わたし――薛不習は、小説家の端くれである。
舞台は、安史の乱以後、衰退して行く唐王朝の都である長安。薛不習は、小説の取材のために街中を歩くのを日課としている。しかし、そこでは、かつての華やかで、国際的な文化は失われていた。もちろん、彼女の
親しい友人も、家族も……。
ある冬の日、薛不習は呂氏と名乗る美貌の男性に声をかけられる。呂氏曰く、わけあって妓楼に潜伏しているのだ、と。彼の仕草や口調を見ると、冗談とは言い切れない様子である。薛不習は、呂氏につきまとう危険な香りに惹かれて、彼との特別な交流に身を乗り出して行く。
物語は、こうして唐朝の混乱期をきらびやかに、哀しく展開する。
理想と孤独の狭間で、自らの生き方を求める人物たちの中国伝奇ロマンス。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-13 12:29:01
17031文字
会話率:21%
清朝の流れを汲む立憲君主制国家には、二人の王女がいた。
一人は次期天子である愛新覚羅翠蘭第一王女、もう一人は芸術への造詣の深い愛新覚羅白蘭第二王女。
ある日の事、日本の美術館の特別展を公務で訪れた白蘭第二王女は、記念品として献上された双六の
付属品である日本式の賽子に興味を抱くのだった。
日本の賽子は一の目だけが赤いが、中華の賽子は一と四の目が赤い。
その理由を妹に説く翠蘭は、賽子の四の目を赤く変えた唐の玄宗皇帝と楊貴妃に思いを馳せるのだった…
(本作は秋期公式企画「秋の歴史2024」の参加作品で御座います。)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-19 04:54:24
1000文字
会話率:34%
中国陝西省の省都・西安。その西北に乾陵という一風変わった陵墓がある。
乾陵は、もともと唐朝の三代皇帝・高宗(こうそう)の墓であった。しかし、高宗が埋葬された後も、乾陵は造成を重ね、全く同じ形の陵墓が高宗の隣に新しく造られた。これが本作の
主人公である武則天の墓である。数ある陵墓の中でも、二対構造で造営され、皇帝と皇后が全く同じ待遇で合葬されたのは、乾陵ただ一つである。
乾陵を造営した時、人々はこのような特別な措置をなぜ執ったのか。
それは中国の歴史上、武則天が唯一、女性でありながら皇帝になった人物だからである。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-03-18 18:31:06
12787文字
会話率:9%
初唐の四傑と称される王勃の人生。
月曜日と金曜日に更新予定。でも実際は不定期。
もくじ
・1 竜門の神童
・2 初唐の四傑
・3 重陽の節句
・4 三国志の英雄
・5 哈密瓜の皇子
・6 皇子の野望
・7 王勃の志
・8 檄文は激励
に非ず
・9 一番近くの敵
・10 遙かな蜀
・11 穴熊の地より
・12 雨の日の情景
・13 雨はいつかやむ
・14 友のために怒る
・15 唐朝の二つの敵
・16 鶏が人を滅ぼす
・17 四面楚歌
・18 刃は痛みをともなう
・19 獄中の才子
・20 南の果て
・21 長安の声
・22 知らない者との再会
・23 南船北馬
・24 水辺の山中
・25 西施
26以降未定
参考文献
★旧唐書
★新唐書
★漢書
★中国歴史地図集第五冊
★入蜀記
★図説 民居―イラストで見る中国の伝統住居
★図説中国文明史 (6) 隋・唐 開かれた文明
★山月記
★唐律疏義
★唐詩選
★全唐詩
章懐太子:黄台瓜辞
杜易簡:湘川新曲二首
王勃:滕王閣
王勃:蜀中九日
★全唐文
14巻。襃皇太子上所注後漢書手敕
15巻。誡滕王元嬰書
161巻。王氏家書雑録
その他、増えるたびに追加します。
もし歴史事実の誤り等がありましたら、ツイッター@contemporain2の方で「なんか、間違っているっぽい?」とご指摘いただけると幸いです。
もちろん、創作の都合上意図的に史実を変えている部分もありますが、9割は素で間違えていると思われます。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-08-08 23:15:11
76454文字
会話率:42%