鬼ヶ島にて、犬、猿、雉の犠牲もありながら死闘の末に鬼退治を果たした桃太郎。
島中の鬼を全滅させて村に帰った桃太郎は、娘を授かり桃姫と名付けた。
桃姫10歳の誕生日、村で祭りが行われている夜、鬼の軍勢による襲撃が発生した。
首領の名は「温羅巌
鬼(うらがんき)」、かつて鬼ヶ島の鬼達を率いた首領「温羅」の息子であった。
人に似た鬼「鬼人(きじん)」の暴虐に対して村は為す術なく、桃太郎も巌鬼との戦いにより、その命を落とした。
「俺と同じ地獄を見てこい」巌鬼にそう言われ、破壊された村にただ一人残された桃姫。
「地獄では生きていけない」桃姫は自刃することを決めるが、その時、銀髪の麗人が現れた。
雪女にも似た妖しい美貌を湛えた彼女は、桃姫の喉元に押し当てられた刃を白い手で握りながらこう言う。
「私の名は雉猿狗(ちえこ)、御館様との約束を果たすため、天界より現世に顕現いたしました」
呆然とする桃姫に雉猿狗は弥勒菩薩のような慈悲深い笑みを浮かべて言った。
「桃姫様。あなた様が強い女性に育つその日まで、私があなた様を必ずや護り抜きます」
かくして桃太郎の娘〈桃姫様〉と三獣の化身〈雉猿狗〉の日ノ本を巡る鬼退治の旅路が幕を開けたのであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-17 23:16:38
689921文字
会話率:52%
平佐田が島を去って五年、神隠し騒ぎも落ち着き、島は平穏を取り戻していた。
神隠しの時子とともに現れた二人の子供も、島の子に交じって道場に通っている。
安仁と言徳ー出自不明の二人の子供を、神隠しの子と、気味悪く思う者もいる。
御館様はこのたび
、御館家の氏神様とも言える黒御子様が、島神様に拝謁する祭りを計画した。島人から印象の悪い黒御子様を、子供の神様として島神様に格上げする祭りである。
島野子供たちの中から、島男七人衆と呼ばれる子供が選ばれ、祭りを盛り上げる。その中には、謎の子供、安仁も含まれる。
攫われた平佐田の子供の行方、お館様の計画、那医の苦悶……神様は全てお見通しです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-29 15:51:48
90433文字
会話率:24%
弔いに行った平佐田は再び、御館様に出くわす。滋子は、御館様から姿を隠そうとして、平佐田の前にしゃがみ込んだ。子供らの話から、滋子は御館様の許婚だと知って平佐田は気落ちする。
ところが、滋子には御館家へと嫁ぐ気持ちはなく、医者の助手になるため
、平佐田に薬草の教授を依頼する。
急に道場が始まることになり、平佐田は島の役人、吉野から、守女について教えられる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-12 21:00:00
10549文字
会話率:28%