獣人のみの現代、その金山豆という島国では。神類と呼ばれる新種の獣人が各町を運営していた。主人公の青年フィルは友人が自殺して以来、自殺者ゼロの都市でバイトしつつ無気力な日々を過ごす。
そんなある日、神類ベスタから仕事を手伝わないかと声を掛けら
れる。
フィルはケモノたちの死のうとする理由、そして友人の死と向き合い、成長していく。(カクヨムにて完結済み。全31話)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-24 22:00:00
56929文字
会話率:30%
『この配信――全ては揚げた鶏肉の為に』
◆
「お前、ダンジョン配信とかやらね?」
鶏肉――特に揚げ物大好きな高校生、涼は友人のその言葉をすげなく断っていた。
涼は休日になると探索者としてダンジョンに潜り、モンスターの寝顔
や、ダンジョンならではの絶景の撮影を趣味にしている。
その撮影した写真を見た友人が、何度も誘ってくるのだが興味はなく。
以前ダンジョン内で助けたことのある配信者のディアから、コカトリスの唐揚げをごちそうになったことで涼の中で未知なる鶏肉への興味が大きくなった。
その瞬間を狙って親友が、改めてダンジョン配信しないかとアプローチをしたところ、美味しい鶏肉を食べられるなら――と了承をした。
そうして始まったダンジョン配信チャンネル「涼ちゃんねる」。
涼の独特のスニーキングスタイルや暗殺者のような戦い方。中性的で性別の分からない容姿。これまであまり注目されていなかったモンスターの寝顔や、ダンジョン内の不思議な風景。がっつりとした攻略配信はしないものの、そういった寄り道要素をメインでマイペースな「涼ちゃんねる」は爆発的なバズはないモノの地味に登録者数を伸ばしていた。だって上手く行くと友人から鶏肉を奢ってもらえるので。
配信を通じて少しずつ涼の心境にも変化が芽生えるものの基本スタンスは変わらずに。
強敵モンスターを倒す姿が配信されて一気に名前が知られるようになったところでやっぱりスタンスはあまり変わらない。
バズろうが、有名人とコラボしようが、涼も涼ちゃんねるもマイペースなのは変わらない。
寄り道メインで寝顔に絶景、時々ディアのところでダンジョン食材のゴハンをごちそうになる。
涼はそうしてダンジョン配信を続けて行く。もちろん美味しい鶏肉の為に。
これは――『出逢いが世界を広げる現想譚-ものがたり-』
※カクヨムにも掲載しています折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-24 19:03:34
505308文字
会話率:40%
凄腕のハッカーであるブラソン、最新式の地球製船殻を有する脚自慢の船とその管理AIレジーナ、レジーナから派生独立した船内管理AI生義体ルナ、銀河の嫌われ者である機械達の生義体ニュクス、何を考えているのか今ひとつ掴み所の無い地球連邦軍情報部か
らの出向者アデール、ブラソンの相棒でこれも凄腕のダイバーであるノバグ、今は囚われの身となったブラソンの友人が遺したダイバーメイエラ、銀河の何処かにある故郷を探す原生ファラゾア人少女ミスラ。レジーナの僚船であり、四十人もの元軍人達を乗せ、老獪な船長ドンドバックが操る強襲揚陸船シリュオ・デスタラ。多くの仲間達を手に入れ、銀河種族社会の運送業界からも一定の評価を得て、順風満帆であるか見えた運送業。しかしその行く手には、地球連邦軍と機械達が躍起になって追い回す不気味な生命体の陰と、そして謀略に長ける事で銀河中にその名が轟く地球連邦軍、銀河最大のデータバンク且つ演算システムである機械達の思惑と策謀が交差する。
第12章 トーキョー・ディルージョン
■本作は、「A CRISIS(接触戦争)」(N2709FW)の約300年後の物語であり、且つ「夜空に瞬く星に向かって」(N5979DP)の第二部です。その為、A CRISIS(接触戦争)のネタバレを多分に含みます事にご注意願います。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-24 18:00:00
160182文字
会話率:21%
巻き込まれ召喚されたけど、結局友人が主役な訳でしょ?
じゃあ俺は普通にこの世界を楽しみたいと思うのですがどうでしょう?
え、だめ?俺も強制参加??
エクスカリバー抜いちゃったから??そんなぁー!
最終更新:2025-01-24 07:56:56
239377文字
会話率:35%
いじめにより不登校になった新橋早紀は、父親の友人が住んでいる北海道の『秋倉』という町に行くことにした。そこで道に迷った時、白衣を着た『所長』と呼ばれる不思議な人物と出会う。
お互いに初めて会った気がせず、交流を深めていくが……。
*201
5年~2016年ごろに、『Life after LIFE』というブログに連載していたものです。
執筆中に作者が病気療養で体調を崩したため、未完の作品となりました。
続きを書くことはもう難しいと思いますが、個人的に思い入れがあるため残すことにしました。
日記体でとりとめもなく、小説らしい筋も起承転結もありませんので、お読みになる場合は期待をせず「まあ。ある時期の誰かの走り書きだろうなあ」くらいに思っていてください。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-24 04:13:00
1830979文字
会話率:14%
目の前に居るのは自分の性癖をこれでもかと盛りに盛って体現したかのような美少女(元男)。対面する己は友人の性癖をこれでもかと盛りに盛って体現したかのような美少女(元男)。
「なあ……」
「うるせえ黙れ喋るな。口開くと中の人が滲むんだよ」
「お
めーだってそのツラでうるせえ黙れとか言うな夢が壊れんだろ」
そう、二人は街中で自分好みの美少女を見つけ、思わず自分が女の子になってしまった現実を忘れて男の時のノリのまま声をかけてしまったのだ。それが性転換病を発症し、変わり果てた友人の姿であることなぞ知らずに──折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-23 19:20:00
406000文字
会話率:67%
有名な自殺スポット、富ノ裏神社。
オカルトサークルの活動の一環でこの場を訪れた旅籠守仲は、数枚の写真を撮った後に神社から伸びてきた異形の腕に捕まってしまう。
目が覚めるとそこは異空間。
そしてそこにいた神と名乗る異形は、旅籠にこう
告げる。
「和風異世界、いかがですか?」
神の手によって強制的に異世界に投げ出される。
降りてきた地で旅籠を待っていたのは……人間を慕う、異形共だった。
これは人間、妖、鬼、獄門、異形なる勢力がいる中で、最弱の種族、異形と共に元の世界に帰る為奮闘していく物語。
また……消えた旅籠を探しに来た二名の友人が、この世界に迷い込むのだった。
誰も見たことのない異形共の下克上。
いかがですか?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-23 18:00:00
32089文字
会話率:33%
闇の神マゴスの力を封じ込める聖女を数多、輩出してきた由緒正しきクラヴェウス家の長女として、聖女となるべく教育を受けてきたソフィア。しかし、彼女にはその資格がなかった。それでも諦めない祖母の狂気により、孤独を抱えたまま悪女に相応しいふるまいを
見せるソフィアだったが…。
あまり仲良くもなかった同級生、マニエルの死を目撃したことで前世で友人がハマっていたゲーム「セイント・オブ・ラバーズ」の世界である事を思い出す。
さらにソフィアはヒロインに立ちふさがる悪の元凶…。
だけど、そんな事はどうでもいい。
「貴方に会うために生まれ変わったのに…」
ゲームのヒロインであるマニエルに転生したであろう友人に再会する事を願っていたはずなのにその事実を忘れて、悪役令嬢を演じてきた事に罪悪感が募っていく。
一度はショックから生きる希望を失うソフィアであったが、ゲームで聖女となるはずのマニエルの死は予想外の展開でもあって…。
しかもそれは殺人事件の可能性も示唆していた。それも容疑者はゲーム内における攻略対象者達!!
ソフィアは犯人を探し出し、彼女の復讐を遂行しようと行動を開始する。
彼女の力は胸に秘めた友への想いかそれとも新たな出会いか?
聖女のいなくなった滅亡寸前の世界を舞台に元悪役令嬢が事件の真実を追いかける。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-22 19:05:21
209188文字
会話率:39%
一見クールな公爵令息ユリアンは、婚約者のシャルロッテにも大変クールで素っ気ない。しかし最初からそうだったわけではなく、貴族学院に入学してある親しい友人ができて以来、シャルロッテへの態度が豹変した。
最終更新:2025-01-22 12:02:27
8922文字
会話率:51%
魔法の無い世界に生まれ変わった元魔術師のコトミは元の世界――異世界テスヴァリルへと戻る方法を見つけ、同じ転生者や魔法少女、魔眼持ちの少女たちと一緒にテスヴァリルへ帰還することとなった。
無事にたどり着いた異世界テスヴァリル、今度こその
んびりスローライフを満喫できるとコトミは思っていたが、転移の際に友人が原因不明の昏睡状態へ陥ってしまい、その治療薬を求め再び旅へ出ることになった。
焼き尽くされた集落、謎の儀式、そして滅んでしまったポスメル国王都――リリガル。
無事に友人は目覚めたが、黒装束集団の件が頭が離れないコトミは、旅の途中に出会った商人から仕入れた情報を元に、ポスメル国第二の都市ラスティへと向かう。
コトミのいなかった十一年の間にいったい何が起きたのか。その真相を求めコトミたちは旅を続ける。
「いったい、いつになったらスローライフを送れるのよ!」
別世界からの帰還者、スローライフを目指し今日も旅を続ける。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-22 07:00:00
34321文字
会話率:36%
魔法の無い世界へ生まれ変わった元魔術師のコトミは、一般市民として目立つことはせず、のんびりスローライフを満喫しようと企んでいたが、友人が危険に晒された際に魔法を使ってしまい、その存在がバレてしまう。
幸い誰にも言い触らされることもなく
、今まで通り友達として接してもらえることになったが、何かしら危険なことへ首を突っ込んでは力業(魔法)で解決するようになってきた。
その後、新たな転生者や魔法少女、魔眼持ちが現れキナ臭い隣国とのいざこざに巻き込まれていく。時間と共に関係が悪化する隣国、関係改善に取り組む苦労を余所に戦争がついに勃発する。少女二人が前線に立つという異例な状況の中、力不足を悔やむコトミに異世界からの来訪者が現れ事態が急変する。
「戦争を終わらせることは出来る。だけど、のんびりとした生活、スローライフが……」
大切な友人と大好きな街、守らなければならないものができた。できてしまった。悩むコトミはついに決断する。ドライになりきれない魔術師、今日も大切な人たちのために力を使う。
「最後は絶対、絶対にスローライフを送ってやるんだからっ!」
異世界からの転生者、スローライフを目指し今日も戦う。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-26 07:00:00
828776文字
会話率:35%
結婚後夭折した主人公の友人が、なぜかエルフになって不可解な異世界に召喚され、本人は以前の環境で適わなかった己の人生を、ファンタジー世界で自由を満喫しながら夢を実現するために日々奮闘し、様々な国や種族の騒動に巻き込まれながらいつの間にか混沌と
したファンタジー世界を地味に収めようと四苦八苦するお話みたいです。
色んな意味で存在感のうっすい主人公もなぜか同じ世界に無理矢理召喚転生(?)させられ、気づくとエルフと化した友人に生前の約束を反故にした罰を受けさせると宣言されてしまうのだが───折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-21 04:35:36
307468文字
会話率:24%
人違いで婚約の申し込みをされたクラウディア。
即座に撤回されたが彼女は気にしない。
社交界での醜聞になりかねないが、そもそも彼女は社交界の評判を気にしてはいない。
ただ領地にこもって好きなことをしたいだけ。
なので、社交界で彼女は"
;幻の令嬢"だの"引きこもり令嬢"だのと揶揄(やゆ)されている。
ただ単に世間話として友人に人違いで婚約を申し込まれ即時撤回された話をしていると、友人が自分の兄を薦めてきた。
その兄は最近仕事をしすぎて婚約者のことを疎(おろそ)かにした結果、婚約破棄されたばかりだという。
上司の気遣いで早めに帰宅した友人の兄から誘いを受け、あちこち出かけるようになりーー
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-16 23:12:22
149772文字
会話率:45%
天女?奴隷?詐欺師?侍女?姫?軍師?ソードマスター?魔法使い?陰陽師?芸術家?薬剤師?医師?億万長者?外交官?社畜OL等等……からの平凡オタク女子大生として日々オタ活に勤しんでいたら友人とコミケ帰りに猫たんを助けてトラックにはねられ即死し
ました。テンプレが過ぎる。とりあえず後生なので誰か私の今生の名誉のために己の血の海で汚れた戦利品(成人向け含む)を明日のネットニュースで社会的死をする前に燃やしてくださいお願いします……
っという様々な前世の自分を思い出してしまった今生の私、まさかの馴染みのない名前の死にかけ公爵令嬢だった件について。
色々やらかしている前世の記憶達と今生の過保護な家の男共のせいで男女の恋愛事情は通行人モブポジでの鑑賞派、花は好きだが団子はもっと好き。それより魔法や精霊、剣術や武術、この世界の各地にあるダンジョンや禁足地に惹かれるタイプのオタクです。でも、まぁ、死ぬまで一度は燃え尽きるような恋はしてみたいが、一方通行な婚約?結婚?は一寸、ね?外見は年頃の乙女でも、精神年齢はもう夢見る乙女じゃないし……なので、今生の目標は頑張ってお国に手柄を立てつつ(下心)自由に生きて(現実逃避)貴族の義務である政略結婚や愛のない出産を回避しよう(願望)!!今生の私、テンプレヒロインや悪役令嬢とかでなく、名も知らぬ使命のないモブ令嬢だし!!
だって経験上、国さえ傾けなければ美人薄命はただの迷信。其れよりも属性もりもりの絶世の美女、ふーん、成程、なかなか悪くないのでは??(※超弩級のシスコンにブラコンに加え、この物語は一応過保護・溺愛・激重感情が多々ある恋愛ファンタジーものです)
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-11 12:00:27
153631文字
会話率:21%
ある日友人が、夢の中で本を読めるという機械を持ってきた。
最終更新:2025-01-10 07:27:27
567文字
会話率:36%
教育(?)の力を思い知れ!貴族も王族も関係なしの『異世界教育改革』!
異世界転生した元教師には魔術の才能があり、魔術学園を卒業し、若くして大賢者の称号を得た。
古き友人が母校の魔術学園の学園長として就任し、教師の質の低下により母校がピン
チなことを知る。
昔の借りもあって1年間だけの臨時教師として教鞭をとることなったのだが、そこには無能な教師だけでなく、教師よって増長した生徒、貴族の立場や権力を振りかざす親など問題ばかりだった。
真面目に魔術を学ぼうとする生徒を邪魔するやつらは誰であろうと徹底的に排除する!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-08 18:10:00
118281文字
会話率:56%
僕の研究室に大学時代の友人が訪ねてきた。ガンで余命一年と宣告されたという。友人を慰める言葉を持たない僕は一冊の小冊子を彼に渡した。すると……。
最終更新:2025-01-08 13:34:06
7936文字
会話率:36%
「あなたの友人は異世界転移しました。私は、彼女ではありません。」
友人の姿からいきなり放たれた言葉に、思わずアスカは固まってしまった。
友人がある日突然感情を消し去ってしまったロボットのようになっていた。
最終更新:2025-01-06 21:04:35
9796文字
会話率:49%
他者に言えない秘密が「聖痕」となって現れる世界。しかし、子爵令嬢のプリマヴェーラ・メイヤーは、その世界で唯一、聖痕を消すことができる聖女として、たくさんの人々から狙われて――
というのが原作のストーリー。そのゲームの作者の友人である私、市
川春陽は乙女ゲームと乙女ゲーム転生小説、そして逆ハーレムものが大好物。念願叶ってそのゲームに転生できたわけだし、ゲームではシステム上不可能な『同時攻略』を目指して正真正銘の逆ハーレムを築いてやる! と意気込んでいたわけだけど。
好かれると思ってやった行動がことごとく裏目に出て嫌われていくみたいなんですが、もしかして現実でもモテなかった人間はゲームでもモテることができないんですか?
モテない運命から抗って、目指せ逆ハー目指せ正統派ヒロイン! イケメンに好かれたい願望のなにが悪い!
開き直って突き進んでいく猪突猛進主人公が、本当の恋を見つけるまでの話。
・コメディタッチですが主人公が不憫かもしれません。攻略対象に嫌われていきます。ギスギスした感じではないです
・逆ハー要素はあるようでないです
・聖女要素もあるようでないです
・ほんの少しですが百合要素があります
・ハッピーエンドです
・R15は保険です折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-05 16:32:46
21110文字
会話率:38%
物語で例えるなら、ギリギリ名前のあるモブキャラクター。そんな立ち位置にいた少年が、ある偶然から一柱の神と出会う。それにより異世界へと転移する羽目になったが、ようやく少年は元の世界にへと帰って来た。
しかし、物語はここで終わらない。ようや
く戻ってきた筈の少年だったが、その世界は元の世界と変わってしまっていた。
これは少し変わった世界で、元脇役の少年が奮闘する話。
※これは私のもう一つの作品『普通だった少年の普通じゃない日常』の続きとなります。しかし、この作品から見始めても大丈夫です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-02 00:12:05
501157文字
会話率:46%
主人公である谷中光一は、物語でいうと脇役といった立ち位置にいた。しかし、彼の人生は偶然にもある神様との出会いにより大きく変わる。しかし、神様から授けられた能力は『自身操作』というなんとも微妙そうな能力。
これは普通だった少年がテロリストと
闘う羽目になったり異世界に行ったりするなかで、少しづつ変わっていく物語。
※神様と出会うのは四話目からです。また、異世界に行くのは二十三話からです
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※この物語はハーメルンでも投稿されています
また、カクヨムでも投稿しています折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-02-12 01:05:27
185666文字
会話率:52%
短大を卒業してすぐに父親の友人が経営している今の会社に入った。
二年たっても由美は社交的になれなかった。社長が父親の友人ということもあってか表面的には特に何の問題も無い。天気の良い日の昼休みは、歩いても五分の日比谷公園で手作りの弁当を食べ
た。
噴水のある場所が由美のお気に入りで、そこからは花壇もよく見える。春の色彩豊かな花々と新緑の芽吹きは新鮮な空気と生命力を送ってくれた。
由美はもっと自由な美術に関わる仕事をしたいと思っていた。
由美は七歳の時に両親を飛行機事故で失った。実家の九州のお爺さんの葬式に行くはずであった。幸か不幸か、その前日から由美は高熱で寝込んでいた。
由美は父の兄の養女となった。父の兄は真面目で実直な人物であった。兄夫婦には子供がいなかった。
両親の突然の死は、当時の由美には実感出来なかった。又、したくもなかった。だが、いつまで待っても両親は由美の所に帰って来ない。由美には死というものがよく分からなかった。逆に言えば生きるということも、何故、何の為に生存するのか?という疑問がその時に漠然と芽生えたのである。
由美は生活には何の不自由もなかったが、成長するに伴って幼かった頃の疑問も同時に大きくなっていった。
中学になる頃はすでに文学少女であった。本来、内省的であった由美は、ますます自分の内部にこもるようになった。 由美にとって、現実の世界よりも文学の世界の方がはるかに現実的であった。美術の世界も魅力的であった。由美は芸術を通して様々な人生を味わい、自由に生きる事ができた。
養父である孝男は、そんな由美を見ていて心配ではあったがどうする事も出来なかった。孝男自身、生きる意味を考えるゆとりも必要も由美のようには執着出来なかった。由美が独り立ち出来るまでは責任があった。
由美は友人から見れば変人の部類に属していた。だが、嫌われていたわけではない。むしろ、皆の人生相談や悩みを聞いては的確な助言を与えていた。単に異性に興味が無い、これだけでも十代では変人に値する。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-31 04:46:36
36713文字
会話率:26%