故郷のフランスを離れ日本で活躍する白咲 陽は、フランス人の血を色濃く残した美貌と卓越した演奏技術、そしてその柔らかく研ぎ澄まされた感性で、若き天才ジャズバイオリニストとして名高く、私生活においても、美しい年上の恋人と結婚の話しも出ている。
人生は正に順風満帆であった。
けれど彼にはたったひとつ、思うようにいかない事があった。
それは居候として陽の家に棲みつくひとりの男の存在である。気難しく奔放で傲慢なその男、眞鍋 聖月は、フランスに住んでいた幼い頃からの謂わば幼馴染でありながら、陽とは全くと言っていいほど気が合わない。だが、聖月には陽すらも圧倒する程の才能があった。まるで音楽の神に愛されたかのような、才能が。
音楽を愛し、音楽に愛され、互いの才能を認め求め合いながらもぶつかり合う二人の男の物語────。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-23 12:22:15
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会話率:36%