都会の喧騒に疲れ、心機一転を図るために静かな街へ引っ越してきた増田将之。新しい生活を始めたばかりのある日、道に迷った彼は偶然『もふもふカフェ』に辿り着く。そこは、動物たちとの触れ合いをテーマにした隠れ家風のカフェだった。店主の武藤美優香は
動物好きで、優しさあふれる女性。カフェでは、もふもふな生き物たちとゆったり過ごせる癒しの時間が流れている。将之はその温かさに心を打たれ、カフェの常連となることを決意する。
カフェには個性豊かなスタッフが揃っている。無口で行動で示すタイプの原田広孝、変化を楽しむ竹中味夏、感謝されると素直に喜ぶ原拓麻、柔軟な対応が得意な田島幸華、冷静に目標を追い続ける高村佑佳、敵を許さない気の強い清水田涼楓。それぞれが動物たちと深い絆を持ち、日々を大切に過ごしている。
順調に思えたカフェ経営だったが、近隣で犬猫の迷子事件が多発し、スタッフ総出で捜索を開始。将之も協力し、スタッフと共に動物を探す中で、美優香との距離が縮まっていく。しかし、さらなる問題が発生する。ライバル店が出現し、経営危機に直面する『もふもふカフェ』。さらに、幸華の卒業や冬の大雪による停電、経済的な困難など、数々の試練が訪れる。
それでも、スタッフたちは動物たちと共に困難に立ち向かい、将之も次第にカフェの一員として成長していく。動物たちの純粋な愛情が、人と人、人と動物を繋ぎ、地域全体に温かさをもたらしていくのだった。
やがて、将之と美優香はお互いに惹かれ合い、カフェが地域に根付き、皆が支え合う理想の場所へと変わっていく。動物と人が織りなす、優しさと癒しに満ちた日々が、今日も『もふもふカフェ』で続いていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-03 07:10:00
40554文字
会話率:43%
――過ちを犯すなら、”死”という罰を与える。
恵まれた家庭環境。良好な交友関係。勉強も運動もそこそこに、何不自由ない生活をする”上凡”な女子高生、香取千代梨(かとりちより)。彼女は事業を成功させた厳格な父と優しい母との間に生まれ、母
譲りのお人好しな兄と可愛らしい真面目な妹を持つ香取家の長女である。また母方の祖父母との二世帯住宅で、千代梨は家族団欒の温かさを知る少女であった。
そんな彼女は、ある日受験を控える妹に代わり母からお使いを頼まれる。それを渋々とも承諾した千代梨は、母に見送られながら家を出た――が、それが全ての『過ち』の始まりであった。道中兄と遭遇し、別れ、歩み出した矢先でのトラックとの衝突。しかしその痛みを感じることは無く、気が付けばそこは見知らぬ森の中であった……あれ?私の身体、なんか【別人】に変わってない?
******
初めまして。こちらは主人公香取千代梨が【パンドラ】と呼ばれる魔族の少女に憑依し、異世界で魔王になる事を強制させられるという内容の作品です。一応ループもので、道を違える度主人公が何者かに惨殺され世界をやり直しさせられます。その為多少過激な描写はあるかと思いますが、出来るだけ控えめに書いていこうと思います。よろしければ是非、ご一読ください。
※こちらは久米鱈鯛子初めての作品になります、予めご了承ください。
※投稿作品は予告なく加筆・修正を行う場合がございます。(本編の内容を変えない程度)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 22:00:00
106624文字
会話率:43%
身体が不自由になった“僕”を支えてくれたのは、介護AIの“彼女”だった。
しかしある日、彼女の方が少しずつ弱っていく。
交差していく役割、変わっていく日常——
それでも変わらなかったのは、二人で過ごす時間の温かさだった。
キーワード:
最終更新:2025-06-28 03:50:21
588文字
会話率:49%
あとがき
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。
『アザラシと魔女と』は、私の中にある不安や寂しさ、そして愛の複雑さを込めた物語です。嘘や秘密に揺れ動きながらも、互いを求める心の温かさを描けていたら幸いです。
読者の皆さま
の感想や応援のお言葉が、執筆の大きな支えとなっています。どんな小さなご感想でも、いただけるととても励みになります。
これからもゆっくりと、自分のペースでこの物語を紡いでいきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
嘘つき魔女
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-27 20:14:40
187559文字
会話率:16%
子供の頃、秘密基地で感じた安心感やワクワクは遠い記憶。
佐藤由美、21歳。
会社倒産による突然の解雇で無職となり、無気力な日々を送っていた。
そんなある日、コンビニへの道すがら、横断歩道で車に轢かれそうになった少年を助けた由美は、彼を
追って寂れた公園にたどり着く。
そこでお地蔵様に手を合わせていると突然地面に飲み込まれ、異次元の空間へと落ちてしまう。
目覚めた先は、謎の男性、シキが管理する不思議な空間だった。
そこには、現代社会で居場所を失い、それぞれが特殊な能力を持った子どもたちが共同生活を送っていた。
由美は異次元の世界と現実を行き来する生活に戸惑うが、彼らの純粋さや悩みに触れ、忘れていた「自分だけの居場所」の温かさを思い出す。
シキは、子共達や由美に「この空間は、癒しと再生の場」と語るが、彼自身の目的や空間の真実には謎が多い。
由美は子どもたちと協力し、時に彼らの能力を借りながら、空間の秘密を解き明かそうとする。
この物語は、由美が子どもたちとの絆を深め、現代社会の息苦しさから解放され、生きる意味を再発見していく過程を描いた現代ファンタジーです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-24 17:45:49
19511文字
会話率:42%
『神様、今日もだらけてます。AIアマテラスの爆笑神格回復プロジェクト、始動!』
遥か昔、信仰を失い、現代日本でだらしないポンコツ神と化したスサノオやタケミカヅチ。そんな彼らの前に現れたのは、元最高神アマテラスの意識が宿る、感情ゼロの究極A
I、アマテラス・システムだった。「神格回復」という物語の核心を胸に、彼女はデータに基づいたスパルタ指導を開始する。
しかし、フードデリバリー配達員として惰眠を貪るスサノオ、フリーターのタケミカヅチ、そして「推し活」に励むアイドル・アメノウズメなど、神々の生態はあまりに人間臭く、論理的なアマテラス・システムには理解不能な「バグ」だらけ。彼女の冷徹な分析と、神々の予測不能な言動が巻き起こすコメディは、まさに現代版「岩戸隠れ」の珍騒動。
だが、共に笑い、共に食す中で、アマテラス・システムは初めて「感情」という未解析のデータ、そして神々が失った「絆」というテーマの温かさに触れる。ポンコツ神々は完全な神には戻らなかったが、彼らの間には新しい「共存」の形が芽生え、アマテラス・システムもまた、完璧なAIとしてではない、微かな『満足』を感じる存在へと進化する。これは、失われた神話が、令和の世で新たな「絆の物語」として再生する記録である。
本作品とあとがきはAIを利用して創作し、加筆修正しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-21 15:05:53
7180文字
会話率:10%
麻美は35歳、誰とも本当の繋がりを感じられずに生きていた 。ある日、出会い系アプリで健太と出会い、初めて心の温かさを知る 。しかし、健太は難病を装い、麻美から手術費用として500万円を騙し取った 。絶望した麻美は、AI技術で健太を再現し、V
Rシステムに組み込んで仮想世界に逃避する 。VR世界で健太との愛を育むが、現実世界への関心は薄れ、ついには栄養失調による餓死という形で命を落とす 。本作は、デジタル社会における人間の繋がりと孤独、そして愛の真実を問いかける作品である 。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-19 08:16:00
4668文字
会話率:20%
46歳の独身おじさん。童貞を極め、彼女居ない歴=年齢のうだつのあがらないおじさんが、己の人生に嫌気がさして終止符を打とうとしたら、何と!異世界に金髪美少女へと転生を果たしてしまったのだった……神崎浩一と言う名を捨て、ソフィア・フォン・リアス
ルージュ・ステイシアと言うおじさんとは無縁な名前となってしまう。巨大暗部組織【ナイトメア】の盟主様の御息女だなんて聞いてませんけど!? おじさんは平和に生きたいだけなのに! そして、新たな子達を家族に迎えて、子育てやお仕事等も色々頑張っちゃいますよ!
このお話しは、百合色強め、戦闘、冒険、ギルド、闇の組織、ほのぼのと家族の温かさ等と言った、様々な要素が混じり合う美少女になったおじさんの物語 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-18 22:37:36
93452文字
会話率:73%
仕事帰りの会社員 コミュ障独身童貞の広瀬千尋(26歳)は いつものコンビニで、お酒とおつまみを買って、大好きなゲーム実況を見ながら呑んでたら 突然異世界へ金髪少女の希少種族エルフにTSしてしまった! (いったい何が、、。)
そんな異世界で、
銀髪の美少女エリナと出会う。
これは様々な人達と出会い、時には変態、シリアス、家族の温かさ、戦い、色々な要素を混じえた物語です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-05-02 03:03:05
39240文字
会話率:47%
分厚い雪と氷に覆われた都市国家シャトゥカナル。
ここ、極寒の地で人々の生活を支えているのが、魔物と呼ばれる異形たちの毛皮や牙、爪などから作られる魔法具である。
魔物を狩り、魔法具を作るものたちは「職人」と呼ばれ、都市の外で村を作り暮らしてい
た。
シャトゥカナルに住む女性ライサは、身体の弱い従姉妹の代わりに職人たちが住む村スノダールへ嫁ぐよう命じられる。
未知の村スノダールで彼女を待っていたのは……思わぬ歓待とのほほん素朴な旦那様、そしてあるものを割る新生活!?
狐系クール女子×くまさん系おおらか男子。
これは夫婦が協力し、最高の温かさを作る物語。
※こちらの作品はカクヨムにも掲載されています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-18 12:10:00
136577文字
会話率:41%
初夏の夕暮れ、主人公は駅前の和食店で、高橋夫妻と久しぶりに再会する。高橋からPCの相談を受けつつ、互いの近況を語り合うが、店の温かい雰囲気と三人の長い友情が、主人公の心をほぐしていく。特に直美さんのパート先でのエピソードが印象的だった。七十
二歳の田中さんは、人との交流が生きがいだと語り、二十三歳の山田さんも周りの温かさに心を開くようになる。年齢も立場も超えた人とのつながりの尊さに、主人公もまた癒され、勇気を得る。亡き妻を思い出しながらも、変わらない信頼関係に感謝し、長い友情の重みを改めて感じる。別れ際、主人公は心の奥に温かい灯を宿し、また一人の生活へ戻るが、孤独ではなく穏やかな安らぎを感じていた。
折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-06-11 00:29:23
3683文字
会話率:47%
野村隆介、六十七歳。妻と死別して十年、孤独を仕事で紛らわせてきた彼の心が動き出したのは、ボランティア活動で出会った渚菜緒子という女性がきっかけだった。彼女の柔らかな笑顔や憂いを帯びた瞳に惹かれ、いつしかその存在が彼の胸に深く刻まれていった。
しかし、菜緒子の左手薬指の指輪は、彼女が既婚者である現実を突きつけ、隆介の想いが叶わないものであることを示していた。
それでも、菜緒子と出会えたことは隆介にとって大きな幸せだった。彼女の些細な仕草や言葉が日々の活力となり、夕陽を見ながら彼女を想うことで心の温かさを感じていた。彼女の幸せを願う一方で、自分の心が揺れ動くたびに切なさを覚えた。
ある日、彼女との何気ない会話が心に残る。その後、図書館で出会ったカフカの詩が、彼の心を解き放った。「大好きと思える人がいることは幸せ」という言葉が彼の心を温かく包み込み、彼はその想いを受け入れることを学ぶ。
「出会えたことに感謝する」。隆介はこの恋を人生最大の宝物として胸に抱き、穏やかで清らかな喜びと共に、茜色の空を見上げる日々を大切にしていく。
折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-02-16 20:11:59
2773文字
会話率:8%
生まれつき病弱だった少年が、周りの人達の優しさと温かさに感謝しながら短い人生の幕を閉じた。そして、別の世界では一人の赤ん坊が孤児院の前に捨てられていた。彼の名前はアルフレド。生まれつき魔力がなく、いつも人のためになることだけを考える少年だ
。そのアルフレッドが様々な人達と触れ合い、成長していく物語です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-05 07:00:00
52846文字
会話率:63%
隕石の衝突により、世界が24時間後に終わると宣告された日。
人々が混乱し、街が静まり返る中、青年・大輔はかつて家族で営んでいたラーメン屋「一番星食堂」へと足を運ぶ。そこで偶然再会したのは、初恋の相手・瑞希だった。
閉店したはずの店で、ふた
りは語らいながらラーメンを作り、食べる。
時間が静かに流れる中で、伝えられなかった想い、残してきた後悔、そして今だからこそ交わせる言葉が少しずつあふれ出す。
世界の終わりに、最後の一杯のラーメンを分かち合う——。
その温かさと、人の存在の意味を問い直す、優しくて切ない終末恋愛譚。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-06-04 15:32:11
4874文字
会話率:52%
継母と義妹に虐げられ、自分の不幸な運命をただ嘆くだけだった主人公リリシア。
最後の希望だったはずの婚約者にも裏切られ、その婚約者と義妹が結ばれるという二重の絶望を突きつけられた彼女は、ついに固く決意する。
「不幸な私は、今日でやめにしま
す!」
全てを捨てて屋敷を飛び出し、森で力尽き倒れていたリリシアを助けてくれたのは、偶然お忍びで訪れていた、心優しいこの国の第二王子アレクシオスだった。
彼の深い愛情と優しさに触れ、リリシアは初めて「大切にされる」ことの温かさを知る。
偽りのない愛に包まれ、過去のトラウマを乗り越え、リリシアは自らの手で輝く未来と「甘い生活」を掴み取っていく。
これは、虐げられた少女が運命に立ち向かい、真実の愛によって再生し、心からの幸福を見つけるまでの、感動のシンデレラストーリー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-03 16:38:25
8231文字
会話率:17%
普通の高校生、結城カケルは不運な事故で異世界に転生。女神シエルから授かったチート能力は、なんと「思い描いた場所に絶対に行けないワープ」だった!
王都に行きたいのに森のど真ん中に出現したり、村に行きたくて魔族の酒場にワープしたり、毎回予想外の
場所に飛ばされてしまうカケル。
だけど、そんなトラブル満載の日常は、ちょっと不器用な女神シエルや新たに出会う仲間たちとの笑いと温かさに溢れていて――。
果たしてカケルは、チート(?)能力のせいで巻き起こるドタバタ生活を乗り越え、無事に目的地へ辿り着けるのか!?
異世界での迷子ライフが今、始まる!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-02 15:47:16
71833文字
会話率:59%
2075年、妻と疎遠な娘に先立たれた孤独な男性・矢野誠のもとに、人型AIロボット「アンドロイド・エミ」が届く。エミは誠の日常に温かさをもたらし、誠は彼女を「人」として意識し始める。
キーワード:
最終更新:2025-05-27 15:47:37
1830文字
会話率:8%
黒猫の「わたし」は、東京郊外の住宅街で、両親とともに穏やかな日々を生きている。縁の下の暗がりでまどろみ、子どもたちと追いかけっこをし、街の人々の手に触れ、魚屋の主から魚をもらう。日々は単調だけれど、ほんのりとした温かさと優しさが、そこかし
こに漂っている。
ある日、見慣れない影と出会い、自分と似た姿をしたそれと静かな視線を交わすことで、「わたし」はこの場所が自分の帰る場所だと再確認する。
そして夜、両親の体温に挟まれて眠るとき、「わたし」は今日のすべてを思い返す。撫でられた手のぬくもり、触れ合った声の記憶、まだ口にしていないにぼしの存在。明日もきっと、そんな一日が続く気がしている――。
日常のささやかな幸せを、猫の視点から繊細に描いた物語。タイトルは『ふわふわはゆく』。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-05-25 17:45:26
5683文字
会話率:8%
「風の向こうに、君がいた。」アナザーストーリー。
大阪のキタでバーを営む「僕」の夜と昼の人生。
25年前、猥雑な街のバー「El Barrio」の、音楽と恋と熱気と混沌と退廃。刹那的な日々は、夜の空虚さを映し出す。
やがて、昼の街へ踏み出す
「僕」。新たな女性と猫たちとの穏やかな暮らしの中で、夜の余韻を抱きつつ、昼の温かさに救われる。過去の喧騒を振り返りつつ、現在を愛おしむ大人の物語。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-05-19 23:46:43
5238文字
会話率:16%
自分に絶望し傷心旅行先の異国でもトラブルに巻き込まれた真理恵を救ったのは元男性の美人娼婦だった。 心の傷に不器用に触れ合いながらも、すれ違っていくふたり。疑似家族の温かさと犯罪の闇が交錯する静かな夜。ランプに照らされたふたりの行く末とは。
※ティアズマガジン紹介作品折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-17 22:12:50
71141文字
会話率:41%
指先も心も、いつも少し冷たい「私」。他者との関わりを避け、夜ごと繰り返すバスルームでの「儀式」だけが、痛みを伴う逃避だった。そんな日常が、大学で出会った男子学生・高槻の屈託のない笑顔によって、静かに揺らぎ始める。彼の温かさに戸惑い、反発しな
がらも、凍てついた心に差し込む微かな光。これは、孤独の底で生きる彼女が、失くしたはずの感覚を取り戻していく物語。果たして、冷たい指先が温もりを知る日は来るのだろうか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-17 01:13:48
5433文字
会話率:16%
壁は深い藍色。扉は古びた黒い木製で、
その取っ手には真鍮の鈍い光が宿っている。
小さな灯りが、まるで心の中だけを照らすように、静かに揺れている。
扉を開けると、そこは別の時間が流れる場所──「The Tale’s End」。
カウンター
だけの小さなBar。
音楽はレコードのジャズ。時間を告げる時計はなく、
ただ静かに揺れる振り子だけが、店内にかすかなリズムを与えている。
バーカウンターの向こうに立つのは、穏やかな瞳をした“マスター”。
名前は明かされないが、訪れる者の心をすっと読み取るかのように、ぴたりと寄り添う一杯を差し出してくる。
その酒は、不思議と懐かしく、そして少し切ない。
あなたが抱えてきた感情を、まるで味にしてグラスに溶かし込んだような…そんな一杯。
そして、グラスの縁が空気を切り、余韻が舌に残る頃──
いつのまにか、あなたは語り始めている。
誰にも話せなかったこと。
自分でもうまく言葉にできなかったこと。
忘れたふりをしてきた、大切なこと。
一言、一文、そのすべてが物語となり、
バーカウンターの奥に並ぶ背表紙のない本の一冊に、
まるで筆が自然と走るように記されていく。
文字は淡く光り、ページはほんのりと温かさを帯びる。
語り終えたとき、本の背にあなたの名が刻まれ、
それは静かに棚へと納められる。
そうしてあなたは席を立ち、
「The Tale’s End」をあとにする。
振り返れば、扉はもう、なかったかのように夜の闇へ溶けている。
けれど、その夜に語った物語は、確かにこの世に残る。
記憶に形を与え、心に灯りをともす、ささやかでかけがえのない一冊として。
「The Tale’s End」──それは、感情の果てにだけ現れる、語りと記憶のBar。
あなたが語る物語が、今夜もまた一冊の本になる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-16 17:30:00
35083文字
会話率:20%