武人達の隠れ村で産まれ育ったミロノ。
日常生活自体が修行になっている彼女は、周りと同じく村で結婚し子供を成し、村で生涯を終える人生を歩むと思っていた………のだが。
少年リヒトが村に訊ねてきた事によって、ミロノは額に『暴言が盛大に浮き出る呪』
にかかってしまった。
このままではお外に歩けない!! 一生額を隠して生活するなんて無理に決まっている!!
頭を抱えるミロノに聞かされた呪いを解く方法、それはただ一つ。
「呪いを解くためには、世界に災いを起こしている魔王を全て倒さなければならない。
それは双子の勇者の生まれ変わりであるミロノとリヒトしか出来ないことだ。
さぁ旅立つのだ!!」
そう豪語する父親。
突然、自身が勇者の生まれ変わりと説明をうけ、納得する間もなくリヒトと共に旅に出されるミロノ。事前知識&教えてくれる情報は少なく、手探り状態で歩き始めることに。勇者の生まれ変わり、すなわち転生とは一体なんの事なのか?
本当にこの額に刻まれている見た目が恥ずかしい呪いは解けるのか?
っていうか、魔王って凄く一杯いるんだけど!!?
旅を進めるにつれて、魔王とは何か、災いとはなにか、自分とは何かを問いながらも。
急ぎではないので必死に退治することもなく、旅の道中で出遭ったらさっさと退治する。
そんなミロノとリヒトの青春時代を語るには絶対に外すことの出来ない、わざわいたおしのお話です。
長編の冒険モノです。勢いに任せて書いてみました。
世界観は魔法が廃れていく途中の世界だと思っています。
毒舌多く、暴力戦闘グロシーン多めですので、苦手な方はご注意ください。
男女の友情から育まなければならない位置からスタートです。
世を正して正義を貫くヒーローよりも、目的のためには手を汚すことを厭わないヴィラン寄りの主人公たちになります。
(前書き後書き本文、文章の問題や、誤変換などのミスがあればその都度訂正しているのでよく改正が入ります)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-07 15:10:00
705283文字
会話率:36%
底辺社畜の俺は、バグ満載RPGの三周目に死んでゲーム世界に転生した。それも魔族に焼かれる初期村のモブという最悪キャラに。バグ技を利用して好き勝手に生きるに決めたが、主人公のハーレム要員が、次々俺になびいてくるんだが。
「ねえモーブ、私たち
ふたりっきりで、これからどうするの」
「そうだなラン、まず村の倉庫で当面必要な物を調達だ。それからゆっくり、ふたりっきりでどう暮らしていくか考えようや」
「モーブって頼もしい」
「おいおい、抱き着いたら歩けないだろ」
「えへっ。ごめん」
……かわいいなあ、ラン。早くも俺にデレたメインヒロインと、俺はこの世界で人生をやり直すんだ。
何から何まで恵まれた主人公のヒーローは、勝手に王道を歩んで魔王を倒せばいい。俺は俺でのんびり気ままに暮らすわ。悪いな、お前の仲間、全部もらっちゃって。みんな、俺とまったりするほうが好きだってよ。
――これは、即死モブに転生しながらも人生を諦めず心のままに生きる男が、世界線をゴリゴリ変えていく物語。運命は自分で変えられる――
●登場人物(第一部):
モーブ:底辺社畜がゲーム世界に転生した姿。ゲーム開発者の手抜きから「モブですぐ死ぬんだし、名前なんかモーブでいいだろ」と名付けられた悲惨なキャラ。
ラン:メインヒロイン。ゲーム内人気鉄板一位。ゲームでは、いずれ最強のヒーラーに育つ存在。貧乏な孤児。モーブに命を救われ、デレる。
ブレイズ:本来の主人公。モーブやランの幼馴染。剣術も魔法も万能。性格も良く、実家は村一番の金持ち。実は勇者の血筋。王立冒険者学園「ヘクトール」入試で卓越した成績を残し、SSS級のトップクラス「ドラゴン」に配属される。
マルグレーテ:「ヘクトール」SSSクラス。同期。モーブのバグ技を「特別な能力」と勘違いし、なにかと絡んでくる。地方貴族の娘で生来気位が高いが、タメ口で友達として扱うモーブに陥落する。ゲーム内では本来、ブレイズのハーレムパーティー要員。メイジ枠。
リーナさん:「ヘクトール」養護教諭。入試でモーブの謎の力を見て入学を許可し、なにかと助けてくれる。回復魔法と補助魔法の使い手。
居眠りじいさん:「ヘクトール」でモーブが配属された落ちこぼれ底辺クラス「Z」の担任教師。やる気皆無で、授業はすべて自習黙読。本人は授業中ずっと寝ている。
●カクヨムにて先行公開中!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-07 13:03:42
1098783文字
会話率:60%
早朝に花弁の跡を追いかけるなんて我ながら馬鹿なことをしたものだ。自分の正気を疑ってしまう。白く小さな花弁。仄かに香りがするのが可憐といえば可憐。知識がないので花の種類は知らない。いずれ良くある花だろう。それが道に落ちている。発見したのは数
分前。散歩をしていて気を惹かれる。花や花弁など普段は気にもしないが、どういった心のありようか。落ちていたのはごく普通の路上。何処の街にもあるアスファルト製で表面がざらついた道。もっとも、ざらつきがなければ上手く歩けないだろう。摩擦が生じないと滑って転んでしまう。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-01 15:15:22
25239文字
会話率:22%
『見て…。あれが男爵令嬢如きに言い伏せられた公爵令嬢よ…!私だったら恥ずかしくて外なんか歩けないわぁ…』
『あらぁ?負け犬公爵令嬢のボニートじゃないのッ。こんなところでどうしたの?』
私ワタクシは公爵令嬢。
自国の王子と婚約
し、将来は王を支え、国母となるのが私の役目。
弱みは見せるな、常に完璧であれ。
幼き頃よりそう教えられ、優秀な妻、国母となる為に勉学に励み礼儀作法を覚え、政治を学んだ。
全て順調だった。
あの卒業パーティの時までは。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-18 11:05:13
3923文字
会話率:37%
歩いても歩けない、目を閉じても閉じられない。
そんな全てがままならない夢を、よく見ます。
最終更新:2024-08-17 00:10:00
200文字
会話率:0%
朝目覚めて、体の覚醒を確信した。
バテる事のない、奥底から泉の如く吹き出す生命力は、昨日と異なるものだと実感した。
それでも。
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
意地とプライドだけ
に齧り着いた朝。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-07 17:31:50
915文字
会話率:38%
「おかあさん、おなか空いたよ。もう歩けないよ」
「ごめんね。あともう少しだから。」
身を寄せ合いながら、冬を越す場所を捜し歩く家族に降りかかる災難とは。
この作品を読み終えたその時、あなたは涙を流せますか?
※残酷な描写・性的な描写・グロ
テスクな描写・犯罪の描写等は全くありませんが、読者の皆さまを著しく不快な気分にさせうる小説です。皆さまの責任でお読みください。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-28 23:00:24
4670文字
会話率:27%
ピンヒールの歩きづらさを知らないやつなんかに、私は負けない。
※当小説はnoteにも投稿しております
最終更新:2024-04-20 00:05:57
654文字
会話率:36%
百年前に大聖女として尽くして亡くなったシンシア。
転生した彼女は大聖女を祝うパーティーで、第三王子のエリオに身に覚えのない罪を着せられ、婚約破棄を言い渡される。
「私の後ろを歩けない女に、価値があると思うなよ」
第三王子エリオの代わりにすべ
ての公務を肩代わりしてきたシンシアは、最後に仕事仲間たちへお礼を告げて王都を去っていく。
そして、なぜか共に付いてきた第三王子付きの騎士テイル・ヴァーミリオン。彼は「エリオ様と喧嘩して、クビになっちゃった」と言って、傷ついたシンシアの心を癒すように溺愛し始める。自然と二人で旅をしていくうちに、徐々にシンシアの心の傷も癒え始める。
一方で、シンシアが居なくなった王都では、第三王子エリオの仕事が一切回らなくなり、重要な来賓で大失敗を犯し、「すべてシンシアが悪い!」と言い出したエリオ。シンシアを見つけ出し、全ての失敗をシンシアのせいにしようとするのだが、そこでテイルが本当の身分を明かしだして────。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-08 00:03:08
11739文字
会話率:42%
死んでしまうとは情けない!
未知なる魔大陸に乗り込み、悪辣な魔纏楼を攻略し、凶悪な魔世将を封じ込め。
史上最悪の魔王を討伐する為、あらゆる困難を排してきた勇者ら一党。
しかし、肝心の魔王ノーラ・トスケイナには力及ばず全滅してしま
った。
仲間の魂と共に『時間転遷(タイムリープ)』によって18年前の過去に戻り、自分の体に魂を宿した勇者は、再び行動を起こそうとするのだが……。
16年後、仲間の中で最も早くに『勇者と目を合わせる』という、体に宿る魂に刻まれた未来の記憶を思い出す条件を満たした聖徒キーセラ。
彼女の目の前にいる人物、勇者カサギは――
――要介護な人物になっていた!?
魔王に敗れた際に魂に傷を負い、立つこともままならない史上最弱の勇者に変わり果てたカサギ。
だがどうやら魔王討伐を諦めた訳ではないようで……
「敗北とは! 敗北とは進歩のない失敗を無為に重ね、それを漫然と受け入れることだ!
つまりはこのカサギに敗北はあり得ないっつーことだぜーーッ!」
とは言え歩けないカサギは移動方法からして困難を極める。
苦肉の策で旅を始めるも、まだカサギが勇者だと公表されていないことが祟って色々な問題にぶつかっていく。
立て続けに起きる前回とは違う出来事や、魔大陸が放つ不穏な気配、勇者の魂に起きた異変。
そしてそれらに屈するどころかむしろ四方八方にケンカを売って回るカサギと……心労の絶えないキーセラ。
「おめーにくれてやる物はこの言葉だけで十分だッ、あばよォォッ!」
「じ、自分のお尻も拭けないのにどうしてこう騒ぎばかり……」
人類種の滅亡が先か、魔王が倒すのが先か、はたまたキーセラの胃に穴が開くのが先か―――。
やがては世界を変えるこの物語の行く末をその目で見届けろ!!
※大陸ストレリチアにある六つの都市――王領都市、神興都市、魔導都市、原生都市、産業都市、魄滝都市――で準備を整えるパートと、魔大陸でのエリア攻略式ボスラッシュのパート、その後で魔王と対峙する予定です。
※基本的にどの章も『冒険』『再会または出会い』『介護シーン』『困難に遭遇』『機転と策で打破』『決めポーズ』の要素を形を変えて、かつ段々と大規模にして進むつもりです。
※キーワードにあるようにタイムリープ物ですが、そう何回もタイムリープしません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-29 00:00:00
207520文字
会話率:38%
凡人の一般高校生である芝田。ある日、親から成績の話をされ、今のままでは医学部には到底行けないと言われてしまう。そんなことを言われ、ベッドでふて寝しているとダニエル・ジョンソン(偽名)を名乗る男に無理やり『吸血鬼』にさせられて…あれ?でも、僕
が望んだことでもあるのか。夜は眠らずライバルと差をつけ、『吸血鬼』の力で他人の精神も操ることもできるし、相当なメリットでは…多少の血を飲む必要があるけど些細な問題だよね。だって周りにいっぱいあるし。供物もそんなもんでいいみたいだ。よし!未来に希望が持てたところで丁度いいし寝るか
、、、寝れないんだけど夜寝れないのはディスアドじゃね?中華街も臭くて歩けないとかやめて欲しいんだけどマジで
主人公が警察やエクソシスト等、果てには妖怪と関わり穢れていく話。基本的には他人を信用しないくそ主人公です。処女作なのでお手柔らかに折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-16 10:00:00
31851文字
会話率:56%
雨に濡れて涙流すの。
もう歩けないよ。
最終更新:2023-07-14 20:00:00
207文字
会話率:0%
私に生きろと言わないで。
悲しいくらい上手く歩けないよ…。
最終更新:2023-06-22 16:00:00
219文字
会話率:0%
言い合いの末に幼馴染の東雲緋乃里を殺してしまった瑚野柊奈は、走り逃げた公園でもう1人の幼馴染、潮規隼と再会する。
精神的に不安定で、自分で歩けないほどに弱っていた柊奈は、隼の家で一緒に暮らすことになった。柊奈は、隼の家族と暮らす中で「家族」
の温かさに触れ、少しずつ回復していくのだが……
柊奈が弱っていた原因は、幼馴染を殺してしまったことだけではなかったのだ。
どうして柊奈は弱っていたのか。その原因とは一体なんだったのだろう。そして、緋乃里と言い合いになってしまった原因とは?
人生の理不尽とは、いつの時代も関係なく人間のすぐ側で嘲笑を浮かべながら存在し続けているのだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-28 18:00:00
50320文字
会話率:69%
「歩けないなら、魔法を使えばいいのに」
孤児院の慰問に訪れていた令嬢の何気ない一言が、人生を変えた。
自分が異世界に転生したと知ったリル・リスタは、自分の意思で自分の足を動かせるようになるかもしれないと希望を抱く。
これはリル・リスタ
が初めの一歩を踏み出す物語だ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-03 07:02:23
124114文字
会話率:30%
ふっと思いついたので、アイディアを昇華してみた
こんな方向性で長編書いてもいいかもしれない
最終更新:2023-02-23 00:00:00
2841文字
会話率:46%
生まれつき肌と心臓の弱かった主人公、天花 雪は、幼少期から日傘を差さなければ出歩けないほど身体が弱く、無理をすると寝込んでしまうほどであった。周りと足並みが揃わない自分を変える為、身体を鍛え努力するが、心臓が限界を迎え、この世を去る。眼を覚
ますと女神の私情により真っ白な空間に呼ばれ『特別な転生』をし、吸血鬼に生まれ変わる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-09-20 07:00:00
187339文字
会話率:61%
辺境の惑星アイス
すべてが氷に覆われた白い星。
年中ブリザードが吹き荒れ、平均気温はマイナス30度、ここで生まれた生命体はいない。そこに私はいる。
生命の息吹はないかわりに希少な鉱物資源があるため採掘場が作られている。私はそこの監視、メン
テナンスをする仕事に就いている。
防寒具なしでは外を出歩けない危険な星、そんな場所で働きたいやつなどおらず、高い給料のわりに求人倍率が低く、簡単にこの職につけた。
たしかにこのまっさらで真っ白で何もなく、動くものは採掘機しかないが、ここはどこよりも静かだ。この静けさは代えがたい。あと好きなのは防寒具なしで呼吸をすれば、すぐ肺が凍り付き、出血し、血が肺に溜まって死んでしまう、防寒具ごしにヒリヒリ感じられる生死の差を彷徨うスリル。これは癖になる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-27 02:35:07
483文字
会話率:0%
月夜に紛れ、朱に染まり、ヒトの血を喰らう者たち。永い生命と果てしない美しさ、月のような儚さを持つ彼らを、ヒトは恐れと畏れを込めて夜族と呼んだ。
夜族と人間、混迷を極めた血戦の時代から長い年月が経ち、平穏を取り戻しつつある現代。それでも、
未だ夜族は息を潜めて存在し、また、それらを狩る人間も闇に隠れて刃を研いでいた。
旅に憧れる良家の少女ミアと、彼女の家の養子である少年アルバは、狩人であった父親の死をきっかけに騎士隊へと参加することになる。
ある任務の最中、瀕死の重傷を負ったアルバ。自分を庇った彼を助けるため、ミアは決死の賭けに打って出る。
「それをすれば、ヒトを超えた力が手に入る」
禁忌を犯し、ヒトであることを捨て、しかし生き残った二人に待っていたのは、非常な現実と儚くも美しい夜の世界だった。
これは、陽の下を歩けない二人が歩む、ヒトに戻るための旅の物語。彼らはやがて、命の在り方と抗えない真実に向き合うこととなる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-06-20 15:25:37
17281文字
会話率:19%
高校三年生の上倉青は死んだはずの双子の兄、上倉空の幻覚に悩まされていた。そんなとき、怪しい少女に誘われ、行った洋館である集団に会う。
その集団は自分達のことを『許された殺人者』と名乗り、青を誘う。目の見えない大学生くらいの少女、耳の聞
こえない真面目風のサラリーマン、社会人かも大学生かも区別がつかない歩けない青年。そして、小学生くらいの小さな怪しい少女。
そんな怪しい怪しい団体に入った青はその人たちの活動に手を貸すことになる……。
この作品はノベプラにも連載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-19 12:03:13
28138文字
会話率:50%
二人が初めて目を合わせたとき。
青年は合羽を着てスコップを持っていた。
少女は土まみれで、立てなかった。
青年は見下ろしていた。少女は見上げていた。
雨が降り、雷の鳴る山の中で、はっきりと、目が合っている、と二人とも思っていた。
少女の傍にはひっくり返った車椅子があり、青年に目を奪われながらも無意識にそちらに手を伸ばすことから、少女が立つどころか歩けないことが傍目にわかる。
だが青年は、お構いなしに、少女から目を離すことなく、自分たちの高低差を一気に詰めた。斜面を滑り降りたのである。足元には雨で濡れた草が茂っているにもかかわらず青年の体はぶれることなく、舞台役者のように颯爽と少女の元に降り立った。
スコップを持った、きっと自分よりもうんと背の高い青年が恐ろしく感じ、だが、少女は悲鳴を上げなかった。
迷いなく青年の足は少女に向かい、なおも距離を詰めてこようとしていたが、絶対に少女は悲鳴を上げなかった。
「――お父さん!」
雷が再び二人を照らした。轟音は耳を刺すほど大きかった。
青年は笑顔だった。凛々しい眉を柔らかく下げ、頬を紅潮させ、双眸をとろけそうなほど細めて、少女を見ているのを、まばゆく、雷が映し出した。
少女は、フレームがゆがんだ眼鏡を掛けなおす。レンズには雨粒がいくつもついて、筋をつくるほどだった。雨が、光の差さない山がこんなにも視界を悪くしているのに、どうしてか青年の笑顔ははっきりと見えたし、それが、歯が震えるほど悔しかった。
「あ……たし、は……」
十四歳である。
お前とは初対面である。
お前のような青い目はしていない。
そんな風に少年はいくらでも、謎の呼称を否定する言葉を持っていたのだが、うっかり。
「精巣はないし、こないだから子宮もない……」
少女の現在の環境を決定した原因を、口走っていた。
不幸に浸る少女と不幸に気づいていない青年(どっちもさびしい)が時間と会話をかけて、お互いの存在によって寂しくなくなる話。
「悪人になり切れないだけで善人でもない」「露悪と偽善」「ぼくをひとりにしないで」
欠落が満ち足りる、埋められる。誰も死なないハッピーエンド
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-10-17 22:40:01
15306文字
会話率:46%