産まれながらにして『吸魔』の能力を持っていたファナは、領主の正室の一人娘であるにもかかわらず地下に幽閉されて育った。
意図せずして、他人や道具に込められた魔力を吸い取ってしまうためだ。
母親は彼女を産むと同時に亡くなり、城の中では側室だっ
た義母と腹違いの妹が実権を握っていた。
ファナは夜な夜な部屋を抜け出しては、地下の隠し通路を通って、城の書庫や庭のハーブ園へと遊びに行くことを楽しみにしていた。
十歳のある夜。
地下牢から、悲しげな泣き声が聞こえてきた。
幽霊を期待してこっそり見に行くと、そこにいたのは子犬の獣人。
怪我をし泣く子犬を哀れに思い、自室に連れ帰り手当てをする。
さらに、城の裏手の森の中まで迎えに来た家族に彼を返すと、子犬は自分のたてがみの一部を切ってファナに渡し言った。
「大きくなったらお嫁さんになってくれる?」
子供の戯れ言と頷いたファナだったが、七年後、彼は本当に再びやってきた。
見たこともない翼の生えた馬を駆り、結納金代わりの大量の宝石を携えて。
東の果て獣人の国の第二王子であった彼は、最早『子犬』とは呼べない美丈夫に成長し、しかし中身の純真さはそのまま、ファナに一途に好意を伝え続ける。
嫁いだ獣人の国では、愛される第二王子の命の恩人にして運命のつがいと国を挙げての歓迎ムード。
さらに忌み嫌われてきた『吸魔』の能力は、実はファナを介して豊穣の女神へ魔力を捧げていたと分かる。
獣人の国はますます豊かに。
一方、女神の加護を失った生まれ故郷は、干ばつや水害などが続き、市民は食べる物にも窮するように。
そんな中でも贅沢を止めない王族に、ついにはクーデターが起きる。
だが獣人達は決してそのことをファナに伝えない。
心優しい姫君が助けに行くなどと言わないように。
愛すべき第二王子夫人が心穏やかに幸せに暮らせるように。
彼女を虐げてきた国が滅んでいくのを、目を細めて見守るのだ。
※【interlude】と書いてある章はメイドのカミル視点です。
※この作品は「アルファポリス」にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-11-16 22:11:29
39719文字
会話率:29%
【Interlude連載中】
どこにでもいる女子大生、四条一二三は父の死をきっかけに自身が天才占い師赤崎サチヱの孫娘であることを知る。
そしてサチヱも死に、一二三は親族が集まる会議のためにサチヱが所有している島、『俯瞰島』へ行くことになった
。
その道中で全身真っ白な少女、赤崎樹里と出会う。
一二三は樹里に一目惚れに近い感情を覚えるが、そんな彼女の気持ちとは裏腹に島では親族たちのドス黒い感情が渦巻いていた……。
赤崎サチヱの持つ莫大な遺産。親族たちはそれぞれ遺産を欲する理由があった。
一触即発の雰囲気の中、突然事件が起きる。
孤島という名の密室、犯人は親族たちの中にいる。
そして犯人の目的は、遺産なのかそれとも……。
水曜日を除いて、毎日19時更新予定です。
※この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-19 19:00:00
520226文字
会話率:45%
「SO WHAT?!」シリーズ最後のシーズン。
「1st.」「2nd.」「side stories」に続く、おなじみの面々が紡ぐささやかな物語。
(2021/5/ 完結 全16話)
最終更新:2021-05-22 18:00:00
62138文字
会話率:43%
私が今、どこに立っているか。それについて簡単にまとめました。
もしよければどうぞ。
最終更新:2018-07-31 16:22:19
492文字
会話率:0%
どうやら世界は終わってしまったらしい。
─俺はこの現象を世界規模での感染爆発(パンデミック)だと推測した。
病原体は不明。
ただ、わかることが一つ。
─感染すれば動死体(ゾンビ)に成り果てる、ただそれだけ。
最終更新:2018-01-22 22:43:32
42271文字
会話率:34%
あれから数ヶ月。あの後のふたりの、ちょっとした日の事。
最終更新:2017-12-04 22:13:11
2968文字
会話率:38%
ある西部の男の数奇な一生を、ショートショートの分量で描きました。連載小説『ミスティック・アメリカ』の補助線として書いたのですが、単品でも読めます。連載小説の中の「Interlude01「西部劇」」と同内容です。もし気に入られたら、連載小説の
方もよろしくお願いいたします。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-01-17 18:44:06
7549文字
会話率:0%
雨ふる花に微かな愛を。
Interlude(インタールード)
自作恋愛小説、雨ふる花に微かな愛を。の外伝集です。
キーワード:
最終更新:2013-11-20 15:48:27
19568文字
会話率:38%