昭和二十年八月十五日の終戦の後も南樺太や千島では戦闘が継続していた。
内地の人は「三船殉難事件」を知らない。北海道民でも、わずかになってしまった。
最終更新:2024-07-03 07:30:00
1263文字
会話率:0%
昭和45年……1970年、北海道―札幌。
冬季オリンピック開催を2年後に控え、道都は好景気と来るべき豊かな未来を信じ、熱気にあふれていた。
日米安全相互条約締結を頂点とする、国内での学生運動は、東大安田講堂の陥落が決定的となり、市民からは醒
めた目で見られ始めていた。北海道大学の学生・椙原守意は「東京の意思」により支配されつつある北大学生自治会にあり、ひそかな決意を秘めている。樺太出身の彼は思っていた。
――北海道を日本から独立させる。北海道民の目を覚まさせ、独立独歩の道を「否応なく」歩ませるのだ。
上川攻は、軍、警察に次ぐ第三の「暴力装置」である国家公安機構の職員であり、目下、北海道へ飛び火しかけている新左翼・民族派ゲリラの活動を監視していた。北海道旭川市出身――札幌が目の前で姿を変えていく。
定山渓鉄道は東急に買収され、「札幌急行鉄道」として生まれ変わり、オリンピック招致を機に地下鉄南北線の建設が急ピッチで進んでいた。人が流れ込み、金も動く。よからぬ考えを抱く輩も増える。彼は北海道の治安を維持し、上層部の命により、「何としてでも」札幌冬季オリンピックを無事開催することを至上命令とされていた。
大東亜戦争を経験していない日本。
南樺太・千島が日本領であり、アメリカとは微妙な力関係を維持し、欧州では史上最大の戦争と言われた独ソ戦を経て、ドイツ・ソ連の対峙が続く、「もう一つの世界」。
物語は、「街が生まれ変わっていく」札幌を舞台に、進む。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-25 23:00:47
36888文字
会話率:75%
極東ソ連軍により南樺太・北海道が戦場になったもう一つの日本。陸軍空挺士官の上良大尉は、大連・インドシナでの戦いを終え、新たな戦場にやってきた。彼は軍上層部に呼び出され、「生ける軍神」と全軍から尊敬を受ける唐津大佐の暗殺指令を受ける。唐津大佐
は北海道戦線で離反、大雪山の中に独立王国を築いているという。上良は陸軍の74式戦車を引き連れ、クルーに目的地を知らせぬまま石狩川沿いを遡行する。上良は唐津の資料を読む。上良大尉らを待ち受けていたのは、開拓した土地を躊躇なく捨て去ろうとする北海道民と、樺太を捨て石にした日本軍の姿だった。
コンラッド「闇の奥」
コッポラ「地獄の黙示録」
滝沢聖峰「Heart of darkness」
以上より翻案。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-11-02 04:50:13
29264文字
会話率:69%
ソ連によるポツダム宣言受託拒否。血の滲む思いで降伏を決断した日本は、なおもソ連と戦争を続ける。
1945年8月11日。大日本帝国はポツダム宣言を受託し、無条件降伏を受け入れることとなる。ここに至り、長きに渡る戦争は日本の敗戦という形
で終わる形となった。いや、終わるはずだった。
ソ連は日本国のポツダム宣言受託を拒否するという凶行を選び、満州や朝鮮半島、南樺太、千島列島に対し猛攻を続けている。
なおも戦争は続いている一方で、本土では着々と無条件降伏の準備が始められていた。九州から関東、東北に広がる陸軍部隊は戦争継続を訴える一部を除き武装解除が進められている。しかし海軍についてはなおも対ソ戦のため日本海、東シナ海、黄海にて戦争を継続していた。
すなわち、ソ連陣営を除く連合国はポツダム宣言受託を起因とする日本との停戦に合意し、しかしソ連との戦争に支援などは一切行わないという事だ。
この絶望的な状況下において、彼らは本土の降伏後、戦場で散っていった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-22 12:12:13
36970文字
会話率:18%
架空戦記創作大会2019春参加作品です。
ソ連軍の侵攻を自衛隊が迎え撃つストーリーです。
最終更新:2019-05-05 13:03:34
2785文字
会話率:31%
1944年、開戦当初の思惑通りに連合国と講和を果たした日本だったが、領土的野心を抱いていたソ連軍の侵攻を受け北海道の北半分、千島列島、南樺太を奪われる。そしてソ連の配下、日本人民共和国が独立。北海道の半分を境に、日本は南北に分断された。かつ
て占守島守備隊に属していた砂川はシベリア抑留を経て、人民軍の兵士として北日本に降り立つ。南北の対立が続く中、1950年、遂に南北日本の間で開戦の火蓋が切って落とされた―――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-11-15 03:00:00
98034文字
会話率:34%