時は大正と昭和の境目。
帝都一の歓楽街 浅草に、一人の少年が住んでいた。
彼の名は銀次(ぎんじ)。
口八丁だけで芸を売る根っからの香具師(しょうにん)だ。
この頃の浅草には関東大震災で家を失った
多くの少年・少女が住んでいた。
彼らは人
さらいや悪徳警官など汚い大人たちから身を守るために、
浅草黒団(こくだん)、浅草紅団(くれないだん)などの徒党を組んで、力を合わせて日銭を稼ぎ、暮らしていた。
そんな中、銀二は一人、誰とも組まずに
元浅草十二階下のさびれた地区で暮らしている。
彼は二つの商いをしていた。昼間は古臭い覗きカラクリ屋。
そして夜は——誰にも言うことのできない仕事——探しモノ屋だ。
探しモノ屋。それは、人々が失ったモノを取り戻し返す仕事。
当時の日本は大震災の影響で、誰もが何かを失って生きていた。
家族、恋人、仕事、家、命……。
銀次はそんな人々の依頼を受け、なくしたモノを探しに
十二階跡地の奥にある浅草裏町へと日々、通っていた。
浅草裏町——幻橙町(げんとうちょう)。
普通の人には見えない、奇怪なモノたちが集まるこの町では、
代償さえ払いさえすれば手に入らないものはないという。
「ここには自分の取り戻したいものも、きっとあるはず」。
そう思いながら、銀次は探しモノ屋の商いを続けていた。
そんなある日、銀二のもとに、
失踪した浅草紅団団長の紅子(べにこ)を
探して欲しいという依頼が入る。
ひょんなことから黒団団長で幼なじみでもある
辰政(たつまさ)と幻橙町で一緒に紅子を探すことになった銀次。
果たして紅子は見つかるのか、
そして、銀次の探しているモノはどこにあるのか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-20 22:00:00
35913文字
会話率:36%
死後の世界には、レーテーと呼ばれる川がある。
忘却の女神の名を冠するその川を渡ると、すべての記憶をなくしてしまうらしい。
川を渡ること、そして、記憶をなくすこと。
天秤にかけなくともどちらを選ぶかは明白だろう。
たとえ向こう岸に、
自分の求めているものがあったとしても。
たとえそれが、渡らなければ二度と手に入らないものだとしても_________
日本から異世界転生した勇者ミサキは、魔王を倒して世界を救ったものの、魔王と相打ちになり失意の中死んでしまう。
だが、彼はまた別の世界の女神に拾われ、魔王やその配下達を打ち倒し世界を救った、記憶を代償に強力な力を得る神話再臨『イミテーション・ゴッズ』を頼りに、女神の世界を救ってほしいと頼まれる。
すでに日本にいた頃の記憶を失っていた彼は迷うが、世界を救った暁には願いを何でも一つだけかなえてくれることを条件に、世界を救うことを決意した。
そして再び異世界召喚されたミサキだったが、目の前に現れた少女、メアリーの罠により体が入れ替わってしまい______
こうしてその世界の根底を揺るがす大事件に巻き込まれてしまうのだった。
死後の世界に、レーテーと呼ばれる川がある。
忘却の女神の名を冠するその川を渡ると、すべての記憶をなくしてしまうらしい。
川を渡ること、そして、記憶をなくすこと。
天秤にかけなくともどちらを選ぶかは明白だろう。
だが、向こう岸に自分の求めているものがあったらどうだろう。
たとえばそれが、渡らなければ二度と手に入らないものだったとしたら。
だからこそ、俺は再びこの川を進んでいく決意をした。
それを手に入れるために、記憶を失う覚悟をした。
だが、その覚悟は、一種の諦めのようなものではないだろうか。
この選択をしたのは、俺がすでに腰まで川に浸かっていることに。
後ろを振り返っても、もうすでに戻れる岸がないことに。
後戻りができないと気づいてしまったからかもしれない。
これは、記憶も体も、すべてを失った彼が、すべてを手に入れる物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-31 22:00:00
109044文字
会話率:42%
私のために、お願い。そんな言葉に幾度となく翻弄された。
決して手に入らないもののために、彼は全てを失うことになる。
「翡翠の宮殿」外伝。〈魔術都市〉レンにて、王甥と王女の昏き幕間。
※「翡翠の宮殿」のネタバレがあります。
※現代日本の一
般的な倫理観に反する描写があります。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-06 23:00:00
10571文字
会話率:17%
生きる事の理不尽さってあると思うのです。
突き放された迷い子は何を頼ればいいのか解らない。
そんな心情を書いてみました。
最終更新:2023-09-05 04:57:05
383文字
会話率:0%
毛虫から蛾になった虫が美しく飛ぶ蝶を見て ため息をする。
ひとは何故手に入らないものを欲しがって苦しむのか?
人と人は別の生命なのに、神様が愛と言う名のもと 出逢わせる
それが 狂おしさと涙の始まりなのに……
虫けらに自分を喩えて切ない思い
を歌う。
シューベルトの『白鳥の歌』のメロディに合わせてつけた歌詞です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-02-20 20:44:59
290文字
会話率:0%
もう2度と手に入らないものを求め、それゆえ満たされることがないこの思い。
サービスが終了してしまったらもう2度とプレイできないのがソシャゲ。サ終に文句を言うつもりはない。プレイ体験もストーリーも記憶の中に残っている。しかし——。
これは、作られたけど日の目を見なかった設定たちに哀悼の意を表するエッセイ。
曲が全てソフト化、サブスク配信されている正統サクラ大戦シリーズにおいて、もう2度と聞けない音楽たちを望む叫び。
小説家になろうでサクラ革命を論じた唯一の作品。
※カクヨムと小説家になろうに掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-10-28 07:33:32
2655文字
会話率:3%
高ランク冒険者、貴族、大富豪――どのような人間であろうとも、運の前には膝を屈することになる。
それでも尚、掴み取りたい幸運があるが故に、人々は挑み続ける――ガチャに!
さあ、欲しいものがあるならガチャを回しなさい!
多々買わなければ、手に
入らないものがここにはありますよ!
ファンタジー世界でガチャを『回させる』運営側の主人公が織り成す、不幸と幸運、祝福と阿鼻叫喚が入り混じる短編シリーズの連載版、開始です!
※
短編シリーズとして4つ投稿していた話を、今回から連載にまとめることにしました。初めての方も短編をお読みいただいた方も、どうか今後ともよろしくお願いします!
11/15修正
1~4話までは短編の話をそのまま投稿していましたが、いくつか変更させていただきました! 03話のガチャチケ配布の枚数を『Bランクからは難易度に応じてSR以上確定チケット複数配布』に。その後のガチャ描写でのノーマル、レアのアイテムの当選内容を『タオル』→『ポーションセット』に。
『ボールペン』→『エナジーポーションセット』に変更しています。
設定に無理がある等のご意見を参考にさせていただいて、修正することもあるかもしれません。未熟な作者に色々教えてくださると嬉しいです!
5話は短編にはなかった追加話です。コンプガチャを題材にしています。
話にインパクトを持たせたいなーと思いつきで書いていったので、変なところがあるかもしれません(汗)。 ご意見ご感想、お待ちしております!
更新は不定期です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-24 00:11:46
410794文字
会話率:30%
あらゆることに精通している裏世界の総統系最強女子高生、桃兎飴莉。
16年生きてきて、欲しいものはなんでも手に入ってきた。
しかし、そんな飴莉にも、簡単に手に入らないものができた
最終更新:2021-09-06 22:31:45
2420文字
会話率:55%
石猫様からのリクエストです。
久しぶりのリクエストです。
BLですが、フランクに、少し切なく仕上げました。
耐性のない人、少し敬遠気味の人でも読める作品になってます。
自分は、高校時代の友達にBL好きがいたので耐性はある程度あります。
最終更新:2021-07-11 18:00:56
1306文字
会話率:50%
個人的趣味のまま書き散らした短編です
最終更新:2021-02-28 22:29:34
1268文字
会話率:17%
■高校一年生、大橋百花は幼馴染の暮満希が好き。けれど、百花は彼の好きな人に気付いてしまう。
「あなたのことをずっと見つめていたから、あなたの視線の先に誰がいるか気付いてしまったの」
「最愛の人が、最低な人間に恋をした」
「あなたは辛い道を進
んでいくけれど、私の好きな人は間違っていないと信じる」
「心ここにあらずで、いつも遠くを見つめている、透き通った表情が好きでした」
「馬鹿だよね」
■藤巻千晴は、小学生の頃から恋をしていた大橋百花に再会し、親友として彼女が失恋したことを知る。
「あなたが、私を見つけてくれたの。あなたと出会うまで私は、ずっとずっと淋しかった」
「あなたと目が合って初めて、呼吸が楽になったのです。あなたが笑い掛けてくれて初めて、生きていてよかったと思ったのです」
「私以上に、あなたを愛せる人なんているのだろうか、と思う。でもあなたはきっと、私があなたを愛する以上に、彼を愛している」
■山井祐は、平凡な友人暮満希を蔑み、孤独を抱えた名も知らぬ美少女に己を重ね、彼女を自分の片割れとして手に入れたいと願っていた。
「彼女はいつも、ここではないどこかを見つめていた。全世界を憎悪するように睨み付けながら、永遠に手に入らないものに恋い焦がれている。そんな、美しい表情だった」
「桜の花弁が舞い落ちる中、黒髪と制服のプリーツスカートを振り乱し、狂ったように彼女は桜を蹴っていた」
「彼女はあの女といるときだけ、地に墜ちる」
■暮満希は、家族を喪った経験から、他者にとって自分が大切な存在になることを恐れていた。そんな中、自分に一切関心を向けない友人山井祐に惹かれてゆく。けれど、真っ直ぐにぶつかってくる幼馴染大橋百花の存在に、変わりたいと思い始めていた。
「誰の特別にもなりたくなかった。誰かの大切な人になるのが怖かった」
「俺たちは遠く隔たれていたから、俺は自由に彼を愛することができた」
「俺は空っぽだ、と思った。これは、恋ではなく逃避だ」
「彼女の心の真ん中に俺がいる。百花の心の特等席に、俺の居場所があるんだ」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-18 15:08:51
16576文字
会話率:28%
生まれ持った高い品性と美貌(本人談)のレスト。
フェミニストの彼が惹かれたのは、冥界の女王。
まるで、ピジョンブラッドのように深紅のルビーを思わせる彼女の瞳。
「私の選んだ、特別な人だもの……」彼女は魅惑的な微笑でレストを翻弄する。
彼女の
真意とは?——彼の想いの行方は?——
★登場人物紹介★
レスト:『D』。ロードマスター。王族出身の旅人。
ゼフィア:冥界の王女。
ギア:ソウルメイカーの大男。〇〇魔。
クイーン:ロードマスター。性格難ありの精霊の女王。
本名はレスト。
彼の両眼と同じようにあらゆる矛盾の集大成。
繊細なようでゴツく、明るいようで暗く、大人のようで子どもで。
彼の人生は手に入らないものばかり。
そんな彼が選んだ仕事……
それは、依頼暗殺だった。
彼はやがて『D』と呼ばれるようになった。
DとはDeath。
死はいつまでも纏わりつく。
永遠に……
※残虐な表現は極力避けておりますが、『血』に抵抗がある方はご注意ください。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-11-19 21:00:00
31442文字
会話率:24%
手に入らないもの。あたしは手に入れた。
最終更新:2018-07-23 21:01:14
1815文字
会話率:21%
国王の第一王女であるルピナ。彼女には影武者と婚約者がいる。何物にも代えがたい友人と理解者。欲しいものを手に入れたい。手に入らないものを諦めたい。自分の願いを叶えるために三人は行動する。
最終更新:2018-02-24 10:00:00
69124文字
会話率:35%
オフィーリアは女王だ。
そんな彼女にも、手に入らないものがある。
それは、宰相であるジルベールの心だった。
最終更新:2017-07-12 19:00:00
7258文字
会話率:33%
断りの森ーーー
一本の巨大な木を中心に広がる森を人々はそう呼んだ。
その中央に聳え立つ木の実、アプルは万病に効く言い伝えられ、数え切れない人々がその実を求め森を訪れた。
しかし5日と経たず、必ず入った場所から出てきてしまう。
「真っ直ぐ進
んだんだ!目印だって付けて、ちゃんとアプルに向かって進んでいたんだ!少しずつ近づいていたはずなのに……!」
何度挑戦しても、誰が森へ入っても結果は同じ。
いつしか人々はそこを断りの森と呼び、アプルの実は幻と噂され手に入らないものとして認識されるようになった。
ーーー人々は知らなかった。
その中心で暮らす一人の少年がいることを。
そこから出ようと、必死に毎日森の中を歩いているとゆうことを。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-05-22 16:05:03
3211文字
会話率:35%
今日も冒険者達は、一攫千金を求め【迷宮】に挑む。
【迷宮】の最奥地にたどり着いたものにはあらゆる幸福が待っていると言われている。
金銀財宝、願いを叶えてくれる女神様、不老不死になる薬など手に入らないものは無いとまで噂される【迷宮】の最奥
地には、各国の要人から生活に苦しむ平民までが夢を見る。
そんな夢見る冒険者たちが集い、同志を集める『冒険者ギルド』。
その中に一人の少年冒険者がいた。そしてこれはその少年とその周りの仲間たちの馬鹿げたはなしである。
※偉そうに書いてはいますがコメディです。
また、不定期更新&亀執筆なので思い出した頃に見ていただけると幸いです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-04-19 16:09:33
9611文字
会話率:59%
「なんとか手に入らないものか」
死顔に魅入られた拘置所長堅田は、頭部の皮膚を収縮して作られた物体を入手する。
死刑囚蛭川が執行されると、悪夢のような出来事が巻き起こり、数奇な運命を辿る少女の身に再び危険が迫る。ゾンビパニック小説。
最終更新:2017-04-10 19:13:10
113847文字
会話率:23%
―――それは、力尽くでは決して手に入らないもの。
最終更新:2016-07-09 03:22:38
11940文字
会話率:39%
主人公、弓塚弘則(ひろのり)は、平凡で目だたず、浮いた話の一つも無い、どこにでもいる学生だった。
ある日、隣に美人四姉妹が引っ越してきた事で、その平凡な日々が終わりを告げる。
引っ越しの挨拶にきた頬白四姉妹の三女、頬白真結(ほおじろ・まゆ
)から、いきなり
”私はあなたの幼馴染みで恋人です”と告げられたのだった。
最強の魔女『運命を司る者(フェイト・スピナー)』である頬白真結を巡って、今までの無味乾燥な
日常が、恋と謎とちょっしたお色気に包まれた、刺激的な非日常へと変わり、
地獄からやってきた闇の令嬢リザリィと、天界からやってきたウサミミ天使ラビエルとの
騒動が一段落した時、恋人の真結は魔女から天使になってしまっていた。
真結の奇跡の力を使って地上へと降臨したウサミミ天使ラビエルは、次元の旅人(プレーン・ウォーカー)である縫香にある仕事を依頼する。
300年前に白竜の心臓を食べた魔女『テラヴィス=アイスクロウ』
重罪人として魔界を追われ、地獄界へと逃げ込んでいたが、300年経った今、地獄界で発見され、
人間界へと逃げて来たらしい。その足跡を追いかけて、居場所を突きとめて欲しいとの事だった。
テラヴィスは天界だけでなく地獄界からも追われていて、一筋縄ではいかないのは明白。
加えてミニスカ網タイツ忍者の護衛役を連れて地獄から戻ってきたリザリィのおかげで、ややこしい話がさらに混沌とする始末。
金髪でチャイナ服の長女、頬白縫香、家庭的な笑顔で殺人予告をする次女の頬白襟亜、
株取引で一家の家計を支える四女の頬白硯、そしてほんのり天使として、ラビエルに仕える
下級天使となったヒロインの真結と共に、更に非日常的な事件に巻き込まれていく事に。
――大丈夫。誰にもダーリンを傷つけさせたりしないわ。傷一つ負わせない。危害を加えようとした奴は『私の闇』で粉々の肉片になるまで破壊してあげる。ダーリンの事、本当に大切だと思ってるのよ? 手に入らないものほどステキな物は無いわ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-06-09 07:00:00
200108文字
会話率:66%