家に養女として引き取られ高校生までは幼友達の家で育った。高校生の時に女子高生仲間と伊豆に遊びに行ったがそこで見知らぬ学生にレイプされてしまい、やがて懐妊する。
周囲は後々の人生を考えて堕胎を進めるが華那はシングルマザーとして生きる道を選び家を出て一人暮らしを始めるのだが……
本書はフィクションであり、登場人物、団体その他特に断りのないものは全て架空で実在するものと関係はない。なおこの小説は子供たちの読み物としては相応しくない部分が含まれているため、R15の取り扱いとさせて頂いた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-10-07 21:53:06
126316文字
会話率:56%
――こうして異世界に呼ばれた少女は、数々の困難を乗り越え、見事目的を達成し、第二王子様と結ばれたのでした。めでたしめでたし――
って、これ誰のこと!? 少女って誰? めでたしってどこが?
旅が終わってほっとしたのもつかの間、王妃様は
問題発言をしてくるし、王様は人の話聞いてくれないし、第一王子は後ろ向きだし、騎士からは冷たい眼で見られるし、貴族のお嬢様方からはいじめられるし、養父には部下扱いされるし。
貴方たちは一体私をどうしたいんですか!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-09-29 01:03:40
38881文字
会話率:37%
物心ついた頃から、ロルフはゴミ溜めの中で暮らしていた。そんなロルフを救い出し、教育と名字を与えたのは、片手剣と盾を巧みに操る流派であるフェーラン流の道場主だった。ロルフはそんな養父の恩に報いようと必死にフェーラン流を学んでいくが、結果はつ
いてこない。ロルフには致命的に才能がなかった。そしてロルフが拾われてから十年の月日が経ち、周りの視線が失望からついには侮蔑にまで至った頃、ロルフは養父である道場主から最後通告を受ける。それは、明日の試合で満足な結果を出せなければ破門するというものだった。ロルフはその試合でも結果を出せず、ついには破門される。だがロルフはそれでも立志を諦めきれず、餞別として渡された盾を手に迷宮都市で冒険者となる事を決意する。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-06-28 00:09:41
146479文字
会話率:34%
養父を亡くした青年と捨て猫、ある女性との出会い。
立ち直っていく物語。
最終更新:2014-05-24 09:35:54
12813文字
会話率:44%
マフィアのボスと探偵とその養父の話。少しグロいかもしれないです。
最終更新:2014-05-18 10:40:25
11258文字
会話率:44%