赤ずきんは、布の被せたバスケットの中に、バゲットと葡萄酒を入れて、おばあさんの元へ買い物に行ったんだとか。
そして、赤ずきんは、寝込むおばあさんに向かってこう言った。
「おばあさん、おばあさん。なんでおばあさんはそんなに口がそんなに大き
いの?」
その言葉を最後に、赤ずきんは食べられた。胃液で半身は火傷跡の様に爛れ、髪の毛は溶かされ生えてこない。
待つのは死、のみである。
もしも、この赤ずきんの少女の物語に、狩人が存在しなかったら。
赤ずきんは、隠し持っていたペーパーナイフで、自らオオカミの腹を掻っ切った。
女を捨て、醜い身体を噛み締めながら。
「憎いっ……憎い、何も出来ない私が憎いっっ!!お前を殺して、殺して、ぶっ殺して!!私も死ぬっ!」
そんな、純血に血濡れたとある少女の物語。
白色の終焉の森に囲まれて、雪降る大地に産まれ堕ちたは大罪人。何人たりとも、彼らの鎖は阻めない。何方共々死を望む、その名は、ヴェルギリウス。
又の名を、童話殺しのスレイヤー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-28 06:00:00
69619文字
会話率:34%
魔界の王太子、ハルト=サクラーヴァ=ヴェルギリウス二世。彼は自他共に認める、無力・無気力・怠惰な王子だった。
しかしそんな彼は、ある日自分の命を救ってくれた人間の少女に一目惚れ。彼女に逢いたい一心で魔界を飛び出してしまう。
武術も魔法も素人
のハルトだが、自分でも気付かぬ魔王子という基本スペックの高さで魔獣を退治したり見知らぬ人に騙されたり迷惑をかけたりしながら冒険を重ね、徐々に自分の立場と役割を自覚していく…のかもしれない?
この作品は、世話焼き魔王の勇者育成日誌 の続編にあたります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-09-24 20:56:42
1059277文字
会話率:38%
『ティベリウス・ネロの虜囚』の時系列的続編。古代ローマ歴史フィクション、第三弾。後の皇帝ティベリウスとその友人たちの若き日々を描く。
前27年4月、ティベリウス・ネロは、ローマ名門貴族の若者として成人式を挙げる。同年、元老院よりアウグス
トゥスの称号を贈られた継父の下、ローマは新しい時代を迎えた。平穏な日々を過ごすティベリウスに、いよいよ初陣の時が近づく。
一方、彼の友ルキリウス・ロングスは、父親の没したアレクサンドリアへ赴く。そこでは浅からぬ因縁が、存外の舞台へ彼を導く。
奇妙な出会いと非情の別れ。
ガリアとヒスパニア。
エジプト、そしてアラビア──。
世界の両端にかけ離れた若者二人が、運命の渦流を踏み進む。
「幸いであれ、我が愛する者よ」
※※※※※※※※※※
三作目を書きました。三年半ぶりです。時系列は、一作目『ティベリウス・ネロの虜囚』の第四章の後からです。全六章構成。およそ58万字。
こちらのブログにも、冒頭部分やこぼれ話等を掲載しております。「A.Banana.S」(http://anridd-abananas.hateblo.jp/)
連載中に、参考文献一覧を挿入します。過去作との重複も多いので、一部そちらのリストへのリンクでご容赦願います。地図や人物紹介等の資料も載せる予定です。
地名等は、必ずしもラテン語・ギリシア語を片仮名にしたものではなく、現在の一般的な呼称(と筆者が思っているもの)、あるいは作中で違和感がないと思われるもの、と使っております。不統一な点は誠に恐縮です。
一部、殺傷描写があるため、R15をつけております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-05-08 00:16:59
590496文字
会話率:38%
東京に破滅の兆しがあるといっとう初めに気がついたのはナポリの魔術師ヴィルジリオそのひとだ。
彼はむろんラテン文学最大の詩人ヴェルギリウスではない。残念ながら、英雄譚『アエネイス』を描いた大詩人が魔術師だったのは中世の伝承にすぎない。
けれど
も時が過ぎた二十一世紀、まして令和の時代になろうとも、人智の及びもつかぬ不思議はなくならない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-10 13:52:42
42629文字
会話率:31%