すでに夜の闇がすべてを支配していた。
ちらちらとまたたく星と青白い月の光だけがこの世界を見下ろしている。
小さく打ち寄せる波が湖面で星と月の光を反射していた。
海とも思えるほどの巨大な湖を一望する摩天楼が闇を突き刺し立ち上がっている。
これほどまでの高層建築物はかつてなかった。
最上階にはかなげな灯火のまたたき…
低く小さくはあったが、その声は朗々と板敷きの広間全体にしみわたる。
広間の壁面に灯火が揺れ、板敷きの四方にある雪洞が明暗をくっきりとさせていた。
人間五十年
下天のうちを
くらぶれば
夢まぼろしの如くなり…
敦盛の一節を謡いつつ舞う男。
見事な銀の総髪。高く結い上げたもとどり。
鼻筋が通り引き締った口元は、見様によっては酷薄とも思われがちな薄い唇。
獲物を狙う猛禽類の如き爛々とした眼光の先になにがあるのか…
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-06 09:39:15
20810文字
会話率:58%
日々は打ち寄せる波のように
寄せては返し
返しては寄せ
幾度も幾度も同じことを
ただ漫然と繰り返していて
キーワード:
最終更新:2024-07-24 07:47:22
328文字
会話率:0%
大切な人と一緒に
感情も、生きる意味も見失った男は
それでも大切な人の残した言葉を胸に
終わることの出来ないまま
ただ空を眺める日々を送る
寄せては返す波の音が
遠くて響いていて
最終更新:2023-06-28 12:40:26
1250文字
会話率:0%
ある一匹の海星と、押し寄せる波の話
キーワード:
最終更新:2024-04-01 07:30:00
212文字
会話率:0%
私は大学生の頃人を殺した。
夏のホラー2023参加作品です。
最終更新:2023-08-24 09:00:00
755文字
会話率:24%
高校3年生男子。龍宮謙吾も大学受験生の一人である。
夏休みに入っていた。
彼はこの4月から親元を離れ、祖父母のいるとある島で暮らしていた。
その祖父母が旅行に行くというので、見送った早朝。
玄関にイルカが行き倒れていた。
かくまうことにした
イルカは日本語をしゃべり出した。
とりあえず浴槽にイルカを置いておくことにして、
夏期講習のため登校。
昨年から模擬試験の判定で合格確率80%以上をおさめてきていた成績優秀な謙吾は、
いつのころからか熱を入れて物事に取り組むことがなくなっていた。
帰宅するとイルカはおらず、
入れ替わりに異国風のスタイリッシュな女性サワが現れる。
謙吾に想いを寄せる波野雪花が目撃して一波乱。
更地だったはずの隣の敷地には平屋建てがすでに完成しており、
サワがそこに住むと言う。
さらには自らがあのイルカだと言い出して・・・・・・・
水の幽霊もどきやら半魚人やら、巨大化したコブダイなどなど、
立て続けに騒動が起こり、謙吾の心に変化が。
それは謙吾と同じ大学に行くために、
一学期終わりに志望校を変えた雪花も同じで……。
ひと夏の物語の一つである。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-02-05 21:00:00
109425文字
会話率:55%
宗教的なド短編です。
最終更新:2020-06-17 22:25:27
1324文字
会話率:7%
恐らく世の中に椅子を作れる職人は一日に寄せる波の数ほどいるだろう。
しかし世の中に椅子を壊す職人はルーイただ一人に違いない。
椅子壊し職人のルーイはある日奇妙な男から椅子を壊して欲しいと頼まれたが、
おかしなことにその椅子はどうやって
も壊すことができなかった。
ルーイはこの椅子の小さな謎を知りたいと思い始めていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-01-22 12:00:00
6577文字
会話率:39%
背後から吹き付ける風が、頬を掠めて海へと流れていく。
辺りは静寂としていた。まだ明るくなったばかりの時間帯だからか、他には誰一人として人の気配を感じない。
砂浜はただ一人男を内包していた。押し寄せる波は時折彼の座る位置まで届き、足を濡
らした。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-10-16 03:33:50
4876文字
会話率:45%
世界は集合端末により動く時代となり人類の一人一人が端末を持ち歩く。その端末『キューブ』をめぐる戦いが水面下で動いていた。
主人公はその端末の疾患と世界を巻き込む大きな波とぶつかり小さな力『一人』で立ち向かおうとしていたのだ。しかし、そこ
には彼の仲間が集う。
彼らは主人公を中心に戦いを繰り広げ、『人間』として失ってはいけないものを失わぬように自らと戦いながら打ち寄せる波へ挑んでいく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-05-09 00:00:00
224216文字
会話率:70%
普通のサラリーマンのボクはその週の週末の休みの日に、恋人で同じく会社員の理奈を連れて街外れの海へと来ていた。互いに時間があり、海を見に来ていたのである。絶えず打ち寄せる波の音を聞きながら二人で寛ぐ。夜は車中泊することにして、ずっと海を見つめ
続けていた。互いに普段は働き詰めで、しんどかったのだったが……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-10-15 12:35:02
3766文字
会話率:68%
もしも仮に人間が、長きに渡って何も無い大海に放り出されたら、彼は自己を保つために空想を繰り返し続けるしかなかっただろう。彼は遠近(おちこち)から打ち寄せる波に揉まれる葉の切れ端でもあったかかもしれない。静謐さの数だけ、あらゆる些事から解放さ
れて、心の内は溢れだすものだ。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2009-11-03 22:51:15
3138文字
会話率:0%