「付き合ってください!」
今日だけでもう3回目の告白だ。
競技場の片隅、桜の花びらが舞い散る春の午後。
別の学校の制服を着た女子生徒がピンク色の便箋を両手で差し出し、腰を曲げた。
彼女の声は小さかったが決然としていた。
皇陽斗は困っ
たように軽く笑うと、首を一度なでた。
彼が困った時に出る一種の癖だった。
「ごめん。僕...彼女いるから。」
「...え?」
予想外の答えに女子生徒の目が大きく開いた。
彼女はぼうっとしたまま立ち尽くしていた。
「じゃ、先に行くね。練習あるから」
皇は申し訳なさそうに腰を曲げて挨拶すると、振り返らずに自分の道を行った。
紺色の髪が春風にさらさらと揺れていた。
「やっぱり...皇さんは今日もイケてるな。」
私は競技場の片隅に隠れて彼らの姿を見つめながら、納得したように頷いた。
万人の彼に彼女がいるなんて誰も想像できないよね。
いや、むしろいないほうがおかしいんじゃない?
「推しの恋を応援するのもファンとしての務め!皇さんが幸せなのが俺の幸せなんだから」
皇に彼女がいるという事実に、なぜかこうも胸の片隅が痛むのか分からなかった。
俺はただファンとして彼を憧れているだけなのに。
分からない感情に拳をぎゅっと握った。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-18 15:56:30
6940文字
会話率:31%
最後の贈り物は、不格好な銀花の刺繍だった。
家のために婚約した相手に、私は恋をしていた。けれどその人は、私を残して逝ってしまった。誰かの駒として生きるなら、せめてその道だけは、自分で選びたい――。
最終更新:2025-05-03 21:10:57
7815文字
会話率:20%
異世界の小さな宿「紅葉亭」を営むエリナ。料理の腕前と温かい人柄で、町の人々に愛されていた。ある日、過去を背負った旅人ロウレンが宿に訪れ、心を開いていく。二人の間に芽生える絆と恋。しかし、ロウレンは町を去る決意をし、エリナは彼の未来を応援する
。新たな歩みを始める彼との別れの後、エリナもまた自分の道を進み始める。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-02 19:10:00
6784文字
会話率:43%
どこにでもいる「飯屋のせがれ」。少年は毎日同じことの繰り返しに飽き飽きしていた。どれだけ努力しても、自分には料理人としての才能がない。
少年は魔術師になると決意した。
金も力も、血筋も才能もない。そんな少年が知力と想像力だけで自分の道を
切り開く。目指すは魔術師の町「呪(まじ)タウン」。
天才学者、暗器使い、剣士、魔術師、大商人、格闘騎士……。出会いが事件を呼ぶ。
王子暗殺の陰謀に巻き込まれた主人公は、生まれつきの「映像記憶(フォトグラフィック・メモリー)」を武器に、驚きの洞察力を発揮する。ついに、暗殺者一味を追いつめ陰謀の阻止に成功するが、自分も命の危機に遭い大けがを負う。
彼を立ち直らせてくれたのは、無償の愛。愛する者たちを守るために、少年は強くなることを決意する。武術の師は彼の進むべき道筋に光を示す。
瞑想と思索がギフトと魔術へのカギだった。世界の秘密を暴き、科学の進歩を妨げる何者か(神のごときもの)との対決へと、物語は動き始めた。
少年はイデア界と接続する能力「ギフト」を磨き、イデアを操る力「魔法」を探求する。
ついに、「王立アカデミー魔術学科」に入学し、学園の生徒として世界の謎に近づくのだった。
魔術学科での学習も普通ではいられない。「感情を反射する絵」を描いたり、黒道着姿で授業を受けたり、どんぐりで標的をぶっ飛ばしたり。
ついには失われた原始魔術「隠形五遁の術」を再現してしまう。
情報革命研究会では魔道具の開発を担当。数々の「やらかし」を経て、驚くべき魔道具の数々を開発してゆく。
そして、研究会の仲間たちとともにルネッサンスにつながる技術を発明する。
インターネット文学に唯一無二のハイファンタジー世界を提示する「ザ・ドラマチック異世界ファンタジー」がここに誕生。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-29 07:00:00
1617591文字
会話率:46%
名誉薬師の娘として王都エルダリアにやって来たアンナ。
親の七光りと噂される一方で、自分の道を探しながら日々を過ごしていた。
春の宴で王妃付きの毒味役に選ばれたアンナは、思いがけない事件に巻き込まれる。
逆境の中、少女は“本当の自分”を見つけ
出せるのか――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-28 00:02:52
11374文字
会話率:37%
陸上部に所属する滝川凌は、まっすぐすぎてちょっとおバカ。でも誰かの夢を支えられるような存在になりたいと願っている。
トランペットを愛する真帆は、感情を音でしか表せない不器用な少女。同性の親友・早矢に抱く気持ちに戸惑いながらも、「好きに理由な
んていらない」と言える自分を探している。
そして、鋼のメンタルと身体を持つ早矢(はや)は、自衛官の父を尊敬し、「誰かを守れる強さ」を目指して走り続けている。
それぞれが、自分の道を探してもがき、傷つき、そして気づく――
言えなかった想いも、ぶつけられた嫉妬も、すれ違いも、全部が“光”になるときがある。
走り続けたひと夏の青春。
音楽、スポーツ、友情、恋。そして揺れる心。
交差し、ぶつかり合い、再び“火がともる”――
これは、少し不器用な3人の青春群像劇。
あなたの中の“Re:light”が、今、始まる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-24 21:28:19
28111文字
会話率:33%
日本的価値観である「おくゆかしさ」とアドラー心理学の「幸せになる権利」という一見相反する概念の間で揺れる一人の女性の内面的旅路を描いています。
主人公の和子は45歳の中間管理職。夫の海外転勤が決まり、キャリアを捨てて同行するか否かという選択
を迫られています。自分の幸せを追求することを「わがまま」と感じ、葛藤する和子はアドラー心理学のカウンセリングを受け始めます。
カウンセラーの健太郎との対話、80歳の母・敏子との実家での語らい、そして偶然出会ったアメリカ人心理学者マリアとの哲学的な会話を通じて、和子は徐々に新たな気づきを得ていきます。
物語の核心は、西洋的な「個人の幸福追求」と日本的な「おくゆかしさ」が、表現は異なれど根底では通じ合う可能性を探ることにあります。アドラーの説く「共同体感覚」と日本の伝統的価値観である「間」の概念が持つ共通点が浮き彫りになっていきます。
最終的に和子は、夫との「週末婚」を選択し、自分の道を歩む決断をします。それは「自己犠牲」でも「わがまま」でもなく、自分の内なる声に耳を傾けた結果です。和子は「自分の選択に誇りを持ち、同時に大切な人たちとの絆を感じること」を自らの幸せと定義し、アドラー心理学と「おくゆかしさ」の間に独自のバランスを見出していくのです。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-03-13 21:04:10
4985文字
会話率:57%
ファジー・ペイン子爵令嬢は神の声を聞くことができた。神とは天界の住人のことで、下界に関して結構な部分を知ることができた。ファジーは神の言うことを聞いていれば、平穏無事な人生を送れたに違いなかったのだ。しかしファジーは神の言うことを聞きはする
ものの、必ずしもアドバイスに従いはしなかった。自分の行動には自分で責任を持ちたいからと。自立心溢れる潔いファジーの生き方に、神は徐々に惹かれていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-08 07:43:01
4491文字
会話率:36%
夢の世界には、古今東西の偉人たちが年代も国籍も越えて集っているという。悩み多き若者だけが辿り着けると言われている。
伯爵家の令嬢、スぺレッセはピンクブロンド色の髪を持って生まれたというだけで、家族から疎まれ捨てられるはめになる。家族の元に戻
ってからも、辛い思いをしながら、なんとか生きていこうとする。
そんな彼女は夢の世界で、偉人だったらしい三人のおじさんと出会い、少しずつ強くなっていく。
自分の道をみつけるために。
※歴史上の有名人っぽい存在が出てきますが、あくまでモデルです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-24 13:29:44
15254文字
会話率:34%
シェイルディアの騎士の娘メルセナは、美貌の父が大好きなエルフの少女。拾われっ子の彼女は、父が自分を娘と選んでくれたことを人生最大の幸福だと思っていた。どんな困難が訪れても、その事実が自分の道しるべになるのだと、ずっとずっと信じていた。
※
別視点の物語と同時連載です。2章9話は8/23~毎日0時更新となります。
※Pixivでも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-09 00:00:00
204845文字
会話率:55%
高校卒業を迎えた浩一は、親友の悠真が東京の大学に進学することを聞き、心の中で大きな不安を感じる。これまでずっと一緒に過ごしてきた悠真がいなくなることで、彼の未来に対する迷いや不安が深まっていた。そんな中、悠真は浩一に、自分の道を見つけるため
に勇気を持って一歩踏み出すことの大切さを語りかける。
春の桜が舞い散る中、二人は最後の時間を過ごし、浩一は悠真の言葉を胸に、自分もこれからの人生を歩む決意を固める。別れの瞬間、浩一は自分の成長を感じながら、悠真との思い出と共に新しい一歩を踏み出すことを誓う。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-01-03 03:01:54
1219文字
会話率:23%
よくある断罪に「婚約でしたら、一週間程前にそちらの有責で破棄されている筈ですが……」と返した公爵令嬢ヴィクトワール・シャネル。
婚約者「だった」シレンス国の第一王子であるアルベール・コルニアックは困惑するが……。
※pixiv、カクヨム、
アルファポリスにも同じものを投稿しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-21 18:21:03
6338文字
会話率:48%
運命の花嫁に選ばれる為に子沢山を推奨する国に生まれた。
それらに関する事項全てが大嫌いなサティラム。
双子として生まれ、美しい妹に存在をくわれてきた。
日陰の身と押しやられたのなら、そのまま消えよう。
妹だけいればいい。
長年の、熟考した結
果でそう結論付けた。
家族が、周りが私をいらないというのなら、こちらも同じようにいらない。
自分で自分の道を見つけよう。
竜族という存在に振り回された少女は、自分のために国を出る。
その後、夢を叶えたサティラムは自由になった。
やがて、まるで寝物語のような展開が起こるが。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-21 06:10:00
7131文字
会話率:11%
三年前、彼は天の恵みを受けた者から病床の無力な存在へと転落した。孤独と絶望は彼を死の淵へと追い詰めた。しかし、命の終わりが訪れるその時、彼は運命の歯車に巻き込まれ、見知らぬ異世界へと足を踏み入れることとなった。
そこは炎と殺戮が渦巻く世界
。蜘蛛巣の女王・シンキの影が荒れ果てた村を覆い、王国騎士団の総団長クレアは正義の剣を振るい血を流しながら戦っていた。少年は自分がただの傍観者に過ぎないと思っていたが、運命は既に彼の魂に印をつけていた。
災厄に追われ、運命に弄ばれながら、彼は自分の道を見つけられるのか?生き延びるために戦うのか、それとも運命の真実に立ち向かうのか?危険に満ちた冒険の中で、彼は信頼できる仲間たちと共に戦い、自身の秘密を解き明かす旅を始める。待ち受けるのは、破壊か、再生か。
運命の歯車は既に動き出した。災厄の向こうにある希望の光は、果たして本当に存在するのか?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-21 02:11:11
489文字
会話率:0%
将来への不安に悩む大学生・祐也は、ある夜、「サジタリウス未来商会」という不思議な屋台に出会う。店主から「未来の断片鏡」という装置を手に入れた祐也は、それを通じて自分の未来の可能性を垣間見る。しかし、どの未来にも理想通りではない不完全さがある
ことに気づく。完璧を求めることをやめ、「今」を大切にする決意をした彼は、次第に自分の道を切り開いていく。未来を選ぶヒントを求めるすべての人に贈る、心温まる物語。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-12-04 06:00:00
1952文字
会話率:38%
銀髪に赤い瞳のハーフエルフ、ルーナは傭兵団団長の娘として育った。父親バリーが全てだったルーナはバリーに認められたい一心で傭兵として残虐な殺しを手伝っていた。ある日バリーが片足を失った事をきっかけに傭兵団を追い出され、ルーナも彼についていく
。だが、バリーは街で堕落していく一方。そんな時、街に敵国が攻めてきてバリーを目の前で殺されてしまう。絶望に打ちひしがれながら逃げた先でルーナは、ボロボロの鎧をまとった人間の少年リオに出会う。驚くべき事に、リオは、自分が王子だと言う。ルーナは、綺麗な金髪に端正な顔立ちのリオが本物の王子なのではないかと直感した。そして、互いがひとりぼっちである事を知ったルーナとリオは兄妹の契りを交わした。
ルーナが、これまでの人生とリオへの気持ちに葛藤しながらも自分の道を決めて行く物語です。
カクヨム様・アルファポリス様・ノベリズム様にも投稿中
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-09 18:22:42
330990文字
会話率:48%
孤児院で育った14歳の少女ヒルデガルトは、豊穣の神の思惑で『精霊眼』を授けられてしまう。
力を与えられた彼女の人生は、それを転機に運命の歯車が回り始める。
孤児から貴族へ転身し、貴族として強く生きる彼女を『神の試練』が待ち受ける。
可憐で凛々しい少女ヒルデガルトが、自分の運命を乗り越え『可愛いお嫁さん』という夢を叶える為に奮闘する。
頼もしい仲間たちと共に、彼女は国家を救うために動き出す。
これは、運命に導かれながらも自分の道を切り開いていく少女の物語。
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本作は「精霊眼の少女」のリライト作品です。
「小説家になろう」と「アルファポリス」で掲載しています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-06 21:26:03
332704文字
会話率:21%
戦が耐えぬ時代。
数多の生きものが人形とし共存する、世界。
「奪う強者より、守られる賢い弱者に」
宮殿の中で生き残る賢い教えとして、母親の言いつけを守っていた第28王女シャシャは本音を押し殺し、生きていた。
だがある日、親戚の中
で唯一信頼し、慕っていた従兄弟のユーリ兄上の謀反により一夜にして全てを失い絶望に陥る。
母の言いつけ通り強者であるユーリ兄上に従うか、自分の道を切り開くか?
齢14歳の少女は血の海に染まる宮殿で、決断を迫られ意志を貫ぬかざる得ない展開に……。
「この手が血に染っても、奪われぬため!! 剣をとる!!」
夢を持つ少女は今、天下を狙う!!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-01 23:01:33
7471文字
会話率:45%
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に
話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
※他サイトにもほぼ同時に掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-01 17:10:00
88197文字
会話率:59%
十四年前、国王アルローはその死に際に、「私を探せ」と言い残す。
国一丸となり、王の生まれ変わりを探すが見つからず、月日は過ぎていく。
王アルローの子の治世は穏やかで、人々はアルローの生まれ変わりを探す事を諦めようとしていた。
そんな中、アル
ローの生まれ変わりが異世界にいることがわかる。多くの者たちが止める中、騎士団長のタリダスが異世界の扉を潜る。
そこで彼は、アルローの生まれ変わりの少年を見つける。両親に疎まれ、性的虐待すら受けている少年を助け、強引に連れ戻すタリダス。
彼は王の生まれ変わりである少年ユウタに忠誠を誓う。しかし王宮では「王」の帰還に好意的なものは少なかった。
心の傷を癒しながら、ユウタは自身の前世に向き合う。
アルローが残した「私を探せ」の意味はなんだったか。
王宮の陰謀、そして襲い掛かる別の危機。
少年は戸惑いながらも自分の道を見つけていく。
第二十一回書き出し祭り参加作品。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-31 18:11:57
108904文字
会話率:45%