さぁさぁそこのお客様、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。そこの美人なお姉さん。そう美人なあんたのことさ。やだねぇ照れてんじゃないよ。俺の目を信頼してくれよ。あんたは美人だ間違いない。旦那も幸せもんだねぇ。こんな美人な嫁さんもらっちゃって
さぁ。妬けるねぇ。全く。
お二人さん、せっかくだから今日はお芝居を楽しんでいきなよ。王国で評判の芝居だよ。もちろん皇国でも大人気さ。
何だって? 聞いたことが無い。そりゃあんたたちは幸いだ。ここを通りかかったのは大地母神様のお恵みだ。この素敵な芝居に、あんたたちが出会うように取り計らってくださったのさ。
可愛い女の子、コンスタンサの物語だよ。可哀想な子でね。親なしの孤児、根無し草の旅芸人さ。俺と同じで町から町へ、村から村へ、風の向くまま気の向くままさ。聞こえはいいけど、なかなかにつらいもんだよ。おや旦那、俺に同情してくれるのかい。あんたいい人だねぇ。流石素敵な嫁さんをもらうだけのことはある。あんたいい男だよ。
可哀想なコンスタンサは健気なとっても良い子でね。毒舌なんだがそれはそれ。大地母神様へのお祈りを欠かさない信心深い子だ。いつか「貴婦人のコンスタンサ」という二つ名で呼ばれるような大役者になるのを夢見て、一生懸命頑張っていたのさ。
いやいやお涙頂戴じゃないよ。あんた方、安心しとくれ。子供だましの芝居とは一味違う。
健気で優しいコンスタンサは、ある日とんでもないものを大地母神様の神殿で拾っちまってね。まぁ、それが縁だったんだろうねぇ。一生懸命頑張ったのに、全く違うもんになっちまったのさ。そりゃ勿論、大地母神様のお導きは完璧さ。幸せになったよ。大団円さ。
今から思えば、全ては大地母神様のお恵みだったのさ。なにせ、可愛いコンスタンサが妙なものを拾っちまったのは、大地母神様の神殿だったんだからねぇ。
だからほら、そこの兄ちゃんも。せっかくだから芝居を見ていきなよ。あぁすまないね。活劇はないんだ。でも、手に汗握るいい芝居さ。ほら、芝居の始まり始まり。
フィクションです。実在の国、事件とは一切関係がありません。中世の欧州を基盤とした架空の世界です。身分制度があります。宗教もあります。物語の設定上のものであり、作者個人の思想との関連性はありません。
著作財産権、著作者人格権は作者にあります。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-10 07:00:00
265158文字
会話率:42%
【一言でのご紹介】
目が覚めると、そこは見知らぬ野外。見知らぬ体。一人ぼっちで放逐されていた(元)魔族少女の奮闘記。
【あらすじ】
数ある魔王家の一つ、“闇夜月”の姫セレスティナは、ひとり、黄昏れた。
――いえ、天気はいいし風もちょうど
いいわ。ただ、なぜ、別人の体なの……?
魔王の代替わりに立てられた候補者のうち、最適者としての披露目は済んでいた。あとは即位式だけだったのに。
犯人は同じ魔王候補だった従姉妹に違いないと決めてかかるけれど、真相は闇のなか。
まずは生き延びて、簒奪者に鉄槌を下し、魔王位を取り戻すための手がかりを。
…………の、はずが、なぜか聖女に祀り上げられ、危機を助けてくれた元の体の幼なじみは勇者だという。
次から次に現れる障害(求婚者)をいなしつつ、一刻もはやく元の体に戻りたいセレスティナの悲願は、いったい、いつ叶うのか。
* *
不定期かつ、のんびり進みます。
エブリスタでは一話分だけ先行投稿します。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-26 06:06:19
152444文字
会話率:42%
アナトリア王国の第三王子であるアークは、現在8歳。その日、現王ヘンドリックの弟で、叔父であるブライアンの反逆により命を狙われたが、従者である魔法使いのサジュームの転移魔法により、命からがら住まいの離宮から逃げたのだった。
そばにいた近衛騎士
のガイウスも、ともに転移しており、3人で王都外れの森を夜どおし駆けて逃げていたところ、彼らは女の子の赤ん坊を拾う。
その女の子こそ、現代日本で「橋田美羽」として生きた記憶を持ち、転生によって、たぐいまれな魔力を備えていた。
王家の王位争いで命を狙われるアーク王子は、反逆者のブライアンに復讐する日まで生き延びることを誓う。彼らはその日まで、サジュームとガイウス、そして女の赤ん坊と一つの家族のように寄り添い生きていく。
*時系列では、現在投稿中の「王位奪還の王子と精霊に隠れし孤児の姫《アナトリア王国転生後日譚Ⅰ》」の前にあたります。
*当該作品は、小説投稿サイト「エブリスタ」で「王位奪還の王子と精霊に隠れし孤児の姫 序章」として掲載しています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-22 05:00:00
15866文字
会話率:37%
アメリア・ペリクレス、11歳。一年前に、ペリクレス辺境伯に養女として迎え入れられた孤児の娘。実は、中身は現代日本でOLをしていた橋田美羽、32歳だった。
交通事故で死亡するも、気が付いた時には異世界に転生していた。
見知らぬ世界の片田舎で転
生していた美羽は、庶民として一から人生やり直すつもりが、なぜか王位継承の動乱に巻き込まれる。
魔法使いが権力者に使役される世界で、尋常でない魔力を持ってしまった美羽。
養い親で魔法使いのサジュームは、その美羽をアメリアの背後に見ることができた。転生を理解しないサジュームは、その力を精霊の力だと考えて、美羽を精霊だと思っている。そして、アメリアはその依り代だと思っている。
アメリアは心の奥底でサジュームを慕いながら、それを表に出せないジレンマに思い悩んでいく。
*当該作品は、小説投稿サイト「エブリスタ」で「王位奪還の王子と精霊に隠れし孤児の姫(上)(下)」として掲載中です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-21 05:00:00
30045文字
会話率:26%
これは、この王国に『魔王』が現れ、消えた話。
魔獣が群れ成す恐ろしい場所に置いてきぼりにされた少年テリーは、そこで不思議な少女ガルシアに出会う。
彼女は『全ての生き物の声』を解する聖女だった。
魔王に苦しめられる人々を守る勇者となった
テリーは、次々と功を挙げ、出自に関する秘密を知る。
けれどやがて邂逅する魔王には、それ以上のとんでもない秘密があったのだった!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-18 14:00:00
4715文字
会話率:30%
リストリア王国の第2王子シエル・サート・シファルは追われていた。宰相の策略により、悪魔の化身であるとの偽りの情報を流され、命を狙われているのである。そんな彼に残されたのは、王国騎士団・第1部隊隊長のクラウドとその部下達だけだった。王位奪還を
目指す彼らは、前国王の時代より交流のあるエルフの里「アルフヘイム」へと向かった。
「本当にこの生意気な女が、森の叡智なのか!?」
。森の叡智と呼ばれるエルフ・レインが、迷える彼らに道を示す。弱き少年・シエルは、無事王位を奪還することができるのか。彼らの長い戦いが、今始まる……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-09-19 23:33:49
2942文字
会話率:30%