2011年3月11日、大きな揺れの後、私は御茶ノ水の職場から徒歩で池袋駅へと向かっていた。しんしんと冷える戸外で、かつて愛犬を連れ、車中泊旅行で日本一周の冒険をした時に知り合った老夫婦のことを思い出す。私はほとんどつけ回るようにして、行く先
々で彼らと遭遇していた。旅先で出会ったバイク旅のイラン人青年との淡い恋と別れ、そして老夫婦の愛情と妻の突然の失踪を経て、彼らの過去を知るにつけ、私の夫婦への憧憬は募っていったのだった。しかし悲劇は突然訪れた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-30 17:06:58
139080文字
会話率:49%