「もう一度、母に伝えたい言葉がある――」
深い森の奥に存在すると伝えられる“死者の泉”。
そこは、五つの試練を乗り越えた者のみが辿り着ける、魂と記憶の交差点。
少年・シュワルツは、母の死に際して伝えられなかった言葉を胸に、その泉を求め旅
に出る。
だがその道は、精霊による五大試練、未知なる魔力の覚醒、仲間たちとの出会いと別れ――数多の運命が待ち受ける過酷な旅だった。
やがて彼は、一振りの“因縁の剣”を手にし、刻まれた《精魂の紋章》の謎と向き合う。
それは己の過去、そして世界の真実へと繋がる扉だった。
――試されるのは、力ではなく魂。
これは、少年が“伝えたかった言葉”を胸に世界を越える、魂の冒険譚である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-20 20:00:00
29139文字
会話率:33%
月と羊〜その声に恋をしていた〜の続編
※よろしければ、〜その声に恋をしていた〜 を先に読んでいただいた方が人物関係やちょっとした小ネタを楽しめると思います。
結ばれ、充実した日々を送っていた日辻智士と月平菜緒。そんな中、GG4に舞い込ん
だ大手スポンサー、Asteria Visionとの契約話。順風満帆に見えた中、智士と菜緒の関係に突如として暗雲が差し込む。
「彼の未来のために」と菜緒は智士の元を去り、智士はその真意を知らないまま、言葉にならない喪失に沈んでいく。
離れてもなお、お互いを想い続けたふたりと、再び手を取り合うために動き出すGG4の仲間たち。
声が、絆が、真実を繋ぎ直す
これは、“その声に恋をしていた”ふたりが、
“その声を届けるために”、もう一度、隣にいるまでの、再会と約束の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-20 07:33:20
57111文字
会話率:31%
― 君の名前を、遺書の中だけに閉じ込めたくない ―
「もし世界が君を忘れても、私は君を覚えている。 運命が君の名前を間違えたのなら、私が書き直す」
結城美月(ゆうき みづき)は、全国でも屈指の名門高校に通っている。誰もが認める「完璧な優
等生」だった。成績優秀で、冷静沈着、規律を守り、決して間違えない。
彼女はずっと信じていた。努力さえすれば、きっと成功できる。未来は自分の手で掴めるものだと。そして、勉強こそが、自分の価値を証明する唯一の手段だと。
しかしある日、美月は学校の備品室で、長い間忘れられていた一通の遺書を見つける。その差出人の名前は――二年前に起きた、いまでは誰の口にも上らなくなった校内自殺事件の少女のものだった。
遺書を読み終えたその瞬間、美月は時を超えてしまう。気がつけば三年前――中学三年生の自分として、ある「消える運命にある少女」と出会っていた。
その少女の名前は、南條千雪(なんじょう ちゆき)。
口数が少なく、成績は常に最下位。教師からは見放され、クラスでは浮き、家庭でも息を潜めて生きている存在。
教育という制度の中では、彼女は「努力が足りない人間」として扱われていた。
だが美月はすぐに気づく。千雪のその成績の裏には、誰にも気づかれなかった読字障害(ディスレクシア)という事実が隠されていたことを。
点数だけが価値を測るこの世界で、千雪の努力は、ただ見えづらかっただけ。そして、誰にも「見よう」とされなかっただけだった。
その一年間、美月は彼女の運命を変えることを決意する。あの遺書を止めるためだけじゃない。彼女自身に伝えたかったのだ――
「——君の努力、私はちゃんと見てるよ」
「君の名前を、世界にもう一度、やさしく呼んでもらえるようにする」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-19 23:32:15
34150文字
会話率:21%
夢が──私を絡め取っていく。
見慣れたはずの駅の、見知らぬ路線。
ただ静かに、発車の時を待つ列車。
行き先も知らず、あてもなく、私はひとりきりだった。
乗らなければ──そんな衝動とは裏腹に、胸の奥にある薄気味悪さを拭えない。
「この列
車には乗らない方がいいですよ」
振り返ると、見知らぬ男性が立っていた。
そうして緩やかに目覚め……ようやくそれが夢だったと気づく。
夢の感触はまるで現実のように生々しく、私の中に居座り続け──再び、夢は私を迎えに来た。
これは、夢に囚われかけていた私と、夢の中で出会った“彼”との、ささやかな記憶の話。
* * *
全2話完結(本日夜完結)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-19 21:37:42
5332文字
会話率:13%
ブラック企業に勤める佐伯蒼真は、かつての妻・綾香との結婚生活に疲弊し、ついには不倫を突きつけられ離婚する。その美貌と成功を手に入れた綾香に勝てなかったという深い劣等感を残し、彼は実家へと戻り、虚無の中で日々を過ごすようになる。
ある日、蒼
真はふと手に取ったジムのチラシをきっかけに、重い腰を上げて再び社会と向き合う決意をする。そこで出会ったのが、凛とした佇まいで周囲と一線を画す女性・藤沢沙耶だった。誰にも心を開かず、黙々と身体を鍛える彼女に蒼真は惹かれていくが、沙耶もまた、かつての結婚生活と、実家から愛されなかった幼少期のトラウマを抱えていた。
少しずつ交差していく心と心。お互いの過去と傷に触れ合うことで、「壊れたものを元に戻すのではなく、新しく築き直す」ことの意味を知っていく二人。やがて結婚、出産、育児、そして“家族になる”ということに向き合う日々の中で、沙耶は初めて「自分の育ってきた家とは違う家庭」を持てるかもしれないという希望を抱き始める。
大きな喜び、小さなすれ違い、静かな葛藤、そして乗り越えた絆。
“家族とは何か”
“夫婦とは何か”
“親になるということとは”
──そんな問いの答えを、彼らは「日常」の中で見つけていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-19 20:00:00
28625文字
会話率:21%
剣術を修めていた太刀上 瑠璃は事故により、もう二度と走ることはおろか、歩くことも出来ない体になってしまった。
勿論、刀を振るうことは出来なくなり、尚且記憶の一部を失ってしまう。
それから二年後の夏休み前日、幼馴染に誘われ(押しや根回しに負
けたとも言う)、VRゲームの配信者となる。
が、初日から色々とやらかして(やらされて?)、すっかりといじられキャラになりつつある。
新世界にて彼女はもう一度、走り、刀を、己の技を振るう。
それが彼女の衰えた力を研ぎ澄まし、もう二度と進めないと諦めたある高みへと導いていく。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-19 18:10:00
607164文字
会話率:30%
桜が丘高校に、ひとりの転校生がやってきた。
名前は風祭球児──かつて甲子園常連校でエースと称えられ、プロも注目していた天才投手。
だが彼は、野球を愛していたはずのその手を、自ら手放すようにしてチームを去った。
父は元プロ野球選手。夢破れた
過去を背負いながら、息子に苛烈な期待をぶつけるスパルタ親父。
強豪校では、才能を妬んだ先輩たちに居場所を奪われた。
「もう、野球はいい」
そう言い聞かせて訪れた転校先──桜が丘高校には、試合すらできない弱小野球部と、たった一人のマネージャーがいた。
彼女の名前は、夏見千紗。
元気すぎるくらいの真っ直ぐな笑顔で、「甲子園に行こう」と無茶を言う。
仲間は未熟、設備もボロ、勝てるはずもない。
それでも、風のにおいと土の感触に、球児の心は少しずつ溶けていく。
「……もう一度、投げてみてもいいかもしれない」
それは、止まっていた青春の歯車が、再び動き出す音だった。
──恋をした。
──仲間ができた。
──そしてもう一度、夢を追ってみようと思った。
速球155キロ、落差あるフォークを武器に。
傷ついた心でマウンドに立つ、訳あり転校生と仲間たちの、笑って泣けるじんわり青春ストーリー。
恋と野球と、父との確執を超えて──目指すのは、あの“夏空”の向こう側。
※ みなさん、こんにちは
この物語は、ひょんなことから弱小野球部にやってきた訳アリ転校生と、
元気すぎる美人マネージャーと、ボロいグラウンドと、足りない部員数から始まる、
とても静かで、とてもあたたかい「青春のリスタート物語」です。
甲子園よりも眩しかった、誰かの笑顔。
最速155キロのフォークよりも心に刺さる、あのひと言。
勝つことよりも大切な“好き”を、みなさんと一緒に思い出せたら幸せです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-18 16:07:09
157985文字
会話率:20%
汝、ハーレムを作るべし――神のお告げにしたがい、天界で騒動を巻き起こした少年剣士トーカ。当然のごとく追放され、地上へ。
降り立った先で、トーカはたまたまドラゴン娘のシアが襲われているところに出くわす。彼女を助け、事情を聞くトーカ。彼女の
住む竜の里は、帝国軍と思しき軍勢に襲撃されていた。
里のドラゴンたちは、力を封じられて捕らえられた。しかしシアだけは隙をついて逃げ出すことに成功。ところが道中で盗賊に襲われ、大ピンチに――そこへトーカがやってきて助かったのだった。
一方、トーカは襲ってきた連中が単なる盗賊集団でないことに気づいていた……ふたりは帝国の騒乱に巻き込まれていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-16 19:25:29
53379文字
会話率:58%
氷河期世代の孤独な独身男・毛利太一は、死の間際に読んでいた底辺Web小説の世界に転生してしまう。
目を覚ますと、そこは魔王の娘・ファラーシャが登場するファンタジー小説の中だった。
彼が転生したのは、なんと原作には存在しない弟キャラ、魔族の
少年・ジュアル。
ゴスロリ美少女な姉ファラーシャがポッと出て小説の主人公にすぐ殺されてしまう役柄だったことに気づく。
「姉さんが死ぬ? そんなの許せるわけがない」
姉の死の運命を回避する為、そして平穏で裕福な生活を守るため、ジュアルは「人間と仲良く」することを誓う。
だが、姉は封印された魔王(=父)の復活を目論み、次期魔王の座を狙う超野心家。
周囲は変人・曲者・ろくでなしぞろいで、ジュアルの足を引っ張るどころか命も狙いかねない。
それでもジュアルは、かつての記憶と現代知識を活かして、封印を調べたり、マンドラゴラを売って商売したり、ささやかな日常を守ろうと奮闘する。
目指すは“人間と魔族がわかり合える未来”――その第一歩は、おやつのボンボンと、夜中のスープ作りから。
姉と生きるために、僕はこの世界でもう一度、人生をやり直す。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-15 22:23:56
48944文字
会話率:60%
生まれつき足が動かず、病室で一生を終えた少女ティナ。
「一度でいいから、自分の足で走ってみたかった」
その願いを胸に目を閉じたはずが、
次に目を覚ました場所は、見たことのない街だった。
そこは、人間に似た “耳としっぽ” を持つ不思議
な種族
《センティエンツ》たちが暮らす世界。
高層都市がそびえ、みんなが個性を活かして走り抜けるスポーツ《ワイルドラン》が大人気!
ティナは灰色の毛並みを持つ少女として転生し、
初めて「自分の足」で走ることができるようになった。
けれどこの世界はただ楽しいだけじゃない。
下層に捨てられた子どもたち
閉ざされた上層との格差
そして「自分は何者なのか」を問いかけてくる謎の黒猫
これは、 “走る” ことを夢見た少女が、
もう一度、生きなおす物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-15 20:05:44
22258文字
会話率:25%
ブラック企業で命をすり減らし、誰にも看取られずに死んだ男・真田拓也。
目を覚ますと、彼は異世界の貴族の家に赤ちゃんとして転生していた。
言葉も通じず、手足も動かない――それでも、そこにはあたたかな家族の声があった。
剣と魔法の世界。
優し
さと騒がしい日々の中で、彼はもう一度、人生をやり直していく。
家族と自分を大切にしながら、いずれは外の世界へと旅立ち、自分の生き方を探して。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-15 04:25:31
13937文字
会話率:20%
結婚出産義務法のもと、LOVEYOUの“元気印”アイドル・夏芽の相手に割り当てられたのは、無口な郵便局員・宗一。
互いに心を開けぬまま性交期限が切れ、国家により生殖医療措置が強制される。
“心なき妊娠”に苦しむ夏芽だったが、やがて宗一の静か
な優しさに触れ、もう一度、愛を自分の手で選び直していく――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-14 21:08:57
1502文字
会話率:34%
「名を与えることは、祝福か、それとも呪いか」
特別な血を引く少女・神尾千歳は、“式神”と共に鬼を祓う陰陽学園に編入する。
だが、彼女の中に眠るのは、母が遺した“未完の式”と、終わらぬ呪いの連鎖だった。
名を持たぬ影《ククロ》、過去を秘め
た少女《灰音》。
すれ違い、守ろうとして傷つき、そして名前を通じて結び直されていく心。
やがて千歳は、母の業《カルマ》と向き合いながら、自らの“名”を選び取る。
——これは、呪いに支配されないために、
自分の命を、自分の言葉で確かめていく物語。
式札一枚が運命を変える、和風ダーク×少女幻想。
「君の名を、もう一度、呼びたい」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-14 16:19:44
5609文字
会話率:16%
これはただの走り屋モノじゃない、魂の存在証明であり、「約束を果たすために走る亡霊の物語」。それが One Eye’s C。
⸻
湖の向こうに、いつかふたりで辿り着くはずだった。
けれど、その約束は、あの日の夜に置き去りにされたまま——。
夢の続きを走るのは、片目の光だけを灯すセリカ。
眠りの中で、それでも尚、誓いを守ろうとする誰かの魂。
気づいたときにはもう、彼女は隣にはいなかった。
けれど、見えない過去に指先で触れ、残された“囁き”を聴く者がいた。
この道を駆けた意味を、
もう一度、誰かと並んで走るために——。
「One Eye’s C」
→ 「ワンアイと呼ばれた女」
→ そいつが乗っていたのは「C」……何の略かは誰も言わない。けど知ってる奴は知ってる。
その「C」に込められたのは:
•Celica
•Curse(呪い)
•Contract(契約)
•Core(中核)
•Comeback(再来)
•Clarity(真実)
•Conscience(良心)
•或いは…Car
何を想像するかは自由。でも全部芹の物語に通じる。
それこそが「別モノ」である証。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-13 17:10:09
58341文字
会話率:38%
僕はミオに恋をした。
けれど、何の前触れもなく彼女はいなくなり、僕の心には深い傷だけが残った。
そして三年後。
忘れられなかった想いは、不意に“再会”という形で僕の前に現れる。
目の見えない少女──
それが、あのミオだった。
笑ってほ
しかったはずの彼女は、どこか別人のように無表情で。
優しかったはずの彼女は、今は僕の手を素直に握ってくれない。
彼女に何があったのか。
なぜ姿を消したのか。
そして今、なぜ僕の家で暮らしているのか。
過去と現在が交錯する日々のなかで、僕はもう一度、
彼女の「本当の気持ち」と向き合おうとする──。
これは、すれ違い続けた二人が、
もう一度“恋”を始めるまでの物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-13 16:05:49
30867文字
会話率:45%
「俺の理想は──」と突然、婚約者からのカミングアウト。まさかの婚約破棄の流れにエノリアは泣きながらの「あなたが大好きだったのに⋯⋯」と悲しみに暮れる。
調子に乗った婚約者からの「もう一度、やり直そう」の言葉に「婚約破棄一択しかないのですぅ」
おっとり令嬢が勘違い野郎を皮肉で斬りまくります!
※「あなたのことは大好きでした、けど乙女心を見くびらないでください」のコメディバージョンです。(セリフ以外の内容は同じです)
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-13 06:12:10
2153文字
会話率:43%
「俺の理想は──」と突然、婚約者からのカミングアウト。まさかの婚約破棄の流れにエノリアは泣きながらの「あなたが大好きだったのに⋯⋯」と悲しみに暮れる。
調子に乗った婚約者からの「もう一度、やり直そう」の言葉に「いえ、婚約破棄ですわ」
乙女心
を軽んじた男に冷ややかな制裁が始まる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-12 07:10:00
4682文字
会話率:33%
突然別れた幼馴染カップルの俺たち。
悔しいが、別れてから10数年も彼女のことが忘れられない。久しぶりに帰省してデートとかした場所を巡る旅にでも出ようかな。彼女を忘れるためにも。
しかし思惑は外れ、余計に思いを強めてしまう結果に。
★カクヨム、アルファポリスでも投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-12 22:19:00
11962文字
会話率:45%
その預言は、世界の終わりを告げていた。
「七月、地球は“死にたい”という意志によって破裂する」
大阪の片隅にひっそりと佇む神社。そこに暮らす青年・牧田光(まきた ひかる)は、未来を視る力を持つ「預言者」だ。
かつて、人知れず災厄を封じ
てきた秘密結社「零」。
だが今、零は瓦解し、仲間たちは離散。残されたのは、弱き預言者ただ一人。
それでも、彼は視てしまった。
街を覆う「死にたい」の波動。歩道橋から次々と落ちていく人々。
そして、空に現れる怪異たち。
光は決意する。
「もう一度、“零”を再建する」
特殊清掃員で霊媒師の理枝、霊の声を聴く少年・輝、民俗学オタクの青年・鉄平――
再び集った者たちが、大阪の闇に挑む。
これは、“死にたい”という祈りを祓い、“生きたい”という願いを紡ぐ物語。
世界が終わるその前に、彼らは立ち上がる。
――大祓、開始。
閉店三十分×革命の双龍、クロスオーバー
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-12 18:56:21
28685文字
会話率:27%
あの日、君と出会って、世界がすこしだけ優しくなった。
写真を撮ることをやめた青年・結城蒼司(ゆうきそうじ)は、妹の遺したカメラを手に、地図アプリの偶然に導かれるように海辺の町を訪れる。
そこで出会ったのは、白いワンピースにスケッチブック
を抱えた少女・灯(ともり)。
「来年の春は、たぶん見られないから」
そう笑う彼女は、限られた時間を穏やかに、けれど確かに生きていた。
ふたりで過ごした短い夏の日々。
それは、誰にも知られない祈りのような、やさしくて、切ない時間だった。
「生きていて。……私のかわりに」
彼女が遺した手紙と、言葉と、最後の願い。
それを胸に、彼はもう一度、レンズを空に向ける。
君のいない世界で、君を想いながら生きていく。
これは、一度だけの恋と、永遠に残る記憶の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-12 16:10:46
21394文字
会話率:28%
「ルクス・シェラード、お前を断罪する!」
私の目の前にいるのは、私の婚約者と兄の婚約者。
兄は段上のバカ王子の婚約者勝手な恋心により冤罪をかけられ、罪に似合わぬ罰を与えられ処刑された。
父は自殺に見せかけられて殺され、母は心労が祟って儚
くなった。
許してなるものか。この屈辱を、この恨みを、憎しみを、晴らさなければ死ぬに死ねない。けれど復讐を終えて残ったのは、空っぽになった空虚な自分自身。
国が、世界がどうなろうと知った事ではなかった。私の望みはただひとつ。もう一度、兄に会いたい……。
「どうかもう一度、私にチャンスを……。お兄様を、救えるのなら、何だって……」
涙ながらに終えた、私の空虚な人生だった。
「は?」
どうやら、神は私にチャンスをくれたらしい。目に映るはかつての部屋。鏡の中には幼い私。聞こえてくるのは、懐かしい、家族の声。
「幼い、私……?」
どうやら、過去に戻ったようだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-12 10:07:54
118917文字
会話率:44%