世界を騒がせたパンデミックがようやく終息しかけた大学三年の夏。僕、鍛治隆弘はひさびさに九州の実家に帰り、そこで幼少時に慕っていた伯父・知明の死去を知った――
形見の一部について受取人に指定されていると聞かされ、伯父の遺した家を訪れた僕は、
従妹の香苗から伯父が使っていたという1970年代の古いラジオを渡される。それは、伯父が生前没頭していたBCL(Broadcast Listening)の機材だった。
ラジオと共に添えられていた「ベリカード(受信確認証)」を興味津々で整理していた僕だったが、奇妙なことに気づく。
それらのカードの中には数枚、電離層の反射を考慮しても到底短波で受信不可能な地域を発信局とするものがあったのだ。首をかしげる僕の周辺に、やがて不審な人々が出没し始める――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-26 15:46:54
33388文字
会話率:31%
音波、電波の伝播からは、大気のスケールを感じとれます。はるばる幾光年の星の経路にまで、影響します。
最終更新:2023-02-10 11:00:00
355文字
会話率:0%
雪深い山奥で温泉宿を営む男。
冬はひとり,湯守りをして暮らしている。
穏やかに日々は流れて――いつしか老境にさしかかっていた。
また今日も雪の積もる山道を進む。
揺蕩うような暮らしのなかで,ふと胸に浮かぶのは……
この秋に最
期を看取った犬――モグと過ごした日々だ。
その日,雪山の中で淡々と人生を閉じようとしている男のもとに,
奇妙だが心暖まる瞬間が訪れる――
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-12-01 21:30:04
4963文字
会話率:4%
私生活から乖離した夏暮と汐暮。
接点のない二人は電波の仲間に導かれながらも出会う事はない。
近くの人間は信じられないが、遠い誰かは信じられるという話です。
最終更新:2013-08-07 10:08:13
5170文字
会話率:36%