「フカツ」
乾の手が腕を捉えた。引き寄せられる。足元で砂がじゃりっと音をたてる。シャツに乾の指が食い込む。
熱い指だ。
「好きだ。フカツが好きだ」
熱い声だ。
夏の太陽のように、人を焼く、生々しい声だ。鼓膜が震える。振動が指先にまで
満ちる間、瞼を落とし感じていた。
これは、恋だ。こういうのを恋と呼ぶのだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2010-11-25 15:21:35
9331文字
会話率:42%
タンスの上に小さな白い包みがあった。骨が入っていると義母は言った。
その日の義母の顔を私は忘れられない。涙で半分閉じられたような薄い瞼から白目が私を睨んでいた。
最終更新:2010-04-28 15:55:05
990文字
会話率:22%
好野圭。
誰もが振り返るほどの美貌を持つ男子高校生。
しかし好野には謎が多く、彼の本当の姿を見る者がいなかった。
彼の右目。彼の声。
病室でひとり過ごしてきた彼に、話しかけた和砂。
好野圭は何者なのか。和砂は知りたかった。
そしてその日から
始まる不思議な毎日に、気付く術などなかった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2010-04-08 22:27:58
801文字
会話率:23%
宝島に憧れる少年は、瞼の裏に夢を描く。明るくて暖かい夢。もう誰も寂しくない夢。そんな夢は何処で見つかるのか。宝島は何処にあるのか。――彼は眼を開いてそれを見る。
最終更新:2010-01-21 08:27:33
2491文字
会話率:33%
羽田の倉庫で働く男と来歴不明の中国人女性、同性愛のケンジ、事務のみっちゃん、危険な香りの陳、様々な人間模様がぐるぐる回って、少し悲しい終局です
最終更新:2009-07-10 05:25:25
4054文字
会話率:29%
猫のささみ様。それは不思議な白猫だった。学校のテスト。私。ささみ様。逃走。公園。青年。スケッチブック。坂道。別れ道のミラー。山の中。空に一番近い場所。宵の祭り。青い青い空。重すぎる瞼。そして目覚めた私は何を見るのだろう。
最終更新:2008-10-04 02:14:46
33228文字
会話率:35%
ある男子高校生の何気ないと思われる会話の裏。
最終更新:2008-02-03 15:32:55
3389文字
会話率:41%
「今日も独り、明日も独り・・・」彼は考え込んでいた・・・。「一生独りなのかな、俺は・・・。『一人』じゃなくて『独り・・・』」昔の友達の顔が、瞼の裏に現れる。もっとも、今は『友達』と呼べる間柄の人は、存在しないが・・・。そう、彼は死のうとして
いた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2007-11-15 19:53:33
10650文字
会話率:42%
目を閉じて、思い出してみる。ほどよく筋肉がついた、たっくんの肩にあったモノ。鮮明に瞼に浮かびあがる。「天使の……羽」可愛らしくて、柔らかそうな。「天使の羽?」不思議そうに聞き返す亮平に頷いて、あたしはもう一度言った。「たっくんの肩に、天使の
羽があった」折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2006-11-13 03:24:07
9872文字
会話率:41%
お祖母ちゃんは、夜眠くなった時、『眠りの精』が瞼に砂をかけたのだと言いました。私はお祖母ちゃんに『眠りの精』になりたてのエーベルのお話を聞きました。ずっと昔のお話です……。
最終更新:2006-10-01 00:19:04
4237文字
会話率:39%