朝。寝床に砂が入っていた。
「……また東風か」
サルダーンでは東から風が吹くと、細かい白砂がどこからともなく部屋に侵入してくる。窓も戸も閉めていたはずなのに、なぜか。
「精霊のいたずらか、はたまたご近所の掃除ミスか……」
愚痴を
こぼしながら、私はほうきを手に取る。開店準備だ。
祖父の代から続く雑貨屋《ナームのなんでも屋》は、日陰通りでもそこそこ有名だ。
まず並べるのは、風よけの魔法布。次に冷却石。
そして今月の人気商品、「首に巻くと汗がひく呪布」!
店を開けて五分もしないうちに、お隣の氷屋ラミカ婆がやってきた。
「ナーム、お前んとこの魔布、風の流れ読めとらんよ。東風が三分強い」
「またですか!? 昨日読み直したのに……!」
こうして今日も、砂と風と文句にまみれた、のんびりした日常が始まる。
折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-06-09 19:32:35
6661文字
会話率:40%
一年を通して雪が多い北の大陸。その大陸の小さな町に住む兄妹に起きた不思議な出来事。
最終更新:2024-12-10 22:55:17
51090文字
会話率:60%
クローディア・レティスティアは魔法使いだ。
魔法の天才ともいえるほどの技量を身に着けた彼女は、精霊のいたずらという傷を持つ令嬢。
結婚など半ば諦め、このまま実家の森でいつまでも狩猟採集の日々を続けられたら――そんな希望もむなしく、クローディ
アはあろうことかルクセント王国王子・アヴァロンの妻になる。
その地位は、クローディアの望むものからは程遠かった。
甘味を対価として精霊に願うことで魔法を使える世界にあって、ルクセント王国の王族の女性は魔法を使ってはいけない。その決まりは、王子に嫁いだクローディアにも適用された。
魔法を使えず、これまでとはかけ離れた生活。
けれどアヴァロン王子が見向きもしないことをいいことに、クローディアは城を抜け出し、森で魔物対峙にいそしむ。
そんなある日、クローディアは勝てない魔物と遭遇し、逃げる先でアヴァロン率いる討伐隊に出くわしてしまう。協力して魔物から逃げることに成功するも、去り際に精霊がいたずらをしてクローディアはアヴァロンにフードの奥の瞳を見られて――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-05 18:54:13
175084文字
会話率:32%
子爵令嬢クラリスが婚約を破棄された日、夜中に目覚めたら見知らぬ部屋にいた。扉の上に掲げられていたのは『キスをしないと出られない部屋(口限定)』という看板。
一緒に閉じ込められたのは憧れの聖騎士シリル・ヴァイカート公爵令息だった。
どうにか
脱出したけれど、シリルはクラリスを放って置いてはくれないようで──!?
聖女の力は目覚めるし、陰謀にも巻き込まれるし、クラリスの人生はめちゃくちゃだ。
平穏な日々を望んでいたはずのクラリスが、純情聖騎士シリルに溺愛されて幸せになるまでの物語。
※以前投稿した短編の連載版です。タイトルと一部設定を変更しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-08-31 23:21:10
81118文字
会話率:34%
目覚めたら見知らぬ部屋にいた。扉の上に掲げられていたのは『キスをしないと出られない部屋(口限定)』という看板。どうやら、精霊のいたずらで閉じ込められてしまったらしい。
しかも相手は、高嶺の花の聖騎士様で!?
寝ている間にキスしちゃえば、気付
かれないで脱出できるんじゃない?
しかしそんな私の思惑通りにはいくわけもなく──折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-02 18:02:59
10207文字
会話率:34%
前世から転生した記憶持ちの女の子の話。
せっかく転生したのに魔法の才能がないとガッカリしてたけど、精霊に好かれるという特異体質だった。
黒い森に迷い込んでしまうが、精霊のいたずらによって黒い森の魔法使いの屋敷に辿り着く。
そこは目眩しの魔法
が掛かっていて、本来入り込むことが出来ない場所であった。
そこで銀髪の魔法使いに出会う。
なんとか弟子として受け入れてもらったからには、憧れの魔法、がっつり学ばせて頂きます!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-03-31 21:56:16
52532文字
会話率:39%
「眠ってばかりのお前とは結婚出来ない!」と言われ婚約破棄されましたが、どうやら王子には想い人が居ていい関係らしいです。私は国を出て好きに生きていきます。あ、言っておきますが、私は【眠りの聖女】の力を持っているんです。うん、信じませんよね?分
かります。他国に行ったら、え?王子は私の事が前から好きだった?確かに仲が良かったですが、なぜに!?でも、最高のベッドとお部屋、それに24時間メイド完備ですか。分かりました。ここに住みます。
※【○○視点】という表記で視点が変わり時系列が一気に変わります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-10 18:28:04
24327文字
会話率:43%
何十年も逢う事も連絡を取る事さえも許されなかった幼馴染
勇気を出して綴った手紙から物語は始まる。
手紙を通して思い馳せるのは、小さな世界で共有した幼馴染との暖かい時間
長い日々、逢うことがなかった二人は、念願の再会をはたせるのか
※知ら
なくても充分読めますが、世界観は『聖母のおしおき』と同じキシュラ大陸 時代は大陸全土の乱世時代以前になります。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-10-06 18:00:00
1385文字
会話率:0%
侯爵令嬢マリアベルは、第一王子ウイリアムの求めに応じて婚約者に内定。
王子に大事にされて幸せいっぱいの日々が始まる・・・と誰もが思っていたのに、まさかあんなことになるなんて。
9歳の誕生日の朝、精霊ディオンのいたずらで「水を被ると男の子に変
身し、お湯に浸かると女の子に戻る」という厄介な魔法をかけられた!
誰もが右往左往する姿を精霊ディオンがゲラゲラお腹を抱えて見ている・・・。
このまま精霊ディオンのいたずらに翻弄される・・・訳にはいかない!この難局もうまく乗り越えてみせましょう。
そんな侯爵令嬢と仲間たちをめぐるドタバタの日々。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-12-30 01:25:07
14946文字
会話率:15%