始まりの舞台は、巨大な地下世界〈セント=ベイル〉。
空も、雨も、あるはずのその世界で──少女シエル=ヴェスタは、まだ何も知らなかった。
腐敗した王政。閉ざされた外界。
少女の一歩が、やがて世界の真実を暴き始める。
異能と魔法、そして死者
の意志を継ぐ“力”。
忘れられた記憶と、隠された継承が交差するとき、運命は静かに動き出す。
人の心が刃になる、ダークファンタジー巨編。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 22:11:40
53142文字
会話率:38%
迷宮ーー。それはある時突然この世界に現れ、それ以降様々な場所に生まれてその数を増やしてきたと言われている。迷宮内は平原や森林、海、空など多種多様な環境にあふれており、その規模も千差万別である。
当初迷宮がこの世に現れた時、現れた国の対応
はそれぞれ異なっていた。出現により村が一つ消えたことから周囲一帯を封鎖し立ち入りを禁止したり、不審なものとして入り口を封鎖したりとさまざまであった。なかには静観した結果迷宮から魔物が溢れ、周囲の村や街を飲み込んだ結果制圧できた頃には地図から県が消えたと言われている。
一方で、果敢にも内部へ調査隊を派遣した国もあった。その国も初めのうちは少数精鋭で調査隊を送り込んだものの、一カ月が経過しようとも誰一人として帰ってこなかった。しかし、ある時調査隊の一部が帰還に成功したことで内部の様子が判明した。その結果、迷宮内には大きな危険が存在するが、それ以上に資源や未知のモノに溢れていることが判明した。
それ以降、各国はこぞって迷宮探索に乗り出し、時には多大な犠牲を払いながら、時には危険を持ち帰りながらも探索を進めて行った。
その結果、得られた資源や迷宮内の魔術理論の解析などから急速に武器や魔術が発展し、安全性が向上するに連れさらに大きな成果を持ち帰るようになった。
現在においては迷宮内の探索を専門に行う職業である探索者は当たり前のものとなっている。
しかし、今回記して行くのは現在の迷宮探索の様子ではなく迷宮が出現した初期、いわゆる黎明期と言われる時代のことである。
様々な冒険譚や探索にまつわる手記などを読まれた各人に取っては当時の人々の行動や決心は愚かしく感じる部分も多々あると思われる。しかし、これは紛れもなく当時未知の領域に文字通り生命を賭けて挑んだ人々の物語である。その何かが読者諸氏に響くものが有ればこの話を纏めた甲斐があると思う。
ーー序文より抜粋折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 22:10:00
466815文字
会話率:38%
「おかしな話」を、ただそのまま聴いてくれる人がいる。
否定も、説明も、必要ない。
自分の世界が壊されずに受け入れられることで、私は私を見失わずにすむ。
優しいまなざしと静かな共鳴が、日常の中に小さな魔法を生む。
大切な誰かと過ごす、透明な時
間の物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 22:02:05
416文字
会話率:29%
感情を空で伝える宇宙人アリオが、言葉と心でつながる地球人に興味を抱き、ひとりの少女との対話を通して“理解を超えたつながり”を見つけていく。観察と共感の間にある、優しいSF短編。
最終更新:2025-07-19 12:05:09
789文字
会話率:37%
最愛の恋人・悠を事故で失った凛は、心にぽっかりと空いた穴を抱えながら生きていた。
そんなある日、ラジオから流れてきた一曲の歌が、彼女の時間を再び動かし始める。
歌声に重なるのは、あの日、言葉にできなかった想い。
もう一度、伝えたかった言葉が
、歌の中に息づいていた──。
失われた愛と再会の奇跡を描く、切なくも温かな短編物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-06 19:26:30
711文字
会話率:16%
紫藤昴(しとうすばる)はその日ついていなかった。
朝から鳥のふんが空から降ってきて頭に直撃。
抜き打ちの数学のテストはボロボロ。
昼休みの学食は焼きそばパン争奪戦に敗れ。
犬の✕✕✕を踏んづけて……
そんな彼と双子の弟叶大(かなた)は信号
無視の車に轢かれ、17年の短い人生を終えた。
そんなスバルが剣と魔法の世界に生まれ変わって、テイマーとなり安心安全をモットーに暮らしていく!?
彼は果たして安心安全に長生きできるのか?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 22:00:00
29199文字
会話率:48%
架空の国、架空の時代
亡き父の遺言通り、蒼石観音の秘密を探り、千年ぶりに西乃国の龍を召喚した主人公劉煌は、親の仇は打てたが、恋は実らず、12年思い続けてきた小春を中ノ国に置いて、彼自身は西乃国で即位した。
祖国復興のために邁進している中
、劉煌はやがて出自不明な女医と出会い、彼女と恋に落ちてしまう。紆余曲折の後、彼女の真実の出自を知った劉煌は、彼女を皇后に迎えるべく奮闘するが、結納の日、彼女は劉煌を庇って隣国の皇帝の刃を受け絶命してしまった。(以上今までのあらすじ)
失意の劉煌らの前に、千年前からの因縁につながる朱雀(不死鳥)が現れ、劉煌の願い通りに簫翠蘭を蘇らせるのだが、なんと蘇った彼女は劉煌のことをまったく覚えていなかった。
最愛の人が蘇った喜びも束の間、彼女から自分の存在が抹消されていることを知った劉煌は、激しい失意の中、なんとか簫翠蘭の心を取り戻そうと奮闘する。
しかし、簫翠蘭を狙う隣国の皇帝も中ノ国の龍の召喚に成功してしまったため、千年以上良好な関係を築きあげてきた参語三か国の緊張は、13年前の西乃国政変で皇帝となった劉操の時代よりもさらに高まってしまい、、、折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 21:45:15
132280文字
会話率:31%
架空の国、架空の時代
亡き父の遺言通り、蒼石観音の秘密を探り、千年ぶりに西乃国の龍を召喚することに成功した主人公:元西乃国皇太子劉煌は、見事に親の仇を打ち国を奪い返した。しかし、彼は、国を取り返すという夢は叶えたものの、12年も想い続けた
初恋の人との恋は成就せず、失意のまま国に戻り皇帝の座についた。
失恋の痛手から恋愛感情を封印し、わき目も振らずに祖国復興のために邁進していた劉煌であったが、皮肉なことに彼の心を大きく揺さぶる女性が現れてしまった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-10 20:20:00
453598文字
会話率:23%
架空の国・架空の時代
大陸の東域にある隣り合う3か国は、千年の長きに渡って良好な関係を築いてきた。しかしその中の一国にある日暗雲が立ち込めると、まるでドミノ倒しのように他の2か国にもそれが飛び火した。
9歳ながら既に千年に一人の天才と崇
められていた劉王朝の皇太子劉煌。そんな彼が暗雲に巻き込まれ、国を追われ命からがら逃げ落ちてきたその先は、なんと男子禁制の尼寺だった。
皇帝であった父の敵討ちと皇位奪還を心に誓い、劉煌は、隣国の尼寺で、”平民の女の子”として生きながら一人復讐の機会を伺うのだった。
#時代物
#冒険
#友情
#コメディー
=注意事項=
戦闘等による身体欠損・大量出血を想起させる描写があるためR15に設定しました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-15 20:20:00
578950文字
会話率:24%
焼けすぎた肌。香ばしすぎる匂い。
少年グリス・ピッグフォードは、同族であるオークの村で「異物」として恐れられ、腫物のように扱われていた。
彼の姿、容姿が、他のオーク族の誰とも違う”焼豚顔”をしているためである。周囲はどう接してよいか分からず
、傷つけることを恐れて距離を置いた。優しさも不安も、戸惑いの中に隠しながら――。
そしてそんな幼い彼の心に根づいたのは、
「俺はここにいてもいいのか?」
静かな孤独と、己の存在意義そのものへの疑念だった。
そしてある日、彼は突如【時渡り(トキワタリ)】を果たし、
時空を越えて“現代日本のとある町”へと迷い込む。
辿り着いたのは、寂れた中華料理店。
兄弟で切り盛りする店の中で、彼は温かい焼飯(チャーハン)と出会う。
――「腹減ってんなら、食ってけよ。焼豚焼豚チャーハン、サービスだ。」
それは、“神の施し”に等しかった。
初めて差し出されたその一皿に、グリスは涙を流し、心から震えた。
「焼豚顔」である自分自身が、否定されるものではないと知った瞬間だった。
やがて少年から青年へと成長した彼は、“未来を見る予言の書の力”を得たことで、ある異変に気づきはじめる。歪んだ歴史、記憶の改ざん、そして世界の在り方そのものの崩壊――。
彼がこの世界に現れたのは、偶然ではなかった。
神と思っていた兄弟店主の正体。
そして、“本来の自分”が存在していたはずの未来。
物語の裏で暗躍していたのは、時間と因果を密かに売買していた存在たち。
忘れ去られた【世界の修正力】と“焼豚”に込められた意味が交錯するなか、グリスは世界の歪みと対峙し、自らの存在をかけた戦いに挑むこととなる。
未来を綴る神【筆跡神】が時を記した禁書《時律の書(クロノノミコン)》と未来を上書きする筆Rewrite Pen(リライトペン)を手にした彼は最適な未来をつかみ盗る冒険が始まる!
【この“焼豚顔”の俺でも、生きる意味はありますか?】
かつて「異物」と呼ばれた少年が、
“誰かの奇跡”になるために、世界と運命の真相へ挑む。
温かくて切なくて、じわりと香ばしい。
――異世界×現代をつなぐ、唯一無二のファンタジー大作、ここに開幕!!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 21:10:00
125967文字
会話率:35%
この星の空には外なる星から侵略してきた艇が蔓延っていた。艇からは夜な夜な襲撃が行われ、星に生きる者たちは全滅の危機にあった。
星に生きる者であり、世界を救う力を持つ少女アリアは、その特殊な生まれから、外敵が来たる際、戦うことを使命づけ
られ生かされてきた。
だが、彼女が心の中で強く願っていたのは「世界の為に死にたくない」という一心だった。
ある日、アリアたちの住んでいた小屋の近くにある村が焼かれ、アリアはただ一人の味方、共に過ごしてきた世話役の青年・涼と、逃亡を決意する。
村人や世界から冷遇され、使命を果たすための「道具」として扱われてきたアリア。彼女にとっては、「世界を救う」こと以上に、今はただ一つ、涼と共に生きたいという強い思いがある。
当てのない旅の目的地は「世界で一番高い場所」。そこで待ち受けるのは世界の終焉か、それとも――?
アリアと涼は旅の中で様々な人々と出会い、彼女の使命と、そして責任とは何かを探しながら進んでいく。
世界を救う使命は果たすべきなのか? と自分に問いながら。
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以下のような特徴があります!
・異世界ファンタジーです
・意志力の強い女性が主人公
・主人公の目的がしっかりとあり、そこに向かって進みます
・テンポよくを意識しています
・いわゆる"セカイ系"に分類される話です
・世界観や独自設定、独自の単語はふんわりで短めです。独自の単語は《》で囲っています。
・流血表現や、やや争いの描写がありますので、苦手なお方はご留意ください
・週一くらいで更新していく予定です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 21:10:00
17364文字
会話率:40%
「うわぁ……こっちにプレイヤーが来る……嫌だなぁ……喋りたくないなぁ……話しかけられる前に撃っちゃおう……」
古式レイは銃を愛するコミュ障ド陰キャJKである。
レイはコミュ障ゆえにプレイヤーの少ない過疎ゲーを好み、銃の登場する過疎VRM
MO『GunFightOn-line』を楽しんでいた。
とある日、彼女が高難易度ダンジョンを攻略しているとダンジョンに1つのパーティが近づいてきた。プレイヤーと会話したくない彼女はパーティを狙撃銃で殲滅した。
次の日――なぜか14人のプレイヤー集団が彼女の狩り場であるダンジョンへやってきた。
レイは人と接したくない一心でプレイヤー集団を撃ち滅ぼした。そうしたらまた次の日、さらに数を増やした集団がやってきた。レイはその集団もキルするが、次の日また次の日と襲撃者の数は増えていく。
来る集団すべてを殲滅し続けた結果、彼女はプレイヤー達に『アビス・ホーク』と名付けられ、レイドボスとして認識されてしまった。
意図せず目立ってしまったレイは『GunFightOn-line』を引退。次にどのゲームをやるか悩んでいたところ、妹より超人気神ゲー『Infinity Space』を勧められる。総プレイヤー数3500万人という過疎ゲーならぬ過密ゲームに怯えるも、ゲーム性に惹かれて『Infinity Space』を恐る恐るプレイする。
人と上手く会話ができない。多くの人の前だと緊張して動けなくなる。とてつもなく不運。というハンデを背負いつつも、レイドボスにまでなった狙撃技術(プレイヤースキル)で陰キャJKは敵を蹂躙する。神ゲーだろうがお構いなし、『アビス・ホーク』は勝者(ボッチ)になるまで敵を撃つ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 21:01:25
337099文字
会話率:46%
90歳の元社畜の爺さんは、最期に願った。『乱世に連れて行ってくれ』と。心臓発作で意識を失い、次に目を覚ますと……そこは戦国風の異世界だった。
空蔵吉数(からくら きす)という死の運命にあった少年に転生し、念願の乱世で彼は暴れる。特別なスキル
や才能などない。あるのは前世で身につけた『神すら殺す抜刀術』のみ。
※主人公戦闘狂です。人殺しに頓着ないです。その辺の葛藤は秒で終わります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-14 18:02:22
50226文字
会話率:52%
目を覚ました瞬間、私は“そこ”にいた。
四季が同時に存在する不思議な庭園。
仮面をつけた十二の住人たちが、それぞれ“干支”の役割を持ち、記憶を失ったまま暮らしている。
私だけが──名前も、役割も持たない【異物】だった。
やがて起こる“
死”。
禁じられていたはずの殺人。
崩れていくルール、囁かれる「愛」という名の歪み。
解放とは何か?
本当に狂っているのは誰?
そして私は、何者なの?
貴方にとって私はどんな存在なの?
神が作ったこの“箱庭”で、
歪んだ愛の記憶が、ひとつずつ暴かれていく──。
────────
【投稿時間】
しばらくは毎日21時頃に投稿。
【人狼ゲーム×ミステリー×恋愛】を書いてみたくて、書き始めた作品です。
愛が強めで狂ってる方々と箱庭に閉じ込められる話なので、残酷描写はやや出てきてしまいます……。
ご了承ください。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 21:00:00
62113文字
会話率:36%
空が好きだ。
空の色が好きだ。
無限に広がる空を切り取った君の絵が好きだ。
陰キャ扱いされる高校二年生の夏希の趣味は、空を眺めること。偶然知り合った美大二年生の結陽は黄昏の絵を描くのが好きだという。最初に出会った神社は、空がきれいに見える
。黄昏時、神社に行けば結陽に会える。だから連絡先を交換しそびれていた。
同じものが好きな結陽と心を通わせていく夏希。友情ではなく愛情に育っていると気が付きながらも、本人には言えなかった。
男が男を好きになるなんて、きっと普通じゃない。
今のままの距離感を保って仲良くしていたい。そう願う夏希の気持ちを偶然、クラスメイトの健太に知られてしまう。健太に結陽との関係を揶揄われ、馬鹿にされたのをきっかけに、夏希は結陽に会うのをやめてしまう。
それでも結陽が気になる夏希は結陽の美大の展覧会に足を運ぶ。展覧会で結陽が海外留学に行く話を聞く。
慌てて結陽を探す夏希。初めて会った神社の黄昏時、最後の望みをかけて行ってみた場所で、結陽が夏希を待っていた。
「今日の空は夏希君の好み?」
結陽がいつものように問い掛ける。
「僕は好みだよ。大好きな黄昏に待ちわびていた大好きな子が馴染んでる」
結陽が待ちわびた黄昏は、夏希が欲しかった空の色だった。
高校二年生の鳴瀬夏希(17)と大学一年生の茅野結陽(19)のちょっと切ないほんわかピュアラブBL。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 21:00:00
11334文字
会話率:34%
空は赤紫に染まり、風景はまるで夕暮れが永遠に続くかのような時間を漂わせている。少年ニエルは崩れかけた庭園の中心で、最後に残された人間として日々を過ごしている。ある日、突如として現れた謎の少女リピカ。彼女はこの世界の終わりに立ち会う存在だとい
う。初めて会話を交わす二人の間に、不思議な距離感が広がる。ニエルはこの世界の「終わり」について知らされるが、まだ実感を持てずにいる。※この作品は重複投稿(小説家になろう/カクヨム/Pixiv/自サイト)しています。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-07-27 20:51:21
9550文字
会話率:37%
現代社会の裏側には、人知れず存在する異能力者たちがいる。彼らの力は時に街を脅かし、時に国家の均衡を崩す危険なものだった。
主人公である青山(あおやま)灰戸(はいと)は、その異能力者が起こした事件に巻き込まれ、目の前で家族を皆殺しにされてし
まう。
その出来事を目の当たりにした灰戸は激しい怒りと絶望の中、彼もまた異能に目覚める。しかし、その力は暴走し、犯人に届くことなく、ただ街を焼き尽くした。
燃え落ちたその中心でひとり、罪と絶望に呑まれながら崩れ落ちる灰戸。
そんな彼の前に、零環機構《れいかんきこう》という組織の一員である少女、柊(ひいらき)空木(うつき)が現れる。
彼女から差し出されたのは、絶望の先に差し出された贖罪の手。少年はその手を掴み、傷だらけの心で新たな道を歩み始める。
これは、ひとりの罪人が異能と向き合いながら、世界の裏側で戦い続ける物語。そして、仲間たちとの絆と、異能が交錯するなか、灰戸はやがて、世界の運命を左右する戦いに巻き込まれていく——。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 20:47:21
14498文字
会話率:45%
埃の粒が光の中に漂い、ページをめくる音だけの静謐。夏の図書館の静けさは、声なき感情の棲処だった。
十八歳の僕と梨花は、思考よりも早く、指先の温度で互いを知った。誰にも聞かれない机の下、制服越しの接触。彼女は脚をひらき、彼はその手を引いた。
それは恋とも欲望とも言い切れぬ未分化な感情を呼び覚まし、言語の及ばぬ領域で、ふたりの内面を静かに攪乱していく。
梨花の沈黙は拒絶ではなかった。ただ、答えを保留する姿勢であり、震えるまなざしは問いかけそのものだった。「これは、何なの?」──その疑問を、僕もまた、答える術を持たずにいた。
夜の布団のなかで、彼女は一人「女になること」を経験する。誰にも知られず、自らの肉体と対話するように。僕は勉強に没頭するふりをしながら、心の空白に彼女の名を幾度も書きつけ、そして消した。
やがて言葉を交わさぬまま時間は過ぎ、少女と少年はすれ違いの中に身を置く。あの一瞬の接触だけが、ふたりの記憶に焼き付いたまま、世界だけが静かに続いていく。
恋になる前に、僕たちは触れてしまった──
触れることと、触れられることの意味をめぐって──名もなき感情が、名前を得るまでの、静かな旅の記録である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 20:40:01
90133文字
会話率:11%
死んだと思った瞬間、目覚めたのは無の空間。
そこにいた“創造主”を名乗る少年に告げられたのは――
「次は君が世界を創る番だ」
世界で唯一の白き獣として新たな世界に降り立った主人公は、“アスト”と名付けられ、宿場町《エルシア》で静かな日々
を送っていた。
最初に出会ったのは、若き冒険者パーティ《星降る誓約》
彼らとの関わりを通じて、創造したはずの世界に“予期せぬ歪み”が生じていることを知る。
これはただの見守りでは終わらない。
人間、魔族、精霊、機械仕掛けの民……多様な種族との邂逅が、主人公の心を変えていく。
神ではない、ただの元・人間だった俺が、創造主としてこの世界と向き合う――その旅の記録。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 20:30:59
45340文字
会話率:12%
【毎日更新】閉館寸前の海辺のプラネタリウム「海星館」で、星野詩織は祖父の遺した投影機にだけ心を許していた。
真夏の午後、都会から来た少女カメラマン・月島澪がファインダー越しに詩織と投影機を切り取った瞬間、世界は静かに軋み始める。
レンズを向
けられる痛みと、レンズ越しに世界を切り取る悦び――相反する感情に揺れながら、二人は「なくなっちゃいそうな場所」の最後の光を追い、互いの未来を投影し合う。
夏休みが終わる日、海星館のドームにはどんな星空が映るのか。ファインダーと星図が結ぶ、一度きりの青春グラビティ・ロマンス・ガールミーツガール。
ご覧いただきありがとうございます。
感想・評価・ブックマークをいただけると幸いです。とても嬉しいです。カクヨムでも連載しております。原則としてカクヨムでの投稿が先行しますので、もしよろしければカクヨムの方でもご覧いただけると幸いです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 20:27:54
52967文字
会話率:36%
身長155cm。
その数字が意味するのは、「成長の止まった骨」などではない。
それは彼にとって、**“人間であることを許されなかった高さ”**だった。
教室では笑い声が飛び交い、スマホのシャッター音が卑猥に響く。
「ちっせぇ」「女みたい」
「気持ち悪い」「男子じゃねえだろ」
小五から始まったそれは、ただのいじめではなかった。
それは彼の“人格”を解体する、集団による“公開処刑”だった。
媚薬入りの牛乳。
意識を残したままの陵辱。
スマホで晒される裸体と喘ぎ。
少女の上履き泥棒という冤罪。
誰も庇わない。教師も、家族も。
「お前が悪い」「恥をかくな」「家名に傷がつくな」
やがて彼の心は焼け焦げ、何も感じなくなった。
試験? 勉強? そんなことができる精神状態なら、誰が自殺する?
「中浪おめでとう」と黒板に書かれた卒業式の午後。
少年は、誰に見送られるでもなく、公園のトイレで包丁を心臓に突き立てた。
その瞬間、世界は静かに終わった。
……しかし、目を開けると彼は“生まれていた”。
空には二つの太陽。全身を包むのは温かな血と滑り。
呻く母の声。まばゆい光。
異世界《ラスロ王国》。
魔法と剣、裏切りと戦争、血と鉄が秩序をつくる中世世界。
生まれ変わった彼の肉体は、やはり**「小柄な少年」**だった。
スキルなし。チートなし。称号も加護もない。
彼は“選ばれざる者”として、この世界に投げ出された。
だが、彼の眼光は鋭く燃えていた。
——この世界には、「身長」で人間の価値を決める奴はいない。
——この世界には、「黒板の落書き」も「笑い声」も「卑怯な教師」もいない。
あるのは、力のみ。
剣の刃が、魔法の咆哮が、知略の果てが、すべてを決める。
ならば登れ。血の階段を。
小さき身体でも、心は腐っていない。
むしろ、あの地獄を生き延びた心は、誰よりも硬く、黒く、そして鋭い。
「この世界の“頂”は、誰の目線にある?」
世界を殺すのは、もう“俺の番”だ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 20:12:47
6403文字
会話率:22%
私は自身を美少女にした。だってそうしたら楽ちん人生イージーモードだと思ったからだ。新たな世界がどんな所からはわからない。けど可愛いは正義。それを信じて突き進む!
目覚めたら草原ででっかいドラゴンが私の前に降りてくる。話してみると案外良
い奴で私たちは心の友となった。なんとドラゴンの力が使えるらしい。友達料としては十分だ。力も手に入れたし世界征服もいいかもしれない。
そんなことを思ってると、何か機械兵士みたいなのが私を追う。私は逃げる。追い詰められて壁をぶち破ると私はどこにいたかをその時初めて知った。それは空に浮かぶ島。私の物語はここから始まった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 20:09:49
3126848文字
会話率:43%
空を飛べるはずだ――
そう思ったのは、根拠などない本能だった。
魔法は覚悟があれば使える。そう信じて、ぼくは飛び降りた。
空に向かってではなく、落下へ。何も起こらず、世界は静かに終わった。
それが、始まりだった。
目を覚ますと
、赤ん坊だった。
知らない母の腕の中で泣いていたが、空だけはすぐに見つけた。
この世界には魔法があった。人々の生活を支える小さな魔法。
だが空を飛ぶ魔法は、誰にも知られていなかった。
幼い頃から、ぼくは空を見ては胸が騒いだ。鳥を見ては、翼を感じた。
母は言う。「また魔力を使いすぎて、気絶するよ」
それでも、ぼくは止められなかった。毎日、魔力を使い尽くす。少しずつ回復しながら、魔力が育っていく。
魔法を使うための知識も紙もない。
だから、ぼくの記録は“身体”と“感覚”の中にある。魔力が流れる指先、痺れる心臓、揺れる視界。
それらを積み重ねて、空に届く手段を探している。
前前世の記憶は、ない。
けれど、誰にも教わっていない魔力制御が、ぼくの中には確かに存在している。
それは、かつて空を駆け、魔法で戦った者の名残かもしれない。
魔法航空師団――その団長だった魂が、ラクスという名前の下で生き直しているのだとしたら。
空は遠い。
でも、命を軽んじて届く空ではない。
今度こそ、生きたまま、空へ至るために。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 20:00:00
14364文字
会話率:11%
※本作品は、性的描写を控えたR-15相応のBL作品です。
ヒューマノイドが地球から全宇宙に旅立ち、繁栄を極めた時代。ルルイェ星という、見捨てられた星があった。
主人公アイザックは、恋人のリュウとクルーズ船に乗ってルルイェ星から脱出すること
に成功する。
だが、クルーズ船の航海の途中、不可解な事故に巻き込まれてしまい、リュウ共々宇宙空間に放り出され、漂流してしまう。
アイザックが目を覚ましたのは、海賊たちに乗っ取られた豪華客船。しかも、リュウが行方不明になってしまった。
そして船の中で起こる、連続殺人事件。「インサージェント」なる、人ならざる者による犯行だと船内は騒然とする。インサージェントの疑いはアイザックと、もう一人が分からない。インサージェントはいったい誰なのか、疑心暗鬼に陥るクルーたち。
一方でアイザックは潜伏したリュウが自分へ向けて存在をアピールするための犯行だと確信する。
果たして、アイザックはリュウと共に豪華客船を脱出することができるのか。
「SF×BL×ミステリー×人狼×クトゥルフ神話」てんこ盛りのコズミックノベルをどうぞ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 20:00:00
57924文字
会話率:59%
目覚めたとき、世界は壊れていた。
猫型自動人形のソラは、荒廃した世界でハンターのラドリーと出会う。
心を持たないはずの機械と、感情を捨てた青年。
空っぽだったふたりは、世界の片隅で、少しずつ“何か”を見つけていく——
「ただの日常」と「
ちょっとの謎」が、心に静かに沁み込む——魂の物語。
※暖かいSF。猫と青年。ロボット×人間の絆ものが好きな方に。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 20:00:00
22810文字
会話率:35%