この世界には『人』が三種類いる。人間と、人間の"血"を飲む吸血鬼、人間の"肉"を喰う人喰いだ。
「ある時、吸血鬼達に王が現れた。その王は仲間を従え人間を支配しようと企んだ。人間は抵抗したが吸血鬼
と人喰いの力のあまりの強大さに、いくつもあった筈の人間の国はとうとう一つになってしまった。
もう人間は吸血鬼達に支配されるしかないのか。人間が諦めかけたその時、奇跡が起きた。神が人間に一つの武器を与えたのだ。それが聖銀である――」『聖銀目録 序章』より
ここはオルトラム。人間に残された唯一の国であり、たった一つの街である。しかし、それでいて世界で一番大きい街でもあった。
ある吸血鬼の青年は、幼い頃に人間によって両親を殺され、妹を奪われていた。青年は両親との約束の為、妹を取り戻す事を胸に誓っていた。
前線にて幾つもの命を奪い、戦争を終わらせた英雄である男は今、迷っていた。男は余りに死に触れ過ぎて、自身の信念が揺らいでいた。しかしそんなある時、男はある吸血鬼の子供を預かることになる。
混ざり者の少年はいつもの様に剣を振っていた。それは他でも無い、自分の家族を守る為に。しかし世界は少年に非情だった。少年は知る事になる。この広い世界の真実を。
そして三つの物語は交わり、一つになる。
※頻繁に修正作業を報告無しに行っています。ですが本筋には影響は無いので、気にせずに読んで頂けると有り難いです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-07-13 22:01:46
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会話率:55%