姫様は、たった五分だけ姿を見せられました。
けれど、その五分を“見た”者たちは、口々に言います。
「光が舞ってた」「空気が凍った」「あれは、伝説」
侍女は震え、令嬢はざわつき、令息たちは黙り込む──
誰もが気になったのは、姫様の隣にい
たのは誰か。
本人たちは何も語らず、語るのは周囲ばかり。
けれど、その視線の交差だけで、空気は確かに動いていたのです。
これは、王女アリシアを巡る“誰かの隣”をめぐる、小さなさざ波の記録。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-03 21:40:41
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会話率:58%