嘆きの絵馬に掛けられた悲痛な声を聴き、悪鬼羅刹を斬り捨てる白頭巾の義賊・葵幻之介-。深川八幡宮の寺・厳戒寺の麓にある古ぼけた屋敷に住まい、貧乏人ばかりを相手にする医師・森島玄洲。奇妙奇天烈な発明をしながら、薬品の調合や寺子屋の講師として日銭
を稼ぎつつも、一度患者を前にすれば長崎仕込みのオランダ医学を駆使する名医だ。この玄洲、蘭学書物閲覧を許される奥医師の名家・桂川家の御曹司だが、じつのところ養子。実父の名は徳川家斉…つまりは正真正銘、徳川将軍家の御落胤である。ある事件から大恩ある桂川家に火の粉が降りかからぬ様に家を飛び出し、市井において暮らし始めた。大槻玄沢や華岡青洲、そしてシーボルトに師事し蘭学を学び、名のある剣客に武芸を学んだ玄洲は悲惨な怪事件に巻き込まれる事になる。文武両道に秀でた学者が、二親を知らない捨て子と言う過去を背負いつつも医学と剣術で様々な難事件を解決する痛快娯楽時代劇登場!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-30 12:06:51
101900文字
会話率:60%
晴らせぬ恨みを晴らし、のさばる悪党を地獄に送る。細工は流々、仕上をご覧じろ……舞台は江戸、闇の裏稼業・仕上屋《しあげや》の面々の生きざまを描いた作品です。障害者に対する差別用語が多く出てきます。また、全編に渡って暗く残酷な場面が多々ありま
すので、そういった展開が苦手な方は、充分に注意して下さい。他サイトにも投稿しています。
※登場人物
・壱助
盲目の按摩。仕込み杖の使い手。
・蘭二
蘭学者くずれ。お禄に付き添い、手助けする若者。綺麗な顔の優男だが、殺しの腕も悪くない。
・お美代
顔に醜い傷を負う女。壱助の女房。竹製の短筒の名手。
・権太
他者を寄せつけぬ不気味な大男。奇妙な拳法を使い、素手で相手を殺す。
・お禄
仕上屋の元締。表の顔は、蕎麦屋の女主人。
・ナナイ
権太と暮らしている謎の女。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-23 00:00:00
232999文字
会話率:39%
これは、権兵衛なる男が荷車に轢かれ、天狗から力を授かって出瑠出亜国という天狗の国を旅した話を戯作者の角羽野仁物が書き記した『異国道中奇譚』を現代風にアレンジしたものである。
なお、冒頭に出てくる「グーミールへの手紙」は、角羽野仁物の友人
である蘭学者の田中某が翻訳したものを現代風にアレンジしたものである。原本は現存していないが、オランダ語で書かれていたとい。…………という体裁で執筆した作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-19 20:00:00
2491文字
会話率:46%
近世中期、華やかな時代は遠く昔、文学や芸術を初めとする文化そのものすべてが中途半端。鎖国は外国文化をもの珍しい見せ物にし、医学も技術も発展が殆どない。ただ同じ日々が過ぎていくだけのまさしく色のない時代。
ある素性も知れない男、佐村源四
郎は興味本位から文学研究をして日々食い詰めながら、文化の世界で名声を得ることを望んでいたがしかし、現実はいつもと変わらぬ日々、代わり映えのない風景に嫌気がさしていた。ところがある日、巨大な凧に乗って空を飛ぼうとする男が目の前に現れて、そのまま凧は長屋に突っ込み失敗したが、源四郎はその瞬間、このおかしな男に着いて物語を書いて行けば、世界に色がつき始めるような、そんな気がした。それが源四郎と、後の本草学者で、発明家で、文学者で、芸術家で、西洋画家で、蘭学者である平賀源内との出会いだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-07-28 23:00:00
1766文字
会話率:0%