先の大戦は、各国に大きな傷を残した。
飢餓、恐慌、移民問題、人種差別――。
今は亡き西の小国・オルロジェール王国では、戦乱でコーネリア女王が命を落とし、彼女の愛したという「とある強大な武器」が行方不明となっていた。
旅人のアンヘルは、大
きなギターケースを担ぎ、戦争の傷が癒えない街を転々としていた。
とある街の居酒屋に立ち寄ったアンヘルは、その街の良くない噂を耳にし、独自の調査を開始する。
しかし、アンヘルを待ち受けていたのは、思いもよらぬ大きな陰謀だった――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-07 16:29:33
6834文字
会話率:57%
大学三年生の西侑人(にしゆうと)は、自分の進路について悩んでいた。
裕福な家庭環境で、なに不自由なく育った侑人は、アルバイトやボランティア活動などの社会経験もなく。周囲が就職活動に対して積極的になっているのを、どこか他人事のようにしか感
じられずにいた。
そんな侑人が唯一夢中になれるのは、絵を描くことであった。小さい頃から呼吸するかのように、暇さえあれば絵を描いて生きてきたのだ。
しかし、侑人は、自分の描いた絵を誰にも見せたくないと強く思っている。それは、自分の絵を他者から批判されたり、否定されたりするのが怖かったからだ。誰かに否定されることによって、絵を描くこと自体が、怖くなってしまう気がしていた。
侑人には九歳年上の兄、昌秀(まさひで)がいる。兄もまた侑人と同じように、幼い頃から絵を描くことが好きだった。現在では、売れないながらも画家を職業としている。
兄は、当たり前のように両親からの援助を受けて、売れない画家として生きている。侑人は、そんな兄の姿を見て「兄のようにはなりたくない」と思っていた。
世の中全体が、なんだか不景気なムードで、経済的にも苦労をしている同級生が多い中。侑人には、親の援助を受けながら画家になる、などという将来は、ずいぶんとお気楽で、世間ずれしているように思えて仕方がなかったのだ。
そんな時、侑人は同じ大学に通う柏木悠輝(かしわぎゆうき)と出会う。悠輝は、少々古風な喋り方をする変わり者。明るく朗らかだが、どこか人生を達観しているようなところのある人物だった。いつもギターケースを背負っていて、「ロックだな」という言葉が口癖だ。そして、その口癖通り、音楽をとても愛している人物だった。
悠輝にも侑人と同じように九歳年上の兄がいた。悠輝の兄は有名ロックバンドのボーカルをつとめている。悠輝は「兄が有名バンドマンになった」ということを理由のひとつに、自らのバンド活動や、ライブ活動などを自粛していた。
侑人と悠輝は、互いに「自分よりも先を歩く兄」の影響を受けている者同士として親しくなっていく。
友や家族に背中を押されながらも、自分自身の道を探し、進むべく、小さな決意を繰り返す。一進一退しながらも、不器用に前へと進もうとあがく、成長の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-20 11:31:54
64893文字
会話率:42%
大学三年生の西侑人(にしゆうと)は、自分の進路について悩んでいた。
裕福な家庭環境で、なに不自由なく育った侑人は、アルバイトやボランティア活動などの社会経験もなく。周囲が就職活動に対して積極的になっているのを、どこか他人事のようにしか感
じられずにいた。
そんな侑人が唯一夢中になれるのは、絵を描くことであった。小さい頃から呼吸するかのように、暇さえあれば絵を描いて生きてきたのだ。
しかし、侑人は、自分の描いた絵を誰にも見せたくないと強く思っている。それは、自分の絵を他者から批判されたり、否定されたりするのが怖かったからだ。誰かに否定されることによって、絵を描くこと自体が、怖くなってしまう気がしていた。
侑人には九歳年上の兄、昌秀(まさひで)がいる。兄もまた侑人と同じように、幼い頃から絵を描くことが好きだった。現在では、売れないながらも画家を職業としている。
兄は、当たり前のように両親からの援助を受けて、売れない画家として生きている。侑人は、そんな兄の姿を見て「兄のようにはなりたくない」と思っていた。
世の中全体が、なんだか不景気なムードで、経済的にも苦労をしている同級生が多い中。侑人には、親の援助を受けながら画家になる、などという将来は、ずいぶんとお気楽で、世間ずれしているように思えて仕方がなかったのだ。
そんな時、侑人は同じ大学に通う柏木悠輝(かしわぎゆうき)と出会う。悠輝は、少々古風な喋り方をする変わり者。明るく朗らかだが、どこか人生を達観しているようなところのある人物だった。いつもギターケースを背負っていて、「ロックだな」という言葉が口癖だ。そして、その口癖通り、音楽をとても愛している人物だった。
悠輝にも侑人と同じように九歳年上の兄がいた。悠輝の兄は有名ロックバンドのボーカルをつとめている。悠輝は「兄が有名バンドマンになった」ということを理由のひとつに、自らのバンド活動や、ライブ活動などを自粛していた。
侑人と悠輝は、互いに「自分よりも先を歩く兄」の影響を受けている者同士として親しくなっていく。
友や家族に背中を押されながらも、自分自身の道を探し、進むべく、小さな決意を繰り返す。一進一退しながらも、不器用に前へと進もうとあがく、成長の物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-20 11:30:00
65582文字
会話率:35%
音無夕太郎(おとなしゆうたろう)はかつて、川に飛び込んで自殺を図ろうとした二十代の女性を助けて表彰されたことがある。そんな彼がいまは死ぬことを考えている。二十代ならまだいくらでもやり直しがきく。でも、40を過ぎてすべてを失っただけではなくこ
の先の責任だけが残る。人生に失敗したことが明らかな自分には死ぬことが最上の選択肢だ、そう考えずにはいられなかった。
彼はユキという社内の二十代の女性と不倫関係にあった。そのユキが妊娠をし、子供は産む、奥さんと別れてほしい、と言って会社で手首を切る騒ぎを起こした。しかもユキは会社を辞めないと言い張る。音無夕太郎は会社を辞めるしかなくなった。意を決して妻に話したところ、妻は小学生になったばかりの息子を連れて実家に戻り、離婚の交渉を弁護士に一任した。音無夕太郎は不倫相手と妻の両方から慰謝料を請求され、仕事も失い、投資の失敗で借金も残り、しかも今後20年に及ぶ養育費の負担もある。会社をやめて一か月がたっても「死ぬのが一番いい」という考えが浮かんで職探しをする気にもならない。夏の終わりの夕方、最後の晩餐のつもりで音無夕太郎は街に出る。
駅前でエレクトリックギターの弾き語りをしているリコという女がいた。音無夕太郎は彼女の歌声と表情にすっかり痺れてしまった。生きるとか死ぬとか、そんなことはどうでもよくなった。最後の晩餐の気分も吹き飛び、ビールと中華料理で胃袋を満たした。
店を出て歩いていると、ギターケースを括りつけたカートを引きずっているリコが歩いている。リコは音無夕太郎に気づいて挨拶をする。
「素晴らしい歌だった、またぜひ聴かせてほしい」彼が言うと、リコはこう返した。
「死にたいんでしょう? 一緒に死んであげてもいいわ…」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-08-27 20:13:54
16220文字
会話率:35%
7月半ばの3連休に電車に乗っていたら、『日曜日の21時過ぎにギターケースを背負い、制服姿で港町に降りていく一人の女子高生』という、妙に感傷を刺激する明るい暗色のような存在に遭遇してしまった結果、衝動的に書かれることとなったショートショートで
す。
数分でさくっと読めますので、宜しければスナック菓子感覚でご一読ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-30 05:28:32
2355文字
会話率:14%
僕は空のギターケースを背負っている。。
この作品はショートショートガーデンに投稿済みです。
https://short-short.garden/S-uCTpKc
最終更新:2021-06-30 16:00:10
357文字
会話率:24%
大学を卒業し1年が経過した5月、高野亮太はコンビニでバイト生活を送っていた。
別に就職失敗や就職先がブラックで辞めたとかではなく、将来にやりたいことを見いだせず、会社で就職し働く気もなかったためであった。しかし、一人暮らしをしている以上金に
困らないようバイトを週5で大学1年生の時から続けている。趣味らしい趣味も無い。ただ、帰宅後に録画していた深夜アニメを観ながらカップ麺を食べるのが至福の時を感じる時である。そんな彼が最近、バイト先のコンビニで気が付くことがあった。土曜日と日曜日の早朝にギターケースのようなカバンを荷物に持った集団客が数グループもここ1.2年で現れ始めたのだ。レジ打ちや品出しをしながらその集団客の話をこっそり聞いていると、どうやら「サバイバルゲーム」通称:サバゲーをやっているらしいことが判明した。サバゲーとは一体何なのか。どんな世界なのか。彼の新たなフィールドが開かれる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-02-28 21:00:00
32035文字
会話率:54%
少女はその瞳を大きく見開いていた。
本がスルリと手を離れ、重力に逆らうこともなく自由落下運動を始める。
それは普遍なことで、林檎が落ちて、花が散って、涙が零れることと等しく変わらない。
ただ、今僕等が目の当たりにしている景色は明らかにそれら
とは違った。
エレベーターに閉じ込められたのは、僕と少女と花束を抱えたサラリーマン、そしてギターケースを背負った少年。
赤に染まった密室の中での5時間。
ただの偶然や必然を、奇跡や運命だと言うのなら。
これは少しだけ重なった運命の話。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-08-10 20:40:38
6531文字
会話率:22%
中学生だった凪は親の離婚がきっかけで声楽部を退部してしまう。
大好きな歌を失った凪は、高校に進学しても浮いていた。
ある日、学校をさぼって海辺を歩いていると、偶然に洞窟を見つける。
洞窟の中に入ると真っ黒いギターケースが隠してあった。
そ
のケースに指先をかけた瞬間、背後から「触るな!」と声が響いた。
振り返ると、同じ高校の制服を着た少年が腕を組んで立っていた。
彼の名前は蒼一。
祖父からもらったという青いギター『サンライズ・ブルー』を、見たこともないような奏法で自由自在に使いこなす。
秘密の洞窟を共有する事になった二人は、不思議な運命へと導かれるのであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-05-05 20:32:54
12652文字
会話率:45%
ショートショート
電車に乗った「私」はギターケースを背負う二人の女子高生を見て、駆け抜けた青春を思い出す。
ブログで公開中のものと同じものです。
最終更新:2014-05-26 01:47:55
1715文字
会話率:11%
早々に就職が内定した大学4年の夏に、暇をもてあました僕はひとりでレンタカーに乗ってドライブに出かけた。修士論文でノイローゼ気味の恋人が相手をしてくれなかったからね。適当に走った後、思いつきでフェリーに乗り込み、小さな観光の島を訪れると、僕は
そこで奇妙な女の子に出会った。彼女は何ていうか、まるでたんぽぽの綿毛をおいかけて旅しているような、捉えどころの無い旅人だった。小さなスポーツカーにギターケースと子猫を乗っけたおかしな女の子と過ごしたほんの数時間の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-03-25 22:39:05
23265文字
会話率:27%