この物語では、善悪の表裏と紙一重を“正義”と“悪”の両側から描いて行きます。
※今作「【悪逆の翼】~road dark~」では“悪側”の視点から世界を観測しています。
現在制作中の「【悪逆の翼】~road shine~」では“正義側”の視点
から世界を観測していこうと思います。
物語は一つの世界で同時進行しています。
似た心を持った人間が、似た体験を経て何を思うのか。その結論は対極だった。全ては彼らの置かれた立場が織りなす数奇に他ならない。
この物語の主人公、終夜鴉紋(しゅうやあもん)が転移したのは、赤い瞳の人間を『ロチアート』と呼び、家畜の様に管理して喰らう絶望の世界であった。
秩序の守られた泰平の世。その世界に何の悪意もなく大切なモノを奪われた鴉紋は、腕を黒く変化させ、人ならざる剛力を発現した。
怒り迸り何もかもを破壊しながら、鴉紋は世界を統治する九人の“天使の子”を殺し尽くし、自らの願う世界を創造する事を決意する。
――しかし彼がこの世界に訪れてしまった事も、その世界を破壊するといったある種異常に思える意志すらもが、彼の内に潜む“別の人格”による因果である事を彼は知らない。
――そして壊れていく。
ロチアートも同じ人間だと言いながら、ロチアートの為に人間を殺戮していく悪魔へと。
平和な世界に堕ちて来た、ただ一つの悪意として。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-31 22:17:01
121051文字
会話率:47%
「革命のファンファーレを拝聴させてやる、女」
――その天使は、あらゆる技能に置いて、“二番目”になる才を有する。
王たるべくして生まれた彼は、天賦の才にて全てを凌駕するも、あらゆる分野に置いて、決して一番にはなり得なかった。
全てが出
来るも、突出した“個”を欠落させた彼、
魔法の楽園より来たりし天使の名は――
「この――ギルリート・ヴァルフレアがな」
私達はただ、生きることに必死だった。
ある日、ある時、山が吹き飛び、海が干上がった。それが第三次世界大戦に置ける最終局面――“核兵器”の応酬による結果であった事を、私達はずっと後に知った。
貧しい資源。僅かな食料。焼けた大地。衰退した文明。荒廃した世界……
人類滅亡の危機を目前にしながら、僅かに生き残った人間達は、助け合うのではなく、奪い合う道を選んだ。
暴力が暴力を呼び、いとも簡単に奪われる命。騙し、貶めて昨日の友を食い物にする。そうで無ければ生きられなかった。
尊厳、倫理――そんなものは、力だけが物を言うこの暴力時代に置いて、遥かな昔に擦り切れてしまっていた。
そんな世界の混沌に、私の信じる“天使”が舞い降りた。
「闇に光が咲くからといって、光に闇が咲く事は出来ない。この闇は、闇の中でこそ開くのだ……より濃密な暗黒として」
その天使は、神々しいまでの清純さとは掛け離れ。
言うなればまさに――“悪のカリスマ”であった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-07 20:26:47
31567文字
会話率:53%
「どうして泣いているんだ?」
そう問われた少年は、突き出された剣の切っ先も意に介さず、薄雪に凍える幼い妹と弟と肩を寄せ合いながら答えた。
「わからない。どうして泣いているのかも……もう忘れてしまったから」
……何処迄いたぶられればいいのか
、どれだけ苦しめばいいのか?まるで運命に、世界に呪われているかのようだ。
無垢な心に刻み込まれていく『心の傷』は、深く抉られて、爛れていきながらも、少年に新たなる力を与えていく。
死ねない狂えないオワレナイ……
耐えられなくとも耐えるしかない。
――“翼”がそれを赦さない。
この醜い世界に、生きる意味を見い出せときょうだい達が言っている。
主の御力に迫りし『第三の翼』。
平和の成ったこの世界で……いま一度、
歪に解釈された翼が開かれる。
……端から狂ったこんな世界など、思うがままに壊してしまうがいい。
“ ”よ――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-24 21:24:29
20310文字
会話率:51%