名前を呼ばれることを望まなかった「わたし」と、
名前を明かさなかった「もうひとり」。
記録も問いかけもない、季節限定の滞在施設。
性別も呼称も名乗らずに、ふたりはただ“隣にいる”ことから関係を始める。
手紙もない。会話も少ない。けれど、
沈黙の中には無数の気配が宿っている。
“触れないこと”でしか近づけないふたりは、やがて、
名前の代わりに残された記憶と祈りを、互いの輪郭として確かめ合っていく。
——これは、恋とは呼ばれず、友情とも定義されない、
それでも確かに“わたしたち”だったという物語。
全30話、完結済み。この3話は明日の朝変わってます折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-15 00:38:00
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会話率:2%