街で見かけた整った青年。
青年が五十路近い私を「姫」と呼び跪く。
彼は前世の記憶があるといい、私が前世で彼が恋した「姫」だという。
よくある話です。
最終更新:2024-03-30 16:25:33
6834文字
会話率:20%
雨に濡れながら、一緒にご飯を食べてくれる誰かが現れるのを、ずっと待っていた。
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「中学3年生の時から6年間、ずっと好きだった女の子がいる。君にストーカーを手伝ってほしい。その子の日記
を盗み見てほしいんだ」
「……えっと、話しかける相手、私で合ってる?」
「君は、透明人間になれるんだろ」
大学三年生の男子、千笠優(ちがさゆう)からの突然の要求に対し。
孤独な美少女、神田桜(かんださくら)は拒絶を示していたが、1年の時を経て彼の願いを聞き届けることに同意する。
ストーカー決行の最終日。
想い人の家への侵入に成功した後の帰り道、桜の悪意を感じ取った優は激怒する。
彼女の弁明も聞き入れず、一方的に距離を置いた。
雨に隠されていた、もう一つの物語があるとも知らずに。
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大学なんて、ずっと辞めたかった。
人が集まれば集まるほど、自分の孤独が浮き彫りになった。
膨大に与えられた時間は、全て後悔と自己嫌悪に費やされた。
授業中も、昼休みも、放課後も。あるいは、大勢の誰かに囲まれている時でさえ。
ずっと、独りぼっちで。死んでしまいたかった。
そういう。
誰とも結ばれなかった過去のおかげで、会うべき人と巡り会えたのだとしたら。
絶望した過去が、運命の人との仲人だった。
「透明になるにはね、重大な副作用が伴うの」
雨が降り続く人生に、てるてるぼうずを吊るして祈る。
あしたてんきに、なあれ。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-02-15 18:18:12
116337文字
会話率:57%
ひとりの男をめぐる、複数の女性の物語。
恋人と、浮気相手と、すれ違っただけの他人と、妻と、結ばれなかった過去の大切な人。
共通するのはただひとつ。
あなたを好き、ということ。
最終更新:2010-07-09 15:58:20
12330文字
会話率:41%