どうやってここに来たのだろうか。
今までの人生の記憶を保持したまま、見たことがない場所に俺はいた。
日の当たる小さな広場を見ると、明らかに日本人ではない背の高い人間が日本語を使って談笑している。
馬車の行き交う通りの奥の奥、レンガ敷きの酷く
薄暗い場所を彷徨いながら人に見られないように移動する。
当然腹も減るが、食べ物がない。
これからのアテもない。
こんな場所でのたれ死ぬのか。
半ば意思が折れかけている時に、俺は通りがかったその男に拾われた。
「うちに来い。働く分だけ飯はやる」
高価そうな黒い紳士服に身を包む髭を生やしたおじさんはそう言い放った。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-08-27 16:49:01
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