“昇る前の陽を出迎え、沈んだ後の月を追いかけるのだ。水平地平の向こうにも、未だ、旅路は続いている。”
ヒタキの一族ユカリは旅人――渡りを生業としている。国々を渡り、物や手紙を運んだり、その土地の品や話を伝えたりする。国と国を繋げる仕事だ。
ただヒタキたちが他の渡りと違うのは、行き先が南北に伸びる人の国々のみならず、東の海、西の山、境を越えた先の異界であるということだった。異形や精霊、人とは違う様々な何かが住まう異界の国――日が昇るサウーラと日が沈むナリュムと、人の国も行き来する一族は俗に東西の渡りと呼ばれていた。
東西の渡りは異界の品を人に齎し、人の品を異界に齎して暮らす。それは時に宝物であり、時に武具であり、時に物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-07-24 07:00:00
144489文字
会話率:36%
いつものように家を出て、いつもと同じ電車に乗ったはずなのに……? 「かコよヶ駅」という聞いたこともない駅で電車を降りてしまった友也は、帰りの電車を待つ間、地下道の先にある駅前町で暮らすことになってしまった。しかも、町の住民たちからは、友達
を売る”友屋さん”だと勘違いされて――。
128年の磔(はりつけ)の刑に処されている雛形さん、鞄に詰め込んだ「道」を売り歩く道屋さん、「有り難い出来事」を商うありがた屋さん、決して名前を呼んではいけない遠山彦さん、などなど……不思議で奇妙な30人の住民たちと、そこに31人目として加わった友也。彼らの出会いや、彼らが暮らす町の日常を綴り集めた、ほのぼのシュールな物語。
(「カクヨム」にも投稿しています)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-11-22 19:34:57
182808文字
会話率:23%
荒れ梅雨の年に、幼なじみの里哉は傘を盗られ、行方知れずになった。多くの謎にまみれた ”神隠し” と、この土地に伝わる「傘盗りさま」の話。「傘盗りさま」とは、果たして何者なのか。その正体を暴こうとした一道は、待ち伏せした「傘盗りさま」を追って
、林の奥の見知らぬ土地へと迷い込む。
里哉の家に残されていた、血なまぐさいにおい。里哉と同じ服を着て雨の中を歩いていた、骸骨のように痩せこけた少年。それらの謎が解けたとき、一道は、残酷な真実と選択に向き合うことになる――。
(「カクヨム」にも投稿しています)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-06-05 15:28:21
127133文字
会話率:25%