初めて顔を出した夜会で『骸骨みたい』と言われたメルテンス王国の王女、アウレリアは、夜会を抜け出した先で一人の騎士に出会う。顔もはっきりと見えない薄暗闇の中、彼の言葉が胸に響き、アウレリアは『骸骨のような』顔を隠して過ごすことを決めた。
その数か月後、魔王封印の儀式の為に王太子とその一行が魔王城へと向かう。魔王の封印を重ねてかけるだけの儀式だったはずが、一行の一人が名誉を得るため魔王を殺そうとし、魔王が目覚めてしまう事態に。
運良く再び封印が出来たらしいのだが、一行の一人、ディートリヒという名の騎士は、魔王を自らの影に封印した影響で、徐々に衰弱していた。
どうすることも出来ないと思われたのだが、一行を讃える夜会が開かれたその日、彼はアウレリアに告げる。「自分と添い寝して欲しい」と。
しかもどうやら彼は、いつかの夜会でアウレリアと言葉を交わした、あの騎士だったようで……。
見た目にそぐわず真面目で優しい人外染みた美貌を持つ騎士と、身を削ってでも民を思う『骸骨さま』と呼ばれた心優しい王女のお話。
拙作未完の『魔王を倒したので添い寝してください。』のお話を元にした、完全に別のお話です。
カクヨムにて先行更新中、毎日更新予定。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-07 17:30:00
221678文字
会話率:20%
許せない!!!
暴力で人を抑えつけようとか問題を解決しようというその思考が許せない。それに会話の内容からどう考えても男尊女卑の古くさい風習がまかり通っているらしいことも許せない。そして何よりきっとこれは多分間違いなく異世界に召喚されたのだろ
う。だとしたら、今まで平和な国で平穏に暮らしていた生活のすべてをここにいるこいつらに突然奪われたのだ。考えれば考えるほどに悔しさが沸々と湧き上がり腹立たしい思いが込み上げる。
「許せない!」
「まだ逆らうか!!」
蹲っていた体をさらに蹴り上げられた。
何なの何なの何なの。私に簡単に暴力を振るうコイツが許せない。だいたい男尊女卑なんてカビくさい考えがはびこるこの国の風習が許せない。それに召喚なんて考え出したヤツが許せない。そして何より召喚なんて横暴を許しているこの世界が許せない。この世界に神様がいるのなら絶対に許せない! みんなみんな滅びればいい!! こんな世界ごと滅んでしまえばいい!!! 葵はキツく唇を噛みながら湧き上がる怒りにだんだんと我を忘れていった。
ここが誰かを召喚できる場所だというのならどうかお願いこんなくだらない国を滅ぼせる悪魔を呼んで。平和な世界で平和に過ごす人たちがもう二度と召喚されないように、こんなくだらない世界を壊してしまえる力をどうか私に与えて。
葵は昔読んだ漫画の一小節呪いの言葉を思い出し、口の中で何度も繰り返しながら一心に願った。
葵の体がさらに蹴られた瞬間に堅く噛んだ唇から一滴の血が床へと滴り落ちた。瞬間床に描かれていただろう紋章が光り始め、葵の口から滴り落ちた一滴の血がその紋章をなぞるように広がっていく。
『我を呼んだのはそなたか。望みを叶えるには生け贄を捧げよ』
「ここに居る人たち全員を生け贄にして。それで足りなければこの世界の人たちも気が済むまで好きなだけ好きにすればいいわ」
『気に入った。では好きにさせてもらおう』
薄暗闇の中、血の色に不気味に光る紋章から徐々に姿を現したのは、黒い翼を持ち山羊のような角を携えた人型の葵の持つイメージのままの悪魔だった。
「ちょっと待った!! どうかどうかこの世界を滅ぼすのだけはお許しください!」
土下座せんばかりの勢いでいまだに床に倒れ蹲る葵の目の前に現れたのは、頭には天使の輪を持ち背中には白い羽を広げている見るからにイメージ通りの天使だった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-22 01:00:00
83992文字
会話率:62%
だけど、あたしにとってのエレナという名前。
これに関しては違和感しかない。
あたしの本当の名前は宇賀神伊織。
このエレナという名前は私のそっくりさんに付けられたような名前。
薄暗闇の一室で鏡とベッドしかない部屋。 その時の
記憶はおぼろげで、正確には覚えていない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-01 17:06:02
45032文字
会話率:19%
夢の世界に迷いこんだ、冒険者ラトス。およそ現実ではありえない事象にあらがいつつ、おそいかかってくる怪物≪夢魔≫とも戦うことになる。
ものがたりは、淡々としてつまらなく見える薄暗闇の現実からはじまる。
王女捜索の依頼を受けたラトスと、王女
の従者メリー。旅の途中で出会った協力者も加わり、それぞれは目的と想いを交錯させながら、夢の世界を旅する。
いつしかものがたりは、つまらなく見えた薄暗闇に漆黒の陰謀を映しはじめる。
◇◆◇
プロローグに、表紙イラストあり。
挿絵があるエピソードには、エピソードタイトルに「◇挿絵あり◇」と付けてあります。
挿絵は随時追加予定です。
ノベルアップ+・カクヨム・アルファポリス・魔法のiランド・エブリスタでも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-28 10:06:44
377591文字
会話率:42%
おいてけぼりって知ってます?
薄暗闇で待っていますから。
最終更新:2021-02-25 00:48:08
267文字
会話率:0%
今は昔。瑞穂国(みずほのくに)の桃花京(とうかきょう)に、怪異があった。
平安であった都に瘴気が満ちて鬼が溢れ、夜ごと人が消える。鬼祓いの術師たちでさえも。
後の記録では、薄暗闇と恐怖に満ちた都から瘴気を祓ったのは、一人の陰陽術師であ
ったと記録される巨大な怪異。
その怪異の最中、未だ誰も生きて帰ったことのない怪異の中心……。
呪術によって異界と化し、現世(うつしよ)から隔絶された、とある屋敷の奥の奥で。
一人の女が、首の落ちた遺骸の姿で転がっていた。
女の名は、萌木(もえぎ)。
陰陽術を用いる師と共に騒動を鎮めんとした鬼祓いの巫女にして、異界へ引きずり込まれて力尽きた内の一人。
慟哭する師の腕の中で、物言わぬ女の躯体は霧雨の中、力なく横たわる。
愛弟子の死を無意味にせぬため、都を闇より救うため、男は怨霊の跋扈する屋敷を脱するために立ち上がった。
その背後で、首のない女の躯が、ゆっくりと起き上がる……。
己の父代わりにして、愛した男でもある師。
彼と共に脱出を図る、若く可憐な一人の巫女。
瘴気に憑かれ、狂乱する呪術の主。
交錯する思惑の中、萌木という女は如何に鬼へと堕ちたのか。
冴え冴え暗い異界を彷徨う鬼は、歴史に何を刻んだのか。
これは閉ざされた闇から、生きて出ること叶わなかった女の物語。
※この作品は「ノベルアップ+」さまに同名義で重複投稿しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-19 12:00:00
67355文字
会話率:29%
白黒はっきりした世界よりも、灰色の世界が心地よいこともある。
最終更新:2014-01-25 00:00:00
1360文字
会話率:55%
一人の男が居た。男は様々な場所に居た。薄暗闇の中に、黄昏の中に、弱い明かりの中に、あらゆる場所に男は居た。ただ、在るべくして在った。
これは、そんな無為に在る事を続けた男と、興味本位で身勝手な女の話。
最終更新:2012-05-13 03:05:38
7360文字
会話率:12%
これは選ばなれなかった、もう一つの贈り火の物語――心燈(パイア)という字義通りの命の灯火を見出した人類は、企業が管理、運営する都市国家にて擬似的な不老不死と、器の研究が齎した自動機械に寄る生活を享受していた。そんな中、十五年前に他者の心燈を
手に掛けた罪で囚われの身となっていたというヴィクター・ナイトは、企都(ポリス)を襲っている正体不明の怪人《禿鷹》討伐を条件に企業より解放された。頼もしくも恐るべき改造を施された肉体と、電気仕掛の侍女メアリを宛てがわれた彼は、今、薄暗闇を駆けて行くのだが――【空想科学祭2011企画参加作品】折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-09-03 23:51:02
77860文字
会話率:40%