実家での小用を済まし、残暑に火照る身体を休めようと地階の喫茶店に入った西堀康代は、ふと数テーブル先に一人で陣取るその男の後姿を垣間見て、近年感じたことのなかったような戸惑いを覚えた。
単に雰囲気が似ていると言うのではない。男までの距離は
十分離れていたというのに、まるで過去の一日が不意に蘇って来たかのように、男は矢島慶二の人となりを康代に向けて発散していたのだった。
男は康代から見て背中を向ける位置に座り、また康代の気配を感じたようにも思えなかったが、不意に男が振り返り、その鋭い視線に射竦められたら、康代は眩暈を起こしてその場に倒れてしまうのではないかと鼓動を速くした。それほど男は過去の矢島慶二にそっくりだったのである。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-28 11:52:45
29674文字
会話率:43%
「今のあんたとは結婚しない」
出産間近になってもそう言い続ける恋人の真意がわからない男。
また言い合いになったその日、頭を冷やすべく町を出た先で出会ったのは、新たな門出を迎える少年だった。
『レストア大陸記』の番外編ですが、短編として
お読みいただけると思います。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-31 08:00:00
8000文字
会話率:37%
昭和から、平成、令和にいたる谷中家の40年を描く3部作の第1部・第1話。家族に及び始めた「異変」に、主人公・谷中昌行が気づきます。
はてなブログ https://invention2023.hatenablog.jp と
アルファポリスに
も掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-26 10:34:43
8707文字
会話率:35%
コロナ禍のある日、作者はロマンチックな夢を見る。それが引き金となったのか、作者の脳裏に次々と自分の幼年時代や青春時代のことどもが、熾火(おきび)の焔(ほむら)のように燃え立つのであった。この短編集はなかなか完結しそうにない。
最終更新:2022-06-25 18:37:42
33371文字
会話率:34%
「其の者、外法の擊劍使ひて外道討ち滅ぼす魔性也。其れ夶翼㦁理と云ふ。」
口傳にて失禮仕る。
時は戰國。やうやう危うく成り行く彼我の境、逢魔時腐臭漂ひて、濡烏に染まる中天、散華の熾火墨流したる。
永祿の折、鐡炮より先んじて存未發陀各處に
至り、軀犇めきいと恐ろしく混迷極まり、著しく世を惑わす。
かゝる折にぞ、畜生の心も顯れぬ可き。
其の者、外法の擊劍使ひて外道討ち滅ぼす魔性也。其れ夶翼㦁理と云ふ。
凍える蛾眉、堕つる默引き裂いて燃ゆる。
曝け出す心さえも愛は何を疑い續けん。
歸す身、其の唇、其の旨逃さん!
歸す身、煢然なる宵、今直ぐ消し賜へ!
片手に刄、傍らに比咩、唇に眞言、背中に愛を!
臨兵鬭者皆陣列前行!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-05-09 03:29:45
15058文字
会話率:18%
史実にインスパイアされた
鎌倉北条氏 名越家を中心とした 時鏡の第四部です
名越の滅亡、鎌倉幕府の滅亡の予兆を描きます
最終更新:2021-12-31 16:50:53
2258文字
会話率:0%
白き鎧纏う近衛騎士において青の鎧を纏った少年がいた。
少年は『青騎士』と呼ばれ畏怖されていた。
魔法、魔術、そして錬金術。
それらを内包した魔導学の発達によって人がその版図を広げていった時代。
魔王討伐によりもたらされた平和。
しかし何時の時代も、何処の場所でも人は、完全な善となることはない存在であった。
魔王の恐怖によって鎮まっていた欲望は熾火のように熱く、穂の揺れる麦畑にまた戦の火を立ち上がらせる。
勇者と魔王の血を受け継ぎ、しかし王族の身分を剥奪された少年ルルヴァ。
青騎士と呼ばれる彼は、仲間と共に動乱の時代を駆ける。
※序章(峡谷の戦士以前)を改稿、加筆中です。
最新の投稿が前のエピソードに追加されることがあります。
よろしくお願いします。
※カクヨムにも掲載をしています。
※大図書館が現れました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-18 12:00:00
81371文字
会話率:26%
5年ぐらい前に描いた小説。一つの供養です。
最終更新:2019-11-07 21:20:34
35084文字
会話率:15%
出されたお題を元に、一週間で書き上げてみよう企画第三十五弾!
今回のお題は「舌打ち」「広間」「帽子」
特殊な能力を発現させる『蒼炎』と言われる物質に関する事案を管理する秘密結社『ブルーフレイム』その訓練科に所属する熾火井 藤麻は、友人か
ら持ち込まれた相談事に乗って、『ひょっとこ』と呼ばれる人物をを捕らえることになった……
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-04-27 18:37:22
7567文字
会話率:51%
自作推理小説『箱庭図書館の事件目録』の番外編、千梨さんリクエストのアリスパロです。ギャグでギャグでギャグです。
シリアス路線で連載中の本編と一緒によろしければお楽しみ下さい。
最終更新:2015-03-03 19:37:39
4364文字
会話率:19%
「――そらさんとおっしゃるのかな?」
図書館司書のそらに声を掛けてきた一人の老人。大怪我をするところを助けられたことで、そらと老人――草薙伊織は急速に打ち解けていく。
そんな中、そらと夫の喬生は、そらの母親の恋人が起こしたトラブルに巻き
込まれてヤクザに喰い物にされそうになるが、その危機をまたしても草薙に救われる。だが、礼をしたいというそらに草薙は北陸の古都、金沢への同行と奇妙な頼みごとをするのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-10-06 19:33:44
104395文字
会話率:55%
VRの火は消えた。そう全ての人は信じていた。
だが、消えてはいなかった。熾火ではあるが静かに燃え続けていた。
悪い意味で有名になってしまったVR。それを再生させようと頑張り続けた企業がついに再生を成し遂げた。そんな話だ。
この話はVRMM
ORPGを作る企業の話です。
0話はVRゲームを発売するまでの説明です。読み飛ばし可なのでお好きにどうぞ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-09-12 10:13:14
5441文字
会話率:0%
雑誌記者である主人公がある切っ掛けにより、田舎町で起きている怪事に気がつく。それはその町に限り、変死者が多いと言う事だった。取材を行うため、住民の一人に会う事を取り付けるが……
最終更新:2009-08-16 01:47:41
8379文字
会話率:44%