「どういうことだい……? もう、ここには来られないって」
おれは彼女に手を伸ばした。しかし、おれたちの間にあるコーヒーカップに指が当たり、ガチャッと音を立て、彼女が身を強張らせた。
「あ、ああ、この店が嫌なんだね? 確かに、最近汚くな
ったなぁ。いや、ははは、毎日来ているとわからないものだね。匂いもあれかな、ははは……」
おれは自分の声が震えていることに気づき、情けない気持ちになった。
「ごめんなさい……」
「あ、こうしよう。次からはエレベーターの前で会うんだ。そうすれば君も――」
「ごめんなさい……やっぱり、あなたとは……ごめんなさいっ」
彼女はそう言うと同時に席を立った。
「なあ、待っ――」
「ははははははっ!」
「……おい」
おれは隣の席との間にある仕切りに腕を乗せ、友人の松田を睨んだ。
松田はコーヒーカップに口をつけながら、おれを見上げた。額に皺が寄り、眉が上がったそのいやらしい顔が腹立たしい。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-06-19 11:00:00
7492文字
会話率:43%
――おっ
と、電車のドアが開いた瞬間、おれは思った。昼下がりの空いた車両内の端の席、仕切り板に体を預けていたおれは、電車の中に入ってきたそいつに向けて久しぶりだな、とニヤッとしてみる。しかし、向こうは気づいていないようだ。『あの男、
ニヤついて気持ち悪いな』と他の乗客から思われた気がして、目だけを動かして周りの様子を確認した。
よかった。杞憂、被害妄想だ。春の日差しと心地良い揺れに、みんなボーっとしている。そして、結局あれも、おれの妄想なのだろうか……。
おれは小人が見える。ごくまれに、ぼんやりしているときだけだが。だから『夢を見ていたんだろ?』と人に強く言われれば、ううむと唸るしかない。ゆえに誰にも話したことはない。そもそも、頭がおかしいと思われたら損だ。
これは夢と現実のその狭間に見ているものなのだろうか。それとも、彼ら小人たちが暮らす次元とおれたち人間が暮らす次元は実は密接しているのだろうか。おれにはわからない。ただ、面白いのでこのままぼんやりと眺めることにした。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-16 11:00:00
3427文字
会話率:8%
進みたくてもご用心。
そことあなたは、まだつながっているかもしれないから。
最終更新:2024-06-15 23:20:00
2186文字
会話率:3%
現代日本の女子大生、桜木鈴華(さくらぎ すずか)は乙女ゲーにハマっていた。
しかし、その乙女ゲーは悪役無能女帝のせいで攻略対象が次々と殺されていくという厄介なもの。
その攻略に日々頭を悩ませていた鈴華は、ある日、目が覚めたら乙女ゲーの世界に
来てしまった。
しかも、その姿はあの悪役無能女帝のもので――!?
女帝となった彼女はその秘められた能力――龍を顕現し、女帝に成り代わって政治を取り仕切り、攻略対象を今度こそ幸せにしようと奔走する。
変わり者ばかりの登場人物に振り回されながら、推しとのロマンスも……?
「陛下、中に入れてください……夜風で凍えた私の体に熱を分けてくださいませ……」
「う、ウワーッ! 誰かタスケテーッ!」
中華ファンタジー世界を舞台にした成り代わり物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-08 20:00:00
78378文字
会話率:41%
極道がダンジョンを仕切り、様々な恩恵を社会へもたらすと共に、大きな影響力を持つ時代……。
豊田組の構成員夏目銀次は、どれだけ魔物を倒そうと、背に浮かぶヤクザの証――仙墨(せんぼく)が変化することもなく、下っ端に甘んじていた。
だが、
ある日、そんな彼の前で組長の孫娘豊田舞がさらわれそうになってしまう。
彼女を守ろうとするも瀕死となり、力を求めた銀次に応えて、背中の仙墨は鯉から龍へと進化。
圧倒的な力を銀次に与えるのだった。
以来、銀次はヤクザ社会での出世街道をまい進していく……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-20 18:48:32
50751文字
会話率:22%
うまく連載にすることができず、仕切り直して、再投稿してます。
主人公は、古市村庄屋の三郎衛門、木綿商人の嘉助、綿作農家の幸吉、三人です。
彼らは舞台回しのように、最後は一千七ヵ村もの国規模の農民が結集し、権力者を相手取って、自分たちの訴えを
勝ち取るまでを、演じていきます。
主人公たちだけでなく、過労死しそうなほど八面六臂で活躍し続ける幕臣、ドラッカーよりずっと前に「人を幸福にすること」をモットーにマネジメントを唱えた思想家、選挙は一番で勝ったやつより二番手の方が有能!と言い切った村役人等々、面白い登場人物が次々現れます。しかもほぼ実話で。
これがこの小説の特徴で強みです。
この物語は、あくまでフィクションです。ノンフィクションまじりの......
どの部分が創作でどの部分が実話か推理するのも一興かと......
歴史ものである限り、諸説ある事はあらかじめご了承ください。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-25 06:00:00
96402文字
会話率:21%
あらいやだ、貴方、私のことを子豚みたいな女だと思われたでしょう?
いいえいいえ、構いませんわよ、事実ですもの。
だけど貴方、不細工な私に笑っていられるのも今の内ですわよ?
私のお世話になっている女王……いえ、
お嬢様は、天使のような見た
目ですの。
あまりの麗しさに目が潰れるかもしれませんから覚悟なさいませ。
……それと、見惚れたければ耳は塞いでおられた方がよろしいわ。
と、お嬢様を全力でヨイショするのが私クロエ・エヴァンズ子爵令嬢。
そんな私の敬愛する彼女が、
最近現れた性格も容姿も完璧なご令嬢の前に婚約解消秒読みですって?
この見た目で取り立ててもらったのですから妙な勘違いはしませんし、他の綺麗な方のように旗色が悪くなったところで裏切るなんて、そんな恩義のないことをするはずがありませんわ!
良い機会ですからこの際見る目のない婚約者はスパッと忘れて、
もっと素敵な新しい婚約者を見つけて仕切り直しと行きましょう!
女王様の幸せを見届けるまで、きっちり侍って御覧に見せますわ!
アイリスNEO様より2020年12月に書籍化して頂きました。
これもこのサイトと応援して下さった読者様方のお陰です!
本当にありがとうございました♪折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-31 23:56:59
121776文字
会話率:26%
雨が仕切りに降っている。今日合わせて今月8回目。降りすぎた雨のせいでここに来るまでにタイヤが泥だらけになった。
最終更新:2023-10-18 14:48:10
595文字
会話率:29%
少年はある実験施設の様なところで気が付く
そして
隣の部屋に人がやって来る。
後は後々書きます。
最終更新:2023-09-25 02:13:06
6389文字
会話率:39%
喫煙者と非喫煙者の仕切り板越しの闘争
陰気な喫煙者の男、秋斗と やたらタバコを辞めさせたがる非喫煙者の女、晴風
二人は今日もベランダでゆったりと攻防を繰り広げる
最終更新:2023-07-28 13:31:31
5115文字
会話率:17%
怪しい隣人の正体を、俺が暴いてやる……。
最終更新:2023-05-09 20:00:00
3377文字
会話率:8%
交通事故により死亡した高校三年生、竜道は、謎の猫神の仕切りの元、若くして亡くなった同じ境遇の者たちと、一九九六年の世界に何故か意識だけを飛ばされてしまう。そして猫神の興味をただ満たすためだけに、有無を言わさず集められた九十六名は復活を賭け
た一対一の対決を行うことを強要されることに。竜道は、自分の父親と思しきシンゴと名乗る丸顔の男に憑依するような状態にて、サイコロを用いた奇妙な闘いに挑んでいくのであった。「Zero×Nine→21」と名付けられた、「0」から「9」までの出目を合計21となるように割り振られた特殊なサイコロを使用して行われる「対局」。竜道は苦境の中においてもシンゴと共に策を巡らせ勝利していく。一方、それと並行して極めて私的に行われることになったシンゴの花嫁選びという混沌にも成り行きから付き合う竜道だったが、徐々に飛ばされてきた「世界」の違和感に囚われるようになってしまう。そして世界はある一点から崩壊を見せ始め、困惑する竜道を、意識体同士のバトルロイヤルという最終決戦に引きずりこむのであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-06 15:00:47
110091文字
会話率:28%
早逝した母の代わりに家を取り仕切り、幼い妹コリンを育てたシェリルも気づけば25歳。彼女はとっくに婚期を逃していた。自分のせいで大好きな姉が結婚を諦めた事にコリンは嘆いていた。
そんな折、コリンはデビュタントで同じような悩みを抱えるニコルと
出会う。彼の叔従父カラン侯爵も過去に婚約者に裏切られたせいで結婚をしないつもりらしい。
コリンとニコルは大切な家族の幸せを願い、手を組んである企みを画策する。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-16 20:00:30
13430文字
会話率:55%
今回のお話は、1997年辺りの出来事だったと思います。
JR飯田橋駅周辺のとある居酒屋で見聞きした事になります。
この当時の居酒屋は、ホールに仕切りがある所が少なくて、少人数の方も団体のお客さんも大きさが違うテーブルに通されるだけでした
。
なので、楽しく飲むには周りのテーブルが騒がしくなる前に限りました。
せっかくの飲み会があちこちのテーブルで騒がれると、目の前にいる人との会話すら難しくなってしまうからです。
だから、いつも連んでいる3人は、所嫌わず落ち着ける居酒屋を探し回りました。
すると、雰囲気的に好感が持てるチェーン店があったのです。
しかし、そこは同じ職場の方がよく行っている居酒屋だったので、次回からは同チェーンの違う店舗に行く事になりました。
それから、どうなったのでしょうか。
それでは、本文にお進み下さい。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-02-25 00:57:24
52528文字
会話率:78%
最悪の状況を打破してくれたのは仕切り板の向こうの占い師のお姉さんだった。
高校3年の6月に転校してきた住吉は少々訳ありだった。 それを察したクラスメイト達は腫れ物に触るよう。見事クラス内でボッチになった。 その状況をマンションのベランダで
嘆いでいると仕切り板の向こうで占い師のお姉さんが今の状況を変えてあげると声をかけてきた。 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-01 16:45:50
13094文字
会話率:47%
継母と義姉が舞踏会に出かけ、一人留守番のシンデレラ。魔法使いのお婆さんが訪ねてきたが、シンデレラは舞踏会の参加を諦める。その代わり……
最終更新:2022-11-04 23:00:00
2170文字
会話率:49%
【続編注意】https://ncode.syosetu.com/n7642gf/
お目にとめて頂きましてありがとうございます。前作「妖怪マニアの転生ギルド生活 その2」及び前々作「妖怪マニアの転生ギルド生活」の続編です。
仕切り直し
はしておりませんので、初めましての方は是非そちらからお読みください。よろしくお願いします。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-10-10 18:00:00
89865文字
会話率:54%
※本作品は前作の『騅-後醍醐のもう1人の息子-』の続編です※
前作を読まずとも楽しめるように前作の説明などを話の随所に書きますが、より深く世界観を知っていただきたいので、前作を読むことを強く推奨致します。
以下、一段落目に世界観の説明がご
ざいます。
殺し屋が裏の世界を取り仕切り、殺し屋組織の上層部が政府や警察に口利きが出来る世界のお話。
だが一方で、その見返りとして政府の要望には応えねばならず、度々要人警護の依頼を受けることもある。
彼らは一般社会にはほんの一部にか知られておらず、影の立役者として世の中をどこか上手く回している存在。
したがって、殺し屋が街を歩いていても一般人や警察が警戒することは無く、依頼人が顔を見たとしても連絡は勿論話しかけてはならない為、ごく普通の生活を送ることが出来ている。
ただ、一般社会にも裏の世界にも知られている唯一の存在が居る。
それは後鳥羽家、後醍醐家といった名家と呼ばれる大富豪の一家や、新田家といった貴族で、彼らは金に物を言わせる場合もあるが、ほとんどは殺し屋組織に所属するなり単独で動くなりし、自分の身を守っている。
――そこのあなたも"BLACK"の記録者になってみないか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-08-14 17:59:28
760424文字
会話率:26%
今から40年後の20XX年……
中国と戦争か?従属か?
決断を迫られる日本の女総理大臣……国会の記者は呟く「あの総理なら戦争するかもしれない、聖クリスチーヌ女子学園を卒業してるから……」
現代……
黒の生地の背中に大きな金の『卍』刺繍のス
カジャンがトレードマークの最狂ヤンキーレディ京極茜(青い瞳の金のボサッた髪のハーフ15歳)は少年院で無期の刑期を過ごしていたが、4月6日にクリスチーヌ(小柄な美しい金のショートヘアの女性26歳)という女が現れ、京極の過去の6名殺人事件に正当防衛を立証させて出所させる。
クリスチーヌから出された出所の条件はただ一つ「日本一のワル高であるワタクシの女子校を京極が仕切りなさい」
翌日、京極は親友で恋人の赤銅(しゃくどう)聖羅(赤のボブヘアーで鼻から下は迷彩のバンダナで隠す白の特攻服女)と聖クリに入学する。
伝説のヤンキー★レディーストーリーがいま始まる!
【絵文字だらけのカクヨム版は完結済み】折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-31 10:20:08
470342文字
会話率:41%
私達兄弟姉妹は今まで贅沢な暮らしをしてきた。
洋服を望めば新品の舶来品が手に入り、髪飾りをを強請ればエメラルドがゴロゴロと着いた立派なモノが幾らでも手に入った。
父は海運業で一代で財を成したマルセーユの大商人であるトーマスは、今頭を抱
えていた。
「行商を再開してはどうでしょう? 行商であればまだ活路はあるかと……」
「行商など大した稼ぎにはならん! 今必要なのは船だ! それも大きな大きな輸送船がな!」
しかし、自分の意見が現実身を帯びているとは思えない事を自覚しているのか、ワインをグッと煽った。
「行商ですと確かに稼ぎは低いですが、安定して利益を上げることも出来るでしょう……しかし」
「時間がかかりすぎる……それならば婚姻を結ぶしかあるまい」
四人の娘達しかいない訳で……私以外は器量がわるく大商人の娘と言う付加価値しかない訳で……必然的に私《マーサ》に白羽の矢が立つという訳だ。
二人そろってこちらを見た。
どうや自分たちからは言いずらいらしく、仕切りにゲホン、ゴホン咳払いをしている。
はぁ……家のため。いや従業員のためよ。
私は家のための贄になる事にした。千人を超える従業員を雇う大商会が潰れてしまうと、路頭に迷う人があまりにも多すぎるからだ。
私は自分を奮い立たせてこういった。
「私が嫁ぎ船団をそろえるだけのお金を用意して見せます」
父と番頭は手を繋いで子供の様にはしゃいでいた。
私は思わず握り込んだ拳をスッと体で隠して、殴りたい衝動を隠し笑顔を張り付けた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-04-09 12:07:25
13241文字
会話率:42%
宇宙を航行中の貨物船が、正体不明のモンスターに襲われた。あっという間に船員二名が殺され、モンスターの正体であるナノマシンに船長も感染してしまう。さらに、宇宙船の進路が勝手に変更されてしまい、このまま行けば船は恒星に突っ込んで燃え尽きてしま
う。
逃げ場のない宇宙船内でタイムリミットが迫る中、船員らはモンスターから隠れながら、生存の道を探る……。
―――――――――――――――――――――――――――――
※残酷描写あります。
※カクヨムにも転載しました。
※一度短編として投稿しましたが、文字数が多いので四話構成に仕切り直しました(カクヨム掲載版と同仕様)
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-02-01 21:06:15
16064文字
会話率:46%