大気には魔素が満ち、魔術・魔獣・魔物が普通に存在する世界。
魔素は魔術式を用いて物理現象となる。
魔術式は道具に組み込まれて魔導具となり、魔導具は人々の生活の一部となった。
魔術は特別なものではなく、人々の暮らしは魔術と共にあった
。
大陸エレサ・エメット
およそ二千年の昔、世界は穢され、人の住む地は失われた。
それを憂いた神々が『古の魔導具』を創り出し、生き物を救け、穢れた大地を癒し、世界を再起動させた。
人々は、癒された大地に再び降り立った。
だが、文明は既に崩壊し、文化は失われ、力は野生の生き物に敵わなかった。
それでも、文明が失われた過酷な世界で人々は生き、建物を建て、畑を耕し、少しずつ人の世界を取り戻していった。
やがて幾つもの国が生まれ消え、統合と分裂を繰り返し、安定した幾つかの秩序国家を創り出した。
その一つが、宗教国家、聖マイア正教国。
『古の魔導具』を創り出した神々の一柱である女神マイアを主神として信仰する、この大陸最大の国家である。
マイア正教国の頂点である教皇。
その教皇の鎮座する地、首都アルカディア。
恵まれた地形に恵まれた資源を蓄えたアルカディアは、百万の人々を育み、数十万の信徒を抱え、数万の魔導兵器を所有するまでに大きくなった。
この国は、文明と宗教と武力で他国を圧倒していた。
だが、栄光の路地裏には蠢く澱みが溜まるもの。
多くの人々を内包する大都市には、同時に、多くの『普通』では居られない数万もの澱【おり】を溜め込んでいた。
澱は寄り添い合い、派閥を作り、争って苦みを振り撒き、人々に忌み嫌われていた。
そんな澱の中、争いに終止符を打たんと、ひとりの少女が降り立った。
沈澱物をかき回し、濁りの中から宝石を拾い上げようとする、赤髪の少女ジェシカ。
これは、己の小さな望みを叶えるべく奮闘する、彼女の為の物語。
※この話は『神代の魔導具士』の第四章終了後の物語です。
メインはジェシカ。
元の話の人物も登場しますが、一部を除いて、ほとんどは無関係です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-27 01:30:00
11744文字
会話率:15%
ルツーラは、密かに王城の倉庫へと訪れていた第二王子の婚約者(物理的箱入り令嬢)を勝手に運び出し、取り巻きと共に集団で嫌がらせをした。しかも、王城内では禁止されている精神操作の魔法を用いたことで重罪となった。その為、親共々連座で貴族用の幽閉
邸に送られている。
幽閉邸で生活する中で、ルツーラは反省し、様々な後悔に思いを馳せるものの、何もすることはできず、あとは処遇が決まるのを待つばかり。
両親へと謝罪と、何もすることのない生活の中で、ただただ反省だけを繰り返し、最後には処刑されるものだと、彼女はずっと思っていた。
いつものように後悔と反省の中、眠りに落ちた日――翌朝に目覚めると、8歳の時に行われる魔性式の朝まで時間が巻き戻っていた。
それが、自分の持つ『順』属性の魔法による、歴史順序の入れ替えによるモノだと気づいたルツーラは、後悔と反省を元に、今度は両親を破滅させないように動き出す。
まずは魔性式の日。
かつては、未来で引きこもり箱入令嬢となる少女に嫌がらせをしたのだが、今回ではそんな愚は犯さない。
「そもそもアレに関わってはいけません! 今回は必要最低限だけの関わりで済ませたいのです!」
そうして、引きこもり箱入令嬢から距離を取る生活をしつつ、かつての愚かな行いをしないようにしていたら、なんだか前回ではありえない規模のお茶会派閥になっているのですけれど!?
しかも、箱入令嬢は引きこもらずに騎士団に入団してる!?
乱暴者だった第一王子は人格者に!?
あまりにも異なる歴史の流れの中、前回にはなかった出会いや繋がりを作りながら、ルツーラは前回とは異なる歴史の中を奔走していく。
歴史や事件が変わっても、運命は収斂していく。
それを目の当たりにした彼女は、いずれ自分が破滅すると自覚しながら、この歴史の中で身内が破滅を迎えないように足掻き続ける。
ルツーラの破滅を望まない人たちのことなど、意識しないまま――
これは『その在り方を認め合う為の幻想譚』。その異聞。
ゆえにこれは『認め合い手を差し伸べ合う者たちの幻想譚』
※本作は『引きこもり箱入令嬢の結婚』の外伝となります。
本編を知らずとも楽しめるようになっておりますが、本編を知っているとより楽しめる作品となっております。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-26 20:23:06
88902文字
会話率:39%
その日、世界は終わった──パンが空から降ってきたからである。
異世界に召喚された少女は、「お腹すいた」と呟いただけ。
それだけで祝福が発動し、焼きたてパンが村に豪雨の如く降り注いだ。
その奇跡に世界がざわめき、民は敬い、魔王は震え、
神様は──頭を抱えた。
「……ちょっと待て、こんなチート仕様、設計書に書いてないんですけどぉぉ!?」
これは、願うだけで世界が応えてしまう無自覚系聖女と、それを観測しながら全力でツッコミを入れるダメ神様の、世界ぶっ壊し系バグコメディである。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-26 13:02:34
8523文字
会話率:34%
突然の交通事故で、青年は命を落とした。しかし、完全に消え去るどころか、ぼんやりとした非現実的な空間で目を覚ました。そこには、見慣れた物理法則など存在しない。そこで彼は、威厳と神秘を漂わせる美しい女性、この次元の支配者である女王リリアと出会っ
た。リリアは彼に、別の世界への転生の機会と、新たな旅を始めるための力を選ぶ権利を与えた。強大な力を秘めたきらめく光線を前に、彼は何も選ばなかった。ただこう言った。「君を選ぶ」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-26 03:39:39
104129文字
会話率:39%
如月蓮巳は友人に誘われてフルダイブVRゲームを遊ぶことになった。
タイトルは『アナザーワールドアライバル』。ゲーム開発者の信条により、現実でできることをそのまま活かせる、物理演算が異常に緻密なゲームだ。
であるならば、もしも古流剣術を修めた
蓮巳がゲーム内で剣を振るえば――
一人の高校生が剣と魔法のゲーム世界を切り開いていく、新時代冒険活劇物語折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-26 03:11:31
31808文字
会話率:33%
その呪文を唱えると近隣に居る総ての鶏を目覚めさせるという別の意味で色々と恐るべき古代魔法、それが東天紅。
魔法や古代化学兵器、果てはドラゴンに悪魔といった相手に、持ち前の怪力と度胸と東天紅で青年レントが立ち向かう。
愉快痛快主人公頭おかしい
巨編!!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-26 00:27:54
413584文字
会話率:60%
「ご主人様ぁ、もっと、もっと欲しいにゃ♡」
どうやらメリーヌの寝言のようだ。そういう寝言は、起きてから言え!
メリーヌは寝つきが良い。俺の腕枕に頭を載せるや秒で寝て、
右腕にはメリーヌ、左腕にはライア、
そして股の間からスルスルと
昇ってくるのが──アリスだ。
俺は異世界に召喚された“全財産ニキ”。
職業ニートで即、追放。
……でも【デイリーボーナス】で美少女ガチャが引けるなら、それで良くね?
ロリメイド、上品エルフ、猫耳娘。
異世界の森で始まる、ハーレム生活(物理)。
──ただし、世界は詰んでいる。
暴走する聖女。ろくでなし勇者。復活する魔王。
陰謀渦巻く王国と聖教国家群。
平穏など、風前の灯火だ。
それでも、俺は回す。
全財産を賭けて。ハーレムと幸せな未来を引き当てるために。
「名乗ってやろうか……全財産ニキって」
「それはやめときましょう、ご主人様」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-25 22:28:00
57539文字
会話率:27%
神に支配された”詰みゲー”世界を、“ぼっち”の妄想で”バランス崩壊のクソゲー”に変えろ!
異星人《オーバーマインド》の絶対的支配下にある地球。人類は絶望し、管理された日常を受け入れていた。
そんな世界で、高校生・神崎シンだけは、自分が“選
ばれしヒーロー”として異星人を倒すという壮大な「妄想」を抱き続ける、生粋の”中二病”「ぼっち」だった。
誰にも理解されず、危険人物として無視される毎日……だったはずが、ある日、異星人の“謎のバイザー”を拾ったことで、シンの人生はゲームオーバーから一転、“妄想チート”を手に入れたプレイヤーへと変わる。
自分の*「妄想」を現実化する力。
そして、妄想設定通りに漆黒の炎が封印された右腕が疼き始め、物理攻撃を完全に無効化するはずの異星人ドローンを『灼熱の火球』で瞬時に破壊してしまう——。
この前代未聞の事態に、支配者《オーバーマインド》はシンを**“識別不能な脅威《イマジナリー・ワン》”として徹底的な捜索を開始。
さらに翌日——「『黒翼の使徒・シン』わたくしが貴方の従者となって闇と戦います」と、彼の“妄想キャラ”だった精霊美少女までがリアルに出現……!?
ついに、妄想と現実の境界線は曖昧となり、日常は”クソゲー”と化した。
これは、心に眠る「妄想」を「力」に変え、絶望の世界に風穴を開ける異色のダークヒーローの物語。
人類の逆襲が、今、始まる!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-25 12:08:29
42557文字
会話率:31%
王国では100年に1度、王家にかけられた呪いにより、カラスの姿をした王子が生まれる。そしてその王子の妻は、国に生まれた全ての女性の中から必ず1人選ばれる。カラスへの生贄とも言うべき妻の役割は、法律により決して拒むことは出来ない。今代は、侯爵
家の姫である12歳のセラフィナが大鴉の妻として見初められた。大鴉の住まう椿の城へと連れて行かれたセラフィナは、呪いが解けるその日まで、毎晩歴代のカラスの王とその妻の墓を守ることになった。
ヒロイン気質のカラスな夫と、メンタルがたくましい妻の、呪いを解いてハッピーエンドをつかむまでの物語です。フランスの昔ばなしである『カラスの王さま』をモチーフにしています。全10話。毎日0時に更新します。よろしくお願いいたします。
◇公式企画参加作品。20周年おめでとうございます!!◇折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-25 00:00:00
84558文字
会話率:37%
第二次世界大戦後の西暦1950年に突如、全世界に発生した正体不明変異空間構造体;通称”ダンジョン”
既存の物理法則では説明できない数々の異常事態を引き起こす災害としての側面と、
莫大な財宝・常人を超えた能力を手に入れることのできるフロンテ
ィアとしての側面を持つダンジョンの存在は世界に絶大な影響を与えていた。
ダンジョン発生から70年過ぎた西暦2020年。
ダンジョン探索・踏破を生業とする新職業「冒険者」が認知される平行世界の日本で、ある高校生は賭けに出た。
顔面偏差値落第点・頭脳偏差値平均点の高校生:小野麗尾 守は冒険者=リア充の法則を信じた結果、青春を爆死しつつある。
子どもの頃からの貯蓄・バイト代の全てを注ぎ込み、家族から借金してまでなった冒険者のステータスは、
彼の数多い欠点を埋め合わせてくれる程の物ではなかったのだ。
このままでは終われない。
16年の人生を注ぎ込んだ賭けで勝てなかった。だが、それがどうした。勝つまで残りの人生も全て張り続けてやる……!
冒険者稼業。幾ばくかの圧倒的な成功例と膨大な敗北者を生み出す命懸けのギャンブルに彼は挑み続ける。
これは、誰かが記録した彼の冒険者の旅路の物語である。
運命の無い世界では、神ですら己の望みの為にサイコロを振り続ける。いつか、望む目が出ることを信じて。
彼のギャンブルは、彼と世界に何を齎すのだろうか?
なお、ここまで色々と書かれてはいるが一言で纏めると、チートとか最強とか俺TUEEEEとか要らない(大嘘)から俺に彼女をKUREEEEE! と言うだけの話である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-23 06:00:00
441252文字
会話率:34%
「珠に瑕な彼女、玉に傷な僕」
「女装潜入」――――――
それは、男の娘と学園ハーレムモノを組み合わせた、まったく新し……くもないジャンル…‥。
家訓プラス似合うからという理由で女学院に女装して通うことになってしまった瑞祈。新生活の
始まりに相応しい空の青さとは反対にブルーな気持ちで迎えた初日、彼は衝撃の出会いをする。……物理的にも。
一見すると完璧な才媛。その実、とっても困ったせいへk……趣味を持つミカに見初められた瑞祈は玉砕(物理)せずに過ごせるだろうか。
*pixivに書いたもの(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=2302319)タイトル変えてを持ってきました
*エロではありません。エッチかもしれませんがエロではありません。あくまでエッチ、つまり「変態」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-23 01:47:03
141685文字
会話率:40%
16歳になると、さまざまな動物神から加護を得られるこの世界――気弱な少女ソフィア・リーラーは戦闘系最強と言われる『ゴリラの神』からの加護を引き当ててしまう。
戦いは嫌だと悩む一方、その類まれなる力を求められ、気づけば王立騎士団の従騎士にな
ってしまい――いろいろな問題や事件を、すべて力技で解決するお話。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-23 01:04:41
306263文字
会話率:45%
魔力という不可視の力が存在する江戸時代のような世界。そこに暮らす孤児の少年に、日本人だった記憶が甦った。輪廻をメインテーマに、ジャンルを問わず様々な現代知識で挑む異世界物語。
R15は性的表現ではなく、雑学の知識レベルと考えて下さい。
また、残酷な描写はスプラッター的要素ではなく、現実の不条理としてタグ付けをしました。魔法が存在するファンタジーワールドが舞台ですが、雑学知識が通用するよう、物理法則がベースとなっております。
役に立つかは分かりませんが、知って損の無い雑学を紹介しながら進めていきます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-22 20:42:53
626941文字
会話率:18%
日常モノ×怪異退治モノ。
陽之戸国の都、貴墨に住む三流作家の丞幻(じょうげん)はある夜、祟り神が出るという噂の荒れ寺で男を拾う。
埋められていた土の中からずるずると這い出て、力尽きたように倒れている男を見て、丞幻は思わず呟いていた。
「――あらやだ、ネタだわ」
これは、怪異を見聞きする力を活かして関わった事件を小説にしているものの、いまいち売れない三流作家が愉快な仲間達と共に(次回作のネタの為に)怪異に挑み。
美味しいものに舌鼓を打ち。
賭博ですってんてんになり。
はよ次を書けと、版元に物理で尻を叩かれる。
そんなお話である。
※キャラはコミカル、ホラーはまったりな、なんちゃって和風怪異モノです。よろしくお願いします。
※話の展開上、人の売買や殺人・強盗などの犯罪行為をする描写がある場合があります。
この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
※ノベルアップ+様で先行公開しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-22 18:09:27
885044文字
会話率:42%
『万物の理論』の研究者・物部理一郎(四十二歳)は、大学をクビになったその日、異世界召喚され、身体も十七歳に若返った。だが、〝物理最強の勇者〟ではなく〝物理学の学者〟であることが分かると、記憶を消されて放り出されてしまう。行き倒れになる寸前、
王立アカデミアに通う少女アリアに救われ、さらに方程式で事象を改変する〝物理学魔法〟(「1ー3.物理学魔法」から登場)に目覚める。冒険者として生計を立てながら、この世の全てを記述できる方程式の完成を目指し、この大陸のどこかに存在する古文書『理の書』を追求する異世界冒険譚。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-22 17:32:04
92060文字
会話率:41%
新婚初夜から二週間が過ぎても「貴方を愛することはありません。だから今日もゆっくりぐっすり寝なさい。ただし顔はこちらに向けるな」とまるで銃口を向けられた兵士のような緊張感を帯びつつエヴァンが言うので、ミシェルは一つの仮説に辿り着いた。
──
すなわち、マインドコントロールである。
見た目が天使の軍人系侯爵家三男 × 草食(物理)ヒロインな伯爵家の四女のさくっと読むタイプの勘違いすれ違い話です。大体がタイトル詐欺ですが、ヒーローの愛は重いタイプです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-22 08:00:00
9205文字
会話率:47%
物理学者 湊崎 雅也は次元の狭間に存在する物質の解析を行う研究を行っていた。
そんな彼はその物質に含まれる重大な発見によって若くして大学の准教授に着任し、研究に没頭しながら、中学時代からの幼馴染である愛妻 詩帆と幸せな生活を営んでいた。
…
…彼女が不治の病に侵されるまでは。
そして稀代の天才学者は人生に悲観して、病床の妻とともに自身の研究室で不可解な自殺をとげた、とされている。
だが死んだはずの彼は掟破りの手段を用いて別世界で生き永らえていた。
ところが降り立った世界は大多数に知られぬままに滅亡の危機を迎えていて……
こうして現代の天才物理学者は愛する妻を再び守るため、世界を救う。
しかし、そんなときでも研究や考察にそれてしまう、根っからの研究バカが繰り広げる異世界魔法研究ファンタジー
基本は奇数日の21時投稿です。
小説投稿サイト「カクヨム」様にも投稿させていただいています。
更新情報はTwitterにも上げてます。
アカウント名 香宮 浩幸@小説家になろう
@kurais_kamiya 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-21 21:30:00
1122391文字
会話率:77%
精霊の源泉地と言われるアヴァロン島。
その聖地が魔族と呼ばれる存在に占領され、精霊弱化が始まってから数百年が経つ。
聖地奪還を目論んだいくつもの勇者パーティーや連合騎士団もそれが不帰の嶮であると証明するだけだった。
各国が奪還計画に倦んでい
たころ、『智慧の貪狼』を名乗る魔道学者は考えていた。
英雄でも大軍でも無理なのだとしたら…。
■
「荷役、鍵師、鍛冶屋に学者ってパーティな時点で、早晩立ち行かなくなるとは思っていたけどだな…」
「だからわざわざ助っ人を頼んだのでしょう?」
「その助っ人が『料理人』ってのは、極め付きだろ! 真っ当なパーティの連中がこれを聞いたら当分酒のツマミに困らんぞ」
■
「ええ、アルミという金属にチタンという金属をコーティングしたものです。どちらもレンガ山で採れますよ」
ともに鉄より軽く、錆びなくて丈夫であると伝えると、親方はギラっと目の色を変えていろいろと質問を浴びせかけてきた。
だがどちらも高温での酸化に弱く、鋳掛やロウ付け、焼入れが困難なことを知るとスーッと目の色が戻ってしまった。
さらにアルミは曲げ加工に弱く、チタンは切削加工が難しい。
鉄みたいにぶっ叩いて曲げて切ってくっつけてという技法がまともに使えないのだ。
「つまり『鉄は王様』ってことだな」
ああ、真実を突いてしまった。
あれだけ金属加工技術の進歩した現代地球でも、一番活用されていたのは、やはり鉄なのだから。
■
「ええ。まず音声というのは空気の振動ですよね?」
その振動が魔導線の繋がれた極薄の金属板に当たり、金属板は魔石から接続されたもう一方の金属板に対して触れるか触れないかの距離で振動する。
魔力は魔導体を伝わるほどではないにせよ、空間を飛ぶ性質もある。
わずかな隙間であれば、その距離に応じて少しは魔力が流れる。
その魔力波形は魔導線を伝わった先に設置された風魔法の魔導紋によって空気の振動に戻される。
「始めは魔力波形を物理振動に戻す仕組みが要るかと思ったのですが、風の魔導紋で直接いけると解りましてね」
「ええ、魔導紋というものは概念的な動作をするから、理論上は遅延や損失が皆無と言われてるのだけど…」
だが、それをこのように利用するなど考えた者はいるだろうか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-21 07:02:40
900009文字
会話率:29%
「真夏の東京、熱気あふれる上野公園。画家を目指すハヤトは、その日、花時計の下で信じられない光景を目撃する。人目をはばからず平然と服を着替えるアキラと名乗る少女。彼女は論理と効率を極限まで追求する、感情に乏しい**”理論の塊”**だった。
そんな彼女は、ハヤトの描く風景画を前に、突然、**「光の入射角が最適ではない」「色彩パレットが不適切」**と、物理学に基づいた”的確すぎる”ダメ出しを始める。感性で生きる画家と、無感情な超論理少女。相容れないはずの二人の出会いは、やがてハヤトの日常、そして彼の”世界”を大きく揺るがしていく。
これは、少しおかしくて、少し不器用な、常識外れの少女と画家の出会いの物語。」折りたたむ>>続きをよむキーワード:
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最終更新:2025-06-21 00:56:58
25833文字
会話率:35%
統計物理学者ルートヴィヒ・ボルツマンとして生きた前世の記憶を持ったまま、なぜか音楽の国の宮廷楽長「ルドヴィク」として転生してしまった主人公。
音楽のことなど何も分からない彼が、つい口走った「エントロピー」という言葉を、几帳面な家政長クラリ
スが「画期的な経済理論」として勘違い。いつの間にか『エントロピー家計簿』なる謎の帳簿が誕生し、国中に広まってしまう。
「乱雑とは、未整理ではなく、未活用である」
「埃の堆積は、空間使用密度の指標に過ぎない」
物理学の概念が次々と誤解され、創造的に解釈されていく中で、音楽の国に前代未聞の革命が巻き起こる!
確率を操るサイコロ兄弟、音楽で世界を変える黒衣の歌姫ラナ、そして誤解と勘違いが生み出す新たな価値観――
科学と芸術、秩序と混沌が奇妙に絡み合う、哲学的ギャグファンタジー!
【こんな方におすすめ】
- 転生ものは好きだけど、ちょっと変わった設定が読みたい
- 理系ネタをニヤリとしながら楽しみたい
- ギャグとシリアスのバランスが良い作品が好き
- 読者に考える余地を残す、深みのある物語を求めている
【作品の特徴】
◆ 物理学×音楽×ファンタジーの異色コラボ
◆ 「誤解」が新しい価値を生む、創造的勘違いコメディ
◆ 個性豊かなキャラクターたちの掛け合い
◆ 笑いながら、ちょっと哲学的なことも考えさせられる
※この物語に出てくる物理学の使い方は、かなり創造的(めちゃくちゃ)です。でも、それがこの世界の面白さ。正確さより楽しさ重視でお送りします!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-20 17:10:00
9520文字
会話率:59%