うちで開催されているパーティーで、家族に冷遇されている子供を見た。
なんでも、その子が生まれるときに母親が亡くなったそうで。それから、父親と上の兄弟に目の仇にされているのだとか。俺は初めて見たが、噂になる程の家族の言動。
俺、こういうの
大っ嫌いなんだけど? ちょっと前に、親友が突然神学校に入りやがった。それもこういう理由で、だ。
というワケで、大人げなく怒鳴っている見苦しいオッサンと、罵倒されて委縮している子供の間に割って入ることにした。
俺の前で、そんなクソみたいなことしてるそっちが悪い。
罵倒されてる子は親友じゃないし、このオッサンはアイツの父親じゃないのも判ってる。
けど、赦せん。目障りで耳障りだ。
だから――――俺の八つ当たり受けろ? お前らが、その子にやってることと同じだろ。
「あなた方がそうやって、その子を目の仇にする度、冷遇する度、理不尽に叱責する度、『キャー、わたしの仇に仕返ししてくれてありがとう! わたしの産んだ子だけど、そんなの関係ないわ! だって、わたしの命を奪った子だものね! もっと冷遇して、もっとつらい目に遭わせて、追い詰めて思い知らせてやって!』って、そういう、自分の子供を傷付けて喜ぶような性格の悪い女だって、死んだ後も家族に、旦那に喧伝されるって、マジ憐れだわー」
死んだ後も、家族に『自分が死んだことを生まれたばかりの子供のせいにして、仇を討ってほしいと思われてた』なんて、奥さんもマジ浮かばれないぜ。
『母の命を奪った罪人である自分は、誰にも愛されない』だと? そんなワケあるかボケっ!!
設定はふわっと。
【では、なぜ貴方も生きているのですか?】の、主人公の親友の話。そっちを読んでなくても大丈夫です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-22 20:23:02
6368文字
会話率:33%
父から呼び出された。
ああ、いや。父、と呼ぶと憎しみの籠る眼差しで、「彼女の命を奪ったお前に父などと呼ばれる謂われは無い。穢らわしい」と言われるので、わたしは彼のことを『侯爵様』と呼ぶべき相手か。
「……貴様の婚約が決まった。彼女の命を
奪ったお前が幸せになることなど絶対に赦されることではないが、家の為だ。憎いお前が幸せになることは赦せんが、結婚して後継ぎを作れ」
単刀直入な言葉と共に、釣り書きが放り投げられた。
「婚約はお断り致します。というか、婚約はできません。わたしは、母の命を奪って生を受けた罪深い存在ですので。教会へ入り、祈りを捧げようと思います。わたしはこの家を継ぐつもりはありませんので、養子を迎え、その子へこの家を継がせてください」
「貴様、自分がなにを言っているのか判っているのかっ!? このわたしが、罪深い貴様にこの家を継がせてやると言っているんだぞっ!? 有難く思えっ!!」
「いえ、わたしは自分の罪深さを自覚しておりますので。このようなわたしが、家を継ぐなど赦されないことです。常々侯爵様が仰っているではありませんか。『生かしておいているだけで有難いと思え。この罪人め』と。なので、罪人であるわたしは自分の罪を償い、母の冥福を祈る為、教会に参ります」
という感じの重めでダークな話。
人によっては胸くそ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-17 22:23:31
3815文字
会話率:67%
世界は三つに分けられている。
悪魔たちの住まう地獄・神や天使の住まう天界・人間や動植物が住まう地上。
母親は神であると人間の父に聞かされて育った自称神の子、ティウ・デ・ソルドは、銀の髪に琥珀色の瞳を持つ美しい女の子。
世は悪魔が
地上に攻めいる大戦争時代。いくら祈っても救ってくれない神の存在を、人々は認めなくなっていた。天界の存在、神や天使の存在自体が否定される世の中で、しかし彼女は自身が神の子であることを過剰に誇示していた。
結果、ティウは人間の攻撃対象となる。
村にいてもいじめられ、攻撃され、家には火まで放たれる始末。ティウは思った。
「こいつら全員見返してやる」
「本当に神の子なら、魔王を倒して世界に平和をもたらせ」という罵倒を真に受けた彼女は、齢十二歳で村を出た。
神の存在の否定とは、すなわち母と自分の存在の否定である。
私が神の子であることを証明してやる!
これは、神の子といえども特別な力を持たない割りと超一般市民の美少女ティウ・デ・ソルドが、自分の存在と母の存在を肯定するためだけに魔王を倒そうと奮闘する物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-12-08 20:00:00
6864文字
会話率:44%
風の民「ライローク」の一族である主人公カガリは、幼き頃に家族、村人を殺され、独りとなったところを「フロート」国の王に助けられ、城で暮らすことになった。しかし後に、村人たちを殺した張本人が国王であることを知らされる。国王は、カガリを手に入れ
るために村人を殺したというのだ。それを聞き、カガリは国王に対して憎しみを覚えると共に、自分の存在の否定をはじめる。
城を出て行こうと思えば出来たのかもしれないが、生きる術を知らないカガリは国王の言いなりになってしまっていた。そんなとき、中庭で「ルシエル」という魔術士に出会う。そしてカガリは彼から武術や対術などを教わった。
国王の側近としての任務をこなす中、カガリは孤児院を見つける。そこで「ラナン」という少年に出会う。
しばらくしてカガリは城から「ラバース」という傭兵組織の中でも最高位クラスへと、身の置き場を変えた。すると、ルシエルにもラナンにも会えなくなってしまった。国王はカガリをどこまでも、孤独化させたいのであった。
しかしそこで、カガリは「ソウシ」と「ギルフォード」という少年たちに出会う。彼らと戦場に出向いた。するとそこでは敵と「レイアス」というフロートの誇る魔術士部隊に挟み撃ちにされてしまった。カガリはこの戦にて、多くの仲間の死と直面する。さらに、Sクラスの隊長「ユイス」も副長も殺されてしまう。
そのことを自分のせいだと思い込むカガリは心を閉ざし、一年の時が流れた。
誰ともチームを組まなかったカガリが、上司からの命令で再びチームを組むことになった。それは、ソウシとギルフォードと「ユイス」の故郷を制圧するというものだった。
カガリはふたりを追い返し、ひとりでユイスの死の責任をとろうとする。しかしそこにルシエルとソウシ、ギルフォードが駆けつけた。
鍵となるもの。
それは、世界を不幸へ導くモノなのか。
或いは……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-04-30 23:23:03
105476文字
会話率:45%
人通りの絶えた住宅街で、それは唐突に起こった。
前兆のない消失。存在の否定、拒絶、断絶、……あるいは隔離。
つまりは、所謂“神隠し”。
現実はあっさりと裏切り、空想は突如に襲いかかる。
そんな悪い夢のような、そんな、事故に遭遇したような、ど
うしようもない序幕。 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-03-01 00:37:22
5134文字
会話率:28%