天真爛漫な姫と帝と義兄が織り成す、ライトな感覚の平安『恋』物語。
ハチャメチャな主人公・咲花《さな》姫の実の母は、とても美しい女性であった。そのため、先代の帝から御手付きに合い。その事で、妃から妬まれ怒りをかい、遂には後宮から追い出さ
れ。同時に、その妃の蛇のような怒りに恐れを感じた徳大寺の実家からも見放された。
その事を不憫に思った九条基兼は、京の外れに小さな屋敷を建て、妻妾として養うことに決める。
ところが程無くして、実の母が身籠っていたことが分かり、九条基兼は、先代の『帝の子』であることを強く訴えたが、結局は聞き入れられず。遂には、その実の母も病で亡くなり。基兼は、『帝の血』を受け継いでいるかも知れないその娘を、自らの養女として迎え入れることに決めた。
その養女こそが、主人公・咲花《さな》姫その人である──。
そうした数奇な人生を幼少の頃より体験してきた咲花姫 (12歳、あれから9年の歳月が過ぎた……)に、この日、1つの吉報が舞い込む。それは、天皇が住まう大内裏 (宮中)への入内だった。
そのことについては、誰もが喜ぶだろうと疑うこともなかったが、その時、咲花姫本人は意外にもこう言い放つ。
「──そんなのっ、冗談じゃないっ! 入内なんて、真っ平ごめんよっ!」
さあ! 宮中を敵に回し兼ねない発言をした咲花姫。これからこの物語は、果たしてどのように展開してゆくのか!? それは読んでからのお楽しみっ!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-09-07 13:51:04
10537文字
会話率:52%
大祓《おおはらえ》から数月。
晴れて賀茂保憲《かものやすのり》と恋仲になった安倍晴明《あべのせいめい》は、幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日。
一人の僧が、賀茂家の門を叩く。
保憲は彼を見るなり、「裏切り者が今更何用だ」と憤怒
の形相で抜刀し、襲いかかった。
……賀茂保遠《かものやすとお》。
彼は、嘗《かつ》て自分の母親を手に掛けて家を追放された、人斬りであった。
大内裏に舞台を移し、陰陽師達の恋物語が再び幕を開ける。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-10-04 03:00:07
104229文字
会話率:41%
穏やかな平安のよを襲った大飢饉により、何らかの取り違えで『忌み子』として命を奪われることになってしまった赤子の『咒音(じゅいん)』。
自分のせいでそう生まれてしまったとの責任を取るために、母親である葎は自らの命と引き換えに咒音を生き延びさせ
て欲しいと神に頼む。
後に陰陽師安倍晴明の弟子として名を“蜜虫(みつむし)”改め、都で起こる様々な怪奇現象の原因を突き止め消滅へと誘う、晴明に勝るとも劣らない陰陽師へと成長する。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-02-23 17:40:17
9384文字
会話率:15%