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前アカウント本城千聖(ID 366809)からの移行作品です
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鬼と悪魔の間に生れし子、六鬼(ロッキ)
母親は死んだと聞かされ、鬼の一族の中で忌み嫌われつつ育つ。彼には他の鬼にはない力があった。
悪魔への攻撃呪文・ヘブ
ンズドア。
その力を使う時だけは、一族の中にいられた。
実は六鬼にはもうひとつの力がある。鬼と悪魔の間に生まれし彼だからこその力なのだろう。
鬼を滅することができる呪文・羅生門。
五人の兄姉と両親にも言えない秘密を抱えながら、六鬼は成長した。
成長とともに力も能力も大きくなり、亜空間を作り出すことも可能になった。
あるバトルの直後、力を使った反動で、六鬼の体には誰にも知られたくない反応が出る。それは、性的欲求が高まってしまうことだった。
自分でそれをどうにかしたものの、その後、動けなくなる。
亜空間の出入りは、六鬼以外に誰もできない。
熱にうかされ眠る中、六鬼は夢を見る。
その夢の中では、意外な再会が待っていた。死んだと聞かされていた、サキュバスという種類の悪魔の母親。
甘い香りに、挑発の言葉。そこで母親の口から真実が明かされる。
六鬼の母親は、死んだのではなく六鬼の夢の中に存在し続けていたということを。
母親に操られ、行方不明になる六鬼。
六鬼が行方不明になって三カ月が経過した。
いつにも増して多い悪魔に、参戦していた一鬼は嫌気がさした。もう、闘うのは嫌だった。
空には新月。月が浮かぶ空をふいに仰いだ一鬼は、異変に気付く。
月は新月から満月へと、急激に姿を変えようとしている。
そのさなか、父親を含め男鬼が放心してしまう。やがて宙から向かってきたもやのようなものが、男鬼らの体内へ入り込み、そのまま意識をなくす。
女鬼だけになった戦場で、逃げ出したい気持ちになった一鬼の耳に、聞き覚えのある声がする。
「我慢すんの、やめちゃいなって。一鬼姉」
いつもとは違う六鬼が、一鬼の前に現れた。
だがそれは、真実の六鬼ではなく、母親の悪魔が潜む姿だった。
終わったと思われた戦いは、別の火種を携え、家へと戻っていく。
六鬼の中から現れた母親の悪魔、二鬼らが各々で企みと嘘を明かしていく。
その真実の中で、六鬼は自分が護りたいものを護るための選択をする。
選んだ道は、果たして。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-18 12:30:00
54278文字
会話率:34%
ホッとひと息つく時に飲んでいた玄米茶。
その時に思い出された記憶。
なぜ、思い出されたの?
最終更新:2025-07-18 10:00:00
14234文字
会話率:26%
三十五歳、中途採用で入社した男・澤村浩一。
三度目の転職。もう後がない。野心を武器に、どんな手を使ってでも這い上がってやる——そう誓って飛び込んだのは、小さなITベンチャー「アクトリンク株式会社」。
しかしそこには、型破りな服装で営業をこな
す若者、エプロン姿で社内に香りを届ける“カフェ担当”の女性、空を見てからコードを書くエンジニアなど、風変わりだが魅力的な仲間たちがいた。
初めは戸惑いと警戒心に満ちていた澤村だが、日々のやりとりや何気ない言葉、温かく真っ直ぐな人々の背中に触れていくうちに、彼の心に少しずつ変化が訪れる。
「成り上がること」だけを目的にしていた男が見出した、新しい“仕事”のかたち。
個人の野心から、仲間と夢を共有する喜びへ。
これは、小さな会社から始まる、大きな希望の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-17 14:41:56
73020文字
会話率:21%
高校生だった佐伯まひるは、交通事故で命を落とし、気づけば魔法の世界に転生していた。
新しい名前はマヒナ・ロッセ。育ての親はおしゃべり好きな魔女のおばあちゃん。
港町セントベルの小さなパン屋「こもれび亭」で、のんびり魔法×パンな毎日が始まる!
パンを焼いて、空を飛んで配達して、精霊とおしゃべりして、ちょっと恋もして……?
王都にも冒険にも行かないけれど、やさしい風の吹くスローライフは、今日もおいしい香りに包まれてる――。
スローライフからはじまる、やさしくて少し不思議な異世界成長譚。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-17 08:30:00
26442文字
会話率:41%
これは恋ではなく、愛の物語。
最終更新:2025-07-17 01:44:07
27069文字
会話率:54%
あらすじ
「【悲報】ワイのバイト先、猫耳メイドカフェかと思いきや、媚薬香る異世界直通のヤバすぎギルドだった件www」
時給と可愛い制服に釣られて、銀座の路地裏に佇む会員制茶屋「太夫」で働き始めた新人メイドのサキ。
キラキラ猫耳に桜刺繍
のミニドレス、憧れのメイド生活が始まる!――はずだった。
ある日、店内に漂い始めたのは、桜でも白檀でもない、むせ返るような甘い香り。
その瞬間から、いつもクールでSっ気のある先輩メイド・スイの様子がおかしくなる。
やたらと距離が近かったり、甘い言葉で誘ってきたり、その猫耳に熱い吐息を吹きかけてきたり!?
「ちょ、先輩! 近いですって!」「あら、サキ……今日のアンタ、なんだか美味しそうねぇ♡」
混乱するサキの前に現れたのは、ミステリアスな支配人リュウカと、妖艶な謎の女カスミ。
彼女たちの口から語られる「太夫」の秘密――ここは、異世界「妖の島」と繋がり、
天女や鬼といった“本物”の妖たちが「美的体験」を提供する、特別なギルドだったのだ!
しかも、この甘い香りの正体は、どうやら異世界由来の強力な「媚薬」らしい!?
その影響で、メイドもコンシェルジュも、そしてサキ自身も、普段は隠している感情や欲望がむき出しに!?
猫耳ピクピク、尻尾ふりふり、あちこちで巻き起こるドキドキハプニングと、ギリギリセーフ(?)な百合展開!
果たしてサキは、このカオスすぎる茶屋で、無事に一人前のメイドになれるのか?
そして、リュウカが背負う「占い師の予言」とは? 暗躍するカスミの目的は?
扇子が開くとき、異世界と日本、そして美少女たちの運命が、甘く危険に交錯する!
キラキラ×ドロドロ×エロティックな新感覚和風モダン・ガールズギルド物語、ここに開幕!
あなたの知らない“フェチ”の扉、開いてみませんか?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-16 20:00:00
172753文字
会話率:73%
研究所で上席主任研究員として働く越田は、多忙な日々に追われ、自分の時間を持てずにいた。息抜きに立ち寄ったバーで、馴れ馴れしい経理部の本栖湊と出会う。彼が吸っていた廃番から復活したタバコが、越田の大学時代の先輩「やつ」との記憶を呼び覚ます。
かつて「計算機をもっと賢くして、人間は楽をするのだ」というやつの思想に惹かれ、人工知能研究の道へ進んだ越田だったが、やつは世界的なプログラミングツール開発者となり、二人の交流は途絶えていた。やつに連絡を取ってみるも、過去の関係には戻れないことを実感する。しかし、本栖が見せたやつのインタビュー記事から、かつての越田の言葉こそが、やつのキャリアにおける重要な転機となっていたことを知る。
タバコの甘い香りを辿るように、主人公が自身の過去、やつとの関係性、そして人生について思いを巡らせる。
エブリスタにあるのが正本です。
カクヨムにも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-07-15 06:30:00
8018文字
会話率:46%
桜病。それは奇怪で奇妙な、原因も原理も治し方もそのすべてが謎に包まれている夢物語のような……世間一般では「奇病」と呼ばれている病。それは、喜びや希望を吸って咲き、絶望の香りを残して命と共に散っていく桜がもたらす毒の病。
これは、桜に魅入ら
れた少女と、桜の悪夢に誘われた少年の物語折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-14 23:55:34
6033文字
会話率:68%
警察官の風祭は、恋人の優香を殺された過去を抱えながら、同じく甘い花の香りが残る第二の殺人事件に直面する。現場に残された証拠は乏しく、香りだけが唯一の共通点だった。
最終更新:2025-07-14 23:00:00
10861文字
会話率:38%
パンは五感で楽しむものだ。
まずは香ばしい匂いに誘われて(嗅覚)、覗いてみるとまるで工芸品のような美しさに目を奪われる(視覚)。
そして、ひとたび手に取って、口に運んでみるとサクッ、カリッ、もちっ(触覚/聴覚)。
舐めてみると小麦本来
の香ばしさをベースに、甘かったり、しょっぱかったり(味覚)。
口から身体のなかに、焼き手の愛が沁みこんでいく時には、何かが始まる予感がしてみたり?(第六感)。
それって何だか…
百合のようじゃないですか?
(百合だけじゃないですが)
これはパンを焼くことで、色んな関係性を焼き直す物語。それが人生のひと時の癒しとなりますように。
本作の主人公は、かつて“王都最強”と呼ばれた魔法使いセラ・グリューン。
彼女は、戦争が終わると“強すぎるがゆえに”王都から追放されてしまう。
燃え尽きた心と魔力を抱え、辿り着いたのは、かつて一度だけ立ち寄った辺境の村。
「行こうか、タンポポ」
──小さな焚き火パンをきっかけに、旅の途中で出会った幼き少女・タンポポとともに、セラは新しい人生を歩み始める。
魔法ではなく、パンで人を癒したい。
そんな願いと共に、村の空き家を改装し、小さなパン屋を開店することに。
ところが、パンの香りに誘われてやってくるのは──
かつての弟子、敵対した騎士、因縁深いライバルなど、“かつて”の関係性たち。
「私はただ、パンを焼いて静かに暮らしたいだけなんだが……」
セラの周囲は、なぜかどんどんと“百合”に囲まれていく!
戦わない、けど心は揺れる。
パンと再会が“関係”を焼き直す、辺境百合スローライフ、開店です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-13 19:38:46
2799文字
会話率:21%
パン屋の看板娘であるマリナ・ベッカーには悩みがあった。
最近になってから不可思議なパンの香りを感じるようになり、それに合わせるように街で事件が起こっては、全てなかったことになる。
時を同じくして街に現れた奇妙な風体の少女。関連があると思い、
事件のことを知っているかと問うマリナに、少女――ミレイはこう答える。
「……憶えて、るんですか……?」
そして街で暗躍する黒いローブの集団。
パン屋として生活していく二人は、やがて街を揺るがす事件に巻き込まれていき……
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パン屋のお姉さんと気弱少女のファンタジー百合になります。よろしくお願いします。
・カクヨムにも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-13 12:31:15
86454文字
会話率:52%
おはようございますのよ、団地組の皆さま。
今日も静かに、でも確かに、暮らしは続いておりますの。
東京・下北沢の築50年リノベ団地で、私はインフルエンサーとして日々の暮らしを発信しています。
昭和の香りを纏い、古いものと新しいものを織り交
ぜた、ちょっと変わった暮らし方を。
でも、ある日から、私の身体に小さな異変が起こり始めたのですのよ――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-13 10:19:37
1054文字
会話率:3%
冤罪により婚約破棄された元・公爵令嬢のエメリナ。
今は辺境の地で“エマ”として、静かに調香師として暮らしている。
そんなエマの元に現れたのは、第二王子のジュード。
「この香りを再現してほしい」
彼が差し出したのは、亡き王女が愛用していた香
水。
それは誰にも調香できないはずの、エマだけが作れる“約束の香り”だった。
追放された悪役令嬢が、第二王子と香りを手がかりに真実を追う、じれ甘再会ラブ×香りの記憶ミステリー。
今さらこんなに、やさしくされても困るんです――
全46話。最終話まで執筆済です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-12 18:02:23
101273文字
会話率:17%
大学二年生の一ノ瀬百華(ももか)は、クラスメイトの西脇エマと共に新しいアパートでの共同生活を始めます。エマは美人で聡明な女性であり、未来を予知する不思議な力を持っています。ある日、百華の父親が訪れた際、エマは彼の後ろ姿に何かを感じ取ります。
それは、エマが繰り返し見る夢とリンクしており、百華の父親が中学生の頃に経験した悲劇的な事故の場面でした。
エマはその夢を通じて、百華の父親を救うために過去に戻る決意をします。彼女は百華と共に、夢の中で過去の父親に会い、彼を救おうと試みます。エマの特別な力とマリーゴールドの香りが、二人を過去の世界へと導きます。過去の世界で、エマと百華は若き日の父親に出会い、彼を励まし、未来への希望を与えます。彼らの努力によって、父親は絶望から立ち直り、未来を切り開く力を取り戻します。
この物語は、家族の絆と希望の力を描いた感動的なファンタジーです。エマと百華の友情、そして父親との絆が、読者の心を温かく包み込みます。過去と未来が交錯する不思議な世界で、彼らの冒険をぜひお楽しみください。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-11 23:35:55
19657文字
会話率:37%
乾いた部屋で、人は溺れ死んだ。
現場に水はない。
ただ、微かな潮の香りだけが漂う。
それは水に宿る“想い”の仕業。
事件を追う刑事もまた、逃れられない罪悪感から、じわりと水に侵食されていく。
最終更新:2025-07-11 22:02:54
5777文字
会話率:26%
『水面が映す、心の奥底。』
これは、目に見える出来事が一切起こらない物語。湖畔のカフェで働くミヅキは、自身の心が湖と深く共鳴する日々を過ごしている。朝露に濡れた湖面、珈琲の香り、遠い鳥の声。すべての感覚が、彼女の内に秘めた記憶や曖昧な感情
の波紋を広げる。
ある日、カフェに現れた一人の男。彼の沈黙と、湖の深淵のような瞳は、ミヅキの内なる湖に、これまで感じたことのない「澱」を呼び起こす。言葉を交わすことなく、ただ同じ空間で呼吸する二人の間には、見えない共鳴が生まれていく。
物語の核心は、この静かな出会いを通じて、ミヅキが自身の感情の機微、そして過去から続く「水の記憶」と向き合い、それらを静かに受容していく過程にある。男が去った後、ミヅキは自身の内なる湖が「闇と光を同時に抱えている」ことを悟る。それは、明確な解決ではない、穏やかな自己理解の始まり。読者は、ミヅキの繊細な心理の移ろいを追体験し、自身の内なる水脈を探るような、瞑想的な読後感に浸るだろう。
本作品とあとがきはAIを利用して創作し、加筆修正しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-11 20:16:08
4598文字
会話率:2%
【王子様は、きっと来ない。でも、珈琲の香りが、私を新しい愛へと導いてくれた。】
「この世界には王子様がいる」と信じる32歳のロマンチスト、あかり。両親の不仲という過去のトラウマから逃れるように、彼女はメルヘン喫茶を営み、理想の愛を夢見てい
た。しかし、現実は経営難。そこに現れたのは、苦い珈琲を愛し、人間の矛盾を描く小説家、咲良だった。
真逆の二人は衝突を繰り返しながらも、お互いの孤独と葛藤に気づき始める。咲良は過去の傷を癒やし、あかりは「完璧な王子様」という幻想から解放されていく。「珈琲の苦みと甘さ」が象徴するように、不完全な自分と、不完全な相手を心から受け入れることこそが、真の愛だと知る二人。
最終的に、あかりは「王子様」の絵を心から消し去り、咲良と紡ぐ「新しいおとぎ話」を選び取る。これは、従来の恋愛観にとらわれず、女性同士の深い信頼と理解が育む、「多様な愛の形」を描く物語です。珈琲の香りが満ちる喫茶店で、二人は「おとぎ話のその先」にある、温かく希望に満ちた未来へと歩み出します。
本作品とあとがきはAIを利用して創作し、加筆修正しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-05 17:21:35
6752文字
会話率:14%
東京で行き詰まりを感じていた28歳のフォトグラファー・美咲が、亡き祖母の記憶を辿って瀬戸内の小さな島を訪れる。そこで出会った「みなと食堂」の太陽のような笑顔の女将・春子と無口な老漁師・健。ある日、壁に飾られた一枚の古い写真から、祖母と島の人
々との意外な繋がりが明らかになる。鯛めしの芳醇な香りに包まれながら、美咲は祖母が残した「忘れられない味」と「心の故郷」の真の意味を探る旅に出る。「写真は記憶を残すものじゃろう。でも味の記憶は、体が覚えるもんじゃ」—この島で美咲の人生は新たな彩りを取り戻していく。(本作品とあとがきはAIを利用して創作し、加筆修正しています。)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-29 21:09:07
4125文字
会話率:38%
どこにでもいる男が、誰にもできないことを成し遂げる──。
気づけば、そこは知らない森だった。
草木の香りは甘く、空を舞うリスは羽を持つ。
タクミは、異世界に放り込まれた中年のオジサン。
剣を手にし、仲間と出会い、共に笑い、そして迷いな
がら……正しさとは、正義とは何かを問い続ける旅が始まる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-09 20:00:00
40670文字
会話率:47%
伯爵令嬢マリッサは海岸の小さな家で誰かを待っている夢を見る
しかし、現実は甘やかされて育った侯爵令息ケイシーとの婚約が決められており彼のを支えるためと言えば聞こえはいいが体のいい肩代わり役だった。
前編後編の全2話+おまけ1話(予約投稿済
み、前編7/7朝7時、後編7/7夜19時、おまけ7/8朝7時)
※アルファポリスでも同じ作品を発表しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-08 07:00:00
12940文字
会話率:44%
「────あたしは、あたしを好きなアキが大好きなの」
高校入学前に失恋した「彼女」はいつも、まるでボクのことなんて見透かしてしまったかのようにそう言って微笑んだ。その言葉に、声に、自分はきっと彼女しか好きになれないのだと思いこんでいた─
───そうであって欲しいと、心の何処かで願っていた。
過去の失恋がトラウマとなり人と深く関わることを恐れる少女・塩瀬晶は、星花女子学園で自分に自信が持てない少女・川蝉弥斗と出逢い、様々な人の協力を経て友人関係を築いてゆく。人と関わることを怖がりながらも穏やかで誠実な弥斗と関わってゆく中で、晶は彼女に対する自分の感情が友情とは異なるものであることを知ってしまい────
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柔い花の香りと、熱い夏の風の香りが鼻腔を擽った。目の前に呆然と立っている彼女は酷く悲しそうな顔をしていて、その表情に結局最後まで君を困らせることしか出来なかったな、なんて考えて自嘲する。それでもこうでもしなければ君をますます傷つけるだけなんだ、なんて頭の中で呟いた自分の声が、やけに言い訳めいて聞こえた。
どうして、と夏の風に紛れて彼女の細く澄んだ声が聞こえた。この関係の始まりはボクだったのに終わらせるのもボクなのかなんて、どうしようもないそんなつまらないことを考えてしまう。
ボクは「さっき言ったとおりだよ」なんて呟いて彼女に向かって笑いかける。彼女の目に映る自分が酷い人間であるようにと願いながら、何度も何度も練習してやっと上手に言えるようになったその言葉をゆっくりと舌先にのせて「川蝉さん」と名前を呼んでから、出来るだけ彼女に冷たく聞こえるように呟いた。
「────今まで、本当にありがとう」
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主催:楠富つかさ様、星花女子プロジェクト
協力:星花女子学園、星花女子学園写真部、園芸部、空の宮市
キャラクター原案:桜ノ夜月(塩瀬晶)、今際ヨモ様(川蝉 弥斗様考案)
星花女子プロジェクト概要:架空都市S県空の宮市に建つ、中高一貫型私立女子高等学校「私立星花女子学園」を舞台とする世界観共有日常系学園百合小説企画の第7期参加作品。現在は10期まで開催中
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
※不定期土曜更新(時々日曜更新)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-07 00:40:50
248234文字
会話率:30%
初夏の日曜日、市内の百貨店を舞台にした一人の語り手の内面を丁寧に描いた抒情的な散文詩です。語り手は、もうすぐ迎える「彼女の誕生日」に贈るプレゼントを探しながら、街の風景や人々の表情に心を重ね、彼女への想いを深めていきます。買い物という日常の
行為のなかに、淡く切ない恋心と静かな幸福が満ちていく様子が、光と音、香りや手触りを交えて美しく綴られます。最終的に、語り手が本当に望む贈り物は「共に過ごす時間」であると気づく場面が、静かな感動を呼び起こします。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-07-06 23:18:21
1618文字
会話率:7%
物語は桜エビ加工場を営む奈緒子が、娘の咲良を保育園に迎えに行く場面から始まる。作業着姿に引け目を感じていた奈緒子だが、咲良の友達・愛子の「香ばしい匂いがするね」という純粋な一言に救われる。やがて時が流れ、奈緒子は時代の波に押されて加工場を閉
め、夫と共に都会へ移住する。成人した咲良とともに久しぶりに故郷を訪れると、愛子が戻り、旧加工場をゲストハウスに改装していた。愛子の帰郷への思いや、地元の人々が変わらず奈緒子家族を温かく迎える姿に触れ、奈緒子は心のわだかまりが解けていく。桜浦町の桜エビの香りは、かつての誇りや故郷への愛を思い出させ、再び訪れる決意を胸に都会へ戻る。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-05-08 15:03:30
6194文字
会話率:53%