「僕たちの婚約を破棄しよう」
愛しき婚約者は無情にも、予測していた言葉を口にした。
伯爵令嬢のバシュラール・ディアーヌは婚約破棄を宣告されてしまう。
「あの女のせいです」
兄は怒り――。
「それほどの話であったのか……」
――父は呆れた。
そして始まる貴族同士の駆け引き。
「ディアーヌの執務室だけど、引き払うように通達を出してくれ。彼女も今は、身の置き所がないだろうしね」
「我が家との取引を中止する? いつでも再開できるように、受け入れ体勢は維持するように」
「決闘か……、子供のころ以来だよ。ワクワクするなあ」
令嬢ディアーヌは、残酷な現実を覆せるのか?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-06 21:16:45
63323文字
会話率:55%
「そなたとの婚約を、破棄させて頂こうか!」
「いきなり、何を言い出すのですか?」
大ブルクハウセン帝国の皇太子、ブルクハウセン・セラフィーノ様は定例の婚約披露パーティーで言い放ちました。
受けて立つのはアテマ王国の第二王女、アテマンツ
ィ・マリアンジェラ様であります。
贅の限りを尽くす現皇帝ブルクハウセン三世が治める大帝国と、質素倹約を旨とするアテマ王国は国情が水と油ほど離れていました。両国の溝は埋まらず、若き二人が代理戦争のように激突いたします。
私は皇城の見習いメイド、ラファネ・エリーザ。
地方のさる小さな貴族の出身です。
皇太子セラフィーノ様のお世話をしながら、日々この国の行末を案じております。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-04 23:54:29
26410文字
会話率:48%