四話構成の連作短編。
横浜の外れにかつてあった遊園地「ドリームランド」を中心にして起こる様々な不思議な出来事を通してあらわれる、夢の中に逃避する人間、あるいは夢から覚め再生していく人間達の物語。
序章 ドリームランドで、神隠しにあった一人
の少年
第一話「ワンダーホィール」
湘南・七里ヶ浜に住む幼馴染の翠と達生。小学校の終わりにドリームランドに行くが翠には観覧車の中での記憶が途切れている。それは二人が、恋人となった高校時代に、サーフィンの事故で蔵人が行方不明になって以来、翠自身の中に閉じ込めた記憶になっていたからだった…。
第二話「近衛兵」
ドリームランドの名物、凱旋門に立つ微動だにしない近衛兵・和良。彼は、閉園と共に、家族と仕事の両方を失ってしまう。絶望した彼は廃墟になったドリームランドに自殺しに来るが…。
第三話「幽霊屋敷」
ドリームランドの近所に住む貴輝と紀子夫婦と息子の秀人。秀人は、ドリームランドの入り口の交差点で交通事故に遭い死んでしまう。秀人を溺愛していた紀子は、少しずつ狂気と死の世界に近付いていくが…。
第四話「イエローサブマリン」
ドリームランドの中のゲームコーナーに居る日系人の老人ジョニーさん。彼は、どんなマシンも簡単に直してしまう不思議な力を持っている。他にも、かつて特攻隊員だった潜水艦の船長の金城、俳優になることに憧れて上京したスーツアクターの高杉、「ヘイヘイおじさん」として有名だった榎本の元を、ドリームランドが閉園する最終日、ピンボールマニアの阿部が訪ねていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-12-06 14:00:00
126226文字
会話率:24%
この物語の主人公の名は根無昭(ねむあきら)である。今はまだ、どこにでもいる普通の高校三年生だ。代わり映えはしないものの静かで平和な日常を過ごし、成績が思うように伸びないことにあくせくし、将来はどうでもよくなる小さなことで日夜悩み、そして、
多少人生を悟った気になっている、本当にただの高校三年生だ。しかし、人生の転機というものがいつ訪れるのかは誰にも判らない。判らないからこそ「機会が転ずる」と書いて「転機」なのだろう。彼の場合、今日この日こそが人生最大の転機となる。もっと正確に言うならば、転機は2016年4月14日の午後9時26分に訪れる。
この物語の主人公の名は根無昭である。この時の彼はまだ、熊本県熊本市に住んでいるだけの、どこにでもいる普通の高校三年生であった。
*この作品はH.P.Lovecraft氏の考案したクトゥルー神話大系及びドリーム・ランドを原案としておりますが、この作品はH.P.Lovecraft氏及び他の作家によって形成された作品大系と世界を共通しておりません。飽くまでそれらの作品と似通った世界を舞台としており、本来ならばいわゆる「キャラ崩壊」や「世界観の崩壊」と取られるような表現は原案となった作品群とは全くの無関係です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-12-12 10:47:08
3879文字
会話率:36%