社内コンペのご褒美で訪れたハワイ。仕事人間の真珠は、偶然出会った異国の青年・ウルに目をつけられる。だが彼の正体は、砂漠の王国アメニアの王位継承者。彼が「欲しい」と決めたその日から、真珠の世界は閉ざされた。外堀を知らない間に埋められ、気がつけ
ば――
媚薬の香り漂う後宮、奪われた自由、貼りつけたような美しい笑顔。逃げられない監禁生活の中、真珠は少しずつ心と身体を蝕まれていく――どこまでも抗い続ける女と、手に入れるまで狂っていく男の、砂漠に燃える狂愛譚。
※昔書いたものをこちらに再掲載しています。
※ヤバいR回はムーンに載せる予定(本当にヤバい)
※自傷行為があります
※アメニア王国や国際結婚、医療行為等の設定はフィクションです
※ゴリゴリのシリアスです折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-01 00:24:32
18663文字
会話率:40%
色彩を失った日常を送る私が見出した、一個の檸檬。その鮮烈な色と香りは、生の倦怠と死の予感の狭間で、束の間の鮮やかな幻を見せる。
最終更新:2025-06-30 23:00:00
2020文字
会話率:0%
「――エリスティア・グラン=フィオーレ! 君との婚約は、今この場をもって破棄する!」
声高らかな宣言が、王立アルシェリア魔法学園の大広間に響き渡った。
そこは学園主催の春季舞踏会の真っ只中。煌びやかなシャンデリアの下、貴族の子女たちが凍り
ついたように沈黙している。
その中心で、金色の髪を持つ王子――レオナルド・アルセレイン殿下は、青ざめた顔をして立っていた。
そしてその前に立つのは、全身を深紅のドレスに包んだ少女、エリスティア・グラン=フィオーレ。
誰もが“悪役令嬢”と噂する、傲慢で高飛車な名門の令嬢だった。
だが。
「……あら。ようやく、ですのね」
エリスは微笑んだ。あまりに静かに、そして晴れやかな微笑みだった。
周囲の者たちは言葉を失う。婚約破棄という屈辱を前にして、取り乱すでも泣き叫ぶでもなく――彼女は、まるで解放されたかのように微笑んでいた。
「私、随分と長い間、殿下の“役”を演じておりましたもの」
「や、役……?」
「ええ。“悪役”という名の、都合のいい飾りを」
その声は、どこか疲れたようでもあり、自由を得た者のようでもあった。
エリスは、ゆっくりとレオナルドに背を向ける。ドレスの裾が揺れ、紅の花が舞うようだった。
「婚約破棄、承知いたしましたわ。……これよりは、私の物語を生きさせていただきます」
その瞬間、沈黙していた会場の扉が音を立てて開いた。
「お嬢様、お迎えに参りました♪」
現れたのは、少女のように愛らしい銀髪の少年――エリス付きの男の娘メイド、フィーネ。
ふんわりとしたスカート姿に紅茶の香りをまとわせて、まるで舞台の幕引き役のように登場する。
「……お嬢、こいつら、全員ブチのめしていいか」
続いて現れたのは、黒い燕尾服に身を包んだ長身の青年、ツンデレ執事ユリウス。
眉間に皺を寄せ、王子を睨みつけながらも、彼の右手はそっとエリスの手袋を取っていた。
「ふふ、やめておきなさい。そんな価値もないもの」
「……ちっ、了解」
そうして、エリスティア・グラン=フィオーレは、悪役令嬢としての幕を下ろした。
けれど、それは終わりではない。
──すべては、ここから始まるのだ。
本当の彼女を愛してくれる者たちとともに。
そして、学園中を巻き込んだ愛と陰謀と溺愛の日々が、今まさに幕を開けようとしていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 22:31:46
52519文字
会話率:33%
都会の片隅、緑に包まれた静かな場所に佇む、レトロでモダンな喫茶店「澪音(みおね)」。
店主は、控えめながらも丁寧な所作と、少しだけ不思議な感性を持つ人物。
彼が営むこの喫茶店には、今日もふとした音や香り、風に導かれるようにして、少し変わった
客たちがやってくる。
その客たちは――実は、地球の外にあるさまざまな星から訪れる“異星人”たちだった。
彼らの姿や言葉、感覚、文化はさまざまだが、それぞれが心のどこかに小さな「孤独」や「記憶」、「迷子になった気持ち」を抱えている。
「澪音」で淹れられる一杯のコーヒーや紅茶は、彼らの心にやさしい響きを残していく。
毎話、ひとりずつ登場する異星の客との出会いと別れ。
そしてそのたびに、店主はノートをひらき、短く静かに“今日のお客様”を記録する――。
これは、ひとりの店主と、一杯の飲みものを介して交わされる、惑星を越えたささやかな対話の記録。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 21:44:25
7235文字
会話率:28%
高砂仄香は、今は亡き調香師の祖母から受け継いだ調香工房で、隠されていた古い香水を見付けた。
幼馴染みの長谷川郁とともに香水の謎を調べていくうちに、この香水が人の心を操ることのできる不思議な力を持っていることに気付く。
だが、この香水にはさら
に驚くべき秘密があった。
香りにまつわる謎。
『十戒』と呼ばれる香水を使った儀式。
妖しい香りに惹かれて現れるモノとは?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 21:00:00
121871文字
会話率:53%
古都アルテリオ。
再開発の波が押し寄せるこの街の片隅で、カフェを営む女性ミラ・アマリは、誰にも明かしていない“特別な嗅覚”を持っていた。
香りの違いから人の心情や秘密さえも察するその力を、静かに日常に役立てて生きている。
そんな彼女の前に
現れたのは、無口で鋭い眼差しの男――元刑事のソーレン・ウルフ。
裏社会で噂される犯罪組織〈レイブンバンク〉を追う彼との出会いが、ミラの日常を大きく揺さぶっていく。
殺人事件、消えた美術品、過去の記憶――
そして、互いを支え合うように歩み寄るふたりの心。
特殊能力の存在する1980年代風の世界を舞台に、
“香り”が導くミステリーと、“信頼”が結ぶラブロマンスが交差する。
※編集・校正の一部にChatGPTを使用しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 21:00:00
24839文字
会話率:25%
強引に参加させられた陰キャと「安全パートナー」を渇望する偽装女王、他のキャラクターたちも次々と登場。
桜とラテの香りが漂う舞台で、
拙くもときめきに満ちた青春物語が静かに幕を開ける――
最終更新:2025-06-30 20:35:42
3367文字
会話率:31%
香りとともに蘇る、苦い記憶。
喫茶店を営む『私』には忘れられない人がいる。
高校生の頃、なりゆきで始めた風俗店管理補助のアルバイト。そこで知り合った、生真面目で心優しい青年、『タロちゃん』。
けれどある日、彼はとある事件に巻き込まれ、突
然姿を消してしまう。
そのとき、私は…………。
消せない後悔と、封じた記憶。
そして数十年後、私が目にしたものとは。
現実と幻想の狭間で揺れる、少し不思議な物語。
【※本作はpixivにも掲載しています※】折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 20:14:39
16358文字
会話率:40%
両親を亡くした16歳のメアリーは、ヨークシャーの奥地にあるグレイブン伯爵の屋敷に引き取られる。鈍く冷たい屋敷は、どこか血のような香りのする真紅の薔薇が咲き乱れる庭園に囲まれていた。召使いのデイコンとマーサは優しかったが、伯父は狂気じみた眼差
しでメアリーを見つめ、失踪した伯母にそっくりだと言う。屋敷の巨大な肖像画には、メアリーと瓜二つの伯母の姿が描かれており、その瞳からは血のような雫が零れ落ちる。翌日、庭園で薔薇の茎を折ったメアリーは、そこから透明な樹液ではなく、どろりとした血が滴り落ちるのを目撃する。この屋敷と薔薇に隠された、伯母の消えた秘密と伯父の孤独な狂気が、メアリーを深く巻き込んでいく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 20:10:00
6669文字
会話率:26%
どこにでもいる男が、誰にもできないことを成し遂げる──。
気づけば、そこは知らない森だった。
草木の香りは甘く、空を舞うリスは羽を持つ。
タクミは、異世界に放り込まれた中年のオジサン。
剣を手にし、仲間と出会い、共に笑い、そして迷いな
がら……正しさとは、正義とは何かを問い続ける旅が始まる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 20:00:00
29573文字
会話率:44%
名前を奪われ、過去を記録から消された“アメリア”は、修道院の片隅で静かに暮らしていた。
そんな彼女の前に現れたのは、一輪の花を手にした詩人。
「……美しいな。咎に沈んだはずの蕾が、こうしてまた香り立つとは。」
かつて王国の“記録官”として、
多くの記録を記してきた男。
これは、名も家も奪われたヒロインと、彼女の記録を沈めた男が交わす、
赦しと記録と咎にまつわる物語。
――愛を記すことは、罪ですか?
架空中世×記録文化×静かな狂気と赦しの幻想譚。
同人ノベルゲーム企画『咎の上に咲く花』より、詩人グラヴィオルートの原作シナリオを先行公開中。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 20:00:00
5218文字
会話率:27%
鼻腔をつく血の香り、道端に転がる腐りかけた死体の臭い。
死体を見ない日は無い、銃声を聞かない日は無い、薬を使ってラリっている人間を見ない日は勿論在る筈が無い。
死を纏った生を享受し、力なき者は強者に全てを奪われる。そんな事は稚児で
すら理解している法則であり、街に蔓延する慢性的な先天性の病のようなモノ。
例え路地裏にバラされた死体があったとしても、奇怪な造形を模した野犬や野鳥が捨てられた赤子を啄ばんでいても、それらは当たり前の光景だ。驚嘆にすら値しない日常的なもの。
この街は最低最悪で。
この街は誰もが罪を背負って生きている。
誰もが生きていたいが故に―——罪と罰に生きている。
命の意味を探り、運命を手繰るサイバーパンク・ディストピア。
ネオぺージ様にて公開中!
https://www.neopage.com/book/30048772510028100折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 19:33:05
289444文字
会話率:62%
スランプに陥ったハードボイルド作家の僕。頼ったのは、最新のAI執筆アシスタント。だが、AIが提案するのは「銃撃戦を、生け花対決に変更」など、ふざけた修正ばかり。僕とAIの奇妙な共同作業が、やがて、物語と世界の真実を暴き出す。
最終更新:2025-06-30 19:00:00
1474文字
会話率:7%
《なろうサスペンス劇場》
新人メイド・マティルダ(鳴海真実子)は、初日からメイド長(オルガ・パンジー・ミルトン)のゆるい指示に振り回されつつ、懸命に働いていた。
だがその夜、婚約パーティーの最中にリーヴェル子爵(ロドリク・ヴァレンティ
ウス・ド・リーヴェル)が毒殺される。
微笑みの裏に潜む欲望と偽りの気配――。
二時間サスペンスオタクの知識(転生チート)で、マティルダは事件の真相へと迫っていく。
※文章の執筆に、ChatGPTを使用しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 17:25:56
5353文字
会話率:25%
神仙祟り呪いで彩るオカルトミステリー。そして『いまだ何者でもない彼らの織りなす』青春のモラトリアムコメディ
紀元前6世紀、春秋時代の晋。
文武両道だが傲岸不遜な貴公子・ざんねんなイケメン士匄。
生真面目でツッコミ属性の後輩・美少
女風美青年な趙武。
この凸凹バディが、次々と巻き込まれる奇妙な怪異の謎を解き明かす! 迫りくる呪いや祟りを退け、神仙にケンカを売り、無鉄砲な若者たちは生き抜けるのか?
手に汗握るオカルトミステリー、そして思わず笑ってしまう青春コメディと一瞬の切なさがよぎるかけがえのないモラトリアム。
中国古代の怪異譚が今、幕を開ける。
春夏秋冬連作シリーズ
【因果応報、春の祟り】
自業自得で祟られる主役……! 周りは迷惑、主役は反省するのか?
【夏は星狩りの季節】
友達の家に巫女が居候。友達をめぐり巫女と主役の仁義なき戦い!
【恋は秋菊の香り】
恋と女の子たち、そして密室。となれば連続殺人事件開幕!
【冬が来たりて夢幻の旅路】
神域の荒野で彷徨うはめになった主役&後輩バディ。厳しい寒風と共に幻覚が襲う。もう神なんて知るか、ぶっ倒す!?
※この作品は歴史フィクションです。実在の人物、組織、事件、史書記録には関係ありません
※この作品は改稿版です。
※カクヨム、ネオページにも記載有り折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 16:50:00
82094文字
会話率:42%
それは全ての始まりの物語。
それは終わりの物語。
遥か太古の時代。
神々は生きとし生けるもの全ての頂点に君臨する竜の逆鱗に触れ、幾つもの世界を巻き込んだ大戦が始まる。
竜は王であり神。
その竜を止める為、あらゆる種族と生き
残った神々は団結し。長い戦いの末に、ようやく封印に成功する。
しかし。
時は流れ現代。
決して目覚めてはいけない竜が復活する事になる。
自分達の王であり神でもある竜を復活させる為、多くの竜達や組織が動きだす。
この世界には非現実は存在する。
少年少女達がこの世界の裏の真実に触れた時、その扉は開かれる。
そこはこことは違う世界が広がり、空想上の生き物とされていたモンスター達が存在する異世界。
少年少女達の物語が今始まる。
~ 主な登場人物紹介 ~
早瀬 憲明(はやせ のりあき)
本作の主人公、16歳。
ショートウルフヘアーでやんちゃそうな少年。見た目どおり喧嘩っぱやい。
仲間想いで優しく、明るい性格。
夜城 和也(やしろ かずや) 15歳。
よく女子と間違われるくらいの美少年。
よく、ブラックデビルと言う甘い香りがするタバコを吸っている。
友人や仲間、大切な者を護るためならなんでもする様な優しい性格。
夜明 美羽(よあけ みう) 16歳。
V系ボーイッシュな美少女で、MIYA(ミーヤ)として歌手活動をしている。
性格は穏やかだが、怒らせると怖い。
中川 沙耶(なかがわ さや) 15歳。
髪はピンク色で長く。ラビットスタイルのツインテールが印象的な地雷系メイクをしたとても可愛い女子。
明るく元気だが、ちょっと意地悪な性格。
稲葉 一樹(いなば かずき) 16歳。
髪はマッシュカットで、性格が少し悪そうな目をしているがこちらも美形な顔をした少年。
口が悪いところもあるが、なかなか感が鋭い。
山本 玲司(やまもと れいじ) 16歳。
憲明や一樹よりかなり身長があり、髪は坊主頭。
筋肉質な良い体をしていて、とても優しそうな表情を見せる少年。
周りからは、ヤっさん、と呼ばれる。
~ 1ページの文字数がとんでもなく多いので、もっと読みやすくするために、改めてこちらを投稿することに致しました!! ~折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 12:00:00
1189027文字
会話率:43%
午後九時二十三分、定時帰宅。
相川太一(40)はコンビニで買った冷凍パスタを電子レンジにかけながら、鼻歌まじりにテレビの録画を再生した。画面に映るのは、制服のリボンを揺らすアニメの女子高生たち。空想の中では、今日も春が舞っていた。
だが、
現実は違う。
薄暗いワンルーム。洗濯物は干しっぱなし。脱ぎ捨てたスーツが床でくたびれている。
冷凍パスタがチンという音を立て、太一は動いた。淡々と、何の感情もないルーティン。
「……そうだ、日記でも書こうか」
そのとき、ふと脳裏をよぎったのは、桜の香りでも、恋のときめきでもなかった。
ただ、手持ちのノートとキーボードが呼びかけていたのだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 08:00:00
3310文字
会話率:8%
沖縄の離島で悠馬は謎の石版を発見する。碑文は日本神話に似ているが、記された神々の名はムー語。地元の民俗学者サラや少女ナギサの協力で調査を進めるが、石版を狙う謎の組織の影もちらつく。悠馬は夢の中で古代ムーへと“飛ばされる”体験を繰り返すように
なる。
夢の中で悠馬はムー王国の巫女アマテや王子ラグナと出会い、滅亡寸前の王国の混乱に巻き込まれる。現実世界では、新聞記者カナエや恩師・佐伯の協力を得て、石版の解読とムー文明の痕跡を追う。ムーでは内乱軍のカグツチが反乱を起こし、王国は崩壊の危機に。アマテは神託を受け、ムーの記憶を“東の地”へ託す使命を帯びる。
・
・
・
島の朝は、静寂とともに始まる。波照間島の東端、まだ人影もまばらな浜辺に、悠馬はひとり立ち尽くしていた。潮の香りが鼻腔をくすぐり、遠くでカモメの鳴く声が響く。彼の足元には、昨夜から気になって仕方のない岩場が広がっていた。
「……ここで間違いないはずだ」
悠馬は呟き、リュックからスケッチブックと手袋を取り出す。昨日、ナギサが興奮気味に語った“変な石”の話。最初は島の子供らしい無邪気な作り話かと思ったが、彼女が描いた絵には、明らかに人工的な幾何学模様があった。
「お兄さん、ほんとに来てくれたんだ!」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 06:08:36
74214文字
会話率:42%
「お前はクビだ! 荷物をまとめてさっさと出て行け!」
調香師のフレイヤはモラハラ気味の工房長に妬まれ、クビにされてしまった。他の工房を訪ねてみたけれど、前職をクビにされた彼女を雇ってくれる工房はない。
諦めて故郷に帰ることにしたフレイヤは
、行きつけのレストランの店主に最後の挨拶をしに行くと、シルと呼ばれる美形でぶっきらぼうな魔導士の青年シルヴェリオと出会い、成り行きで彼に愚痴を吐露した。
その後、故郷に帰って実家が営む薬草雑貨店で働いていたフレイヤのもとにシルヴェリオが再び現れた。伯爵家の令息の――巷では冷徹と噂されている次期魔導士団長として。シルヴェリオはフレイヤが作る香水には不思議な力が宿るという話をレストランの店主から聞いて、彼女を自分の専属調香師としてスカウトしに来たのだった。
「眠ったまま目を覚まさない友人を助けるために力を貸してほしい。たとえ君の作った香水が奇跡を起こさなくても責任を問わない」
元上司によって調香師を追放されたせいで権力者を信用できないでいるフレイヤのために、シルヴェリオは誓約魔法を交わすのも厭わないと言う。冷徹と噂されている彼の熱意に感銘を受けたものの承諾を躊躇うフレイヤ。シルヴェリオはそんな彼女を誘い込むために、好物と聞いていたお菓子で釣った。そしてフレイヤは見事に釣られた。こうしてシルヴェリオの専属調香師となったフレイヤは、再び王都へと向かう。初めはお互いに仕事仲間としか見ていなかったフレイヤとシルヴェリオは、いつしかお互いに惹かれて意識するようになる。
これは、不器用な二人が力を合わせて周りの人たちが抱える問題を解決して、そんな二人をくっつけるために周囲があれこれと応援するお話です。
じれじれな恋と魔法と香りの世界と美味しい料理をご堪能ください。
※R15と「残酷な描写あり」は保険です
※アルファポリス様にも掲載しております
※本作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。また、香りや薬草の効能につきましては諸説や個人差があることをご留意ください折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 01:48:59
363762文字
会話率:41%
1988年冬。同志社大学文学部に通う一回生・中田晴人(ナカタハルヒト)は、信州・志賀高原へのスキー旅行の帰り道、軽井沢にある老舗の蕎麦屋に立ち寄る。
蕎麦の香りに誘われるようにして出会ったのは、店でアルバイトをしていた、年齢不詳の少女・舞子
。癖っ毛をポニーテールに束ね、真冬でも短パン姿で、革リュックには文庫本と猫のカリカリを忍ばせている。少し浮世離れしたその少女に、晴人はつい、自分の住所を箸袋に書いて渡してしまう。
翌週、舞子は本当に京都までやってきた。下宿の前で三角座りをして――何事もなかったように、彼の日常に入り込んでくる。
「三条の河原で、等間隔カップルを襲撃したい」
「川下りがしたい。今すぐ」
「普通じゃないたこ焼き、買ってきて」
舞子の気まぐれな“お願い”に翻弄されながら、晴人は京都の街を駆け回る。
学生アパート、鴨川デルタ、四条河原町、祇園宵山、送り火、銭湯、夜の北山カフェ……
大きな事件は起こらない。ただ彼女のいる風景だけが、すこしだけ、非現実。
昭和の終わり、青春のまぼろし。
もう戻らない季節と、消えてしまいそうな少女をめぐる、京都ノスタルジー幻想譚。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 00:27:19
21310文字
会話率:36%