イルは遊牧民トルク―ド族の幼い少女。過酷な自然の中での生活だが、優しい家族と一緒でイルは幸せだ。彼女の夢は大好きな家族とずっと一緒に暮らすことと、大きくなったら幼馴染のアマルのお嫁さんになること。でもイルには少し他の人と違うところがある。そ
れは前世のおぼろげな記憶と魔法が使えること。これはそんなイルの日常の記録である。
カクヨム及びアルファポリスにも投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-10-31 16:41:38
175752文字
会話率:43%
教皇着座式の日、空が歪み、割れ、神話と聖書の生き物が這い出てきた。
空をミサイルと天使が飛び交い、地を悪魔とロボットが血に染め、核と魔術が遺伝子を汚染する。
人類は名前を隠す、異形の者達に攫われない為に。
文明が滅んで幾星霜の年
月が経ち、名前を失った大陸と呼ばれる場所で、
天使と悪魔と人間が長い長い戦いを繰り広げている。
西の悪魔、北の天使、南の王国、そして東の遊牧民。
これらが争う大陸で、山に囲まれていたが故に中立を保てていた帝国だが、
王国で起きた反乱によって、その均衡は崩されていく。
文官は迫りくる戦乱に備え、人材を探し、帝国の体制を整えている。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-08-07 08:39:19
370240文字
会話率:26%
遊牧の姫と引きこもり。
凸凹夫婦が織りなす、内政&交易。
王子フランツはひねくれ者の引きこもり。塩づくりの街を立ち上げて、悠々自適の生活を送っていた。
だがしかし。
嫁にやってきたのは、野望、武勇、知謀、美貌、全部ありありの馬賊の姫君サー
シャだった。
対照的な二人は絆を深めながら、世界を結ぶ塩の交易路を築く。
※第1章(全8話)は毎日投稿します。全話書ききっているので、その後も安定ペースで投稿します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-06-30 20:15:06
167388文字
会話率:37%
レースで勝つか? 首括るか?
1900年代初頭、滿洲。
舞台となる西賓(シーピン)競馬場は、中華民国、ロシア、日本の三国出資で運営される滿洲の競馬場であった。
借金まみれの牧場主『李文』は、そこで自身の馬『星彩』が覚醒し、優勝することに賭
けるが……。
滿洲の競馬は、ただの競技ではない。
来るべき大戦争に備え、軍馬を育てる場所でもあった。
勝利をものにするため、李文は友人の岡本清三と共に、遊牧民の少女に騎手となることを依頼する。
激動の滿洲の片隅で、確かに行われていた、馬と人の営み。
サラブレッドのいない競馬場で行われる、滿洲人と日本人、そしてモンゴル遊牧民による、一攫千金競馬歴史浪漫!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-10-14 18:00:00
28231文字
会話率:31%
第六章 トルファン編を開始しました。
今章は北の遊牧地トルファンでまたまた波乱に巻き込まれます。
謎の一族、月氏もからんでの壮大な章となっています。
完全なフィクションですが、お楽しみいただければ幸いです。
国を侵略され敵国に連れてこられ
た巫女姫ミトラ。
自国の民の弱味にならないため、死ぬ道を探すミトラは王子の一人と結婚するように命じられる。
長男でヒンドゥいちのモテ男、スシーマ皇太子。
次男で算術と戦に長けた暴虐な男、アショーカ王子。
最初、どちらにも反感を持っていたミトラだが、二人の人柄に触れるうち心が揺れていく。
だが、ミトラは神により恋愛を封印された巫女姫だった。
恋愛オンチの姫の鈍感に、二人の王子は翻弄され……。
※ この物語はフィクションであり、ある程度は史実に基づいていますが、ライトノベル仕様に多大に脚色し、読者様が理解しやすい言葉に置き換えていますのでご了承下さい。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-06-07 12:00:00
642460文字
会話率:33%
青年リュザールは、都からの買い出しの帰りに、偶然羊飼いの民族衣装をまとった中年男性と少女に出会う。
困っているようだったので、助けの手を差し伸べようとしたところ、侵略者の一族と勘違いされてしまった。
命乞いと共に羊飼いの少女を押し付けら
れてしまう。
仕方なく少女を遊牧地に連れ帰ると、彼の家族は嫁を連れてきたと大喜び。
その後、いろいろあってリュザールは羊飼いの少女と結婚することになったが……。
遊牧民の暮らしは大忙し。
朝からチーズ、バター、ヨーグルトなどの乳製品を作り、昼は洗濯などを行い、家事がひと段落したら羊毛で絨毯を織る。
ワケあり花嫁はせっせと働く。
そんな中で、二人の結婚に納得しない者も現れてーー。
羊飼いの少女アユと、『調停者』の一族の青年リュザールの、遊牧民×ファンタジーな新婚物語。
※本編完結済
※PASH!ブックス様より書籍化決定しました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-02-20 00:00:00
266399文字
会話率:38%
【毎日10時更新/完結まで予約済み】
空に生きる天上遊牧民のルルドは、羊を追い海底遊牧民のニマと出会う。
環境と時代の変化に流され、本来出会うはずも無い二人の運命は交差し、重なった束の間の二人の時間。
幻とも思える泡沫の時間に、二人は何
を見何を聞き、何を感じ何を思い、どうあろうとするか。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-02-09 10:00:00
77195文字
会話率:22%
※第五回ネット小説大賞一次通過しました!※
静かに牧場を営んでいた兄妹の生活が一変したのはほんの些細な出来事から。
街に立ち寄った医者の頼みである物を預かった二人だったが、それがきっかけでまさかの家財一式差し押さえ!?
さらに犯罪者として
王宮に連行され……。
世間知らずゆえに宰相に言い包められ、なし崩しに国の為に一肌脱ぐことに。
※完結設定にしてますが、おまけ話が浮かんだらこっそり更新します
※3/16ジャンル別日間ランキング5位、3/21ジャンル別週間ランキング10位、3/28ジャンル別月間ランキング28位になりました!
※毎日更新。全話予約投稿済みです。コピペに失敗して話が重複したり飛んでいたらすみません…!
※純ファンタジー物として公募に出した物でしたが、プロットを大いに変更して人名も設定も全て変え、ぶっちゃけ全く違うラノベ調に仕上げた物です。
三週間で書ききった奇跡の駄作ですので、少しずつサブタイトル誤字脱字違和感のある言い回しは直していきます。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-12-29 01:00:00
247206文字
会話率:36%
楚には項羽が、漢には劉邦がいた。当時の中国の人口が半減したという楚漢戦争の時代。匈奴には、この男がいた。匈奴の長、頭曼の長男に生まれた青年は、とある事情から父に見捨てられ、絶望の只中にあった。打ちひしがれ、立ち止まった青年の背中を押したのは
、『駆けたい』という純粋な欲望であった。最初は、ささやかだった、その欲望は徐々に膨れ上がっていく……。草原最初の覇王になった男、冒頓単于の物語。
※『カクヨム』様、『マグネット!』様のほうにも掲載。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-09-21 22:15:07
39583文字
会話率:18%
群雄割拠のとある大陸で、小さな村が壊滅する。事件の原因は、かつて世界の創造主を倒したとされる魔法石だった。のちに武王と呼ばれる少年ソラと、その友サト。遊牧民のふたりは、石を巡る戦争と冒険に巻き込まれていく。
※1この作品は元々『枯れ木のご
とくゆく』というタイトルでしたが、こちらのタイトルのほうが、内容を把握しやすいのではないかと考えたので、苦渋の決断で、現在のタイトルになるに至りました。
※2『ツギクル』様にも登録しました。『カクヨム』様のほうにも掲載。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-01-12 01:11:00
123674文字
会話率:28%
トルコ、モンゴル、ツングースについての語族への言及をハプロと絡めてしています。
キーワード:
最終更新:2018-05-14 18:00:00
4154文字
会話率:0%
弓の国は騎射の技術や整備された交通網などを持っており大陸最強の国と云われていたが、数年前剣の国に現れたという魔法使いの猛攻によって国の一部の地域を切り取られてしまう。
失った領土を取り戻すべく、弓の国の国王タタールは同盟国への協力の要請や、
辺堡や界壕等の防御施設の整備などの準備を進めていた。
そんな中、弓の国の広大な土地などを密かに狙っていた利の国国王は剣の国とは別の魔法使いを使って弓の国を侵攻しようと企てていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-04-09 09:00:00
171405文字
会話率:32%
世界がどれだけ広いかは分からないが、ここにはタイタニア平原と呼ばれる広大な平原がある。
その地には神様とあがめられる巨大な土と石でできた巨人が歩き回っていた。
タイタニア平原にすむタイタニア族の少年であるジルは神様の邪魔をして殺されそ
うになっていた女性アリス=ヴィクトリアを助ける。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-04-01 14:26:31
32726文字
会話率:41%
サリヤに婚姻が決まった。
嫁ぎ先は同じ遊牧民だけど、
別の部族だった。
ベールの中で聞く声は、低い声だった。
ベールが上がってみた人は、鷹の目のような鋭い瞳を持った人だった。
キサは妻を迎える事になった。
若く、健康であればそれでいい
。
後は何も望まぬ。
果たしてその理由とは。
*アンリさま主宰「キスで結ぶ冬の恋」企画参加作品
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-02-05 15:55:27
9038文字
会話率:17%
草原に生き大空の下で眠る遊牧民。七つの部族をまとめる大族長の娘ラシュヴィーダは、ある日、仲の悪い部族の男たちに追われているときに、敵国エルシノアの青年タキロスに助けられた。もう一度会いたいというタキロスに、不安を感じながらだんだんと惹かれて
いくラシュヴィーダ。やがてタキロスはラシュヴィーダに想いを打ち明ける。
だが、それは、部族の存続を揺るがす国際間の陰謀の幕開けにすぎなかった。
毅然とした自立の精神を持つ遊牧民の美少女と、魔王の率いる魔物の国エルシノアのタキロス。許されない敵対関係をはさんで、ラシュヴィーダの恋はどうなるのか、憎み合う国と国はどう絡んでいくのか、戦記物の要素の強い歴史風ハイファンタジーをお楽しみいただければ幸いです。
*毎週月曜日12時頃更新しています。
*感想、ご意見、歓迎します。頂いたご意見ご感想にはお返事を書きます。よろしくお願いいたします。
作者お薦め度☆☆☆☆折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-12-25 12:00:00
160162文字
会話率:43%
地球とは異なる星で暮らす遊牧民のお話です。明るく誰からも愛される主人公の少女ミンが、特別な少年との出会いをきっかけに自分の世界を広げていきます。
この作品は「アルファポリス」https://www.alphapolis.co.jp/au
thor/detail/480357807 に掲載しているものの重複投稿です。(連載中)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-11-11 02:52:37
25575文字
会話率:52%
時代、言語、文化、全てが入り乱れしカオスの世界で生きた英雄達を描く群像劇。遊牧民族の末裔・ハルシャは故郷を滅ぼした宿敵・魔将軍テングリカガンを追って、東西貿易の要衝であるサンバドル村に流れ着いた。そこで彼は戦士としての修行を積みながら、数々
の豪傑達と交流を深めていく。透明化の能力を持つ女戦士、森羅万象を『約束』する奇妙な神父、七色の美しい羽をもがれた妖精とエルフのハーフ。様々な人物と交流を深めるにつれ、彼は魔将軍の正体だけでなくカオス世界の正体にまでも触れてゆくこととなる。様々な要素が詰み込まれた箱庭ヒロイックファンタジー、ここに開幕。
※open2chの企画でキャラを頂きながら執筆しています。
掲載サイト(おーぷん2ch創作文芸板、なんでも実況VIP板、現在も連載中)
創作文芸板
http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1447582128/l50
なんでも実況VIP板
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livevenus/1496296647/
本作wiki
http://wikiwiki.jp/bokutotu/?FrontPage折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-09-07 14:12:55
113489文字
会話率:62%
【ハーレム】
本来は、イスラム圏における、女性の住む場所を示す言葉。聖域や禁域のような意味のアラビア語のハラームから、トルコ語でハリムに転訛したのが語源。
この場所は、男性優位な社会においても女性の権利を無条件に守る場所であり、基本的に
家族以外の男性は立ち入り禁止だった。十世紀以降のイスラム国家で後宮の発達に伴い、この呼称も定着した。日本風に訳すなら大奥。
また、一夫多妻の代名詞とされる事も多く、歴史的に見れば人間社会においては珍しくない婚姻形態である。こういったイメージは、ハーレムが西洋圏に膾炙されるにつれ定着していった。
自然界においても、ライオンやアシカ、ゾウアザラシなどの動物は、ハーレムというコロニーを作る。
【コンプライアンス】
語源は応じる、従う、守るという意味の動詞である、comply。
企業コンプライアンスとは、コーポレートガバナンスの基本原理の一つで、企業の不正行為の防止と、競争力と収益力の向上を目的とした、ステークホルダーの利益を守る為の概念、または仕組みである。法令を遵守し、主に企業イメージの毀損を忌避する為に用いられるが、内規や職場環境の健全化も意味する。
例としては、独占禁止法や不正競争防止法、個人情報保護法等が有名だが、それ以外にもあらゆる法律を厳守する姿勢をいう。しかし、法的な違反は忌避されるが、その法の抜け穴をつく事は、まま容認される事もあり、それが社会通念上の倫理にもとる場合は、やはり企業イメージに多大なダメージを負う事となる。
昨今ではそういった、いわゆるモラルハザード防止の観点から、社会規範や倫理を遵守する事も含まれる、フルセットコンプライアンス論というものも提唱されている。
服薬コンプライアンスとは、処方された薬剤を、医師の指示通りに服用をする事をいう。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-07-17 00:00:00
109065文字
会話率:47%
遊牧民に拾われた女戦士のシズは、その恩を返すために夜な夜な襲い来る魔物と戦いを続けていた。激しい戦いの中で、シズは次第に眼を患ってゆく。シズは好意を寄せる部族の医師に、今日も眼の診察を依頼しに行くのであった。
最終更新:2017-06-02 17:00:10
6686文字
会話率:53%
禽獣に等しい遊牧民。彼らとの出会いで、私の運命は変わりました。 ◆史実をネタにした単発です。雑な物語になりましたが、せっかく書いたので。
最終更新:2017-01-08 21:56:38
7019文字
会話率:56%
―――これは、神と魔法の異世界、逃れられない運命を背負った主人公ゼン(と禅)の冒険物語―――
大河ファンタジー小説「ゼンの冒険」シリーズ、「第一部 双望の継承者」開幕。
祖父に為政者の知識とあらゆる武術、極限状況で生き残るサバイバル
術を叩き込まれた普通の高校生、禅・ラインフォルト。彼は突如、ジョーカーと名乗る人物に異世界大陸、ドラグリアへと魂を転移させられる。転移させられた先は、大国ルーン王国の辺境領主であり英雄トルイ・リーンフェルトの嫡男ゼン・リーンフェルトと呼ばれる魔法も使えないただの少年だった。
異世界に存在するドラグリア大陸。
この異世界は、高次元の存在、神によって一部の者達が魔法と権能を受け継ぎ、剣と魔法が支配する世界。
そして禅が異世界へ渡った時は奇しくも、その特別な者達の覇権争いが巻き起ころうとする最中。
絶大な権力を持った信仰国家アースクラウン、大陸制覇を目指す小国トランザニア、砂漠の遊牧民の王が統べる国ミッドバル、貿易によって繁栄を極める南国トローレス、海賊女王によって独立宣言した無法国家キルバン、それぞれの国が衝突する動乱、その襲い来る時代の潮流に二人の禅とゼンが二つの望みを受け継ぎ抗っていく。
時代の流れに翻弄される様々な人々、魔物の襲撃、裏で暗躍する者達の思惑・・・。
逃れられない運命の中で、出会う人々達と織りなす彼の物語は、すれ違いを繰り返しながら常に彼を試している。
だが、彼はただ目指す―――その受け継がれた双望の願いのために、誰かの願いのために。
ゼンの冒険シリーズではあらゆる異世界の事柄、神話、宗教、政治、戦争、統治、経営、戦闘、冒険、魔法文化、生活文化、思想文化といった物を歳月を重ねるごとく丹念に追うことを目標としており、三部構成の大長編作となります。※第一部は百万文字以上。二部と三部はそれ以上を予定。
※初期の主人公の年齢を5歳→9歳に変更致します。それに伴う修正は本編の執筆を優先しつつ今後の状況を見て修正したいと思います。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-11-17 18:23:45
998020文字
会話率:25%
今生の目標は前世より長生きすること。
新たに生を受けたのは、ビルの立ち並ぶ平和な日本ではなく、過酷な自然と共存する草原の国。
ただ生きることだけを望む主人公が、友人の前向きな生き方に感化され、成長しながらも、ありがちな展開に巻き込まれていく
話。
タイトルに数字がない場合は別視点です。話の前に注意書きもあります。
※現在不定期更新中です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-10-31 19:00:00
371966文字
会話率:37%
遊牧民の少年、アルゲレリオン・ブルトチノはライバルのオユントゥルフールを追って日本の大相撲の世界に飛び込んだ。
しかし、入門早々ブルトチノは兄弟子の久山 力(ちから)と共に暴力事件を起こした。部屋の規律違反、くび確定だった。
時を同
じくして、赤瀬部屋の師匠・赤瀬 峰夫が死んだ。
ブルトチノと久山は自分達をかばってくれた幕内力士・漣が興した五味部屋に移籍した。
弱小部屋は金銭面などあらゆる面で不利だったが、おかみ・律子の手腕が部屋経営を助けた。
ブルトチノは「狼」の四股名をもらいデビューした。
たった二人の力士は相撲漬けの環境で実力をつけて行った。
しかし、二人に壁が立ちはだかる。
久山には十両の壁。
一人前に認められる十両力士。それまでとは待遇が一八〇度違う。給料は雲泥の差、手足となって世話をする付き人がつく。
久山は東幕下筆頭にまで登り詰めた。半枚上は天国。また、あとのない十両力士にとっては久山は地獄へと足を引っ張る存在。彼らは久山を全力で潰してきた。久山の体はぼろぼろ。何とか三勝三敗で最後の相撲にたどり着いた。相手は赤瀬部屋の赤烈風。赤烈風はアマチュアタイトルを総なめにして角界入り、入門二場所で十両力士・関取になった。
赤烈風との対戦。馬力は久山に分がある。捌きのうまさでは赤烈風。両者、自分の長所を生かし素晴らしい相撲になった。最後は稽古量がものを言う。久山が赤烈風を押し出した。
久山は関取になった。
久山を追うブルトチノの壁はバータル。対戦成績、四戦全敗。歯が立たなかった。
ブルトチノはもがいた。想像を絶した猛稽古。砂まみれ、どったが顔かわからない。そんな猛稽古でも自信が沸かない。見兼ねた師匠・五味、ブルトチノに胸を出した。相撲とは押すことである。
「押せば押せ引かば押せ押せ近場押して勝つのが相撲なりけり」
師匠はこの言葉をブルトチノの体に刻んだ。
押すとは何ぞや。それは力士のコア。押さなければ隙が生まれない。投げもいなしも意味を持たないのだ。相撲は少年の狼に牙を与えた。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-10-10 20:56:12
49907文字
会話率:56%