1886年、アトランタ。
かつて戦争の炎に包まれたこの街は、今や金と薬で輝いていた。
街中の新聞はインチ薬の広告で埋め尽くされ、「奇跡の万能薬」の見出しが躍る。
人々は痛みを忘れたがっていた——戦争の傷、貧困の苦しみ、生きることそのも
のの疲れを。
ジョン・ペンバートンは、暗い研究室で新たな調合を試みていた。
かつて南軍の軍医だった彼は、戦場での負傷をきっかけに薬剤師の道を選んだ。
しかし、薬の世界はすでに金儲け主義に染まり切っていた。
「本当に人を癒す薬が作りたい……」
そう思っていたはずなのに、いつの間にか彼もこの街の風潮に飲み込まれていた。
売れる薬を作るための調合、広告のための誇張……それが現実だった。
だが、彼の老いた身体が警鐘を鳴らし始めていた。
「俺の時間は、もう長くない……」
ならば、最後に何を作るべきか?
人々が本当に求めるものとは何か?
そんな思いに突き動かされるように、彼は試験管を握りしめた。
甘く、刺激的で、疲れを忘れさせる飲み物。
しかし、それは単なる薬ではなく——
コカ・コーラ という名の、時代を変える一滴となるはずだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-01 21:45:18
30584文字
会話率:39%
二大強国の一つ、グリパニアによる南部領地への侵攻によって、理不尽な大戦が引き起こされた。南郡に住む多くの人々は、これまでの平和な日常を奪われるという不安や恐怖により、正気を保てず、精神に異常をきたすようになる。その最中に、記憶を失ったまま
、広大な魔境の森を一人彷徨う、正体知れぬ傭兵がいた。彼は自分の元々の所属と本来の目的を見失っていた。死の森において、生き残るための残忍な殺し合いを続ける中で、ふとした出会いにより、苦境にあえぐ南軍に傭兵として参加する。やがて、彼の参戦はこの戦争に大きな歪みをもたらす。激しい戦闘の舞台と化した、南部の森において、食糧を求めながらも、何とか正気を保とうとする人々、敵軍や盗賊たちとの斬り合いの日々は、ケークという人物の怪奇な半生を少しずつ蘇らせていく。彼を取り巻く多彩な人物の動向は、この戦争のあるべき結末を少しずつ変えようとしていた。先例のないような栄華を誇りながら、やがては衰退していく大国エメリアの存亡。国政を乗っ取ろうとする悪党たちは、いったい何を根拠に未来を予言しているのか。そして、ブランニージュと呼ばれる正体不明の秘宝を奪い合う、全ての時間、全ての国家に属する人間たちの物語。
記憶と予言 戦争と平和 人生の意味 宗教と無神論 差別と復讐 などがテーマになっています。
2020年3月16日 二年ぶりにプロローグを更新 誤字脱字の多くを訂正。
2020年4月 8日 大陸の各都市の紹介、そして大戦初期の展開の部分を修正
2020年4月21日 ホーチスとケークとの出会い。宿営地でのやり取りを更新。1節その3~6まで
2020年4月30日 第一章第二節が完結。第三節は連作短編のような形式になります。
2020年5月 1日 第一節その25 最後の場面の文章を訂正して更新しました。
2020年9月 1日 第一節その7~9までを加筆修正しました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-20 06:20:53
683208文字
会話率:51%
アブラハム大統領。北軍を指揮する最高権力者に南軍の刺客が襲いかかる。
だが、大統領には恐るべき護衛、パイポ・オイールが存在したのである。北軍、いや、合衆国の背後に見え隠れする闇とは? 黒人解放に見せ掛けて異形の者が北米へと入り込み、精霊を守
護する原住民を弾圧する大統領の真意は何か?
架空戦記創作大会2018年秋、参加作品です。
ハーメルンにも投稿しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-11-30 23:58:31
7279文字
会話率:44%
ハンプトン・ローズ海戦。初の装甲艦同士の決戦とされる当日、南軍の小さな、しかし恐ろしい毒針を備えた〝蜂〟が参戦しようとしていた。
これは米海軍史上、「ワスプ」の名を冠した六代目小艇の戦闘記録である。
『架空戦記創作大会2018秋』参加作品
。例題1と2の複合(でも、2の「架空の小銃」はオマケっぽい)です。同時にハーメルンにも投稿しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-11-16 12:12:43
10327文字
会話率:36%
俺は、アダム・マドリック。元北軍の将校だ。
四年前、俺は妻と二人の娘を殺された。犯人は、元南軍の残党だった。
俺も撃たれて生死の淵を彷徨ったが、何とか目を覚ます事が出来た。
しかし、全てを失った。
マイク・アンダースンへの復讐以外
は――。
<カクヨムにも掲載中>折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-01-29 23:11:06
1326文字
会話率:20%
俺は、ジェシー・クランス。西部一の早撃ち銃士《ガンマン》。先の戦争では3桁の南軍兵士を撃ち抜いた。そんな俺と相棒のオリヴィア二世の前には敵はいねえ。
<本作は、無頼の帝国~帝政アメリカ短編集~としてカクヨムにも掲載しています>
※この物
語はフィクションです。実在の人物・団体・地名とは一切関係ありません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-10-16 22:45:49
817文字
会話率:37%
舞台は21XX年、数十年前に勃発した第三次世界大戦では、新兵器として二脚式戦闘車両「AA(アサルトアーマー)」が大活躍し、地上戦になくてはならない兵器となっていた。荒廃しきったかつての日本であった国、JPN合衆国は、いくつもの州が独立都市国
家として、周辺の州と細かな地域紛争を演じていた。昔岡山と呼ばれていたJPN辺境の地オキャーマは、北部の州と南部の州とが北軍南軍に分かれ、いつ終わるともない地域紛争を繰り返していた。かつての南軍の英雄にして、天才的なAA操縦の腕を持つミキ・フクダは、とある事件を起こしたために戦争犯罪者として憲兵隊に追われる身となり、世を忍ぶ生活を続けていた。憲兵隊に追われ窮地に陥ったミキを救出した謎の女性マダムKは、ミキに女性ばかりで構成されたAA傭兵部隊「$-Duty」隊を結成するためのメンバー集めを命じる。マダムKとの約束通りに、指定された若い女性のメンバーを一人一人と集めていくミキであったが、マダムKはこの傭兵部隊に、もう一つのあまりにも突飛な任務を与えた……。近未来の地方都市オキャーマを舞台に、表家業のご当地アイドルとして活動しながら、裏でAA傭兵部隊として困難な任務に立ち向かっていく若き女の子5人の汗と涙とナンセンスギャグ物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-11-24 00:23:38
55718文字
会話率:36%
ロボット+西部劇+世界大戦前夜な混沌とした世界。
そんな時代でアメリカの南北戦争が終わって数年後、まだその火がくすぶってる中。
世界を手にできると言われた「遺産」を求め、
ジパングのテロリスト逆卍党。
敗残した南軍残党アレン一派。
そんな中
、英雄ホリディ少佐の娘、キャロル・ホリディは蒸機鎧を駆り戦い抜く物語です。
可愛い女の子あり、バトルあり、ロボットありで頑張って書いてみました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-03-14 22:03:16
199811文字
会話率:32%