赤い瞳が揺れる。
いつになったらこの茶番は終わるのかと。
貴方のために、愛されるために、努力したのに。その結果がこれか、と鼻で笑う。
「元第一王子妃、ローズを処刑する。」
後ろ手を鎖で繋がれピタリと首に刃をあてがわれる。
「っはは、あははは
っ!!」
狂ったように笑う。心の底から笑ったのは何年ぶりだろうか。
青い瞳の獣人が驚いたように目を見開く。
黒の瞳の男は凛としてこちらを見ている。
民衆は殺せ殺せと喚いている。
雑音の中その声は私の耳元ではっきりと聞こえた。
深紅の瞳の悪魔が囁く。
『次はもっと上手くやってね。』と。
深呼吸をし、答える。
「もちろん。だって私は‥」
『悪役』令嬢ですもの。
鮮血が舞う。舞台が赤に染まっていく。
そう、これからが彼女の舞台なのだ。
物語は常にハッピーエンドで終わる。まぁ誰だって物語を読むときくらいは幸せな気持ちになりたいだろう。しかし、そんな物語に必要な役が悪役というものだ。
これがいないと物語はハッピーエンドへと話が進まない。悪役こそが唯一幸せを運ぶ者なのだ。だから、私は決めた。
真実を知り、決意したのだ。
魔力で溢れた世界のこの美しい物語の悪役。
そう。私は完璧な悪役になると。
後に誰かが言う。
「あの子は僕の可愛い愛し子さ。悪役なんてあの子には似合わないけどね、僕は彼女のためならなんだってするよ。」
と深紅の瞳の少年。
「あの人はなんと言うか、手のつけようがございません。」
と死んだ目で言うメイド。
「アイツを怒らせたく、ない。」
と耳を倒してばつが悪そうに言う獣人。
「さすがはローズだ。」
と嬉しそうに語る銀髪の男。
「‥加減を知らない人だ。」
と黒い瞳を細め楽しそうに笑う男。
これは愛されることを知らない、死に戻り『悪役』令嬢が作り上げる物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-15 16:51:44
50437文字
会話率:42%
俺はヒーローを倒すために日々活動している悪党
ハンマー使いのハンマー・フィストだ。
そして狙うヒーローはここデッド・タウン一番の善人と
言われる、仮面の剣士、マンティス・ソード
奴は何度も民衆や町を救い、今では英雄として祭り上げられているほ
どだ。
しかし、ヤツはどんな時でも自身の仮面を
外そうとはせず、どんな時でも孤高のヒーローだった。
そしてかくなる俺様も、デッド・タウン一番の悪党として
マンティスソードとずっと戦いを続けてきた。
だが…ある時いつものように、マンティスソードと戦っていると奴が急に倒れたのだ。
聞くところによると奴は末期がんを患っており
余命わずからしい。
俺は奴の最後のお願いにある事を頼まれた。
「お前が仮面を被り、この町を守ってくれ、と」
孤高のヒーローに紛れた悪役による
ヒーローショーが今開幕する。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-14 23:30:48
2256文字
会話率:38%
「婚約破棄だ! 貴様には、火あぶりすら生ぬるいっ!」
魔法の名家の長女フェアリー・アン・トワネットは、幼い頃から両親と妹からいじめられていた。
やがて成長し、フェアリーはマギアルクス王国のジャクヒン第二王子と婚約するが、花嫁修業中に第一王
子暗殺の疑いをかけられてしまう。
裁判の結果有罪となり、塔に幽閉されるフェアリー。
かたや妹のバンシーはジャクヒン王子と婚約する。
姉妹の命運は大きく分かれるのだが、フェアリーは毒親とモラハラ婚約者から逃げられたと大喜び。
快適な牢獄ライフを送るのだが、なぜかいつのまにか民衆から聖女と呼ばれるようになっていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-03 12:05:23
43251文字
会話率:30%
パルブス国で次々と起こる魔獣の侵入や呪病を解決するため、
皇国エルシオンより派遣されたアスティレア。
しかし赴任わずか二か月弱で、パルブス国の第三王子より
衆人環視の中、国外追放を宣言されてしまう。
その理由は、聖女ではないから、というもの
だったが、
そもそも聖女として呼ばれたわけではないのに。
きちんと仕事もしていたのに、なんで?!
これは特権意識の高い王族と貴族が、
自国より大きな国からやってきた少女に対し
身分が低そうなくせに自分たちより能力が高いことが許せず、
また密かに民衆に隠れて暴利をむさぼっていたことを
あばかれないように急いで追放したけど、
それは滅亡への始まりでした……というお話です。
怒涛の逆転裁判まで、どうぞよろしくお願いいたします。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-29 23:05:11
733122文字
会話率:19%
ファッション文化が全く発展していなかった世界の平民の家に生まれた少女リーリエはある日前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は自作の衣装を着て多くのコスプレイベントに参加していた筋金入りのコスプレイヤーだった。
前世の記憶を頼りに可愛らし
い衣装を仕立てるとそれが町中で評判となりリーリエは人々の為に衣服を司る女神クロウスを信仰する教会の中で多くの衣服を仕立てる。
リーリエの噂はついには国王陛下の目に留りとんとん拍子でリーリエを王太子セリオスの婚約者とする話が決まった。
しかしセリオスの誕生パーティーで教会の聖女フレミアに今までの自分の功績と共にセリオスの婚約者の座まで横取りされてしまう。
王都を去ったリーリエは辺境の地で民衆たちの為に衣服を仕立て、いつしか町は発展しついには女神の生まれ変わりとして崇めらられていく。
リーリエは良き理解者とも出会い幸せな日々を過ごす一方でセリオスとフレミアの二人は徐々に落ちぶれていくのであった
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-23 21:17:36
80595文字
会話率:38%
皇帝陛下の御前に引きずり出されたアンリエッタは跪き声をあらげた。
「私が子供達を殺したのです」
アンリエッタの視線から握り締めて震える拳が映ったと思った瞬間、次の画面に移り変わっていた。
◇◆◇
『「自分の子供を殺すなんて、恐ろしい
魔女め。お前なんか早く死んでしまえ」
断頭台の前に集まった民衆から、アンリエッタは罵声を浴びていた。
「よくも、侯爵家の血筋を継いだ子を殺したな!呪われろ」
それは夫であるブルークの口から聞いた最後の言葉だった。
アンリエッタはうつむいていた。
◇◆◇
バッ
目覚めると子供達を殺して処刑された5年前に遡っていた。
あれは実際に起きた前世の記憶。
何故こんな事が起きたのかは分からないけれど、人生をやり直せるなら子供達を救わなければ┅┅。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-20 07:20:00
62850文字
会話率:41%
2世紀、中国大陸は長年統一王朝として君臨し続けてきた後漢王朝の政治が乱れ、打ち続く天災に対して有効な手を打てず、民衆は貧苦にあえいでいた。
後漢の皇帝の権威は揺らぎ、数百年にわたって皇帝が天子として祀ってきた「天」もまた絶対的な地位を失い
はじめる。
後漢が奉じる「天」は果たして護り続けるに値するものなのか、それとも新たな「天」を創っていくべきなのか。
これは漢末・三国時代、天をめぐる幾多の物語である。
……………………………………………………………
さて、今作で扱うのはいわゆる「三国志」です。
ただ、常にすき間をねらって書き物をしている筆者ですので、曹操や劉備といった誰もが知る主人公枠ではなく、なるべく脇役を選んで書き綴っていこうと考えております。
タイトルの「天の記」には2つの意味をこめました。
・「天」をめぐるいくつかの物語を編んだ作品であること。
・測量用語である「点の記」にかけ、1つ1つの物語をつなぎ合わせていけば、漢末・三国時代を貫く一編の長編になること。
最初の人物である「張角」から始まって、列伝形式で記述していくことで、後漢末から西晋時代にいたる「三国志」の世界を描いていこうと考えております。
史実をベースに展開していくつもりではありますが、筆者の独自解釈や妄想もいたるところで入ると思いますが、よろしくお付き合いください。
なお、更新は毎週月曜日と金曜日の朝6時を基本とし、休載の場合は「活動報告」でお知らせいたします。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-15 06:00:00
678300文字
会話率:14%
冤罪で剣奴にされ、500戦無敗。
最強の剣奴王となったダリウスは、たった一度のチャンスをとらえ皇帝を弑逆する!
囚われの身となり死を覚悟したダリウスだったが、しかし民衆評議会の思惑で〝圧政から帝国を救った英雄〟として次代の皇帝にされ
てしまう。
剣奴から皇帝になった彼は、名高き宮廷魔術師ロットナーと協力し、税制を改革、治水と物流を改善し、貴族を押さえ、人民への教育を行い、10年で帝国を変えてしまった。
だが、ダリウスにとっては宮殿こそが豪奢な牢獄だった……。
剣奴として10年、皇帝として10年。
名高き皇帝となったダリウスは、悪徳貴族による叛乱を利用してロットナーとともに宮殿から脱出し、20年ぶりの自由を得る!
おっさん二人の気軽なナンパ旅の筈が、なぜか困っている人や子どもばかりを助けることになり!?
剣奴帝ダリウスと賢者ロットナー。
はたして二人は貴族と評議会の追っ手から逃れ、良き伴侶に巡り会い、平穏無事なスローライフへと辿り着けるのか?
不良中年二人組、気ままでトラブルだらけの旅が、いま始まった!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-12 17:10:00
70765文字
会話率:50%
赤獅子と呼ばれ、長年の戦争を終わらせた若年の英雄イスマイール・イスカンダル。
その後も赤獅子隊を率いて、異民族3つを平定し、従属させた民を搾取することなく宗教の自由・自由自治の形式を中央に認めさせた英雄。
しかし、大司教の殺害未遂で悪魔
に魂を売った異端として、火あぶりの刑に処された。
赤獅子はこの事件により、帝国の歴史から削除され箝口令が敷かれたが、民衆の記憶や兵士たちの記憶からは消えない。赤獅子の幻影を追い求める者も数多く存在した。
しかし、英雄の死後直ぐに、辺境のガラパゴス村にフィリッポスという人物が山から降りてきた。
イスカンダルの特徴である赤い瞳に黒い髪色をもった少年。
彼は私塾を開き、子供から大人にまで文字の読み書きを教え、商人との交渉術・作物の育て方、冬の過ごし方、人をもてなすときの作法やマナー、自衛のための戦い方まで
そのおかげで、この村は辺境では珍しく発展を遂げ始めていた。
しかし、かつて赤獅子が平定した異民族が大勢を率いて村へやってきた。
それが後世に伝わる「赤獅子伝説」の始まりだった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-25 14:00:00
44569文字
会話率:35%
令嬢であるシンシア・ウーダンウェルドは婚約者のハーゲン・ハストバーン伯爵に婚約を破棄されてしまう。理由はシンシアが夜な夜な外出しているからというものだったが、伯爵にカーミラ・ヴィレオルドという金髪巨乳の新しい愛人が出来たからというのが本当の
理由なのは明白だった。
追放されるシンシア。同時に、ハストバーン領周辺のダンジョンからは凶悪な魔物があふれ出し、民衆を襲い始める。
実はシンシアは有名な冒険者であり、ハストバーン領を守るため夜な夜なダンジョンの魔物を退治していたのだった。
自由になったシンシアは『地獄の入り口』と呼ばれる最難関のダンジョンに挑むのだが―――!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-01 07:31:10
6808文字
会話率:40%
かつて武力によって地位を築いた一族。エリゴル。大国の皇帝まで成り上がったが、度重なる重税に耐えかねた民衆によるヴェルベト革命により地位を失墜。波乱のなかでアレル以外のエリゴル家の人間は処刑された。
革命後、彷徨う彼女は奴隷商人に捕まり右
手の甲に奴隷の焼き印を押されることとなる。以後、己の名前を隠しただのアレルとして奴隷となった。
それから3年後、彼女の元に一人の青年が現れる。奴隷商人どもを薙ぎ払い、鉄格子を素手でこじ開けたその青年は彼女に跪くのだった。
カクヨム、アルファポリスにも掲載しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-23 23:14:30
3571文字
会話率:51%
勇者なんてなろうと思ってなったわけじゃない。
なのに、国には道具みたいに扱われるし助けたかったはずの民衆すら次第にウザくなってきた。
もういい、こんな世界捨ててやる。俺のことを知らない世界で俺は一般人として自由気ままに生きるんだ。等と思った
矢先、俺は傷だらけの少女を拾ってしまう。
放っておく訳にも行かず、傷の手当をしたり追ってらしき奴らから守っている内に何か凄く懐かれた。
お礼がしたいからとついて行った先はでっかいお城、どうやら彼女はそこの城主で魔王らしい。
のっけからとんでもない奴と関わってしまい。頭を抱える俺。本当これからどうすんだよ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-22 00:04:50
9191文字
会話率:34%
19世紀初め、スペインの植民地支配下でヌエバ・グラナダ副王領(現在のコロンビア共和国)の民衆は重税と抑圧に苦しめられていた。解放者シモン・ボリーバルは300年近くにも及ぶスペインの圧政に抗し、自由を求める人々とともに壮絶な戦いを始める。艱難
辛苦の末に彼らを待ち受けていたものとは?感動の歴史ロマン!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-07 22:55:33
26840文字
会話率:13%
―――あいつらに会いたい。死に場所が欲しい
約20年ほど前に突如天空に出現した黒の城から、おびただしい数の魔物が飛来する。
魔物を呼び出す元凶を断つべく、ルッツ、ブルンネ、クロードヴィッヒ、ジークリット、クヴァストは数々の激戦を繰り返し、
ついに魔王の元まで辿り着いた。
すんでのところまで追い詰めるも、魔王に敗北してしまい、かけがえのない仲間を四人同時に亡くした英雄クロードは、自堕落な生活を送っていた。
仲間の死をきっかけに屈折した彼にとって、無力な民衆が魔物に蹂躙されることも、他人事になった。
生きる希望、かつて抱いていた平和への理想、どんな命も守り抜く信念。
いろいろなものを見失ったクロードの元に、茶髪の女戦士ノーラが現れる。
彼女は“小さな種火”なる組織へと、クロードを勧誘するも、彼はそれを突っぱねて……。
転生なし、転移なしの男女バディ物ファンタジー。
流血描写、暴力描写がありますので、苦手な方はご注意を。
この作品は中二病の小卒ブログ、ハーメルンにも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-03 14:04:34
60779文字
会話率:42%
最強と言われた伝説の4人のパーティーがあった。勇者バスター、戦士パワード、魔法使いメイシン、そして荷物持ちという役職のグード。
バスター、パワード、メイシンは民衆から絶大な人気を誇っているが、荷物持ちという役職からかグードは全く目立たず人気
も無い。
しかし、実はグードはめちゃくちゃ強くて・・・過保護?にされているだけだった!
あんまり重いのは得意じゃないので、内容は全体的に出来るだけ明るい感じに書いていこうと思ってます。
カクヨムにも投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-30 10:44:40
74940文字
会話率:52%
魔王軍幹部の貴族令嬢ニーナ・ラナトゥスは勇者に敗北し死刑を待つ虜囚となった。
裁判も済み死刑執行も確定し、明日には絞首台へと立たされる哀れな身。
日の出とともに首を吊られ哀れな死に様を民衆へと晒し、彼女はやがて歴史書に無様な悪役として
記される……
……はずだった。
執行を直前に控えた夜。
自分を捕らえた勇者の仲間が一人、牢を訪れこう言ったのだ。
「勇者が死んだので代役が必要になった」「死刑を免れたければ、顔と名前を変えて勇者として活動しろ」と。
ニーナはその取引に了承した。
悪役令嬢はこうして再び日の目を浴びることとなる。
悪役としてではなく、今度は勇者として。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-28 23:00:00
219356文字
会話率:48%
牢獄同然の塔の中、最後の王女は両親の死刑の執行を知らせる鐘の音を聞いた。
共和を求める民衆によって革命が起きてから、四年後。全てを失ったリリス=マリー・ド・デュランシスは両親のために祈りを捧げる。そんな彼女の前に立っていたのは、共和派
に協力して革命軍の先頭に立った公爵の息子であり、かつての婚約者であったエセルディ=ルイ・クラウスだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-26 18:11:44
6706文字
会話率:29%
その結果起きたのは……「民衆は巨悪を倒した者を次の悪と見做す」という事態。
ただし、あまりに即物的な形で……。
「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「Novel Days」「ノベリズム」「GALLERIA」「ノベルアップ+」「note」
に同じモノを投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-23 11:39:45
533文字
会話率:58%
とある寂れた港町に奇妙な噂話が流れた。それは、中世に名を馳せた海賊王タウルスの遺した財宝が、近くの浅瀬に発見されたという情報はなしであった。明日食べるものも持たない貧しい民衆の多くが、その噂に惹かれたのは無理からぬことである。欲望にかられ
た乗客たちのたどり着く先は……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-10 15:14:19
3662文字
会話率:32%
冒険者組合。元は品の無い冒険者パーティーがその実力を鼻にかけ自らの利益だけを追い求め、同業への嫌がらせや仕事の寡占、依頼者への横暴等が横行し冒険者の評判を貶めていた。
そして権力者や民衆からも冒険者に対しての危険視の声があがり始めていた
頃、それらに心を痛めていた冒険者であった初代会長がそのような横暴をけん制し冒険者の評判を取り戻すために作られた組合である。
所属するものは依頼者や同業者に対して敬意を払い、足りない人材を斡旋したり大人数の仕事を取り付けたり、値段調整や消耗品の大口購入などで様々な費用を軽減し、教育や金銭の補助や貸付まで行い、お互いに助け合いまたその利益を享受した。
最初は小規模だったもののその理念や実利は冒険者に限らず賛同者を徐々に増やし、その規模は国をも巻き込み、最終的には国境を超える独立団体となったのである。
しかし規模が大きくなり時代が進めばその理念が末端まで行き届かず、悲しき事に逆に冒険者組合の者がかつて、悪とされた冒険者と同じように悪事を働くようになる事例が起き始めたのである。
この事態は組合の設立意義を大きく揺るがすものであり、当時の幹部たちはこれを重く考え専用の業務監査部署を設立したのである。
その名は冒険者組合苦情申出窓口。
名前こそ被害あった人に親しみを持ってもらうため軟らかくしてあるものの、様々な力や隠蔽に対抗するために実力者、さらに適正試験で認められた者しか業務に携われず狭き門になっている。
冒険者や組合の仕事等は癒着のリスクを考え緊急時以外は受けられなくなるものの、トラブル対処とその処置に関する権限は末端ですら幹部級に持たされており、いわば組合のエリート軍団である。
そして今日も冒険者組合であらたな相談が窓口へ寄せられる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-07 02:00:00
5261文字
会話率:62%