ここは、神話の日本と異世界が混ざり合った世界――万葉。
人々は家系ごとに異なる“神力”を宿し、神々の加護を身に纏い暮らしている。
中でも太陽神・天照大神の加護を受けた王家は絶対の権力を持ち、まるで天皇のごとく崇められていた。
だが、そんな
神々の恩恵を一切受けずに生まれた者も存在する。
彼らは“無神者(むしんしゃ)”と呼ばれ、存在そのものが穢れとされ、差別と迫害の対象だった。
十五歳の少年ミコトも、そんな無神者の一人。
母と共に隠れ住んでいた彼は、ある日、王家の次男に母を殺され、絶望の底に落ちる。
飢え、孤独、怒り――そして、自らの無力さに打ちひしがれたそのとき、彼の前に現れたのは、
神々と敵対する存在、地獄の王・閻魔だった。
「汝の魂を寄越せ。代わりに、“裁きの加護”を与えよう。」
神に選ばれなかった少年に与えられたのは、神々の罪を暴き、打ち倒す“地獄の力”。
――これは、世界の理から外れた少年が、神々に抗う物語。
やがて彼は知る。
かつて仏たちが封じられた理由を。
そして、数百年の封印の果てに、静かに目覚めを待つひとりの青年――
仏の加護を受けし不老の男との邂逅が、この世界を大きく動かすことを。
神と地獄と天国が交差する、反神話黙示録、開幕。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-03 00:12:57
4179文字
会話率:21%
奈良の終わり、平安の始まり。
戦乱と混乱の狭間にあった時代、朝廷の武官として生まれた坂上田村麻呂は、ただ武を振るうために生まれたのではなかった。
東国の情勢を知る中で、「剣は誰のために振るうのか」という答えなき問いを深く胸に刻む。
やがて
現れる、蝦夷の英雄――阿弖流為(アテルイ)。
阿弖流為は、民を守るために朝廷と刃を交える一方で、密かに黒き契約を交わしていた。
田村麻呂と阿弖流為。
仏の加護を受けた将と、神の影を背負った王。
二人の出会いは、単なる戦の決着では終わらない。
信仰と征服、祈りと武、誠と裏切り――
すべてが交差する時、田村麻呂は「戦いの本質」と「人の在り方」に直面する。
これは、一人の武人が“光”となって国を照らすまでの記録。
後に「征夷大将軍」と呼ばれ、東北の地に平和をもたらした男の、祈りと剣の物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-01 12:00:00
10904文字
会話率:30%
屋島の合戦。
義経に大役を押し付けられた那須与一崇高は、神仏の加護を念じながら平家が示した扇落としを完遂した。だがすぐに扇を拾い上げ船首で踊り狂う黒い大鎧の武者を義経の命により二射目にて射殺す。
その夜、義経に誘われるがまま松原へと分け入っ
た与一は、夕暮れに射殺した黒い大鎧の男と義経が肩を並べるところに出くわす。
あまりの不気味さに逃げ出す与一はしかしすぐに二人に囚われ、義経が奇怪な言葉を並べて与一を「狭間」へと送り飛ばす。
目が覚めた与一は置かれた場は再び合戦の場。だが、その景色はあからまさに一変していた。見慣れぬ武具、見慣れぬヒトガタ、見慣れぬ敵に、見知った京の都。
狭間へ「流された」与一は命を繋ぐべく再び合戦へと身を投じる。
その手には大弓はなく、しかして狭間筒が握られていた。
「我こそは屋島の扇落とし!那須与一崇高であるぞ!日光権現よ斯くご覧あれ!狭間に轟く我が一射、現世の先まで届けようぞ!」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-19 16:39:18
10572文字
会話率:34%
善行や徳を積んだ者は来世にて神仏の加護を得られ、幸福に満ちた生涯を歩むことが出来るという転生の概念。これが事実なのだとしたら怨念や恨み、負の感情を凝縮して作られた存在に幸福は訪れないのか?生まれてから死ぬまで不幸なのか?ああだこうだと口にし
ても埒が明かないので、そういう存在を作ってみた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-02-04 00:25:43
3402文字
会話率:32%
町の嫌われ者で鼻摘み者の隆が遭遇する真の恐怖のお話しに
あなたは背筋を寒くさせずに居られるのか?
最終更新:2013-08-30 21:42:26
7812文字
会話率:26%
遥か昔、武士の時代。山の幸、海の幸に恵まれた豊かな国があった。
彼の国には、代々仏の加護を受けた美しい姫が生まれ、古の盟約により、
山の主である狼の王が守護獣として生涯仕えるという。
その国の名は結城藩。
そびえたつ城は美しく荘厳で、天守
閣の欄干に散りばめた螺旋細工が、
月光を受け、綺羅めき輝く所から、月光城と呼ばれていた。
だがしかし、その天守閣に君臨するのは最早、人間ではなかった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-01-18 07:41:05
53509文字
会話率:48%