「エルマ、貴様は俺の婚約者の身分を悪用し国庫の金を横領した!
その上貴様は聖女の職に就いていたとき、当時伯爵令嬢でしかなかったアイリーを虐げた!
公金横領や貴族令嬢への卑劣な虐めを行ったエルマを、王太子である俺の婚約者にしておくわけには
いかない!
よってエルマとの婚約を破棄する!
そして現聖女のアイリーを新たな婚約者とする!
エルマ、貴様の犯した罪は万死に値する!
だが心優しいアイリーは貴様の死を望んでいない!
アイリーは己を虐げていた貴様の減刑を願ってきた!」
「私は竜神ルーペアト様の加護を得て聖女の地位を賜った身。
無益な殺生は望みません。
エルマ様、どうか生きて罪を償ってください」
「聖女アイリーの願いを聞き届け、エルマの罪を減じ国外追放処分とする!」
パーティでの三文芝居。
俺は元婚約者に公金横領の冤罪をかけ、アイリーは先代の聖女に虐められていたと嘘をついた。
国外追放したエルマを、隣国の悪徳商人に玩具として売り渡す準備も出来ていた。
俺は自分で考えて行動したと思っていた。だけど本当は神の掌の上で転がされていただけで……。
俺がそのことに気づいた時には、もう人の手ではどうしようもないところまできていた。
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折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-09-14 18:22:40
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