夏の夕暮れ。
陸上部に所属する中学生の少女・雨宮天音は、大会を控えた放課後、仲間とともに練習を終え、雨のなか帰路につく。
いつもと変わらないはずの帰り道。けれど、その日だけは違っていた。
――道路脇の車止めに座る、濡れた後ろ姿の女。
見え
ていたのは天音だけだった。
「あの人……なんかおかしくない?」
そのひと言が、すべての始まりだった。
翌日から、彼女のまわりの日常にじわじわと“異常”が忍び寄る。
夢の中の声、濡れた足跡、ふいに感じる視線――
やがて天音は知る。“それ”は、名も記録も失った少女の、深く歪んだ怨念だった。
そして、雨が降るたびに誰かが座るという、あの場所で。
天音もまた、“継がれてしまった”ことを悟る。
誰も見ていないはずの霊は、
――“見つけた者”に微笑む。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-06 20:04:35
86325文字
会話率:13%
満月の夜、廃線の向こうにある車止めの向こう側に行くと二度と戻れなくなるという言い伝えがある。
その満月の夜に男の子はその車止めの向こう側を抜けていった。
「この先におじいちゃんがいる」
男の子の目的とは何か? 車止めの向こう側には何がある
のか? 不思議な一夜を共に見ていきましょう。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-12-29 23:20:44
11087文字
会話率:43%